思い立ったが吉日ということであのあと獣医さんで手はずを整えていただき、去勢手術が終わって、家に帰ってきました。すでに場所をだいぶとってるコディが大きなエリザベスカラーをつけてゴトゴト動き回るので、もともと小さい居間がさらに狭く感じられます。そして、手術のあとペっちゃんコになったイヌのたまたまを見るとかわいそうやら、気の毒やらで、本人が(犬)が何もわかっていないのがせめてもの救いです。
コディはカラーをつけてから食欲がなくなってしまいました。餌にかんづめをちょっと入れてやったり、餌台の角度をかえたり鎮痛薬をあげてみたり、ちょいちょい様子を見ていますが元気がありません。病院へ行って先生や看護師さんに囲まれて楽しくはしゃいでいるうちに急に朦朧として、目が覚めたらエリマキトカゲならぬ、エリマキイヌとして生まれ変わっていたのから仕方ないですね。ハンスト二日目に試しにドライフードを手からやったらポリポリといかにもつまらなさそうに食べていました。
『ゆうつ』モードのコディ。
去勢後5日間は激しい運動はダメと言われたので、その間はフレキシをつけて地域の遊歩道をゆっくり・しっかりめに歩くことにしました。ここ数日間はバギーを押しながらOR抱っこひもをつけて、朝夕で計10~15キロくらい歩きました。アメリカに越して以来こうしてコンスタントに長距離を歩くことが無かったので体がなまりまくっていた事を痛感。こんな体たらくでは日本へ帰ってももう山には登れないな(引っ越すまでは毎年富士山に登っていたのに)。
反面歩き散歩の最中、遊歩道脇の雑木林で、朝もはよから頑張っている鳥類の姿を頻繁に見かけることが出来たのは得した点でした。ふだんこの時間帯は公園かドッグランにいるのでずっと知らずに過ごしていましたが、こんなに面白い鳥の世界があったんだと気付き、ちょっともったいなかったと思いました。
とくに感動したのは4日目の朝にクロコンドル(American Black Vulture)三羽の食事風景に出くわした事です。これは、歩道から20メーター位奥まった場所だったので見つけられてラッキーでした。すごいと思ったのは、この鳥達のすごくおっとりした性質です。真っ黒で大きく「森の掃除屋」と言われるイメージとは違い、穏やかで静かな鳥達で、カメラをもちながらいつのまにか5、6メートルくらいの距離まで接近していました。野生の鳥なのに!この寛容さに感激して、すっかりファンになってしまいました。以下に写真をアップします(一部動物の死骸が写ってるので「つづき」に畳みます)。
バージニアの三羽コンドル
彼らの様子を見ていると、アライグマをつついてるのが母親で、木に残っていた二羽が娘か息子なのかなと感じた。このあたりに住んでいる近縁種のヒメコンドルも観察していると非常に家族仲、夫婦仲がいいので、クロコンドルもそうなのかも。そのへんもちょっとこの鳥達に惹かれた理由のひとつです。
木の上の二羽はときたま「プッ」とか「シュウ」という音を立てていたもののとても静かでした。粛々とした感じでなかなかいいなあと思ったけれど、あとで動物図鑑を読んだところ、彼らには声帯がないそうです。生活する上でここの自然の中で競合相手があまり居ないので、鳴いてアピールしなくても餌を守ったり伴侶を見つけることに苦労がないのかもしれません。餌は、車社会のアメリカでありふれている「車に轢かれた動物」が豊富にあるし、デートの時も死骸の前で待ち合わせすればいいだけだし(匂いで同種の鳥が勝手に集まってくる)。コンドルライフ、なかなか魅力的です。
同じ日に見たカンムリキツツキ(pileated woodpecker)。小さいとカワイラシイ動物が大型化するとなんとなく妙であるものの一例。このなりでカラス位の大きさがあって、木をたたく時なんかもドドドド・・・とハードコアな音を鳴らします。以前のブログにも書いたことがありますが、情け容赦なく木屑バリバリまき散らしながら餌を探すので、老木とか弱ってる木なんかだとこの鳥のせいでトドメをさされることもあるそうです。
しかしこうして朽ちかけの木にしろアライグマにしろ、地面に横たわっていると、そこを中心に新しい命が循環しだす様子を見るのも、意味深いものだと思った午後です。