2019年7月19日金曜日

4歳半の夏

たるみまくり(無精ひげも生えた)

 ボストンから帰って、冷房の効いた部屋でトドのようにゴロゴロしている犬。ベランダに出てセミの声を聞いたり、ホタルを見たりしたいのですが、暑いらしくすぐ家にひっこむ。散歩中も、上り坂をジョギングで上がろうとすると「ゆっくり登ろう」とアピールしてきて、首輪ごとリードがすっぽ抜けた事2度。しかし本犬気付かず、すっかりリードがあるつもりで歩いていました。慣れ親しんだ散歩道だと、リードの存在を感じさせない風船のような犬なので、散歩がしやすく助かるのですが、これはちょっと笑えた。

 ところで、本当にリラックスしている犬って、頭をさわっただけでも分かる気がしますね。人間と同じく、犬も頭部や顔にあつまった筋肉群の緊張がほどけるのかな?フニャフニャした触り心地です。ドッグマッサージって効くのかな~と思っていたけど、こんなに筋肉があるのなら、犬もきっとこったりするのでしょう。


 一週間冷房のない環境で過ごしたからか、帰ってからアンダーコートがごっそりと抜けました。上の写真の、灰色がかったところにアンダーコートレーキをかけるとブラシの歯いっぱいに毛がとれます。背骨に沿ったあたりはピカピカのサマーコートです。やはり、室内犬だと自然にズバッと毛が生え換わるようなことはなく、だらだらといつまでも換毛が続く気がします。バージニアは今の季節雨が多く、泥はねも多いので、脚やお腹の毛は自然に見える範囲で先っちょを切りそろえました。

 散歩中、犬の毛艶を褒めてもらえることがたまにあります。どんなシャンプーを使ってるの?と聞いてくる人もいます。私はいつもコディを食器を洗う中性洗剤をよく薄めたもので洗っているので、そう正直に言うと大そう驚かれます。コンディショナーは、もともと馬用に配合されたMane and Taleという製品です。なるべく地肌につかないように、毛先にちょっとつけてくしで撫でつけてから流します。そのへんのスーパーで買える安物ですが、洗い上がりもその後も、問題なく使えています。匂いもきつくないです。


 そんなこんなで、コディ4歳半の夏。この夏から冬を終えれば5歳になると思うと、イヌの壮年期真っ只中というところかと思いますが、まだまだ毎月ひとつは新しい発見があります。
 
・ボール遊びのあと車に乗る時、口にボールを咥えたまま荷台に飛び上がるようになった。
・ながら散歩でボールを咥えながら帰る時、ボールを咥えたまま排便をするようになった
(オシッコは前からしていましたが、ここへ来て「ながらウンチ」もマスター)
・散歩の時のオシッコの回数が増えた。マーキング的意思を持って故意に分散している感じがある。

などなど、主にボールにまつわる行動にちょっとした変遷が見られました。いつもするわけではないのですが、ボール好きに筋金が入ってきたようにも思えます。年齢と共に、目には見えにくくても、日々何らかの成長?変化?をしていると言えるかもしれません。

 時折ドッグランなどへ行くと会える昔からの犬トモ達の行動も、最近変わりつつあります。特に大型犬仲間の間で元気よく遊ぼうとする犬がすごく減ってきました。コディはプレイバウしたりお尻をドンと相手にぶつけてみたり、一人もみくちゃになって遊びに誘おうとするのですが、疲れているのか、暑いからか、はたまたコディとはもう遊べないと感じるのか、あそびに乗ってきてくれる犬がぐんと減りました。もともと遊び方が乱暴で、いいバランス感で遊べる犬が少なかったので、これは本当に残念でした。コディのでっかいグーパンチではたかれても、頭をすっぽり咥えられても怯むどころか、むしろ大歓喜でコディを追い回していたボーダーコリーのニックが、とても恋しくなりました。




 訪問活動も復帰しました。このファシリティでは、セラピードッグが訪れることの有効性が認められて、正式なウェルネス・プログラムの一環として定期的な犬の訪問活動が採用されたそうです。こんなかわいい看板も立ててもらいました↑。コディが来ると聞いて、早めに来て看板のそばでわくわくしながら待ってる人も居ます。相変わらず、行くと犬のしつけ関連の質問が多いので、答えられる範囲で答えますが、英語が下手なので、満足のいく説明がなかなかできません。いい練習になっています。

 セラピードッグ協会を通してリクエストを受ける時、殆どの訪問先は2時間くらいの指定をしてきます。しかしうちの犬の場合、終わりごろになると出入り口の開け閉めの音に耳を澄ませたり、外を見る動きが少し増えたりと、「帰りたいのかな?」と思わせる行動が増えてきます。1時間30分~45分の間が、「楽しい」と「疲れた」のターニングポイントという感じがします。シェパードはこういう点で他の犬種、たとえばレトリバー系やブリー系の犬とは性質が違うと感じます。タイマーをセットしておき、訪問時間の途中で一旦トイレ休憩を入れ、ほんの少しの間でも小さなおもちゃで遊ぶなどして、犬のメンタルをリセットしてやるといいようです。

 シェパード全般そうかも知れないけれど、コディもまた、普段の生活の事からトレーニング中の癖までちょっとした「調整ポイント」がいろいろあって、対象をジロジロ観察して、どうやったらもっといいパフォーマンスをしてくれるかなあと考える事がとても大好きな自分のようなタイプにとっては、知的好奇心を延々と満たしてくれる最高の題材と言うことができます。けれどもそういう細かいりくつ抜きで、ただただ楽しく犬と付き合っていきたい人々にとっては非常に疲れるというか、めんどくさい犬にもなり得るという点を、理解しておくことは重要だと思いました。


2019年7月10日水曜日

ボストンへ行ってきました(再び)。

クインシー・ベイに浮かぶ小島から臨む、ボストン市街のながめ。


 北米の夏の休日、ジュライ・フォース(独立記念日)の週は、マサチューセッツ州ボストンの友人宅に寄せてもらっていました。トランク大小3つ、友達一家へのお土産の大きなダッフルバッグ、成人2名、3歳児1、犬1+犬のお皿やブラシなどなどを詰め込んだパンパンのマイカーに乗って、I-95 NからNJ Tpke、コネチカットの歴史街道へ…と、約10時間かけて北上しました(どこかで読んだ書き出し)。




 独立記念日は、家族や友達と食事などをして、夜になったら花火を見に行く、というのが典型的なアメリカ国民の過ごし方です。私達も例に漏れず庭でグリルなどをして過ごしました。滞在先は古民家が集まっているエリアで、昔ながらの近所づきあいが根付いていました。食べ物を並べているとどこからともなく近所の人があつまってきて、勝手に話に花を咲かせていました。


なんか興奮しておもしろい事になっていた


 ヒトある所にイヌあり、近所の御宅の犬達とコディも一緒に遊ばせてもらうことが出来ました。この庭を出てすぐのところにドライブウェイがありときおり車も通るのですが、地域の犬達はみんな勝手知ったるといった感じで、飼い主達も気にも留めない様子でした。ふだんの生活の中で他の家の犬が勝手に庭に入ってきたりすることは結構よくあるみたいです。アメリカの昔の犬の暮らしぶりに近いと感じました。

 それから今回初めて夏のボストンに滞在して、一般家庭に冷房がないことを初めて知ったんですね。自他共に認めるすごい暑がりである自分は死んでしまうのではないかと、道中心配していましたが、築112年の(アメリカ的には)古い家の中は日中は意外なほど涼しく、湿度の低い風が一日中吹いていてさわやかでした………、というのは今年がラッキーだっただけで、去年はマサチューセッツも猛暑で大変だったそうです。
 



 数軒先に、昔偉い軍人だったお爺さんが住んでいました。第二次世界大戦を戦った人です。かなり年をとっていて、自宅でターミナルケアを受けられている様子でした。ある日の夕方、彼の為だけにパレードが執り行われました。非常に名誉な事だそうです。自分も結構長くアメリカに住んでいますが、こういう事は見たことがありませんでした。窓辺から重そうに腕を持ちあげて敬礼に応えるお爺さんの姿が見えました。

 戦争では、間接的に、いやもしかしたら直接的に、多くの日本人の命を奪った人なのかもしれません。今目の前で死にゆくその人を見て、複雑な思いでした。個人のレベルでは、怒りや憎しみなど、何も感じる事がないからです。今までの人生の中に散りばめられた「戦争への間接的記憶の断片」を急に意識して、戦争への思いがふくらみました。自分の娘と、その友達は、バグパイプの音に合わせて楽しそうに踊っていました。その仲良しの娘達にだってそれぞれ、ユダヤ人とドイツ人の血が流れています。




 パレードの時もまた勝手にどこかの家の犬が、ヒモもつけずにフラフラ挨拶しに来ていました。花火といいバグパイプといい、結構な爆音で鳴らしていたけれど、全く物怖じせずみんな自由に歩き回っていた(笑)。豊かな社会性を持った犬達でした。私がかねてから礼賛している「村のいぬ」の像に、また少しピントがあったようで、非常にインスパイアされました。


やや疲れ気味

 今回は庭や近所をうろつく事がメインだったコディ。暑さと、朝から晩まで子供だらけで、あまりよく眠れなかったみたいです。この犬は旅行はいつもこんな感じですね。夜は冷房のある友人夫妻のメインのベッドルームに入れて貰ったりして、すごい特別待遇を受けていたのに(うちのが来ると毛まみれになるラグに文句を言うどころか、こんな事してくれる友人夫妻に感謝)。バージニアの家はずっと狭くて暗い家ですが、静かだし涼しいのでやはり落ち着くようで、帰ってからは3日位ずっとゴロゴロ&寝ぼけまなこで過ごしていました。