2020年11月2日月曜日

夜のDC市街地 11/2



 大統領選の開票日前夜の11月2日、コディと二人で夜更けのワシントンDC市街地を歩きました。ジョージタウンからダウンタウンまで運転する間も、かなり多くの建物にベニヤの板張りがされているのが見られ、また政府機関の建物前には大型トラックが乗りつけ、目の前で次々と鉄のバリケードやコンクリートの車両止めなどが設置されていきました。DC近郊民としてやや悲しい事ですが、この街のデモや暴徒の類はなれっことはいえ、この日のDCはどこかビリっとくるような「本気だな」と思わせる街の雰囲気がありました。明日の大統領選が歴史的な選挙になりえるものだと肌で感じました。


 ここまで厳重な囲いはここ最近では見たことがない、というか記憶にない。

 人通りがちらほら。コディが子犬の頃に散歩した街道にも板張りが。
中にはラクロスのスティック等で武装しているホームレスなどもおり、正直あまり雰囲気がよくない

ホワイトハウス前からワシントンモニュメントを臨む。
フェンス前にはBLMの若者達が集まって音楽を流したり、ひとつひとつの張り紙に目を落としている

賛否両論のBLMペイントの上で。

 
 コディは道にいる報道のお兄さん達や、列をなして待機する警察官達、BLMのお姉さんなどに話しかけられたり、撫でてもらい、終始ごきげんでした。メディアと活動家、そして法執行機関と今日のアメリカで「三竦み」とも言える人々の心の垣根を犬は軽々と越えていった。みな明日、数日後、来週は、どこでどうなっているのかも知れず、人々はアメリカ史という巨大な流れの中にくるくると翻弄されつづける木の葉のようです。でも、この流れもよくよく目をこらすとまた何千、何億、何十億という夥しい人々の意思や思想、思念、思惑といったものでつきうごかされているのだと気付きます。この流れは一体どこへ向かうのか……、まずは明日の開票を楽しみに、帰路につきました。


2020年10月1日木曜日

急に涼しくなりました。

Lake Skaneateles, New York


 疫病に暴動に山火事にと、波乱ばかりの2020年に夏も遠慮したのか、今年の北バージニアは本格的に暑くならないうちにすっかり秋模様となってしまいました。どこへも行かずに終わってしまった今夏なので、今まで撮りためた写真を引っ張り出しては眺めて旅行へ行った気になっています。

 上の写真は、以前住んでいたニューヨーク州北部の街で、ちょうど今頃の時期によく魚釣りをしていた湖のデッキからの眺め。五大湖周辺のこのエリアはヒトの手指に似た細長い形の湖が多数あり、全部まとめて「フィンガー・レイクス」と呼ばれています。ここはその中のスキニーアトラス(スカニースルズとか、スキニアレスと表現されることも)という湖です。かつては北米でも有数の水質と透明度を誇ったのですが、17年頃から毒性のある青緑色の藻が大量発生してしまい、水質の再生が課題となっています。地域の努力でまたきれいな水が戻ってくることを、本当に心から願ってやみません。


スマイル100万点

 犬5歳娘5歳と、「おれたちのコロナ戦争」も継続中です。現地校がなくなって、週に一回のデイケア以外は自宅でホームスクーリングもどきをしている娘が、PC上でお友達に「まいにちたのしいよ。」と言っていたのがせめてもの救いと言えます。

 自分の方はといえば、日中は家や子のせわをして夜皆が寝静まってから仕事をしたり、買い物へ行ったりなどしているので、寝不足です。元気盛りの犬とわが子と、こんなにも濃密な時間を過ごせる1年間は今後一生ないと思いますが、たまに突発的に一人になりたい時もあります。ぶらっと一人で…、中央アジアでも行きたいな。ウクライナでもいい。バルト三国もいいですね。


この足裏みてください

 今週は、犬をブラッシングして、オフロに入れて、全身乾かしアンダーコートをすきました。歯石のチェックをし、ほんの先っちょを切ってお茶を濁す爪切り&パッドの間の毛を切って、4つの足裏を写真のの状態にするまでで半日が経過してしまった。これでも大分スピーディになったつもりでした。兎に角みんなでアメリカ生活のホワイトシェパードわんた氏は、足裏トリムをしたら藪でケガしやすくなったと聞いて以来、どうするのが正解なのかは分からないのですが。

 「いそがしい」とか言いながらこうして自分で不要な作業工程をいろいろ作り出し、ムダな労働と分かっていつつ一旦手を動かし始めると止まれないのが悪いクセだなと思いますが、犬はきれいになったから、まあいいや。


あらっ!手が入ってしまった。

 犬をきれいにして出かけた先は地域の獣医さんです。この場所でずっとやってる小さな病院なんですよ。セラピードッグの活動を続けるためには、定期的に健康診断のフォームを更新しなければなりません。コディは獣医での素行があまり良くないので(診察室内で、この図体でなんでというくらい巧みに注射や診察から逃げ回る)獣医さんや看護師の皆さんにはせめて清潔な犬を診てもらいたい。

 コロナのパンデミックのおかげで獣医さんの方式も大分変わっていました。車からドロップオフしたあとは、病院のスタッフの方で全ての工程をやって下さいます。途中で獣医さんが出てきて、行った治療と検査結果等を口頭で教えてくれます。待合室などで不要な混雑も起きないこのやり方は、検診程度で訪れる患者にとってはいいなと感じました。あとで看護師の方にも話を聞きましたが、飼い主から離されることで診察室内での行動が改善する犬も多いそうです。でも「コディアックはあなたと一緒にいた方がおりこうだけどネ」と言われてしまいました。あらら。


2020年8月16日日曜日

シェパードと借家


 今、借りているアパートでは犬を飼うことができます。先日は共用エリアでジャーマンシェパードの子犬を散歩している住人と世間話をしました。「コロナで在宅勤務になって、運動不足だし、丁度いいからこの子を迎えたの。」と話してくれました。訝しげな眼で私の事を見るその子犬の様子を見ていて私は、今年生まれた子犬達が社会化に大きなハンデを課されていることに気が付きました。

 この話題については、やっぱり同じことを考えてた人がいたみたいで、アメリカンケンネルクラブの記事にもまとめられていました。また「行動の変化」という点に目を向けると、成犬であっても、自主隔離生活期間が長引くにつれて分離不安傾向が強まる等の問題が考えられるようです。犬によっては分離(セパレーション)の練習をし直す必要が出てくるかもしれません。この話題について気になる人はBloomberg Businessweekのこの記事も見てみてください。残念なのですが、時間的にまとめる機会がなさそうなので、、、

 
関係ない写真:ボロ屋の思ひ出


 時を遡って3月、家を借りる前の話です。借家を斡旋してくれるエージェントが、車の窓から無言でこちらを覗いているコディを見たとき、一瞬むずかしい表情になりました。予想しなかった「アメリカで犬と一緒に家を借りる」という段になって、比較的犬にやさしいイメージのあるこのバージニアでも、ジャーマンシェパードやロットワイラー、ドーベルマン、ピットブル等がいる家庭は賃貸探しが比較的難しいことを、改めて実感した瞬間でした。

 私達の場合は、事前に「都市の優良家庭犬資格(CGCU)」を取った時のペーパーワークとセラピードッグ(TDI)の証明書(☞これをとった時の長くドキドキした話)、実際の活動の経歴などを簡単にまとめたものを準備しておいて渡したところ、賃貸の査定の時に有効だと言われました。アメリカの優良家庭犬資格などは「やれば誰でもとれる」とか、とってもあまり意味がないとか様々なことを言われていますが、公的な認定はこうした場面で効力があるという事を、再確認しました。大型の犬やいかにも強そうに見える犬種の飼い主は目指すと良さそうです。いつかどこかで役にたつこともあると思いました(法廷でも有利に働くそうです)。

 とまあちょいちょい苦労しながら晴れてのアパート暮らしが始まったわけですが、3ヶ月ほど暮らしてみて「やっぱりうちの犬にはやや無理があるかな~」と感じています。手前みそですが、コディはとても良い番犬で、そのおかげでボロ屋時代は毎日安心して暮らすことが出来ていました。ところがアパート生活では彼の番犬としての「良い資質」が、ぜんぶ裏目に出てしまうことに気が付きました。

 窓が沢山あって明るい部屋ですが、逆に家の前の通り道が丸見えで、コディは定期的に見回りに行き、吠えようとします。声量があるのでとてもうるさいです。「もういいよ」と言うと渋々吠えるのをやめますが、「ウオ~、ウオ~」「ピーピー」と文句を言う事もあります。犬からしてみれば、「あそこにまだヘンな人がいるのに」といったところでしょう。フラストレーションがたまるようです。

 また、住居の構造的にも難しい点があります。自動ドア、みしらぬお掃除の方、オートロックが開く「ピー」というハイピッチ音など、犬的にこれはチェックしないと!と強く気持ちを煽る仕掛けが点在します。エレベーターなどもまさにそうで、セラピーの訓練でも実地でも何度も利用して全く慣れたものでしたが、日常使いのエレベータだと、急にドアが開いていきなりガウガウと吠える犬が現れたりします。

 コディは、吠えられると引き下がらず、前に出ていくタイプです。案の定速攻で覚えて準備(ドアが開いたらとりあえず吠える)するようになってしまい、ついには人が立っているだけでも吠えるようになりました。セラピードッグとしては、かなりまずい状態です。別途練習することになりました。シェパ飼いの皆さんはご存知だと思いますが、いらんクセは一度で覚え、直すのには10倍時間がかかるので、結構疲れました。

 最も深刻な懸案事項は、集合住宅で夜不意になったりする全館火災報知器の爆音です。5歳を過ぎて音に敏感になりつつあるようで、火災報知器が鳴った日のコディのテンパり様は、とても可哀想でした。私達の安全な暮らしのために絶対必要な装置だと思いますが、音とあわてて移動する人々の喧騒や、階段で出会う混乱した他の犬に吠えられたりと、感受性のやわらかい1才未満の若い犬や、音響シャイな犬などにとってトラウマになってもおかしく無い状況が生じます。「もう、鳴りませんように」と祈りながら住んでいます。


2020年6月7日日曜日

近況です


野獣の近影です

 
 おひさしぶりです。お元気でしょうか。

 世間はもう、コロナウイルスに付随したあれやこれや、暴動に付随したの話題のあれやこれやで持ち切りですね。コディの訪問活動も休止になり、子供も休校になり、引っ越し、仕事は夫婦共々完全リモートになり、何処へも行かないのに毎日が大忙しで、ブログに何かを書きに来ることが困難になっていました。来年の夏ごろにはすべてが落ち着いて、またくだらない駄文を書いたりできるのではないかと予想しています。


 整理をかねて、ここ半年の変化を箇条書きにします
(本当にいろいろあって…、自分でも何が起こったか確認のため;笑)

・家を引っ越して、借家にうつりました。我がボロ屋を恋しんでいます。うちの犬も大きな図体をエレベーターに押し込め、シーズー、トイプードルやマルチーズに交じってすっかり「そのつもり」みたいな顔でアパートに住んでるので、おかしいです。コディはかなり大きいので、借家に移るまでには紆余曲折がありました。また、シェパードのQOLを考えると、長期的なアパート暮らしは適してないと思わされるところがいくつかあり、それについては別件で書いて行ければと思います。(書きました。⇒シェパと借家

・前の家をパンデミックのロックダウン下で売りに出すことになりました。最終的に良い買い手に恵まれたのですが、日に日に社会の情勢が悪くなる中での大改装、不動産屋さんとの打ち合わせ、クロージングなど、しばらく思い出したくない程、大変でした。今後はここから新しい家に移りますが、しばらくは気楽な賃貸暮らしでいいやと思っています。次の引っ越し先は未定ですが、同じノーザンバージニアエリア内で検討しています。コディの最後の家になるので、老犬にとって暮らしやすい環境かどうかも、気を付けて検討したいと思います。

・バージニアは3月15日から、公立学校の休校が続いています。休校は6月中旬まで、その後夏休み期間に入るので、保育園等は8月までない事になります。我が家は教育はソーシャルスキルや運動能力などに非常に重きを置いていますが、幼い子供達がそれらを学べる場が全くなくなったことに危機感を感じています。自分達の勤務形態も、夫婦そろって完全在宅勤務になり、娘が遊んで声を張り上げて叱られる様子を見ると、可哀想です。特に、いつも優しい父親に注意されるのがショックらしく、心因性とおぼしき頻尿になってしまいました。感受性が敏感なところがあるみたいで前にも一回なったことがあるのです。2~3週間そっとしておいて、経過観察しています。

・保育園やチャイルドケア施設が閉鎖されたことをうけて、バージニアはじめ東海岸の日本人のお母さん達のオンラインプレイデートをつくりました。今は2歳半~7歳くらいの子が平均7、8家庭くらいで集まって、毎日、日本語の本読み、読み書き、実験、歌、工作などを行っています。Co-op形式で、先生は日替わりでお母さんやお父さんが担っています。このブログは子育て関連の読者の方は殆どいらっしゃらないのかなと思いますが、東海岸在住者で、もし参加したい方がおられましたら、どうぞご連絡ください。

・コロナに関連して。毎年楽しみにしているイベントごとなども次々に中止が決まり寂しい思いをしています。まず、私達家族が好きなバージニア州、スカイメドウ公園の「いちご祭り」が中止になりました。アメリカン・ベルジアンマリノアクラブのナショナルが5月に当州で行われる予定で、ボランティアとして働く予定で去年の末から非常に楽しみにしていたのですが、これも延期になりました(知らせを見てイスの上でしばらく言葉を失う位がっかりしてしまった)。毎年参加していた、バージニア両爬協会のリサーチトリップもなくなりそうです。今回の出来事で身体的・経済的にも甚大な被害を受けた方が非常に本当に多いと思うので、こんなふざけたことでがっかりしていてはいけないと思いますがが、残念でした。


 これ以外にも文筆的な活動で連載らしきことをしていたりと、まだまだお伝えしたいことが山のようにあるので、あるていどまとまった形になってからまたこちらに書きにきたいと思います。まずは、この夏をがんばって乗り切ることを念頭に。みなさまもどうぞお気をつけて、楽しい夏をおすごしになられてください。



2020年1月21日火曜日

歯医者さんを探す


 新しい一年も始まったことなので、うちの愛犬の汚い口と歯について少し書いてもよいでしょうか。
(正月早々、真の犬好きにしか受け入れられない話題のチョイスだな)

 今まで歯磨きは最低でも1日1回~2日に1回、ときどき見える範囲の歯石をスケ―ラーでとり、ということを自宅で行ってきましたが、おそらくもともと唾液の量が少ない犬なのと、子供関連でバタバタした際に歯チェックの間隔が明いてしまうことがあり、この頃奥歯に固着した歯石がみられるようになりました。つい昨日生まれたばかりという感じのコディもこの1月で5歳、犬のアクティブイヤーの半分をすぎたこのタイミングで、本格的な歯のクリーニングについて考えていく必要があるように思いました。

 そこで「どうぶつの歯医師さん」探しです。実は、コディの主治医の先生にも歯のことは話していて、クリーニング費用の見積もりまで出してもらっていたのですが、ここでハタと気付いたのは、人間は体の事は内科で歯は歯科へ…とやるのに、動物は外科も内科も歯科も眼科もぜんぶ一緒になっている、これは大変な事だという点です(改めて獣医さんとは大変な仕事で、頭が下がります)。何が言いたいかというと、歯の事なので犬でも歯科に特化した医院を探して行くべきではないかという考えに至りました。

 自分たちの住む北米の場合、アメリカ獣医歯科学会(American Veterinary Dental College)という獣医師向けの継続教育機関があり、認可を受けた獣医師が各州のどのクリニックに在籍するかが楽に分かるページがあります。これは、教育を受け技能を身に着けた獣医師をとりまとめる協会等が実際的には存在しない日本の状態と比較すると、恵まれているといえるかも知れません(日本の場合は小動物歯科研究会として長年獣医歯科学の知識と技術の啓蒙・実習を行ってきている会があるので、直接連絡をとれば最寄りの学会員の紹介を受けられるのではないかと思いました)。

ところどころきたないんです

 コディはもともと口まわりがあまり強くなく、歯茎も炎症を起こしやすかったり、病気ではないですが歯肉の異形成なども子犬の頃からわりとよく見られました。周辺の皮膚も敏感で食器が汚いとすぐ潰瘍になるので、毎日の食器の熱湯消毒を習慣化しました。固いものをガシガシと齧るのが三度の飯より大好きなため成犬になった今、歯も色んな所が擦り減り、欠けています(これはシェパには比較的見られることなようです)。犬のオーラルケアなどという概念が希薄だった1990年代後半の日本に生きた先代ドーベルマンなんかは、歯磨きなどは誓って1回もしていなかったですが歯は死ぬまで真っ白に輝いてたので、やや不公平だなあという感じです。

 話を歯医者に戻すと、私は上記のページを見ながら3件ほど獣医歯科専門クリニックをリストアップしたので、次はひとつひとつの病院にアポをとり、実際の歯の状態を見て貰ってコンサルテーションを受け、価格の査定をしてもらうことにしたいと、今の時点では考えています。コディの場合、ついでに麻酔下で耳の検査と爪切り、採血とセットのワクチンもできないか、交渉してみたいと思います。犬の歯医者さがしの旅が始まる予感がしてきました。