2021年9月27日月曜日

収穫の秋(?)


 

 突然肌寒い日々が続いている北バージニア地方です。日中は日差しが暑いのですが、朝夕はかなり冷え込むようになってきました。家のまわりにワインのためのブドウを作っている家が点在するのですが、道から、棚のブドウがずいぶん育ってきているのが見えます。近所のダイズ畑も、急に黄金色に色が変わり、小さなエダマメみたいなやつ(というか、正にエダマメですね)が鈴なりになっています。収穫の季節がもうすぐそこといった風です。

 そんな中私とコディは「ゴミの収穫」という新たなゲームを発見しました。こういう、犬とやるどうでもいいミニゲームみたいなのを考えるのが大好きですが、、、私はいつも犬とばかり遊びすぎで、人間とぜんぜん遊ばないので、たまに自分でも「これでいいのか」と心配になるのですが…、、、まあ、この調子で30ウン年来ているので、今更の改善は見込みにくいでしょうか。とにかく、毎朝1時間の有酸素運動の時間を、まわりに目を光らせながら歩くようになりました。写真は今日の朝の収穫???です(今日はとくに大漁でした)。

 この地域には、入植期から残存する、土やジャリがむきだしの未舗装路が多くあります。通称Loudoun's Rural Roadsなどとよばれ、史料価値があるらしく保存の試みがなされています(資料1資料2資料3資料4資料5)。放っておくと数カ月ほどでボコボコになるため、定期的に砂利を継ぎ足しているようです。昔のままの道というのは、現代のように車がひっきりなしに往来することに耐えうる強度がないのだと思います。そこへ行くと馬などは、悪路でも丈の高い植物の茂った農耕地でも平気で進んでいくし、騒音はないし道はもとの綺麗なまま、ガソリンはいらないわ、時折コヤシまで撒いていくわで、「ちょっとそこまで」ののりものとして優れた点が目につき、地元のホースマンが通りかかると見とれてしまいます。

 話をもとにもどしますが、この地面の「ボコボコ」の上を、近隣で働くお兄さんやおじさん達のトラックがどんどん走って行く時、荷台にちょっと置いてあったカンとか、ドーナツの袋とか、そういったものがはずみでぽろっと道に落ちるようです。よく見ると、ストーリー性を感じるゴミがあります。小さな飼葉桶が落ちていたこともあります。アンティークショップに置いてありそうなガラスの瓶をみつけた時もあります。写真をとっておけばよかったかな。

 空き缶は危ないので自分でひろいますが、紙箱系やペットボトルがあった時は、コディに拾わせます。指で指し示して拾わせて、手の上に持って来させます。まだ、手近な所にあるオブジェクトしか持って来られないですが、だんだんに遠い所に落ちてる異物(ごみ)を識別できるようにしてみたいと思います。この半月ほどでこの近隣のはおおかた拾いつくしてしまったので、今後は別の道へも足をのばしてみたいと思います。


2021年9月5日日曜日

犬の聴覚過敏とつきあう

Echeveria lola – "Mexican Hens and Chicks"

 

 近所の園芸店で買ってきたエケベリア。思うところあって掘り返してみたら、根っこがグズグズで茎の中央部まで根腐れが進んでいた。アメリカの「その辺の植木屋」で多肉を買うと結構よくある展開です。葉っぱをばらばらにしてひと月くらい、最近発根がはじまりましたよ(白いマルのところ)。上手く発芽までいってほしいです。こうして根っこが出ても、芽が出ないというヤツもいます。

 昨晩は犬のコディのクンクンという声と、階下をウロウロ歩き回る音で目が覚めました。時折大音響で雷が鳴っています。山の近くに引っ越してから「短時間で急発達するビックリするほど激しい雷雨」というのが、このあたりでよくありがちな天候イベントだと気付きました。

 コディが雷を不安がる様子をはっきりと見せたのは、実は昨日が初めてです。5歳を過ぎたころから音にやや敏感になってきている印象があって気にかけていましたが、不安感が強くなってきているようです。犬の聴覚過敏の類は、遺伝による先天的なものと、恐怖体験によってあとから身に着くものとに大別されるとされ、また近年では落雷前後に発生する静電気が不安感を増幅させるのではないかという説がいわれています。

 加えて、牧羊犬は聴覚過敏に陥る傾向が強いことが分かってきており、特にボーダーコリーとジャーマンシェパードで多く報告されています。コディの場合はおそらく犬種的なものと、中年を過ぎての2度の引っ越しや、すごい嵐が来る地方に来てしまった事で、音に対する嫌悪感が累積してきていると考えられます。田舎の家は、今まで5年間過ごした郊外の家とくらべて雑音が一切ありません。本当にめちゃくちゃに静かなのです。騒音が全くない環境なので、逆に雷の爆音とか、「へんな音」がより際立って感じられるのかもしれません。呼び鈴への反応も強くなったように思います。生活環境から生じたかもしれないこれらの不安感だとか警戒心は、不可抗力とはいえ、可愛そうに思います。

 犬に聴覚過敏の傾向がある場合、①特定の音に対して過敏性を減じる(ディセンシタイズ=脱感作)トレーニングを行う、②犬の精神の安定を助けるとされる道具や医薬品の助けを借りるという2つの対処法が一般的です。これに私はあと、➂日中に運動をたくさんするも付け加えたいと思います。人間でもそうですが、衣食住にも困らず、仕事も肉体労働もせず、日がな一日ブラブラしていたら、誰だって余計な事が気になりだすと思います。犬もきっと同じなのではないでしょうか。



 ということで、早速雷の音源を使ってトレーニングを開始しました。並行して、時間をきっちり測って運動する時間を増やしました。最近暑かったこともあって、散歩に出かける時間や長さはやや適当になってきていましたが、時間を計って有酸素運動の時間をたっぷりとり、その後に筋肉を使う運動をする時間もメニューを組んで入れるようにしました(この時間帯に、今練っている筋トレメニューをテストしています。いい感じになってきたら、そのうちノートに残したいです)。

 また、これはまだ試していませんが、クレートを防音仕様にするのはどうかとも思いつきました。家庭で使える防音ブランケット(参考)などが市販されていますが、これをクレートを囲むように、若しくは直接貼り付ける形で設置して、小さな防音室のようにする考えです。それで、ものすごい嵐が来る夜だけ、クレートで寝て貰えば多少はマシになるのではないかと思いました。ただ、コディは非常に暑がりなため、クレートの中の風通しが悪くなるとそれはそれでストレスを感じると思われます。なのでもう少し考えてみる必要がありそうです。

 あとは、以前、専門店でバイトをしていた店によく売れていた「サンダーシャツ」「サンダースプレー」も、購入しました。私はどちらかというとこういう民間療法ぽいものよりもすぐに薬に頼るほうなので効果には懐疑的でしたが、当時のお客さん達は効果があると言っていたので…、、、

 ところでこのシャツの購入には手こずりました。案の定、チャートの上では大丈夫そうだった「XL」が、胴回りがぜんぜん足りず、返品したり新しいのを取り寄せたり、ひと仕事でした。コディのように大きくかつ体格のいい犬の場合、使えるグッズがそもそも限られます。ほかの大型犬種、ボルゾイとかデンなどとも体形が全く異なるので、「超大型」と書いてあるグッズを買ったとしても、サイズがあわないという失敗が多いです。XLのシャツは、胸の所がパツパツで襟元から厚い胸毛が噴き出し、パリのゲイバーで見たおじさんみたいになっていました。コディの名誉のために写真は載せないことにします。


2021年9月1日水曜日

オオカミと犬、遊び、絆 雑考



 とても面白い話を耳にしました。オオカミと「取ってこい」:子オオカミのボール遊びが何を意味するか(Science)。スウェーデン・ストックホルム大学で研究用に集められた幼いオオカミの子供にボールを投げたところ、ごく少数ではあったものの、ボールを投げた人の所へ持ち帰る行動を見せた個体が初めて観察されました。この行動は全体の数からみると珍しい行動でありながら、他にも同様な行動を見せた個体が少数おり、オオカミの中に特性として受け継がれているのではないかという研究者の考えが述べられていました。これは太古の昔、犬がオオカミから分化した過程がどのようにはじまったかという話題について極めて一般的な「食べ物が介在して順化が起こった」とする論に一石を投じる発見だといいます。

 言い換えると、大昔オオカミが人の集落のまわりをウロウロするようになったのは、食べ物だけが目的なのではなかったかもしれない、遊びが介在して順化がはじまったということも考えられるかもしれない、ということになります。近年コンパニオンドッグ界隈でも「犬と人との遊び」の重要性が説かれるようになって久しいですが、そもそもイヌという種族自体が、ヒトとの遊び能力を基にして選抜が起こった可能性すら出てきたというわけです。

 最近コディにまだ熟れていないナシの実を投げていて思いついたのですが、、、人が何の気なしに投げた枝を同じ場所に戻しに来たり、崖下に転がり落ちて行った果物を拾ってきてくれたりするオオカミが、稀に存在したのかもしれません。オオカミもヒトもこれをおもしろいと思い、ヒトは感心して、これは何かの役に立つかもしれないと思ったかもしれません。おもしろい行動をするオオカミに積極的に餌やおやつをなげてやったりして、いつしかそういう「ヒトにとっておもしろいオオカミ」は集落のまわりで暮らしはじめ、おもしろいヤツ同士で結婚しさらにおもしろい子供が生まれ、そしていつしか村の中で、家の中で暮らすようになった。コディを見ながらそんなことを思うと、何かとても自然な気がしました。

 写真は小さい頃のコディ君です。コディは、食べ物をくれる人も好きでしたが、一番は棒や転がるもので遊んでくれる人になつきました。ゲーム全般と、かじるのがとにかく好きで、家をかじられないために一日の大部分を外で過ごしました。大型犬、超大型犬は子犬のうちは運動制限を進められることが多いですが、自由運動に関しては何も制限せず毎日たっぷりとさせました。外の草原で私と共に遊びまくっている時が一番楽しそうに見えたのです。しかし、撫でられることはあまり好きではなかったので、褒め方にはコツがいりました。