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2025年9月16日火曜日

筋トレのその後/飲み水について



 今年は比較的涼しくて、過ごしやすくてありがたいなあ……と思っているここ最近です。盛夏をすぎ木々や葉っぱもどことなく「秋支度」といった雰囲気です。早々と黄色や赤になっている葉っぱも出てきて驚いています。朝夕はぐっと冷え込んできており、北バージニアの田舎はこれから馬たちが太って、ぶどうが甘くなる季節に入ります。

 飼い主の筋肉再生プランに付き合わされて、毎日エクササイズに取り組んできたコディもかなりがっちりが復活してきました。下半身のふらつきがあるていど解消し姿勢がよくなりました。やりすぎて関節が痛くなったりしたらいけないし、どのあたりまでが適正な運動量・強度なのか、塩梅がつかみにくいのが唯一の心配事です。犬自身は毎日のトレーニングでわりと頻繁に新しい行動をしてきたりして、常に思考している様子がわかります。絶対チンパンジーの子供くらいの知能はあるにちがいないと思っています(親ばか)

 タンパク質もとっています。肝臓の数値という懸念事項はあるけれどもうある程度は好きなもの、おいしいものを食べたらいいと思っています。テーブルに寄って来るのも許しました。コディは生まれてから一度もテーブルから直接つまみ食いをしたことがないのです。


せっかくムキムキ復活しても 毛でなにも見えない😅

 面白いことに月末にチェックしたら後ろ足の爪、特に左足のが少し伸びていました。

 たぶん筋力が回復して歩行時に足がより上がるようになった結果、散歩で地面に擦れる回数が減ったことが原因なのではないかと思っています。後ろ足の爪は知らない間に犬が足を引きずっている知らせにもなるかもなと気が付きました。またほんの少し運動をさぼっただけでこんな急速に筋肉が衰えるなんてと、空恐ろしさも感じました。



 涼しくなり、外に行く機会が増えたので鑑札もつけていました(写真にも写ってます)
 するとコディがあまり水を飲まなくなりました。

 どうも鑑札が水皿にあたるチャリンチャリンと言う音が嫌で水入れを避けているようでした。何度確認しても水飲みの回数が減るので、家にいる時は鑑札は外しました。ほんとに難儀なヤツです!そういえば先日、家の中で久々に遊びでクリッカーを鳴らしたら、ストレスで涎を垂らしていたし。子犬の頃あれほど聞いたクリッカー音も、いつの間にかストレス源に変わってしまっていたようです。



 そんなにお耳が良くっちゃあ、困った奴だなあ、おまえは…。そんなことでこれから一体どうすんだい。とか言って、よく話しかけています。コディはこうしてお話してもらうのが本当に大好きです。嬉しいとすぐ上の写真のように地面に寝転んで、一緒に寝ながらお話しようと誘ってきます。私も一緒に寝転んでやるとフガフガと鼻を近づけたり、私の手を咥えたりして喜びをアピールします。全身をワシワシと撫でてやるとすぐに目がボヨヨンとして、リラックスした感じになります。

 水入れのことでああだこうだやっていて感じたのですが、「常に新鮮な水をあげましょう」って、すべての生物飼育の基本ですが、これがなかなかに徹底が難しいものの一つだなと思っています。水入れを毎日完璧に除菌までして綺麗にできている人は案外多くないのではないだろうか。

 犬が一口でも口をつけた水は、特に今みたいに暖かい季節なんかは数時間程度で不衛生になってしまいますよね。だから理想的には水入れのボウルを常時複数使いまわし、数時間ごとに冷たい・新しい水ととりかえてやるのがいいのだろうな。エサ入れも同じでしょう。


コディがたまにするこの表情、家族に「私(飼い主)に似てる」と言われている↑

6月の終わり頃子にせがまれ2ドル99セントで買ったベタのメス。おもしろがってみなで餌を与えていたらすごく立派になった

こんなにきれいなのに、2ドル99セントでよかったんだろうか? 利益率はどうなってるのか


2025年8月6日水曜日

犬のハムストリング(大腿二頭筋)の強化

 



 夏の帰省で日本にいる間久しぶりに和室で硬い布団で寝てたら、朝強烈な寝違えのようになって目が覚めて、もう3週間経ちますがまだ痛みが続いています。あと1週間待ってみて、続くようだったらMRIを撮りに行こう。多分、軽いけど椎間板ヘルニア的なやつなのだと思います。それにしても寝てるだけでなる……そんな奴いるの?と思いますよね。正直私も思いました。寝てる時になったので、日中の活動には影響がなくて夜、寝る体勢になると痛みます。

 これが地味につらいんだな。「鎮痛薬を飲んで寝ても翌日に痛みが戻って来るケガ」の類を人生でしたことがなかったばかりか、よく聞くぎっくり腰も、冷え性も、肩こりすらなったことない人生だったので、これまで自分は本当に幸せ者だったと思います。うしなって はぢめてわかる けんこうかな ←俳句の才能ははぢめからなさそう



 犬の方もちょっとヨレヨレしています。帰省前の準備期間も含め、約ひと月ほど「大きいニンゲン」に主な世話を委ねていたのですが。ちょうど仕事が忙しい時期と重なってしまったらしく運動を全くしてもらえなかったようです。帰って来てチェックしたところ、6月の時点ですでに弱り気味だった後ろ足の、biceps femoris(大腿二頭筋)が一気に失われていて驚きました。齢のせいか筋肉がなくなるスピードがかなり加速している!



 そういうわけで、犬も飼い主も機能回復につとめる週間をやっています

 犬の大腿二頭筋の力をつけるには、股関節と膝関節の両方を屈曲・伸展させる運動が必要になってきます。具体的には坂道の上り下り、障害物をまたぐ運動などが特に有効です。下にいくつか併記します。これらは、普通の元気な状態の成犬であってもメリットがあると思うので、できる範囲でチャレンジするとよいかと思います。ハムストリングはじめ動物の四肢はわりと大きい筋肉が集まっているのでおそらく犬の全身的な代謝などにもよい影響があると思います。

 高齢犬の場合は全てのモーションをコントロールされた環境下で行いケガを防止しながら、痛みなどが出ていないかよく確認しながら行うことをよく気を付けたいです。ふとしたはずみでケガするとなかなか治らないと思うので。

【またぐ運動】
ハードルや障害物、アジリティのカバレッティレールなど
コントロールされた脚の動きと伸展で大腿二頭筋を強化
つっかかると自信を失うことがあるのでまずは地面に置いた棒などから。

【重心の移動が伴う運動】
立っている状態で体重を片足からもう片方の足へ移動させる運動
「犬を不安定な場所に立たておくこと」で達成できる
体重の軽い犬は、前肢を持ち上げて体を動かしてあげるのでもよい
大腿二頭筋を含む姿勢を安定させるための筋群全体の強化の活性化
持久力の向上、バランス感覚のエンリッチメント

【坂道の上り下り】
大腿二頭筋を含む筋肉により強い負荷をかける
坂道を降りるのは肩と前肢にかなり負荷がかかるので気を付けて行う。
特に下り坂に向かってボールを投げるのは若い犬であっても気を付ける。
屋外の坂を利用する時は地面のコンディション(濡れててすべらないか、等)注意

【昇降運動】
犬の体重を持ち上げるために大腿二頭筋が大きく使われる
後肢の筋力全体の強化と持久力向上。
坂路と同じく、下りる時に上半身の関節に負担がかかるので注意して行う。
特に階段など段差の下りに注意する。

【その他】
トロット(速歩)、後ろ向きに歩くこと ※できるわんちゃんの場合
大腿二頭筋を動的に鍛えることができる

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 「犬のエクササイズ」というと痩せた白人のおばちゃんが(偏見)犬を立たせたり座らせたり、ピーナツみたいなボールの上に乗せたりしてそれらについて「シット・トゥ・スタンド」とか「ウエイト・シフティング」とか色々名前をつけて大げさにやっていたりするのを見かけることもありますが、運動量としては、ふだんのメンテナンス的な運動(たとえば散歩や水泳)にプラスアルファとして取り入れるべきものだと思います(「シット・トゥ・スタンド」を1日15分ずつ何回も繰り返せる人なら、話は別ですが)

 自分自身でも筋トレを長く続けているので、ふつうの日常の動作の中で犬の筋肉がドラマチックに大きくなり、筋力が向上するということは基本的には『ない』と思っています。やはり犬の筋肉にもあるていど負荷をかけることが必要だと思う。そのことを念頭に、「ケガや痛みに気を付ける」「目的に見合った運動を選択する」ということを行い、あせらずじっくり筋力をつけてあげるのがよいと思います。また負荷をかけることで短時間でもフィットネスの効果が生まれるので、今のように暑くって、長時間の散歩などが厳しい時でも効率的に運動させ、代謝をよいかんじに保ってあげられるかと思います。



 犬っちは10歳6ヵ月です。認知能力も緩やかに下降気味です。前回書いた時より更に、ストレスに弱くなった感があります。天候が悪かったり、風が吹いていると「あれ(雷)がくるかも」と、散歩や運動中でもさっさと切り上げて家に帰ろうとするようになりました。発砲音やハイピッチ音が聞こえると即座にUターンしてあわてて駆け足です。ボール投げの最中でも、おかしな音がすると急いで帰ろう!とボールを持って駆け寄ってきます。この犬の中でボールより優先することがあることに驚きです。

 またこれまでコディは散歩中、吠える犬の家を通る時は一気に首の毛を逆立てて尾を立て、毅然とした様子で二、三言、主張(※大音量)をしてから通り過ぎるのが常だったのですが、ここのところ毛を立てて「僕は大きいぞ」「僕にかかわるな」とジェスチャーする以外はさっと通り過ぎるようになりました。私も筋肉が減ると気力も「減」になる気がしているのですが、コディも筋肉の減少と共に自信が減ったのかな・・・と同情しています。



 毎日のお薬です。
 左側のコディの皿に乗っているのはフィッシュオイル、PROVIABLE-FORTE(プロバイオティックのサプリメント)、Denamarin(肝機能のためのサプリメント)、Galiprant 60mg(関節炎の痛みをおさえるお薬)です。フィッシュオイル以外は、サプリメントも全て獣医さんに処方されたものです。コディはいつも通り痛みがあるのかないのかよく分からない犬なので、とりあえず所定の日数を投薬しています

 去年の年始に犬の生活の充実は飼い主の健康からと書きましたがほんとにその通りだと思います
 まずは自分の腰をしっかり治しながらコディ君と少しずつ体を動かして筋力回復していきます。


おお よし よし


2025年6月15日日曜日

小さな獣医科医院


 コディが10歳になったのを節目に、ふだんの検査や予防接種を受けている病院とは別に、高齢になってきた愛犬に優しく接してくれ、コンサルテーションに時間をかけてくれて、またもしもの時の往診や、自宅での緩和ケアに特化した獣医さんを根気よく探してきました。運よく「ここは」と思える医院を隣村に見つける事ができ、さっそく検診にいってきました。

 行ってみて驚いたのですが、ここの獣医さんは看護師さんがおらず、いわゆる「診察室」もありませんでした。改装されたオフィスはおそらくかつては農家の納屋だったらしく、ところどころ名残がありました。診察はこの広々したスペースで1頭ずつ行ってもらえます。怖がり屋や緊張しやすい犬にも優しく、ふだんに近い犬の動きがみられそうですね。非常に画期的だなと思いました。

 オペレーションは、写真の獣医師さんが全て一人でやっていて、奥に検査機器がいくつかと小さなラボがあるのと、残りは移動用のバンにすべてまとめてあるのだそうです。今まで通った事のある獣医さんとはだいぶ形態が異なるので面白いなと思いました。


すみっこに子供が座れるイスと机もありました

 今回の主な話題は、2月の検査で分かった肝臓のALT(SGPT)の値が高まっていること、後ろ脚の筋力が弱り気味なこと、前足とオシリまわりの毛の変色について、腫れやすい歯茎のケアなどなど、シニアライフのちょっとした懸念事項についてアドバイスをもらいました。

 まず肝臓については老齢なのである程度は仕方がなく、今何かしなければいけないというような数値ではないという見立てでした。タンパク質や脂質の代謝にも関わらないだろうということで、ドッグフードをベースにしながらも「毎日1回なにかうまいものをあげる」という生活に戻して大丈夫、と言われました。またコディが心置きなく『うまいもの』を食べられるぞ!と嬉しくなりました。

 後ろ足の筋力については、じっくり触診してもらい、また行動や歩様の観察で、おそらく軽度から、もしかすると中程度に進む段階の関節炎があるだろうと言われました。後肢に違和感や痛みがあるので、そこから少しずつ体重のかけ方が変わっていったり特定の動作を避けるようになり、そのことの繰り返しで筋力の低下が生じているのだろう、という見立てでした。

 これは私自身も色々調べて、思っていた通りの内容の診断だったので、聞いてスッキリしたと同時に「これからどう緩和・改善させるか」ということに関心が向きました。獣医さんの方針ではまずは薬で炎症や痛みをとりながらサプリメント類で栄養を補い、筋力を温存するための運動を、ということでした。同時に積極的投薬などで老化した肝臓に負担をかけすぎないように気を付ける必要があるとのことでした。

 印象に残ったのはシニア犬の健康に関して獣医さんの、なにごとも『完治』を目指さない事、という発言です。コディの若い頃を知っていることで無意識にそのころの状態をベースに考えていたかも知れませんが、人間でいえば75歳をゆうに超えています。全身的なコンディションが緩やかな下降線上にある今のこの状態そのものがこの犬にとっての「健康」なのだと、今回、私のものの見方も変えていった方がいいなと思いましたし、現状に即した日々のケアをしていないとな、と思いました。


2025年4月22日火曜日

10歳の春/犬の聴覚過敏と付き合う➂



 ようやく暖かくなったと思ったら、もう一気に初夏の空気であります。そうかと思えばまた急にどどんと冷え込んだり。上の写真の日などは、4月初旬の朝でしたが雪がちらつきました。高緯度の白い陽光の中に横殴りにちぎれた雪が舞う様子はどこか神がかりを感じるお天気でした。

 我が家の犬君もついに10歳となりました。毛づやよし、足腰OK、頭脳明晰、快食快便、おおむね快調、うれしいです。しかしこのくらいの年になると、しばらくたよりがないと「死んじゃったかな?」という感じになると思うので、少しまめにアップデートを心がけたいと思います。このごろは庭作りやコディと遊ぶことにより多くの時間を費やしていること、あっという間に高学年になった子供の勉強(アメリカの公立校+家庭学習で日本の小学校の四教科を教えています)や身の回りの面倒、そしてなによりもデジタル・デトックスが進み過ぎたことで、なかなかPCに向かう時間が少なくなって来てしまいました。

 ということで短く近況をまとめます。


お隣のトウモロコシ畑は売り払われ、建売のおうちに変わりました。
飼い主は残念ですが犬は見るものが増えて忙しそうです

 体調はおおむね快調、とはいったものの『満点ハナマル』ではないのがやや残念な老犬ライフです。2月の血液検査で肝臓のALT(SGPT)の値が196となり、高いことを指摘されました。じつは去年も同じ内容でちょっとひっかかってその後のパネルで異常なしとなった経緯があります。数値としては前回よりも高いので、要観察、8月に再検査を行う予定です。

 ALTは、アラニンアミノトランスフェラーゼという酵素で、肝臓に何らかの異常があると血中に漏出して数値が上がるということのようです。自分でもいろいろ調べてみましたが、老犬の場合ALT値の上昇は単に肝疾患以外にも膵炎、クッシング病、心臓回りの不調、それから激しい運動や甲状腺機能障害(犬ではまれ)などなど、肝臓からはなれたところに原因があることもあるそうです。まあ一大要因として加齢があることは間違いがないと思います。相変わらずトレーニングで一日に一回は猛ダッシュしているのですがやめさせた方がいいのかな。

 肝臓に関係があるか分からないのですが、コディは放っておくとほとんど水を口にしない、昔のヨーロッパ人みたいな奴です。なんとなくこれも良くないような気がしています。それで最近、フードにぬるま湯を混ぜて、ふやかしてあげています。こうすると香りが立っておいしくなるみたいなので一石二鳥です。「1日1回はコディになにかおいしいものを食べさせる」取り組みも続けてしばらくになりましたが、特にタンパク質や脂質を摂る事ことの内臓への影響に不明な点が出てきた今、いったん中止して、「基礎の食餌(ドッグフード)を工夫してたのしく食べる」ということに切り替えています。

 でも、水けの多い餌だと歯が汚れるので歯肉や口周りの皮膚が弱いコディにとってはまた別の問題が生じるわけであります。こうしてどこかを立てれば別のどこかが立たず、という感じになってきたのがいかにも老齢期の健康という感じで、なるほどねと思っています。わたしだって今はピチピチの中年ですが、明日は我が身だと思っています。




 聴覚過敏の現在です。(犬の聴覚過敏と付き合う①犬の聴覚過敏と付き合う➁

 寒く気候の安定していた冬は終わり、春雷の季節に至りました。コディは相変わらずちょっとの音で慌てまくっております。ピーピーヒャラヒャラどすどすと、暴れコディの笛太鼓といったかんじで大騒ぎです。そういう時、コディの顔を見ると「👁👁命の危険!!!」という感じの目をしているので可哀想なんですけど、何かちょっとかわいいなと思っています。

 ただ最近は騒ぎ方に変化が出てきました。ゴロ……と来たら落ち着いた声で「クレート入んなさい」と声をかけてやると、がむしゃらに2階に駆け上がったり走り回ったりせず、ガタガタ震えながらも確固とした足取りでクレートに入り、奥の壁ぞいに座ってがんばるようすを見せるようになったことです。初めてはっきりと落雷を怖がる様子を見せてから約4年。クレートに入ってゴロゴロをやり過ごす経験が蓄積した結果、「ここに入れば命だけは助かる」という信頼がクレートに対して芽生えたように思います。

 クレートを快適にして長時間入っている時のストレスを軽減したことにも少し効果があったかなと思っています。特にクレート内の風通しを良くし、足元を涼しくする素材のマットに換えて、壁に水入れをかけられるようにしてやってから目に見えてクレートに入るスムースさが向上しました。コディは雷の音だけでなく急な光の明滅(稲光を思わせる)にもかなり反応するのですが、クレートに居る間は周囲の電気を点けてやるようにしたのもよかったのかも。ちょっとでもアヤシイと思うとすぐクレートに出入りするようになりました。


ドッグフードへの感謝を伝えるために、食後に寄って来るコディ
最近、このタイミングで口を拭いてやることにしました

 重要なアップデートはこのくらいでしょうか……。そういえば最近、知り合いがゴールデンレトリバーの子犬を飼ったので遊ばせてもらったんですよ。金色の、命そのものみたいなふわふわのつむじ風でした。誰もかれもを笑顔にする魔法をかけられて生まれてきたような・・・ひとしきり子犬との時間を堪能して、それで、うちに帰ってからこちらの相棒の顔をまじまじと見ていて気付いたことがあります。

 コディの方がずいぶん、かわいいのです。

 ゴールデンレトリバーの赤ちゃんより10歳で白髪だらけで鼻の色素が退色していて、歯も抜いちゃったし、瞳も少し濁ってきているおじじの方が愛らしいなどということはどう考えてもあり得ないと思うのですが。何度目を擦って見てもコディの方が可愛いです。もっと言えばコディだってまだ子犬なのです(いよいよ正気があやしい物言いになって来ました)。正確には、コディは見た目が古くなっただけで、中身はあの雪の日にもらってきた子犬の時から何も変わっていない存在だということで、どうして、と聞かれても「ただ分かるから」としか言えない飼い主です。

 人間だって、『三つ子の魂百まで』です。最近、自分自身やまわりの人を見ていても、これをよくよく意識することが増えました。だから犬だって『三カ月の魂十まで』としたって、きっとおかしくないと思います。目くばせの仕方、注意されてバツの悪い顔をしている時、寝相ひとつとっても、子犬の日となにも変わったところがありません。魂って、時間の影響を受けていない!古くならないんだ!(物理法則的にそんなのあり得るのかな?!)と、コディの事を見ていて、すごいことに気付かされています。


2024年6月4日火曜日

下顎部のしこり


 バージニアは日一日と暑くなってきます。田舎の四季は空の色と、畑の作物の草丈が教えてくれますが、中でもトウモロコシの成長の速さには驚きます。今年はこの一帯はみんなトウモロコシを作っているんです。いつも歩く道のこの、写真の場所に立つと、ちょっと劇場の中に居るような気分になります。両側に高く伸びた古い農道の木がソデで、台詞を忘れた役者がウロウロしているようですが(笑)、しかしこの背景はとてもいいなあといつも思います。日本の田んぼは、吹き渡る風が見える時が好きなのですが、アメリカのこの若いトウモロコシがみんな一篇に風になびく様子もそれに似てなかなか素敵です。




 木曜日の夜、コディの下顎部のちょうど舌の筋肉の裏側から右側の顎にかけて小さな2センチ前後の塊状のなにかが、骨に密着するようにしてある事に気付きました。夜遅く病院へ行って先生の手があくまで1時間半待って診察を受けました。待ってる間はずっと立って待合室をうろうろしていたので結構くたびれました(笑)。コディは獣医さんに着くといつも病院の外から中までと、受付のスペース、お手洗い、物販スペースなどを全て確認したがります。他の患畜さんがいない場合は、気が済むまでチェックさせます。目に見えてストレスが緩和します。

 9時半をまわった頃獣医さんが出てきたので状況を話し、一旦触診を受けました。早く検査をやった方がいい状況だというのは分かっていたのですが、翌朝の朝イチで来られれば口腔外科の先生の予約が取れることを確認し、すぐ家にとんぼ帰りしてコディにトラゾドンとギャバペンチン(獣医などで治療に積極的でない犬に用いられる、向精神薬)の投与を始めました。コディに水をやってちょっと寝てから、また早朝のアポのために薬でボワワンとしたコディを車に積み込んで出かけました。


5月13日の写真。歯石もなく、奥歯の方まで(見た目は)わりとよかった


 麻酔を口腔外科の先生にレントゲンを撮ってもらった結果は「歯根膿瘍」でした。特に膿瘍が見られた歯はその場で同意書にサインしてすぐに手術してもらいました。年2回の健康診断で口腔内のチェックをして、綺麗だと言われてきたのでこの結果にはいささか驚きましたが、本当の状態は表からはの評価ではだめで、ちゃんと麻酔してレントゲンを撮らないといけないということですね。

 今回の件で口腔外科専門の獣医さんにいろいろ質問したのですが、結局、コディの膿瘍の直接的な原因になったものは「正直自分にもよく分からない」と言われました。犬用の小さいやわらかいブラシで、1日最低1回は歯磨きをし、ビルバックのデンタルトリーツをもらって、4年前のこの頃からスケーラーでの歯石とりも定期的にするようにして、「もしかしたらこのまま寿命までクリーニングなしでいけるかも」などと思っていましたが、甘かったようです。コディは大型犬ではあまり問題になりにくい前歯にも膿瘍があり、2本抜いたので、やっぱり歯肉が炎症を起こしやすい犬なのかもしれないと獣医さんも考えていました。今後も気を付けていく必要があります。

 下顎部のしこりは炎症にしては硬いと思ったので組織検査にも出してもらい、腫瘍をスクリーニングする為のブラッドパネルもやりましたが『ただの炎症』以上の結果が出ませんでした。膿瘍がもとで起こった炎症か、もしくは今丁度時期的に営巣し始めているハチに刺されたか、ではないかと言われました。(3週間後の追記:現在はしこりも、縫合の糸もほとんど解けてふだん通りの状態に戻っています)


表情が変わらなすぎる犬

 今回、コディの表情とか様子などがいつもと全然変わらないので、なかなか問題がある事を発見できませんでした。膿瘍は結構痛むということなのですが、、、

 検査数種と麻酔、抜歯で約2800ドル(およそ45万円)かかったのも、心と予算の準備は出来ていましたが、「超大型犬の医療費パンチ、重いぞ」を実感しました。

 でも、40年前だったらコディはこのまま痛い顎に苦しみながら生きてたんだと思うと病院があってお医者さんがいて、本当にありがたいことです。気を取り直して生活習慣のメンテナンスと、節約生活!に励みたいと思います。


2024年5月24日金曜日

コディの喜び

 


 夕、今年最初のホタルがふわ~っと横切っていきました。細々と続けていた歴史街道のごみ拾い散歩ですが、バージニアは夏の間は非常に暑く湿気も凄いので、犬の負担にならないよう、一旦お休みに入ります。今春はコンスタントに5キロ分位のごみを運んでいい運動になっていました。家族や友達にもほとんど知らせていない、犬と私の『個人プロジェクト』が何気に続いていて楽しいです。私は相変わらず使役犬のフィットネス関連のメーリングリストに加わっていて、送られて来るものを色々読んでいます。犬の身体能力は気温によってかなり大幅に左右されますね。

 コディは小さい頃から目力があってわりとポーカーフェイスの犬で、それで結構怖がられてきたりしたのですが、こうやってリュックをしょって歩く時、ふと見るとニコニコしているのです。「Oh, what a good boy you are! 」とか声を掛けると本当に嬉しそうな目をして尻尾をブン!と一回大きく横に振ります。褒められると舞い上がり、しばらくウキウキと軽快なステップで歩くのもかわいい。

3月に隣の農地にて。今年は沢山のトウモロコシが植えられました

 しばらく前になりますが、なにが君のしあわせという記事に「自分の犬が『これをあげれば(すれば)とても喜ぶ』ということ、報酬がどんなものごとかが事前にはっきり分かっている事は非常に大事である」いうようなこと書きましたが、最近になって、私がずっとコディが喜ぶものだと考えてきたものごと、おやつやおもちゃの事ですが、についてずっと見当違いをしていたのでは?と思うようになりました。

 確かにおやつやおもちゃのためにすごく頑張るんです。なんだけど、そういう行動の元を辿って行くと「自分がした事が飼い主を喜ばせた時」コディは嬉しそうに見える、と年を追うごとにだんだんはっきり分かってきました。これがよく犬の教本などに出てくる「Eager to please (人を喜ばせたい)」という性質なんだ!と気が付きました。なんと初歩的で、なんとあたりまえなことに、なんと今更気付いてしまったのか(笑)。

 だからおもちゃがなくても、私のポケットの中におやつが入っていなくても、ヒモがついていなくても、何十メートルと離れた場所にいても、コディはいつも私のリクエストに応えようとするのかと気が付きました。おやつやおもちゃは彼にとっては「すごくうれしいオマケ」みたいなもので実際トレーニングを加速させるものでしたが、本当の所は飼い主が喜ぶのが好きだからだったんだと。


激しい雷雨があった翌朝、落ちている楓の枝を不審に思いいきなり猛ダッシュでチェックしに行ったコディ。
雷のストレスと急に猛烈に走ったことでぐったりしている様子。
半年前と比べても、息が上がりやすくなった気がする。

 家族のために何かするのが大好きな犬だとわかるからこそ、今後、老いや病気などで「今まで出来たことが出来なくなった時」も、なんとかできる事を見つけて「同じような毎日」をメンテナンスすることができたらなと思っています。

 たとえば聴覚過敏が進んですぐパニックになるコディとか、痴呆になってボンヤリしてるコディ(あんまり想像できないけど)、体が思うように動かないコディ、心臓が悪く走らせてはいけないコディ、とか色々シュミレーションをしながら、そういう状況下でどんな事をさせてやれるのか考えています。普段、まだ起こっていないことに対してそんなにあれこれ考えない方ですが、最近はふと気が付くとそのことを考えていることが多いです。

2024年5月14日火曜日

新緑がまぶしい



 田舎の家の春はする事が沢山です。時間が飛ぶように過ぎていきます。まず、春先に咲き終わったレンギョウの剪定をしました。次に冬の間にヒビが入ったドライブウェイを直しました。それが終わったら戸棚の金具の修繕です。こういうの、一般的にはパパさんが直してくれると思うのですが、我が家ではこういうのは私の仕事です。古い金具なのでホムセンで探すのにちょっと苦労しました。それが終わったら庭木に防虫剤・防カビ剤を撒きます。これらの薬は環境への負荷を最小限にするため、自分で散布機を買ってきて、ニームオイルなどを庭師のマックスに聞いた調合で自作しました。

 それから、芝の種を買ってきて、パッチ状になった部分を修繕しました。芝生の専門家を呼んでコンサルテーションを受け、土壌検査と施肥をお願いしました。込み入ってきたアセビや観賞用アジサイの死んだ枝を切り、それが終わったら今度は花が終わったツツジと伸びすぎたアベリア、メギの剪定です。木って植えるのにもお金がかかるし、枯らしてもお金がかかるんですよね(切り株抜去の費用が…💸)、、だから日頃の管理が実はとても大事だと最近分かりました。いろいろな失敗を繰り返しながら。

 また、片手間で花壇には野草の種を、小さなポットやプランターには野菜の種を撒き苗を植えました。どんどん発芽して、ハーブとかはもう食べられるようになったものもあります!子供が小学三年生になり、私の「なんちゃってホームスクール」で理科も教え始めたので、丁度いいですね。次は敷地内に生えてくるアザミの駆除です。冬の間に死んだ針葉樹の除去作業です。剪定で出た枝をまとめる作業です。モルチを足す作業です。春、二回目の防カビ剤の散布です。etc、etc。と、リストは以下延々と続きます。笑


 赤ん坊の頃から変わらない後頭部です


 コディは全ての作業にくっついてきて、自分は10メートル位向こうの日陰に座って私がすったんばったんする様子を眺めています。代わり映えのしない毎日ですが、1人&1匹でずっとうろちょろしており、なかなか余計なことを考える暇がありません。コディは、自分も毎日の行事に参加しているつもりです。声をかけると尻尾の先だけちろちろ動かしたりして、寝ているように見えても周囲への警戒を怠りません。


 それにしても庭の基本的な手入れだけでもこんなに力を使うとは知らなかったなあ~

 前の家の持ち主は月に2回、庭師を入れていたのですが、実際に自分でやってみてかなり納得しました。西洋の庭木や草は、そのままでも可愛いものですが、やはり手入れをしてこそ、輝くのです。手入れは時間をかけて、正しい要領で、タイミングを守ることが大事です。放置をすれば病気や害虫に弱くなって行ったり、樹形が乱れて枝が折れたり、枯れたり、結構繊細なものです。いやあ、こんなんではオーナメント的な花壇を作ったり、ホビーファームを作ったり家庭菜園をやるのなんて夢のまた夢だぞ(笑)ほんとに、なんでも自分でやってみないと分からないものですね。それから「美しい庭園を所有する人」の技術の高さと献身が、すごくよく分かるようになりました。ときどき居ますよね。家の正面玄関まで小さなスペースでも上手にお庭にしていたり、大輪のバラをアーチに這わせている人が。ほんとにすごいなと思います。




 家庭菜園は夢のまた夢ですが、ひとつだけ今年中に着手したいのがジョージアンスタイルの一角作りです。子供がチョウが好きなので、まだ虫さんや小鳥を楽しめる年齢のうちに、チョウやハチドリが沢山やってくる仕掛けを作りたいです。基本的な土木作業は庭師の方にやっていただいて、実際に木や植物を植えるところはなるべく自分達でやろうと思っています。子供にも手伝わせる予定です。自分が小さい頃、こうして家族や家のために何かする経験が不足していたと思うので、自分の子供にはなるべくやらせようと思っています。小さいうちから家族や人のために額に汗する経験は大事だと思う。

 真ん中の花が集まっているところには、犬の石像を置いて、いずれコディのお墓にしようと思ってます。草地と空、特に夜は天球を覆いつくす星空との間を遮るものが何もない家なので、それを活かしていつまでも空と庭とを気軽に行き来できるようにと考えています。コディはエキナセアの葉っぱ食べるのが好きなのでまわりにたくさん植えたいですね。ローズマリーとラベンダーの匂いも好きです。私の使ってる制汗剤の匂いも好きなのでお供え物のアイデアは今からバッチリです(笑)




 いつの間にか墓の話になってますが、これはまず犬が20歳まで生きてからの話なので。

 コディは順調に年をとっています。この犬はもともと若白髪がありますが、最近口の周りなどがとみに白くなってきて、可愛いです。白髪は増えたけど活発さは変わらないですね。最近特に印象的だった出来事としては、「車の中でパニック」というのを一回やりました。県道なんかで白線からのはみだしにドライバーが気付くよう、地面に刻みがついているところがありますよね。車がその上を走るとガーっと音が鳴るような部分ですが、公園に連れて行く道すがらあれを走った所急にパニック状態に陥り、最後部の席から運転席に向かって巨体を無理やり細い隙間にねじり込んで車内を移動してしまう事件がありました。
 
 制限速度が50マイル位の田舎道で後続車は75マイルくらいで飛ばしているし(田舎あるある)見渡す限りの農地で路肩もなく、このままだと運転席までコディがすり抜けて来てしまう感じがあり、本当に慌てました。農地の真ん中にぽつんとあった小学校の駐車場に滑り込んで事なきを得ました。助かった!この一件以降、後部座席に犬を固定するようカラビナと予備のリードとハーネスを設置しました。安全上もっと早くからそうしているべきでした。しかし、あの日と同じかそれ以上に手に汗握った出来事となりました。




 この一件で分かったことは、「コディは予測が難しい犬になりつつある」ということです。特に恐怖のレスポンスとしては今までになかった類の行動が見られるようになってきています。車での一件以来も、ドライブは出来ていますが、ふとバックミラーを見ると口を開けてハアハアしていたりと何かしらストレスを感じている様子が見られるようになりました。客観的に見てこの位の大きさの犬で黒いシェパードで行動の予測が難しいというのはあまり良くない状況だと思います。

 先週の夜、急に猛烈な雷雨が発生した時もコディは外に出ていこうとしていました。本格的に雷雨を怖がる様子を見せたのは2021年の9月ですが、それから約3年間で初めての動きです(今まで恐怖した時は必ず二階に駆け上がって来ていました)。コディは裏口へと続く重いドアでも自分で開けられるので、もし「たまたま」あの夜ドアに鍵がかかっていなかったとしたらそのまま外へ駆け出し、土砂降りの中を走って行ったでしょう。

 普段からそのような行動は想定していないので、うちの敷地のフェンスが「たまたま」開いていたらそのまま農道へ出ていたはずです。嵐の暗闇と雷鳴の恐怖の中を死に物狂いで農道を走っていって車にひかれたかも知れません。牧柵の鉄条網で大怪我をしていたかもしれません。他の家の敷地に入り込んで暗闇で熊か何かと間違えられてショットガンで撃たれたかも知れません。




 そうかと思えば、あんなに訝しんでいた食器洗浄機や、渡り廊下への恐れは急になりを潜めてきていて、廊下は呼べばさっさと通れるようになっているし、食器洗浄機なんか横に寝転んで歯磨きを受けるくらいまで気を許してます。日によってレスポンスの強度自体も違います。日常の中で恐怖を感じる領域がアメーバ的に色んな事象の間を伸びちぢみしているみたいなのです。だから私からすると一見、なんでもない事に突発的に恐れを抱いたように見えるのかも知れません。今書いていて思ったけれど、ほとんど「妄想に取り付かれてる人」みたいな感じかなと思います。日々身のまわりの環境について色んな見方を行き来していて、時にはその中から「こわい」という感覚が生じてくるような。

 最近思うのですが、こういう大きな犬のプライム・タイムは、やっぱり8歳くらいまでなのだと思う。もちろんその後もずっと元気で毎日を楽しんでいますが、内側ではゆっくりと確実に衰えが進行しています。基本的に「8歳から先はボーナスステージ」「シニアなのにこんなに元気でいろいろ出来てラッキー」くらいに思っていた方が、飼い犬の老いを受け止める方の気持ちも楽だと思う。加齢と共に見た目や行動が変わり、内臓の機能が衰えるのと同じく、脳も内臓である以上、認知機能の衰えも自然なことだと思う。


↑↑↑トラブルメーカーの御尊顔↑↑↑
いつもニコニコなのにカメラ向けると真顔に。なぜ。


 一番だいじなのは「ささいなことで一喜一憂しない」ということですかね。

 細かいことでむやみに気をもんでは、犬に不安を抱かせることになる。これが正しいか分からないけどボスにまかせておいて、というスタイルの方がコディは安心だと思う。今回のパニック事件についても淡々と経過を見て、できる事を続けていく所存です。毎日の観察を怠らず、記録をつけ、栄養と運動と環境のマネジメントに注意し、引き続き脱感作的なトレーニングを継続します。パニックになる状況の傾向を掴み対策を練って、過度に腫物に触るような扱いをせず、安全には気を付けて、今後もケアして行きたいと思います。 


2023年8月30日水曜日

麻酔と鎮静




 最近、お茶を入れるのが少し上達した気がするのですよ~。今日のお茶を見てください。ズズッとすすって、ふう、うまい。まあまあ食うに困らず、屋根があり寝る場所があり、本があり、仲良しの犬がおり、好きな時間にでかでかとしたマグカップにたっぷり熱々の茶を自分で煎れて飲めることは本当にありがたい。Knock on wood。などと急に今ある現実に感謝したくさせるのが、茶の主な効能だと思います(いつもの偏見です!)

 私はもともと茶を飲み過ぎなんです。お医者さんが見たらもう絶対にカフェインのとりすぎ!と言われるはずです。飲むのは主に紅茶で、自称サンクトペテルブルクで一番のお茶の消費者・こと義父と並んでも全く遅れをとらないレベルの茶飲みです(ロシア人の年寄りは紅茶が水の代わりなんです)。最近は家で抹茶をたてるとかいう余計なことまで始めてしまい、道具をすこしずつ集めています。その一環で茶の煎れ方にも少し注意を払ってみようか、という気になっています。どうせ茶の飲みすぎで叱られるならうまい茶を飲んで叱られたい。

 病院へ採血へ行くたび「脱水気味」と言われるのも絶対にこの茶の飲みすぎが原因だと思っているんです。私最近、健康診断の結果がパーフェクトではなくなってきたんですよ。これまで特に何もしなくてもずっと健康花丸だったのに。以前、コディの時計がカチッと「老化・死」に向かって傾いたのを感じた時のことをここに書きましたが、私も今生物としてあの頃のコディとだいたい同じあたりにあることを感じます。「成長」に向かってぐんぐん伸びるばかりだった段階が完全に終了し、これからは現状をまずまず維持しながら、だんだんと消滅に向かっていくのだろうという、漠然とした予感を。


一服しているとなんとなくそばの定位置に来てコロンとする犬

 コディ君、犬、8歳、などという存在は私よりももっともっと消滅に近いはずですが、本人は全く気にせず今日もちょっとした物音にびっくらこきながら一心に生きているようです。そうそう採血と言えば、先日動物病院で血液検査をしたのですが、コディは肝臓の数値がやや高め(ハイ・ノーマル)と分かりサプリメントを処方されました。こやつも全然水を飲まないのです。そんなところまで飼い主に似なくていいよという感じですが、、、最近は定期的に鶏を骨ごと煮た煮汁を作って、フードにかけて与えて水分補給に気を付けています(飼い主も煮汁を飲んだら?という感じですよね)

 前に書いたことがありますが、コディが採血に非協力的になったため今回から血液検査は鎮静下で行う事にしました。同時に今年するべきワクチン一式も全て前倒しして、健康診断や以前つまっている疑惑のあった肛門腺のチェック等も全て一度にしてもらうよう、事前に病院に掛け合って予約をしておきました。この方式はトータルで見るとコディにとってはかなりのストレス減につながりました。獣医師や看護師さん達のストレスもかなり減ったのではないかと思います。アメリカの獣医さんの説明では、現行の麻酔や鎮静剤はかなり安全なものになっているということです。日本語だと麻酔科の先生の書かれたこの記事がとても簡単にまとめてあってわかりやすかった

 それにしても、アメリカの獣医さんって費用の見積もりやサービスなどについて聞けばすぐプリントアウトやPDFをくれるのに、こちらからアクションしなければ施術上のオプションなどもわりあい黙ってスルーされます。私の通っている獣医さんだけかも知れませんが、いつも違う獣医さんや獣医看護師さん達に当たるし、同じ相談に対しても個々の獣医さんの答え方やアプローチが違う事があり(セカンドオピニオンをとりにいく手間は省けますが)、日本のようにいつも同じ先生がしかも聞く前に向こうからこと細かに説明をしてくれるといったことはあまりないと気付かされました。もちろん先生によるのだと思います。ただ、全体的にははっきり「これ」といった対策や治療などについては、あるていど能動的に意思を示すことが大事だと思いました。

 北米に住んで10年くらいですが、この国では何ごとにおいても日本風に静かに指示を待ってきちっとその通りに動くだけではだめで、どんどん気軽に意見を言ってみたり、時と場合によっては不快感をあらわにしてみたりすることは有効です(日本ではそんなのは最後の手段、くらいのものだと思います)。調べてきて自分が知識を持っている事は必ず示し、「それについてあなたはどう思うか?」と、「聞く」んじゃなくて能動的に答えを引き出していった方が、より短時間で核心に迫った回答を得られることにも気付きました。気付くのに10年かかってしまった。しかし、人間の医者でも同じ現象が起こるかと思うとぞっとしませんが。

肉が出てきた。突然「昨日からここで待っていました」という顔をする犬




2022年5月23日月曜日

犬の聴覚過敏とつきあう②




  北バージニアの僻地では、ここ2週間で急に日差しが強くなり、暑くなりました。近所の畑では麦がどんどん育っています。上の写真の、コディの後ろに茂っているのも、麦です。こうしてあっという間に夏になっていくのでしょう。農道では野ばらやスイカズラの仲間が花の盛りを迎えており、風の中になんともいえない良い香りが混じっていて、5月の季語「風薫る」的なかんじをリアルに体感しています。

 今日は、去年の9月にぶつぶつ言っていた「犬の聴覚過敏と付き合う」というテーマの2回目のノートです。5歳頃から特定の音に「おや?」と思う反応をするようになり、6歳半ごろからは雷を恐れてクンクン言うようになったコディですが、現在7歳半に差し掛かり、「その後どうなったか」についてのアップデートです。

 まず、前回のノートで書いたような行動は変わらず、さらにここ6ヵ月の間に、嫌がる音のバラエティが増えました。具体的には、以前から恐れていた「落雷」「アマゾントラックがバックする時に出すピー音」「火災アラーム」等に加えて、

 ・突然鳴るホイッスル音

 ・突然鳴るPCの停電装置

 ・突然鳴る停電時の機器類の停止音

 ・稀に鳴るセキュリティシステムのアラーム音

 ・天井スピーカーからのアンプ接続音


などなどが忌避の対象に加わっています。一部例外もありますが、「突然鳴るハイピッチ音」シリーズが概ねすごく嫌なようです。反応の強度は、音源からの距離によって違いますが、むっくり起きて耳をそばだてる~ハアハアと息をしたり、よだれをたらす、クンクン鳴く、立ち尽くす………程度から、デッキや車庫に自分で避難する、震えながらテンパって2階へ駆け上がる、などなどと開きがあります。

 おもしろいなと思った点が、音への反応は環境に非常に大きく左右されるということです。たとえば「アマゾントラックがバックする時に出すピー音」などは、セラピーの訪問で訪れたざわざわとした市街地の環境の中では、完全に無視して何も感じていない様子が見て取れます。練習の一環として工事現場なども観察させに連れて行きますが、重機の音などははっきりいって落雷より煩いこともあると思いますが、全く平気なようです。音のボリュームというより「断続的に起こっている音か」という点のほうが重要なのだと思いました。

 健康面に関しては、すでに獣医さんに複数回コンサルテーションをしてもらっており、犬の活動レベルやオモチャや餌への興味、食欲、日中の過ごし方、歩様、排泄、屋外での過ごし方といったものには全く変化が見られ無い為、現段階では「現状維持&経過観察」「多分年とってきてるから」と言われました。落雷に関してはアルプラゾラム(alprazolam)という薬剤が処方されました。運動と脱感作トレーニングに引き続き力を入れながら、どうしても必要という場面があった時のオプションとしてとっておきたいと考えています。

 また少し話題からずれるのですが、コディは自宅内の「1Fから地下へ行くための階段」という特定の階段にも、最近すごく警戒するようになってきています。下から吹きあがってくる微かな空気の動きなどから高低差を感じているようで、周辺の廊下を「つり橋をわたる人」のようにかなり慎重に歩くようになりました。採血が出来ない問題の時も書きましたが、ここのところ全体的に警戒心増、ストレス耐性減、なのかなー、という傾向があります。これらの状況は今すぐに生活に支障を来すレベルではありませんが、時とともにやや悪化傾向なのが気になります。

 不安を訴えやすい時間帯としては、日中よりも日没後が多いです。この辺一帯の雷は夜来ることが多いこと、夜は人が寝静まり生活音がないため不審な音が際立つこと、などが関係しているのかなと思います。もともと目が良い犬なので、暗くてものがよく視認出来ない状態が落ち着かないとか、今書いていて気付いたけれど、もしかすると加齢などで視力自体の低下が起きているなどもあるのかも知れません。念のため、今年中に眼科専門医にも予約をとろう(最近すこし目が濁って見える時があるので)。

 ずっと取り組んでいる脱感作(desensitising)トレーニングについては光明もあって、コディは最近、食器洗浄機がガチャガチャ言う音を克服しました。手帳を見ると、最初に食器洗浄機を避ける素振りを見せたのは2020年の10月ですから、それから1年6ヵ月の地道な練習で「音はいやだがとなりで座って我慢ができる」ところまでもどったことになります。落雷や停電関連の音は、食器洗浄機の音にくらべて再現が難しく、それに応じてか拒絶反応も激しいため、トレーニングの形でどこまで克服していけるかは分かりません。でも、何事もやらないよりはマシかと思います。いずれにせよ、音系を克服するトレーニングは長い長い時間がかかると分かったし、先に犬の寿命がつきる可能性も高いですが、チャレンジを続けたいと思います。がんばろう!🐺



 コディは昔から、夜間は色んなものに対する感受性が上昇して表情も変わり、行動も昼とかわってくるので(周囲への探索欲、プレイドライブが非常に強くなる、よく吠える・唸る)、特に田舎に引っ越してからは日没後の散歩は避けてきました。これについて最近とても興味深いビデオを見つけたのでくっつけます。アメリカの田舎のおもしろいお兄さんの生活Vlogで、その人の護畜犬マレンマ・シープドッグの回です。



 このビデオの最後5分間くらいで、マレンマの「トビ」の夜のすがたが記録されているのですが、私はこれを見てあっと思いました。もしもコディを夜中、外に家畜と共に留まらせた場合、恐らくこのトビとかなり似た行動をとると思ったからです。

 コディが夜特にワサワサしているのは、彼がそういうヤツだから、というだけでなく、これが実働時代から「有意義だったから残された資質」だったからかもと気付きました。田舎に住むと分かりますが、月や星の明かりしかない夜に表で見張りをしてくれる存在ははっきり言って非常に頼もしいです。犬はセコムやアルソックができるよりずっとずっと前から私達のためにこれをやってくれていたんですよね。年季がちがいます。

 アメリカ産の犬種であるシャイロ・シェパードは端的に言うと「愛玩用の巨大なシェパード」として発展してきましたが、繁殖をするうえで、健康だけでなく「シェパードとしての本能」もなるべく消さないよう心を配っている繁殖家が多い犬種です。熱心な人達は個人的に子犬を集めて、牧羊犬の適正テストを受けさせる人もいます。コディも知り合いと一緒に受けたことがあります。そのような犬種なので、こうした家畜のまわりで働く犬らしい気質がより多く残った個体がいても不思議ではないと思いました。

 それにしても、我々と暮らし始めてから何万年もの間、犬は村や家族単位で比較的密集して暮らす傾向のあった人間たちにくっついて、アンビエントな自然音と共に寝起きし、いつもそれらがあることに慣れていたはずです。それに比べると、現代の犬達は核家族で「家に一人~数人しか人がいない」みたいな環境の中、進歩した建材で気密性が向上し、正に『不自然に』しんと静まり返った屋内で、時々ピッ!とかカタッ!とか音を立てる機械の存在などは、ひょっとするといくら確認しても実態のつかめない不審者の幻影と暮らしている気分なのかも知れません。それは、家や家畜を守るという本能をもつ犬達にとっては、特に不安を喚起させるものなのではないでしょうか。牧羊犬が聴覚過敏に陥りやすいと言われるのには、このあたりにも要因があるのではないかと思いました。


2022年3月29日火曜日

採血が出来ない問題



 木の芽時を迎えているここ北バージニアの田舎です。数日は天候が良かったので、例のパワー散歩ができました。上の写真は、これでだいたい2日間4回分の散歩の分量です。大型犬1頭と成人1人で取り組むとけっこうな収穫がありますね。この犬はとても力持ちです。記念写真?を撮った後は、仕分けをしてリサイクルに出します。

 セラピードッグの訪問も、先方からの連絡が来はじめました。こんどは、某旧ソ国の部門です。これを書いている今は日曜日ですが、今もあの閉鎖空間の中で朝も夜もなく働いている人がいることを思います。でも最近、この訪問活動のやり方もそろそろリファインしないとな、という懸案事項が出てきました。




 上はこの1カ月、3回目の獣医科訪問で撮った写真。コディの獣医嫌いは徐々に悪化していると感じていましたが、齢7歳にして採血を拒否しだしました。飼い主の度重なる獣医訪問の苛立ちが伝わっているのか、伺うような目をしてるのがちょっと笑えます(笑)。いや、これから年をとって、尚更検査が大事になるのに、本当は笑いごとではないのですが。

 この日は口腔に出来た発疹の治療の経過を見ておしりのチェックと、フィラリア予防薬の処方のためのルーティーン採血をすることになっていました。2回目の訪問ですでに採血が出来なかったため「トラゾドン」を処方され、前日の夜と当日の訪問2時間前、時間を計って服用していた・・・にもかかわらず、獣医看護師の人が針を近づけると受付まで聞こえる大声を出して身をよじり、獣医さんが「採血は危険」という判断になったようです(…)。

 私からすると大声を出して抵抗すれば災いから逃れられるとは学習して欲しくなかったので、そのままガッと血をとって欲しかったのですが、獣医さんや看護師さんからしたら「口を開けて暴れる大きなシェパード=危ない」となるのも、理解できます。もう少し小さい犬の場合はマズルをして強制的に補綴して施術をする選択肢もあるが、コディの場合は活動レベルや興味、食欲、歩様、排泄、屋外での過ごし方といったものに全く変化が見られない為、また歯のクリーニングを麻酔下で今後半年以内に行う可能性があるということで、一旦「現状維持&経過観察」とし、採血や検診、必要な予防接種のセットは麻酔下でやることにまとまりました。トホホです。

 それにしても、これまでに幾度となく獣医さんで治療を受ける練習を、山ほどの報酬とともに繰り返してきたわけですが、どんなトレーニングも万能ではないということを思い知りました。本当にやれやれです。この採血の件や、音に敏感になってきていることは、中年を過ぎて徐々にストレス耐性が低下してきているということでもあるのかな?と感じます。少しでも改善策を探るために、調べたりプロの知り合いなどに聞いてみたいと思います。同時にセカンドオピニオンをとりに行くことも考えて、良い獣医さん探しを続けています。コロナな日常が終わったばかりで、どの獣医科もまだまだアポイントメントが取りにくい状態のため、検査などは早め早めにやったほうが良いためです。


 人間でもそうですが、犬もどれだけ一生懸命練習をしたとしても、何もかもにおいて完璧とか、いつも優等生、というわけにはいかないのでしょう。コディだってとても優しく頭のいい犬ですが、砂糖に覆われた中に優等生と野生児という二面性がこう、ピタッとサンドになっていて、鈴カステラみたいな状態になってるのだと思います。私はこういうタイプの犬はパンチがあってむしろ好きなのですが(多分、自分もどちらかというとそういうタイプだから)、現実問題困る事もあります。肩の力を抜きながら改善にむけて出来ることをしていきたいです。


2021年9月5日日曜日

犬の聴覚過敏とつきあう

Echeveria lola – "Mexican Hens and Chicks"

 

 近所の園芸店で買ってきたエケベリア。思うところあって掘り返してみたら、根っこがグズグズで茎の中央部まで根腐れが進んでいた。アメリカの「その辺の植木屋」で多肉を買うと結構よくある展開です。葉っぱをばらばらにしてひと月くらい、最近発根がはじまりましたよ(白いマルのところ)。上手く発芽までいってほしいです。こうして根っこが出ても、芽が出ないというヤツもいます。

 昨晩は犬のコディのクンクンという声と、階下をウロウロ歩き回る音で目が覚めました。時折大音響で雷が鳴っています。山の近くに引っ越してから「短時間で急発達するビックリするほど激しい雷雨」というのが、このあたりでよくありがちな天候イベントだと気付きました。

 コディが雷を不安がる様子をはっきりと見せたのは、実は昨日が初めてです。5歳を過ぎたころから音にやや敏感になってきている印象があって気にかけていましたが、不安感が強くなってきているようです。犬の聴覚過敏の類は、遺伝による先天的なものと、恐怖体験によってあとから身に着くものとに大別されるとされ、また近年では落雷前後に発生する静電気が不安感を増幅させるのではないかという説がいわれています。

 加えて、牧羊犬は聴覚過敏に陥る傾向が強いことが分かってきており、特にボーダーコリーとジャーマンシェパードで多く報告されています。コディの場合はおそらく犬種的なものと、中年を過ぎての2度の引っ越しや、すごい嵐が来る地方に来てしまった事で、音に対する嫌悪感が累積してきていると考えられます。田舎の家は、今まで5年間過ごした郊外の家とくらべて雑音が一切ありません。本当にめちゃくちゃに静かなのです。騒音が全くない環境なので、逆に雷の爆音とか、「へんな音」がより際立って感じられるのかもしれません。呼び鈴への反応も強くなったように思います。生活環境から生じたかもしれないこれらの不安感だとか警戒心は、不可抗力とはいえ、可愛そうに思います。

 犬に聴覚過敏の傾向がある場合、①特定の音に対して過敏性を減じる(ディセンシタイズ=脱感作)トレーニングを行う、②犬の精神の安定を助けるとされる道具や医薬品の助けを借りるという2つの対処法が一般的です。これに私はあと、➂日中に運動をたくさんするも付け加えたいと思います。人間でもそうですが、衣食住にも困らず、仕事も肉体労働もせず、日がな一日ブラブラしていたら、誰だって余計な事が気になりだすと思います。犬もきっと同じなのではないでしょうか。



 ということで、早速雷の音源を使ってトレーニングを開始しました。並行して、時間をきっちり測って運動する時間を増やしました。最近暑かったこともあって、散歩に出かける時間や長さはやや適当になってきていましたが、時間を計って有酸素運動の時間をたっぷりとり、その後に筋肉を使う運動をする時間もメニューを組んで入れるようにしました(この時間帯に、今練っている筋トレメニューをテストしています。いい感じになってきたら、そのうちノートに残したいです)。

 また、これはまだ試していませんが、クレートを防音仕様にするのはどうかとも思いつきました。家庭で使える防音ブランケット(参考)などが市販されていますが、これをクレートを囲むように、若しくは直接貼り付ける形で設置して、小さな防音室のようにする考えです。それで、ものすごい嵐が来る夜だけ、クレートで寝て貰えば多少はマシになるのではないかと思いました。ただ、コディは非常に暑がりなため、クレートの中の風通しが悪くなるとそれはそれでストレスを感じると思われます。なのでもう少し考えてみる必要がありそうです。

 あとは、以前、専門店でバイトをしていた店によく売れていた「サンダーシャツ」「サンダースプレー」も、購入しました。私はどちらかというとこういう民間療法ぽいものよりもすぐに薬に頼るほうなので効果には懐疑的でしたが、当時のお客さん達は効果があると言っていたので…、、、

 ところでこのシャツの購入には手こずりました。案の定、チャートの上では大丈夫そうだった「XL」が、胴回りがぜんぜん足りず、返品したり新しいのを取り寄せたり、ひと仕事でした。コディのように大きくかつ体格のいい犬の場合、使えるグッズがそもそも限られます。ほかの大型犬種、ボルゾイとかデンなどとも体形が全く異なるので、「超大型」と書いてあるグッズを買ったとしても、サイズがあわないという失敗が多いです。XLのシャツは、胸の所がパツパツで襟元から厚い胸毛が噴き出し、パリのゲイバーで見たおじさんみたいになっていました。コディの名誉のために写真は載せないことにします。


2019年7月19日金曜日

4歳半の夏

たるみまくり(無精ひげも生えた)

 ボストンから帰って、冷房の効いた部屋でトドのようにゴロゴロしている犬。ベランダに出てセミの声を聞いたり、ホタルを見たりしたいのですが、暑いらしくすぐ家にひっこむ。散歩中も、上り坂をジョギングで上がろうとすると「ゆっくり登ろう」とアピールしてきて、首輪ごとリードがすっぽ抜けた事2度。しかし本犬気付かず、すっかりリードがあるつもりで歩いていました。慣れ親しんだ散歩道だと、リードの存在を感じさせない風船のような犬なので、散歩がしやすく助かるのですが、これはちょっと笑えた。

 ところで、本当にリラックスしている犬って、頭をさわっただけでも分かる気がしますね。人間と同じく、犬も頭部や顔にあつまった筋肉群の緊張がほどけるのかな?フニャフニャした触り心地です。ドッグマッサージって効くのかな~と思っていたけど、こんなに筋肉があるのなら、犬もきっとこったりするのでしょう。


 一週間冷房のない環境で過ごしたからか、帰ってからアンダーコートがごっそりと抜けました。上の写真の、灰色がかったところにアンダーコートレーキをかけるとブラシの歯いっぱいに毛がとれます。背骨に沿ったあたりはピカピカのサマーコートです。やはり、室内犬だと自然にズバッと毛が生え換わるようなことはなく、だらだらといつまでも換毛が続く気がします。バージニアは今の季節雨が多く、泥はねも多いので、脚やお腹の毛は自然に見える範囲で先っちょを切りそろえました。

 散歩中、犬の毛艶を褒めてもらえることがたまにあります。どんなシャンプーを使ってるの?と聞いてくる人もいます。私はいつもコディを食器を洗う中性洗剤をよく薄めたもので洗っているので、そう正直に言うと大そう驚かれます。コンディショナーは、もともと馬用に配合されたMane and Taleという製品です。なるべく地肌につかないように、毛先にちょっとつけてくしで撫でつけてから流します。そのへんのスーパーで買える安物ですが、洗い上がりもその後も、問題なく使えています。匂いもきつくないです。


 そんなこんなで、コディ4歳半の夏。この夏から冬を終えれば5歳になると思うと、イヌの壮年期真っ只中というところかと思いますが、まだまだ毎月ひとつは新しい発見があります。
 
・ボール遊びのあと車に乗る時、口にボールを咥えたまま荷台に飛び上がるようになった。
・ながら散歩でボールを咥えながら帰る時、ボールを咥えたまま排便をするようになった
(オシッコは前からしていましたが、ここへ来て「ながらウンチ」もマスター)
・散歩の時のオシッコの回数が増えた。マーキング的意思を持って故意に分散している感じがある。

などなど、主にボールにまつわる行動にちょっとした変遷が見られました。いつもするわけではないのですが、ボール好きに筋金が入ってきたようにも思えます。年齢と共に、目には見えにくくても、日々何らかの成長?変化?をしていると言えるかもしれません。

 時折ドッグランなどへ行くと会える昔からの犬トモ達の行動も、最近変わりつつあります。特に大型犬仲間の間で元気よく遊ぼうとする犬がすごく減ってきました。コディはプレイバウしたりお尻をドンと相手にぶつけてみたり、一人もみくちゃになって遊びに誘おうとするのですが、疲れているのか、暑いからか、はたまたコディとはもう遊べないと感じるのか、あそびに乗ってきてくれる犬がぐんと減りました。もともと遊び方が乱暴で、いいバランス感で遊べる犬が少なかったので、これは本当に残念でした。コディのでっかいグーパンチではたかれても、頭をすっぽり咥えられても怯むどころか、むしろ大歓喜でコディを追い回していたボーダーコリーのニックが、とても恋しくなりました。




 訪問活動も復帰しました。このファシリティでは、セラピードッグが訪れることの有効性が認められて、正式なウェルネス・プログラムの一環として定期的な犬の訪問活動が採用されたそうです。こんなかわいい看板も立ててもらいました↑。コディが来ると聞いて、早めに来て看板のそばでわくわくしながら待ってる人も居ます。相変わらず、行くと犬のしつけ関連の質問が多いので、答えられる範囲で答えますが、英語が下手なので、満足のいく説明がなかなかできません。いい練習になっています。

 セラピードッグ協会を通してリクエストを受ける時、殆どの訪問先は2時間くらいの指定をしてきます。しかしうちの犬の場合、終わりごろになると出入り口の開け閉めの音に耳を澄ませたり、外を見る動きが少し増えたりと、「帰りたいのかな?」と思わせる行動が増えてきます。1時間30分~45分の間が、「楽しい」と「疲れた」のターニングポイントという感じがします。シェパードはこういう点で他の犬種、たとえばレトリバー系やブリー系の犬とは性質が違うと感じます。タイマーをセットしておき、訪問時間の途中で一旦トイレ休憩を入れ、ほんの少しの間でも小さなおもちゃで遊ぶなどして、犬のメンタルをリセットしてやるといいようです。

 シェパード全般そうかも知れないけれど、コディもまた、普段の生活の事からトレーニング中の癖までちょっとした「調整ポイント」がいろいろあって、対象をジロジロ観察して、どうやったらもっといいパフォーマンスをしてくれるかなあと考える事がとても大好きな自分のようなタイプにとっては、知的好奇心を延々と満たしてくれる最高の題材と言うことができます。けれどもそういう細かいりくつ抜きで、ただただ楽しく犬と付き合っていきたい人々にとっては非常に疲れるというか、めんどくさい犬にもなり得るという点を、理解しておくことは重要だと思いました。


2018年9月19日水曜日

犬の医療費

病院では暴れん坊で大変だったので、写真はナシ。かわりに、「チョウが来る」と言われて植えたのに、3年間害虫などにやられっぱなしだったミルクウィードについにやってきた、オオカバマダラの記念写真をば


 コディの病院を変えました。今までは、GoogleとYelp両方でとても高い評価がついていたVienna Animal Hospitalに通っていましたが、「小さい人間」が保育園に通いはじめたことから、googleなどの評価は多少劣るが通学路の近くにあって立ち寄りやすい、近所の「R獣医科医院」に決めました。今後は定期メンテナンス的な健診・ワクチンや定期的に投与する薬はここでもらい、なにか応用的な出来事が起きた場合は慣れ親しんだ前の病院・前の先生の所へ戻る、という風にしていこうかなと考えています。

 病院を変えるにあたって、ダニ媒介性感染症のスクリーニングやフィラリアの血液検査等も念のため全て受けなおし&三年に一度のワクチン数種とボルダテラもやったので、注射だらけの初診となってしまい、コディは抵抗を試みていました。唸ったり怒ったりすることは一切ないですが、振りほどこうとする力がすごいので、私+男性のテクニシャンの方×2の、3人がかりで補ていしていましたが、結局耳の検査はできずじまいでした。もといた方の病院でも、「この犬は耳のチェックは鎮静剤をあげないと無理」と言われていたので、よっぽどいじられたくなのでしょう。

 前回のログにも書きましたが、成犬になって、「嫌なことは 嫌」と表明してくることが増えたように思います。耳のことは、家で私と1対1の時は中までのぞかせてくれますが、それも家族がまわりにいたりすこしでも物音や気になることがあるとダメです。耳に関しては今まで特に嫌な思い出があるとかでもなく、シェパらしいというかどこか根本的に他人を信用していないような感じです。将来この事がもとで病気のサインを見過ごしたりだとか、大きな事態に発展しないといいんですが。また、そういう事に気付けるように自分でも(基本の健康チェックなど)いろいろ覚えていこうと思いました。

 もうひとつ大きな変更点は、ノミ・ダニの予防薬を、塗布薬のフロントラインから飲むタイプのNEXGuradに変えたことです。子供が犬をなでたり、触れ合うことが増えてきたので、子供により安全なVrabectoかこのNEXGuardにしようと検討していましたが、前者が3か月に1回の投与なのに対し後者は月イチで、フィラリア駆虫薬と同じサイクルで与えられるのが忘れ防止になって、いい点だと感じます。まずは数か月テスト的につかってみようと思いました。またVrabectoはセオリー上は三か月に一度の投与でOKですが、数種あるダニ媒介性感染症のうち一部に対しては、二か月目で防止効果が薄れるという説を獣医関係の知人に聞き、非常にダニの多いエリアに住む犬としてはどうかな?と思ったのも、この考えを後押ししました。

 この日の会計は390ドルでした。前の医院と比べると、全体的に良心的な価格になっている印象を受けますが、この値段はそもそも北バージニアのスタンダードにくらべて高いのか?低いのか?よくわかりません。もっと調べてみる余地があると思いました。コンシューマー・レポートの記事を読んでいたところ、私たちが生活に必要なサービスや、人間の医院と同じように、獣医科医院についても「ドクター・ショッピング」することがおススメされていました。アメリカの獣医科医院では、さまざまな医療費のベースに診療費(physical-exam fee)を設定していることが多いので、家のまわりの数件の医院にまずこの診療費を聞いて回るだけでも、その地域内で比較して高いお医者さんと、そうでないお医者さんがわかるということでした。


 大事な家族の医療費をケチるなんて不届きな感じに聞こえるかもしれないですが、Bloombergによると1991年から2015年にかけて米国の飼い主たちが獣医代に使った費用の総額は、4.9ビリオンドル→35ビリオンドルと、インフレや失業率などを考慮してもかなり異常な伸び率になっているので、個人のレベルでは、ふだんの医療コストはなるべく抑える工夫をし、その分をもしもの時のためにためておくのが得策なのかなと改めて思いました。個人で出来るもうひとつの工夫にペット保険もありますが、これに関しては自分でいろいろ計算してみた所、金銭的なメリットは薄いように思う(というか、運がかかわる)とこれももう少し勉強が必要だなと感じました。アメリカのペット保険については興味がある話題なのでそのうち別記事にでもまとめられたらと思います。

 そういえば産後の一番身動きできない時期に「モバイル・ヴェット」と呼ばれる移動診療所(VIP Petcare)も利用したことがありました。今はもう必要がないのでアカウントなどもそのままになっていましたが、基本のワクチンや処方箋などを安価にとれるので、必要に応じて使っていくのも手だと思いました。廉価な治療という点では、全米各州に支院のあるVeterinary Centers of America(VCA)系列の医院も定評があり、たまたまかもですが私の地域のものはとても評判がいいので一考の価値がありそうです。また、ペッツマートなどの量販店に入っているような企業がチェーン展開している獣医さんであっても、担当してくれるお医者さんによってはとても良いケアが受けられると聞いたので、運と適切な機会があれば試してみたいと思いました。




 一方、生まれて初めてパン生地を触り、感動しているちび。焼く前のパンだから「パンの赤ちゃんだよ」と言うと、「かわいい~」とか言って喜んでいました。かわいいの意味を本当に分かってるのかはよく分かりませんが、小さいものや、やわらかいものには条件反射的に「かわいい~」と言ってきます。「赤ちゃん」という単語も好きなようです。保育園では、とても女の子っぽい性格の子と、先生に言われました。なんとなく同年代の子供と比べて言語・精神面の発達が遅い印象があるので、まわりのペースにつられてあまりきびしくあれをしろ、これをしろとか言わないように気を付けないと。でも、「望みすぎないこと」の大切さは、今まで育てた二頭の犬、実家のドーベルマンとコディにしっかりと教えてもらっているので、安心ですね(笑)。この後は、オーブンの中でパンが膨らむ様子に釘付けになっていました。


2015年1月31日土曜日

犬のオーラルケアについて


 北アメリカに引っ越してみて最初に驚いたことのひとつに、この国では歯と口腔の健康が非常に重要視されているということがあった。多くのアメリカ人達がもつ、綺麗に整列した白い歯と健康な歯茎への意識は、アジアから来た者からするとちょっとびっくりするくらい高いのだ。管理人の場合、毎度歯科医院へ定期健診に行くたびにそこで働く人々による「お口の健康教」の熱心な布教活動が行われた。結果、風呂も歯磨きも嫌いな野生児だった自分が、一日のうち何度も歯磨きやフロスをするようになってしまっている(それは、よかったと言える)。

 このように口腔ケアについて関心の高い本国だけれど、他にも高いものとして、それにまつわる医療費が挙げられる。そしてそれは、動物の場合も然りなのだ。ある民間保険会社によるとアメリカの獣医師による一回の犬の口腔ケア代は、平均200ドルだという(実際には、ここに診察料など諸々の雑費が加算される)。全身麻酔を伴う大がかりな歯石除去ともなれば、この価格は一回平均1500ドルまで上昇する。犬の一生を通して考えると塵も積もればで、バハマでバカンスできるくらいの費用を、犬の口を掃除することだけに費す計算となる。

 そこで家庭で出来る、日々の口腔ケアの重要性をひしひしと感じてくるわけである。
 今までの一般常識を鑑みると、主に;

 ・ 犬にも一日一回、歯磨きを施すこと
 ・ ドライフードを与える事
 ・ デンタルトリーツを与える事

が、犬の歯と口腔の健康を保つために、よいとされてきた。ところが、丁度先日、グレインフリーのドッグフードについて調べていた最中に、個人的に信用のおけると思っているいくつかのウェブにおいて、気になる記述を見つけてしまったのである(ウェブその1その2その3)。それ曰く、犬のドライフードも、デンタルトリーツも、犬の口腔ケアに関して巷で言われているほどの効果は期待できないのだという。

 ドライフードは、歯垢を物理的にこそぎ落とすことは出来るけれど、まず覚えておかねばならない前提として犬はモノを噛むとき歯をまんべんなく使わず、尖った先の方や臼歯を重点的に使う。だから小臼歯のあたりだとか、歯周病菌の温床となる歯の根元付近を綺麗にする効果は、そこまで期待できないという。次の問題は、ドライフードを構成する成分だ。ドライフードは、プレミアムレベルでかなり品質の良いものであっても、つなぎとして必ず何らかの炭水化物が使われている。それはグレインフリーの餌であっても同様で、ポテトや、タピオカ粉などが入っている事が普通なのだ。炭水化物は哺乳類にとって手軽なエネルギー源なので、その存在自体は悪い事ではないけれど、問題は、歯周病菌も炭水化物が大好きだという点である。犬の口内に残ったそういう微小な食べかすは、短時間で歯垢へと生まれ変わってしまう。

 デンタルトリーツも、上に同じく物理的に歯垢や出来たばかりの歯石を取り除く効果はあるかも知れないけれど、ドライフードと同様の落とし穴がある。デンタルトリーツの多くは、原材料に多くのスターチ(澱粉類)を含んでいる。スターチは、炭水化物である。よってこれも歯を少し綺麗にすると同時に、また新たな歯垢を作りだす材料を投下してしまうことになるのだ。これはちょっと悲しい循環である。またスターチ類は高グラセミック・インデックス(イヌに対してどのくらい影響があるのかはわからないけれど)なことと、これらのトリーツには人口保存料や着色料が使われている事がふつうなのも、個人的に少し気になるところ。

 では一般家庭で出来る中では、どうするのが最善なのか?ということで、色々読んでみたものを総合した策を下に書き出してみた。;

 ・ 1日1回の歯磨き、歯茎のマッサージ。歯ブラシより、ガーゼ片などで行う方が良い
 ・ 獣医さんで推奨されるエンザイム入りの歯磨き粉で歯磨きをする。
 ・ できれば一週間に2回、生の肉のついた骨を食べさせる。
    骨の種類は、ニワトリ、ラム、ウサギ、ヤギが適している。

 生の骨や生食の餌に関しては、まだあまり研究が進んでいない分野なので注意して行う必要があるけれども、上にリンクを貼った所の獣医師によれば生の骨の歯垢除去効果はかなり高いそうである。生骨についての注意点は、必ず犬の体格にあったものを与えるという事。ただ個人の経験上、ヒツジやヤギ以上の大きさの動物の骨は、飲み込むと体格に関係なく消化不良を起こす犬が出てくるので、それらの骨を与える場合は1、2時間飼い主の監督下で噛ませて、ころ合いをみて取り上げる。

 人間でもそうだけれど、歯の健康は一度損なうと治療に多くのコストやストレスを伴うので、そんな機会は少ないに越したことはないなと思う。上に書いたような策を実践したうえでも、半年に1回は獣医師による定期健診を受け、口腔内のチェック・必要であればクリーニングをしてもらうことは必須だということも、念のため覚えておきたい。