2019年11月6日水曜日

犬。おりこうにする


活動ログです。今年の春から、政府関係の機関で定期的に訪問活動を続けてきましたが、この10月の終わりにワシントンDCで行われた内部イベントにおいて、ウェルネスプログラムのアンバサダーとして介助犬達と共に抜擢される出来事がありました。タイミングの問題も大いにあったと思いますが、同じファシリティに来るセラピーチームがいくつもある中で私達のチームが選ばれた事は、今までの地道な活動が評価されたようで嬉しかったです。150名以上の人が入れ替わり立ち代わり会いに来る状況は多分これまでで一番の大舞台でしたが、犬も最後まで指示をよく聞いて、本当によくがんばっていました。

 コディは会場でただ一頭の「触れる犬」だったので、本当に多くの人々の注意をひいていました。広報の人も来て取材を受け、ニュースレターに載るそうです(もらった上の写真は許可を得て、解像度を落としてポストしています)。いつも思いますが、こういった場所で日々激務をこなす全ての人をセラピードッグがたちどころに笑顔にする様子にはほとんどショックといっていいほどの驚きを感じます。自分の育てた犬が、おそらく自分自身の10倍は社会の役に立っているであろう様子を眺めるのは、とてもおもしろい経験です。


 コディはこの日、前回のログにも書いた「say hi」を、何十回と根気よく繰り返していました。彼は訪問中は撫でられることも、おやつもないのに、一体何をモチベーションにしながら私の指示を聞いているのかと、ときどき不思議に思う事があります。いつも私の目を凝視しており、「おりこう君だね」と言うと、なんとなく嬉しそうな目をするので、ここまで育っていくどこかの過程で、褒められる事そのものが好きになったのかもしれません。もしかしたら、子犬の頃散歩や自主練でちょくちょく出掛けていたこのDCの街だから、沢山の「楽しい思い出」の欠片がそこここに漂っているのかもしれません。その街にこうして立派に育って(?)戻って来られたことは、ごく個人的なことながら一抹の達成感を感じさせてくれた出来事でした。










2019年10月24日木曜日

元気です

元気です^^

 北バージニアも、ようやく朝夕の冷え込みが秋を感じさせる頃となりました。今、木々の葉もどんどん色が変わっており、数日単位で野山の情景が変わっています。美しい季節となりました。

 我が家では毛の生えた兄に続いて娘・「ちいさいにんげん」が、無事に4歳を迎えました。初めてのお誕生日会は50名近くの人に来てもらえ、それだけで別の記事に起こしたいほど、印象的な日となりました。こういう事があると改めて「友達っていいな」と思います。子供が人生の早い段階において、「暖かい人の輪の中にいられるかどうか」は、親が進んで助けてあげることのできる、数少ない項目のひとつかもしれません。そのことは、いずれ自分の力で「日系/ロシア系アメリカ人」としてこの国で人生を歩んでいかねばならない娘にとって、特に重要なことの様な気がしています。




 友達は犬にとっても結構大事みたいですね。コディは人間中心主義者ですが、そんな彼にとっても、落ち着いた環境で気心の知れた犬と遊ぶ事は、心に刺激を与えてくれるようです。コディは家で、「ショーン」とか「ニック」とか、特に仲のいい友達犬の名前を口にすると、耳をピンとたててワン!と大きな声で鳴きます(単語が「ネコ」とか「アライグマ」だと、ワンワン💢という感じでドアまでダッシュするので、反応の違いは明らか)。名前の指す相手がだれかをはっきりと認識しているようです。犬同士でも、一緒に遊んだ経験が彼の脳裏にしっかりと記憶されている事が伺えます。写真は、最近できたお友達で、しばいぬの「花野」ちゃんです。子犬の可愛さの中にクールさを覗かせる日本犬、最高ですネ。



フサフサ君のとっておきの顔を見てください 笑

 訪問活動ログ。今回、特別に屋内の写真を撮らせてもらえました。アメリカの外務省にあたる所の、付属機関の中で、沢山のセキュリティを通過した先にある場所(セラピードッグも鑑札まで外して身体検査を通ります)。私はコディがいなかったらここに来ることはおろか、こういう場所があるという事すら、一生、知り得なかったでしょう。犬が私の知らない新しい場所に連れていってくれるようです。がんばっているコディの事を誇らしく思いました。

 以前は少し難易度が高かったまるまる2時間の訪問も、きちんとこなせるようになってきました。秘訣は犬を立たせておくことかもしれないと思っています。「say hi」というキューで、立って近くの人にあいさつに行くことを教えたので、受動的に撫でられるばかりでなく、自分から挨拶に行ける事がどうもプラスに作用しているような気がします。ほんの些細な要素を微調整するだけでも、ストレスが軽減されることを実感しています。今後も観察を続けたいと思います。



2019年7月19日金曜日

4歳半の夏

たるみまくり(無精ひげも生えた)

 ボストンから帰って、冷房の効いた部屋でトドのようにゴロゴロしている犬。ベランダに出てセミの声を聞いたり、ホタルを見たりしたいのですが、暑いらしくすぐ家にひっこむ。散歩中も、上り坂をジョギングで上がろうとすると「ゆっくり登ろう」とアピールしてきて、首輪ごとリードがすっぽ抜けた事2度。しかし本犬気付かず、すっかりリードがあるつもりで歩いていました。慣れ親しんだ散歩道だと、リードの存在を感じさせない風船のような犬なので、散歩がしやすく助かるのですが、これはちょっと笑えた。

 ところで、本当にリラックスしている犬って、頭をさわっただけでも分かる気がしますね。人間と同じく、犬も頭部や顔にあつまった筋肉群の緊張がほどけるのかな?フニャフニャした触り心地です。ドッグマッサージって効くのかな~と思っていたけど、こんなに筋肉があるのなら、犬もきっとこったりするのでしょう。


 一週間冷房のない環境で過ごしたからか、帰ってからアンダーコートがごっそりと抜けました。上の写真の、灰色がかったところにアンダーコートレーキをかけるとブラシの歯いっぱいに毛がとれます。背骨に沿ったあたりはピカピカのサマーコートです。やはり、室内犬だと自然にズバッと毛が生え換わるようなことはなく、だらだらといつまでも換毛が続く気がします。バージニアは今の季節雨が多く、泥はねも多いので、脚やお腹の毛は自然に見える範囲で先っちょを切りそろえました。

 散歩中、犬の毛艶を褒めてもらえることがたまにあります。どんなシャンプーを使ってるの?と聞いてくる人もいます。私はいつもコディを食器を洗う中性洗剤をよく薄めたもので洗っているので、そう正直に言うと大そう驚かれます。コンディショナーは、もともと馬用に配合されたMane and Taleという製品です。なるべく地肌につかないように、毛先にちょっとつけてくしで撫でつけてから流します。そのへんのスーパーで買える安物ですが、洗い上がりもその後も、問題なく使えています。匂いもきつくないです。


 そんなこんなで、コディ4歳半の夏。この夏から冬を終えれば5歳になると思うと、イヌの壮年期真っ只中というところかと思いますが、まだまだ毎月ひとつは新しい発見があります。
 
・ボール遊びのあと車に乗る時、口にボールを咥えたまま荷台に飛び上がるようになった。
・ながら散歩でボールを咥えながら帰る時、ボールを咥えたまま排便をするようになった
(オシッコは前からしていましたが、ここへ来て「ながらウンチ」もマスター)
・散歩の時のオシッコの回数が増えた。マーキング的意思を持って故意に分散している感じがある。

などなど、主にボールにまつわる行動にちょっとした変遷が見られました。いつもするわけではないのですが、ボール好きに筋金が入ってきたようにも思えます。年齢と共に、目には見えにくくても、日々何らかの成長?変化?をしていると言えるかもしれません。

 時折ドッグランなどへ行くと会える昔からの犬トモ達の行動も、最近変わりつつあります。特に大型犬仲間の間で元気よく遊ぼうとする犬がすごく減ってきました。コディはプレイバウしたりお尻をドンと相手にぶつけてみたり、一人もみくちゃになって遊びに誘おうとするのですが、疲れているのか、暑いからか、はたまたコディとはもう遊べないと感じるのか、あそびに乗ってきてくれる犬がぐんと減りました。もともと遊び方が乱暴で、いいバランス感で遊べる犬が少なかったので、これは本当に残念でした。コディのでっかいグーパンチではたかれても、頭をすっぽり咥えられても怯むどころか、むしろ大歓喜でコディを追い回していたボーダーコリーのニックが、とても恋しくなりました。




 訪問活動も復帰しました。このファシリティでは、セラピードッグが訪れることの有効性が認められて、正式なウェルネス・プログラムの一環として定期的な犬の訪問活動が採用されたそうです。こんなかわいい看板も立ててもらいました↑。コディが来ると聞いて、早めに来て看板のそばでわくわくしながら待ってる人も居ます。相変わらず、行くと犬のしつけ関連の質問が多いので、答えられる範囲で答えますが、英語が下手なので、満足のいく説明がなかなかできません。いい練習になっています。

 セラピードッグ協会を通してリクエストを受ける時、殆どの訪問先は2時間くらいの指定をしてきます。しかしうちの犬の場合、終わりごろになると出入り口の開け閉めの音に耳を澄ませたり、外を見る動きが少し増えたりと、「帰りたいのかな?」と思わせる行動が増えてきます。1時間30分~45分の間が、「楽しい」と「疲れた」のターニングポイントという感じがします。シェパードはこういう点で他の犬種、たとえばレトリバー系やブリー系の犬とは性質が違うと感じます。タイマーをセットしておき、訪問時間の途中で一旦トイレ休憩を入れ、ほんの少しの間でも小さなおもちゃで遊ぶなどして、犬のメンタルをリセットしてやるといいようです。

 シェパード全般そうかも知れないけれど、コディもまた、普段の生活の事からトレーニング中の癖までちょっとした「調整ポイント」がいろいろあって、対象をジロジロ観察して、どうやったらもっといいパフォーマンスをしてくれるかなあと考える事がとても大好きな自分のようなタイプにとっては、知的好奇心を延々と満たしてくれる最高の題材と言うことができます。けれどもそういう細かいりくつ抜きで、ただただ楽しく犬と付き合っていきたい人々にとっては非常に疲れるというか、めんどくさい犬にもなり得るという点を、理解しておくことは重要だと思いました。


2019年7月10日水曜日

ボストンへ行ってきました(再び)。

クインシー・ベイに浮かぶ小島から臨む、ボストン市街のながめ。


 北米の夏の休日、ジュライ・フォース(独立記念日)の週は、マサチューセッツ州ボストンの友人宅に寄せてもらっていました。トランク大小3つ、友達一家へのお土産の大きなダッフルバッグ、成人2名、3歳児1、犬1+犬のお皿やブラシなどなどを詰め込んだパンパンのマイカーに乗って、I-95 NからNJ Tpke、コネチカットの歴史街道へ…と、約10時間かけて北上しました(どこかで読んだ書き出し)。




 独立記念日は、家族や友達と食事などをして、夜になったら花火を見に行く、というのが典型的なアメリカ国民の過ごし方です。私達も例に漏れず庭でグリルなどをして過ごしました。滞在先は古民家が集まっているエリアで、昔ながらの近所づきあいが根付いていました。食べ物を並べているとどこからともなく近所の人があつまってきて、勝手に話に花を咲かせていました。


なんか興奮しておもしろい事になっていた


 ヒトある所にイヌあり、近所の御宅の犬達とコディも一緒に遊ばせてもらうことが出来ました。この庭を出てすぐのところにドライブウェイがありときおり車も通るのですが、地域の犬達はみんな勝手知ったるといった感じで、飼い主達も気にも留めない様子でした。ふだんの生活の中で他の家の犬が勝手に庭に入ってきたりすることは結構よくあるみたいです。アメリカの昔の犬の暮らしぶりに近いと感じました。

 それから今回初めて夏のボストンに滞在して、一般家庭に冷房がないことを初めて知ったんですね。自他共に認めるすごい暑がりである自分は死んでしまうのではないかと、道中心配していましたが、築112年の(アメリカ的には)古い家の中は日中は意外なほど涼しく、湿度の低い風が一日中吹いていてさわやかでした………、というのは今年がラッキーだっただけで、去年はマサチューセッツも猛暑で大変だったそうです。
 



 数軒先に、昔偉い軍人だったお爺さんが住んでいました。第二次世界大戦を戦った人です。かなり年をとっていて、自宅でターミナルケアを受けられている様子でした。ある日の夕方、彼の為だけにパレードが執り行われました。非常に名誉な事だそうです。自分も結構長くアメリカに住んでいますが、こういう事は見たことがありませんでした。窓辺から重そうに腕を持ちあげて敬礼に応えるお爺さんの姿が見えました。

 戦争では、間接的に、いやもしかしたら直接的に、多くの日本人の命を奪った人なのかもしれません。今目の前で死にゆくその人を見て、複雑な思いでした。個人のレベルでは、怒りや憎しみなど、何も感じる事がないからです。今までの人生の中に散りばめられた「戦争への間接的記憶の断片」を急に意識して、戦争への思いがふくらみました。自分の娘と、その友達は、バグパイプの音に合わせて楽しそうに踊っていました。その仲良しの娘達にだってそれぞれ、ユダヤ人とドイツ人の血が流れています。




 パレードの時もまた勝手にどこかの家の犬が、ヒモもつけずにフラフラ挨拶しに来ていました。花火といいバグパイプといい、結構な爆音で鳴らしていたけれど、全く物怖じせずみんな自由に歩き回っていた(笑)。豊かな社会性を持った犬達でした。私がかねてから礼賛している「村のいぬ」の像に、また少しピントがあったようで、非常にインスパイアされました。


やや疲れ気味

 今回は庭や近所をうろつく事がメインだったコディ。暑さと、朝から晩まで子供だらけで、あまりよく眠れなかったみたいです。この犬は旅行はいつもこんな感じですね。夜は冷房のある友人夫妻のメインのベッドルームに入れて貰ったりして、すごい特別待遇を受けていたのに(うちのが来ると毛まみれになるラグに文句を言うどころか、こんな事してくれる友人夫妻に感謝)。バージニアの家はずっと狭くて暗い家ですが、静かだし涼しいのでやはり落ち着くようで、帰ってからは3日位ずっとゴロゴロ&寝ぼけまなこで過ごしていました。

2019年6月4日火曜日

雷が来る前



 仕事から帰ってくる最中、西の方で雷雨警報が出ていたので、2時間程で自分のところまで到達すると考え、このブログにももう何度も登場している(→登場その1登場その2バージニア州ターナーファームへ散歩に行きました。私が出かける日は朝から殆ど動かしてもらえないので、家の中で退屈していた犬です。大喜びで走り回り、ボール拾い、馬用の堀を飛び越えたり、馬糞を味見したり、ワタオウサギの通った後を嗅いだりする横で、いかにも怪しい黒い雲が沸き立つ様子を眺めました。雷雨という気象イベントはわくわくします。こういう時に急に冷たい風などが吹いてくると、おっ、来るな!という感じで、走り出したいような高揚感を感じます。


「ここはよく馬糞が落ちているところだよ。おいしいよ。」

 かと思えば急にまぶしい日が照ったり。この心をかき乱す空の様子を見て、昔の人は、妖怪や神様を連想しました。私達の脳は否定形を認識出来ない、と聞いたことがあります。科学が発展する前、天気などの現象の起きる理由についても「(理由が)ない(=わからない)」ものをそのまま「ない」としておくことが出来ず、なんとかして「有る」とこじつけた結果が神話や物語なのだと考えると、空想を産む構造になっている自分の脳に愛着のようなものが芽生えます。


ダニが~~~草のタネが~~~

 コディはセージとかローズマリーとかの刺激臭のする薬草系の匂いが大好きです。ここの牧場の傍に生えている名前の分からない葉が三角形の植物も、つぶすと強いハーブの匂いがして、たまらないようです。葉っぱを見つけるとゴロンゴロンと全身にまんべんなくまぶそうとします。すべてをなぎ倒してめちゃめちゃにするので、娘と一緒に見ていた「しぜんとあそぼ」のイノシシを思い出します。なんか、ドクダミとかも好きなんじゃないかな?生えてなくてよかった。

 好きな匂いと言えば、女性用の制汗剤に含まれている何か特定の物質にも、強烈な反応を示す事がありますね(笑)。この行動、ふだんの生活の中ではただ笑えるだけなので今まで問題視したことはなかったのですが、最近行き始めたややお堅めの訪問先だと、皆スーツやフォーマルな白のブラウス等を着ているので、毛や鼻水が付着することを避けねばならず気が抜けません。突然そういう機会がやってくるので防ぎようもないし、訪問中は場にネガティブな印象を与える「NO」という言葉も使わないようにしているので、困りました。


 10分位思い切りゴロゴロして、そのあとはこうしてひっくり返ったまま頭だけ動かし草の匂いを嗅いでいました。この時、コディの太ももらへんにあるこんもりした草のかたまりの中から、野生のハツカネズミみたいな小さな茶色いネズミが飛び出して、命からがら走り去っていくのが見えました。ネズミにとってはとてつもない大災害でしょう。多分、怖くて固まっていたけど、ガサガサが止まったので意を決して飛び出したのだと思います。さっきヒトの脳はわりとショボいなあ~という話になっていましたが、このように「幸福はいつも知らない誰かの犠牲の上に成り立つ」と、その事を認知出来る点についてはなかなかいいと思いました。

2019年6月2日日曜日

いちご祭りにて


 週末は、バージニア州スカイ・メドウズ州立公園ストロベリーフェスティバルに足を運びました。ワシントンDCからだと大体1時間20分ほどの場所に位置し、豊かな自然とワイナリーに囲まれた風光明媚な田舎の公園です。山積みになったいちごのカートンの出店を抜けると、ノーマン・ロックウェルの1940年代の大衆絵画からそのまま抜け出てきたような、年老いた大道芸人がいました。アメリカにもさるまわしがあることを初めて知りましたが、動物愛護の気運も高まるこのご時世においては、こうして野生生物を使役して収入を得るということは、失われていく文化・芸能のひとつと言えるでしょう。

 3歳と8カ月を迎えて、知性が犬を上回ってきた「ちいさいにんげん」の世話が本当に忙しくなり、最近全体的に遊び足りていないコディは、悪い子でした。最近気付きましたが、犬って、足元が芝生だとてきめんに行動が変わりますね。この日の朝も運動が足りていなかったコディは走りたそうにあっちへフラフラ、こっちへフラフラ、終始いれ込んでいて、いちご屋のディスプレイに突然前足を乗せたり(!)しまいには大きなダニを2匹くっつけて帰って家で念入りにブラッシングにかけねばならず、100点満点でいうと20点くらいのワルでした。

 どこへ行っても、行儀がいい、頭がいいと、割と褒められることの多い犬ですが、慢心せずいつもきちっとコンディションを整えてくることの重要性を再確認しました。


ワルの顔になっております。

 スカイ・メドウの名前の由来になったと思われる、広い空と丘陵を背景に写真を。こんな風景がどこまでも続いています。ワイドアングルのレンズじゃなかったのが残念です。そういえば最近、仲の良い友人の子供が洗礼を受けたのですが、家族の由来のあるヨーロッパの一地方に一族で何十人も集っている写真を見ると、とても賑やかで楽しそうでした。

 そんな様子を見た後だと、私達の家族写真はとても寂しく感じます。皆遠い所からやってきて、今この地に根付こうとしている3人きりのチームです。自由と孤独とが心中に去来します。喋らなくても、いたずらをしたり自己主張をしたり、フカフカとした毛の温かさを家庭に添えてくれる犬の存在は、我が家にとってとても意味があるのではないかと思いました(たとえワルであっても)。


2019年5月4日土曜日

セラピードッグの準備クラス



 愛犬もかつて通ったことのある、セラピードッグのための準備クラスに、お呼ばれしました。と言っても、リクエストは犬の方にではなく、3歳6ヵ月の娘にです。この日、セラピー犬、介助犬、ファシリティドッグ候補の若イヌなど、合計6頭の賑やかなクラスで、簡単なノーズワークごっこや犬のパズル、double leash walkingと呼ばれる二本のリードを使った犬との歩行、読み聞かせ、ブラッシング、犬にコスチュームをつける、などなどのタスクを一緒に練習していきました。クラスの終わりにトレセン長が娘に歩み寄り、「大きくなったら、サービスドッグのトレーナーになってここで働いてネ!」と言ったところ、「私はおひめさまのねこを育てる人がいい」とか言って、自己主張していた(笑)。犬に舐められたり踏まれて泣いたりしながら育った娘は、ネコが好きです。

 娘が将来なりたいものは、「ピンクのウサギをお世話する仕事」とか、「みんなに食べ物をあげるしごと」「お買い物をする仕事」「虹をつくる仕事」などなど、わりかしコンセプチュアルなものが多いです。可愛いものとか、おひめさまが大好きで、アメリカの女の子の王道を行く嗜好の持ち主と言える一方、「お買い物をする仕事」のリストの内容があぶらあげだったり、プリャニキ(ロシアのおやつ)だったり、いきなり懐から小判を出すマネをしたり、文化的にいろいろ混ざっていて、面白いと思います。いつまでもこのユニークさを失わず、強く生きていってほしいと願います。


お風呂に入れられた後

 ここ一週間ほどは、天気が良くて涼しい日が続いていたので、犬も日がな一日ベランダに寝そべって過ごしていました。体重があるのに、痛くないのかなと思うのですが、家の中でも外でも、固い地面に直にゴロ寝します。特に、「屋外の」「半日陰」「固くて冷たいコンクリート」みたいな条件がそろった場所が大好きな様です。雑木林からの風がくるので、いろんな匂いや音もすぐキャッチ出来て、寝ながらでも好奇心が満たされるのだと思います。水も、室内の清潔なボウルにためてある水道水より、外に出しっぱなしになっているお皿の、小枝や落ち葉入りの「はっぱのアロマウォーター」の方が好きです。

 私の住むこのボロ屋は、雑木林に面しややせり上がった台地に建ててあるため、このベランダはちょうど林床から5メートル程度のところに、さながら木の上の秘密基地のように浮遊しています。木陰のおかげで一日中薄暗く、狭く、穴ぐらみたいな場所が好きな私にとってはパーフェクトな家です。ベランダの至近距離まで野生のタカやノスリやフクロウ達が来たりして、住んでいてぜんぜん飽きることがありません。でも、娘にとっては狭すぎることが、だんだんと不便になってきていました。あと数年、いやもしくはもっとすぐに、この家を後にせねばならならなくなるでしょう。




 次の家は、住むと予定している年数的に、コディの最後の家になろうかと思います。考えれば考えるほど、犬の命は短く、儚く、本当に寂しい事です。出来ることならば、広い庭とプールにアヒル小屋のある、お屋敷みたいなお家に住まわせてやりたいですが、それは叶いそうにないので、「車で10分以内に空地やきれいな川のある場所」というのを絶対的条件に入れて探しています。全体的に段差が少なくて、小さくても庭がある家を想像しています。他にも、「大きな老犬」が住むのに適する環境とはなんだろうと、今から考えています。

 また最近は件のながら散歩と並行して、「むこうから人がきたよ」だの「犬がきたよ」だのと、犬にせっせと話しかけるようになりました。多分、傍から見たらあぶない人みたいに見えてる可能性もありますが、「今のうちからこうしておけば、もしそのうち愛犬の目が見えなくなったり、耳が悪くなることがあっても、二人五脚で楽しく散歩が出来るのでは」という実験です。

 うちの犬はトレイルのような場所で何かの気配がすると、グッと首を持ち上げて尾を立てますが、そういう時「あれは人だよ。」というとシッポが下がるので、なんとなく意味は分かっているようです。犬が来るときも、「あれは犬だよ。leave the dog.」とか言うと、時々鼻息を荒くしながらも素通りすることが出来ます(※)。散歩道で何かに遭遇する前の段階で、心の準備が出来るか・どうかは、コディの心の平穏度に密接にかかわっていると感じます。(※コディは雑木林のトレイルの様な場所では、他の犬に対して警戒し吠えます。)

 もうひとつ面白いのが、上手にふるまえた時「おりこうさん!あとでオヤツがもらえるね。」と言うのですが、これをちゃんと覚えていて、家に帰ってからおやつの棚の前で待っています。わりと記憶力がいいので感心します。どうも犬の中で、「あとでオヤツ」というアイデア自体が報酬化しているようです。

 効果があるのか、ないのか分からない、細かいことばかりですが、人・犬ともに事故や病などのライフイベントが、いつ訪れるかは分かりません。これは、先代の犬に教わったことのひとつですが、いつも、どこかで、来るべき犬生のシナリオについてなんとなくシュミレーションしておくことは大事だと感じています。


2019年4月15日月曜日

1月~4月のまとめ


 今年の1/4が過ぎ去っていきました。子供の世話と並行して、訪問活動や犬トレに行ったり、趣味のため夜のフィールドにお供してもらったり、自主練に行ったりと出入りの激しかったこの頃でしたが、コディは何かあると分かると夜中でも準備万端とばかり飛んでくるので、この犬は本当の熟睡ってするのかなと、素朴な疑問が芽生えています。

 自主トレは、頑固でなかなか新しいタスクが出来ないわりに全然諦めないので(笑)本犬は何らかの興味・面白さを感じてるように見えます。ダイエットもして「歯も体もパーフェクト」と獣医さんのお墨付きももらい、わりと絶好調な4歳の春です。とはいえ、よく見ると歯はすり減っているし、顔の毛もところどころ更に白っぽくなって模様の面積が増え、改めて眺めると犬の顔面にも「歳月」が刻まれていることに気付きます。これからはイケオジ目指して頑張って欲しい。

 1月から続けてきたモンディオリングの練習は、トレーナーの方の個人的な都合で、3月の終わりでレッスンが終了される運びになりました。モンディオリングはアメリカでは主に西海岸や中南部、ほかは東欧諸国や南米などで盛んに行われている競技で、東海岸の私達の住むエリアでは、他に教われるところがありません。そのためこの競技の練習自体、一旦おあずけという形になりました。

 コディも私も、トレーナーとの相性もとても良く楽しく通えており、またプロテクションスポーツに携わる人々やその犬と一緒に練習する事はとても良い刺激になっていたので、そのような場が失われる事はとても残念です。でも、これまで数カ月の間、犬へのアプローチや、モチベーションを引き出すという観点だけでも本当にいろいろな事を教わりました。面白いと思った単元の練習は、今後も自分で続けていこうと思います。

足に履いたカバーを噛むデモンストレーション。授業時間外のミーティングは寺子屋スタイルで
競技も進度もバラバラの犬が集まるので、横断的な知識を得ることが出来た

 また今回「リングスポーツ」と言われるものの端っこの、そのまた端っこを少し齧ってみて、シェパード・ピープルの輪の中にいると、やっぱり楽しいということが分かりました。ジャーマンシェパードやベルジアンシェパードは、犬の中でも親密に人と関わりあってきた独自の歴史あるカテゴリであるため、犬の性質に沿ったハンドリング方法が確立しているところが面白いです。これはコンパニオンドッグ、所謂家庭犬用に繁殖されているシャイロシェパードにとっても適用できる所があります。また、ジャーマンとベルジアンのハンドリング方法も実は異なるんだよという点など、知れば知るほど奥が深く、魅了されました。

 結果として遠回りする形になりましたが、改めて件の親切なおじさんのいる地域のクラブに、一度見学だけでも行ってみようと思います。クラブの雰囲気やメソッドが合わなかったりした時は、Fenzi Dog Sports Academyなどでオンラインのクラスを受けることなども視野に入れ、今後やりたいことについて再検討してみようと考えています。でも、理想はどこかに通って誰かと一緒に練習したいですね。やっぱり同じ犬好き同士情報交換したり、よくしつけられた他人の犬に感心しながらトレーニングするのが楽しいと思うし、そういう場所を通して友達が出来たらいいなと思っています。


 セラピーの訪問活動も継続中です。今までは単発で行く大学関係のファシリティが主でしたが、今春からはワシントンDCらしく、少しお固い訪問先のチームに加わり、定期的にどこかへ通う形になりそうです。訪問活動や、教育プログラムのデモンストレーション、トラッキングなど、愛犬が今後、例えば加齢や病気、ケガなどで状況が変わったとしても、最後までこなすことの出来そうな「役割」を模索しています。自分たちのコンビで、出来ることを通して、出来る範囲で、実社会に寄与できればうれしい。

 最後に例のボール運びごっこの写真をアップして……、、、この地味な遊びが意外に楽しく未だにブーム(笑)。毎日の短い方の散歩で、近所の空地で遊んだ後、帰り1キロ位の道をひっぱったりひっぱられたりしながら帰るのが面白いです。以前、どこかでコディはタグを殆どしない、と書いたけれど、最近これが本犬なりのタグだったことに気が付きました。たとえ短い距離をただ歩くだけの散歩だったとしても、こうして「ながら」散歩だと楽しいし、犬の満足度も多少上がるような気がしますね。歩きながら出来るミニゲームみたいのをもっと考案してみたいな。何か思いついたら、またここにメモります。




2019年4月1日月曜日

手に汗にぎった事


 バージニア州ハーンドンにある、フレッド・クラブツリー公園にて。地図だけでは見えにくいですが、いたるところに小川があり、一部泳げるような深さになっている場所もあります。公園内の遊歩道も結構高低があり、ハイキングや水泳が好きな犬ならばおすすめ。コディも今年最初の水遊びを楽しみました。こういう所に来ると、ラブとか水遊びが好きな犬を飼ってる犬ともがいたらいいのになと、妄想してしまいます。


 別件、3歳半の子供の認知能力を過信してはいけないなと知った出来事。

 うちは古くて狭いタウンハウス(メゾネット的な家)なので、コディのえさ皿と水入れは、スペースの制約上玄関のお客さん用のバスルームに置いてあります。昨日夕飯の準備をしながら、コディが水を飲みに行けるよう「『コディ君のドア』開けてあげて」と娘に言ったところ、ガチャガチャと扉を開ける音がしたので安心してまたレンジに向かっていました。ところがしばらくして、娘がモジモジしながら寄ってきて「ママやん、でも…わたしコディ君が車にひかれちゃうかも知れないと思う」と言ってきました。何か間違ったことをしたような気がしているらしく、目が泳いでいました。

 瞬間、異常事態が起きている事を知り、あわてて家の外に目を向けたところ、なんとコディがリードもつけない裸んぼの状態で共用駐車場の方をトコトコ歩いているではありませんか(!!!)。娘は、バスルームの戸と玄関の扉を勘違いして、がんばって重い鍵を開けコディを外に出してしまったようです。もう、なりふり構わず二重戸を開けて大声で「コディ君なにしてるの👹(日本語)」と言ったところ、ピュッと戻ってきて、胸をなでおろしました。コディも何かいつもと状況が違うと思っていたらしく、家に入ってからハアハア呼吸を整えていました。

 うちは女児なので、時々年齢以上に大人っぽいものの見方を示すことがあり、「これくらいなら分かるだろう・出来るだろう」と信用しすぎたことがまちがいでした。今回は、何もなかったからよかったものの、これで近所の外ネコが横切っていたらとか、知らない家の子を驚かせて転ばせちゃったら(それで顔や頭を打っちゃったら)とか、このアメリカの訴訟社会における「最悪の展開」の糸口というものは、常に日常生活の至る所に隠れているだけに、手に汗握ってしまった一件でした。



2019年3月10日日曜日

サーチのやる気度テスト


 シェルターからの犬なども使い、野生生物保全活動に携わる探知犬を育てる団体Rescue to the Rescueが公開している、 サーチへのやる気評価テストがありました。ノーズワークやセントワーク、トラッキングなどのセントスポーツ(鼻関連の競技)に愛犬が興味を持ちやすいかどうかを知る良い指標になるのではないかと思い、以下にやや意訳気味ですが和訳を載せておきます。もし、興味がある人は、自分のイヌと一緒にやってみて下さい。テストは可能であれば2人1組で行い、1人が犬を補綴する係、もう一人がオモチャを投げる係になります。また、スコアが常に0から1の項目があった場合は、そこでテスト終了になります。

①報酬への意欲(動いているおもちゃ)※5回繰りかえし、その都度加点する。

犬に手に持ったボールを見せ(弾ませても良い)、犬の興味を引く。ボールを犬とは別の方向へ、且つ犬にとってどこに落ちたかが分かる様に投げる。この実験では、犬はただちにボールを追いかけることが許されている。注意:決して、声を上げて犬にレトリーブを促さないこと。注意2:犬はボールが投げられるところを目視していなければならない。



②報酬への意欲(動いていないもちゃ)※5回繰り返し、その都度加点。


①のテストと同じ題材を行う。但し、今回は犬は補綴しておく。投げたボールが止まったと同時に犬を放す。このテストは全部で5回繰り返し、スコアが常に0から1の場合、ここで評価を終了してください。




③報酬への意欲(障害物あり) 

犬を補綴し、目の前でボールを障害物の中に投げる(犬に、どこに落ちたかが見えるように)。ボールが落ちてから30秒間犬を補綴し、放す。犬が放されてから10秒以内にボールを探し始めない場合、指差し・声掛けを行い犬に探すよう促して良い。



④サーチへの持久力(報酬の位置が不明)

犬を補綴し、一人が手にボールを持っていることを犬に知らせる。もう一人が犬の目を塞いでいる間に、投げる係がボールを遠くに投げる(犬はボールが投げられる様子を見ることが出来ない)。ボールを見えない所に投げ、落ちたと同時に犬を放し、2分間探させる。声を掛けて犬にボールを探すよう励まして良いが励ました回数を記録すること。注1:犬が15分以内にボールを見つけられた場合は容易すぎるため、再テストを行う。注2:このテストは犬の捜索への意欲を推し量るもので、実際に対象物が見つけられたかは重要ではない。



⑤換算 
以上の4つのテストの結果出た得点を、下のスコア表に照らし合わせます。


 読んでいて面白かったのは、サーチワークという仕事を考える時、単に犬の報酬への情熱が高ければ高いほど良いということではなく、タイプの違うサーチワークへの適正や、ハンドラーの熟練度などとの塩梅もあるのだと知ったことです。たしかに、例えば山などの広いエリアをどんどん動いて探し回るのと、交通量の多い公園のトレイルを入念に調べたりするのとでは、要求される力が異なるのは納得できます。そういえば、コディを飼う前に訪問した西ドイツ系ジャーマンシェパードの繁殖家の方も、サーチ&レスキューの人達には、ミディアムからミディアムハイ・エナジーの犬を譲ると言っていたのを思い出しました。鼻を使っての慎重な作業の上で、極端なエネルギッシュさは必ずしもプラスではないのでしょう。

 シェパードの多くは30ポイント前後から上に落ち着くのではないかと思いますが、レトリーバーはもちろんのこと、テリアやスパニエル、ハウンド系、最近はピットブルなどもセントスポーツに参加しているのを見かけるので、知られざる匂いのプロというのは意外なところに隠れていそうに思います。



2019年3月7日木曜日

ドッグラン名人になる


 犬オタクの間ではわりと否定されがちなドッグランですが、「自分の犬が気軽にランに行けるタイプだ」ということは、特に都市型の生活をしているドッグオーナーにとっては大きな安心材料です。私も、最初の愛犬との東京生活を思い出すと、ちょっと家を出ても自然のトレイルなどはあるわけもなく、散歩もリードをくるくるまとめた状態で延々とコンクリートの歩道を歩くというスタイルになりがちでした。自転車での引き運動以外で走れる場所などもなかったので、そこそこ活発なドーベルマンの運動意欲を満たすためには、当時住んでいたマンションの屋上や夜更けの工事現場で遊ばせたりして(←良い子はマネしないでね)だましだましやっていました。

 そのような生活スタイルの中にあると特に、ドッグランは犬にとっては自由に走り回れる貴重な場と言えます。ほかにも例えば、長いドライブの道すがらランに寄って軽く体を動かさせて…、とか、空いてる時刻をねらって子犬の社会化に役立てたり…など、場面に応じて様々な使い方が出来ます。飼い主にとってもほかの飼い主と情報交換が出来たり、友達が出来たりと、地域の社交場としての機能もかなり高いですよね。ランは、その是非はともかく、愛犬家生活上のオプションとしてすごく便利だということは確かだと思います。

 私は現在の犬を迎えてからはじめの3年半、散歩の一環として雨の日も風の日も雪の日も毎日1~2回ランに通いました。また自分の犬が来る前も、ひとりでランに通って柵の外から犬の動きを見るという変態的な時期を過ごしていたこともあります。こうしてここ数年でこの「ドッグラン」という場所にまつわる悲喜こもごもをある程度知り尽くした気がするので、ここで改めて「どうやったら上手に楽しくドッグランとつきあっていけるのか」というところについて考えてみたいと思いました。


1-犬の遊びについて詳しくなっておくこと

 まず重要な前提として、犬の遊びをよくわかっておく必要があります。私個人の感想ですが、ランでのいざこざのほとんどが、飼い主が「犬の遊び」をよく理解していないことに端を発しています。これについては言葉で説明するよりも下の2本の動画を見るほうが分かりやすいかもしれません。この動画のポイントは、犬同士の「MARS」が確認できれば、たとえば激しく噛みあうマネ、戦うマネ、追いかけっこ、押さえつけ、マウンティング、唸ることや吠えることが介在したとしてもそれは良い遊びである、というところです。「MARS」の簡単な説明は動画の下に続けます。




 MARSとは、メタシグナルアクティビティ・シフトロール・リバーサルセルフハンディキャッピングの頭文字を合わせた標語です。メタシグナルとは犬が「これは遊びだよ」と相手に伝えるためのサインで、無駄にぴょんぴょんした動きや派手な表情、プレイバウなどがそれにあたります。アクティビティ・シフトは、遊びの途中でゲームが変わる事です。たとえば追いかけっこからレスリングにシフトしたり、ひとつの遊びに固定しないということですね。ロール・リバーサルはそのまま、役割の交代です。でも自分で見た限りではいつも同じ役回りをすることを好む犬も多いので、これは犬にもよる気がします。セルフハンディキャッピングは、強い方の犬がわざと力を出さないで、相手のレベルに合わせることです。次に、二本目の動画を見てみましょう。




 この動画では、犬同士の遊びが白熱してきてちゃんとうまく遊べているのか不安になってきた時に、一度犬を離し→再び同じ遊び相手の所に戻るか見る、という簡単なテストについて取り上げています。このあたりはみんな自然とやっていることなので、わざわざ教わる事でもないよと思われるかもしれないのですが、これが大型のオスの成犬同士でガンガン遊んでいる所などに出くわすと、たとえ知識があったとしても、本能的に不安を覚えるんですよね。うちの犬ものんびりした性格の割にかなり激しく唸り声をあげながら遊ぶので、あとでそれをFBに投稿した知り合いのところに「なぜ自分の犬がアタック(原文ママ)されているのに止めないのか?」「危険なシェパードをランから追い出せ」というメッセージが来たことがあります。

 「私の犬は怖がりで、まずこうやって遊ぶまでに至らないんだけど」という人もいるかと思います。子犬や若い犬でランへの心の準備が出来ていなかったり、生来繊細な性格の犬なのかもしれません。まずは自分の友達で、とても優しい犬を飼っている人に頼むなどし、落ち着いた小グループでの遊びを続けて自信をつけさせてあげることが大事かと思います。それから改めてランにチャレンジするか、もしくは「ランは荒っぽすぎてうちの犬には向かない」と、はっきり判断を下すことも大事なことだと思いました。


2-「飼い主の倫理観を尊重して愛犬の行動をシェイプする

 過度のマウンティング、トリーツを持っている人を付け回す、遊んでいるほかの犬の集まりについてまわり大きな声で吠え続ける、弱い犬のボールなどのおもちゃを奪う、嫌がる弱い犬を執拗に追いかけて地面に押さえつける、などの行動は犬の世界ではわりとふつうだと思うのですが、人間の目から見ると「いじめ」や、下品に見えたりと、倫理的に誤った行動ととられます(「犬の世界ではふつう」と言う理由は、これらの行動をしていて、その後ケンカになったというところを殆ど見たことがないためです)。

 また犬の世界には俗にいう「みそっかす」みたいのも存在している気がして、いじめられやすい犬はみんなに小突かれ続け、泣きながらキャンキャン逃げ回り、またそれを面白がった他の犬にタックルされて転ばされるというのも、わりとよくある光景です。でも、自分の犬がそういう目にあって平気でいられる飼い主はいないと思います。人間の倫理感が、瞬時に「弱いものいじめはだめ」と考えるからです。

 これらを踏まえて、上述したような行動、特にいじめっ子になりがちな犬の飼い主は、犬の自然な行動がどうのとか細かいことを言わずに、「社会生活を営む上でしてはだめな行動」と割り切ってトレーニングを行うことが大切だと思いました。もちろんこうして、犬の自然なふるまいを阻害してまで遊ばせる必要はないと思う人もいると思います。そう思った場合は、行かない選択をすればよいだけです。ドッグランとは、究極的には飼い主のための場所であり、そこに来る人間同士の関係を円満に保つことが大事だと言えます。そのためにはマナーが重要です。

 かくいう私の犬も、若犬の頃から時々この「弱い犬をダッシュで追いかけて地面に押さえつけたい」という強い欲求を見せる事があり、基本、ランでは絶対に目を離さないでいました。「追いかけたい」という意思が宿ると眼付きが変わるので、いつもそのアイデアが浮かぶ0.5秒前、というところで呼び戻すことで工夫していました。マウンティングについても、「やめなさい」と言えば、どんな遠くにいても即座に中止するように教えました。これはたまたまうちの犬がリコールや遠くからのコマンドでも反応する犬だったので出来たことですが、それでも潜在的に他の犬や飼い主の脅威になりえると思っていました。出来るだけそういう行動をしないようにトレーニングを頑張ること、もしそれでもだめだと判断したらいさぎいよくランから退く、ランじゃない別の遊びを開拓するというその見切りも、大変重要なポイントではないかと思います。


3-他の飼い主に寛容になる。積極的にコミュニケーションをとる。

 これはヒトの子育てをやってみてあらためて分かった点でもあるのですが、ヒトの育て方も、イヌの育て方も、100人いたら本当に100通りのやりかたがあります。中には、「貴殿のやり方だけはムシズが走って居ても立ってもいられぬ」と思うような飼い主に遭遇することもあるでしょう。私だって、ふだんはわりと温厚なほうですが、件のピットブルの飼い主に関してはいまだに根に持っているし。

 そういえばコディが若犬の頃、ベンチに座っているお姉さんの膝に泥のついた足を置いて伸び上がろうとして、その人の読んでた本で頭をバシッと叩かれたこともあります。このように、ランという場所は「しつけ」に関して自分とは違うメソッドを持った人、違うメソッドで育てられた犬と出会うことが日常茶飯事なので、そういうのも含めて「広義の社会化である」と容認できる人に適していると思います。ドッグトレーニングを真剣にやっている人がドッグランに否定的なのは、このような見ず知らずの犬や人からの影響が看過できないレベルというのも、大きいのではないかと思います。

 またここは私が多くの人と意見が違うと感じる点でもあるのですが、ランは公共の場所なので、トレーニングトリーツやオモチャを持ってくることも本来自由であるべきだと思います。よく「みんなで遊ぶ場所におやつを持ってくるなんて」とか、「オモチャはケンカのもと」と言って、上述したような物品を持ち込む人を敵視するドッグオーナーがいますが、まずは自分の犬に「おやつを持ってる人を付け回さない」「おもちゃをドロップ、leave itする」というマナーを徹底的に教えるべきところではないでしょうか。

 当然のことですが、そもそも持ってこないということが一番賢いに決まっています。しかし、そういうオーナーにはそれでも持ち込むための、なにか理由があるのだと思うし、公共の場なのだから、それは自由であるべきです。するとランにホカホカのマクドナルドを持ち込んだうえ、よってきた犬達に怒る人(信じがたいですが実際に遭遇した)なども登場するわけなのですが、こういった事を人のせいにして熱くなるか、冷静になって「愛犬のトレーニングのチャンスだ」と考えるかで、長い目で見ると成果が変わってきます。

 また変な飼い主を見つけたら、木の陰でヒソヒソしているだけではなく、出来る範囲で本人にうまく説明して分かってもらう努力をするのも大事だと思います。ランの環境がトータルで良くなることが、結局は自分の犬のためになるのです。私はまずその努力をしてみて、それでも改善しない場合は、たとえ友達がいても、まだ何もトラブルが起こっていなかったとしても、その日のランは終了、としていました。与えられた状況下でありえる危険の可能性についてすぐ察知出来て、回避策を打てる、というのは愛犬との暮らしの中でいつも最重要な「リーダースキル」といっても過言ではないと思います。




 ところで、幸運にもドッグラン漬けといっていい幼少期を過ごしたコディですが、3歳半を過ぎたころからランへ行っても殆どほかの犬と遊ばなくなりました。コディも人間なら30代、パーティーだ飲み会だと友達と騒ぐモードを卒業して、自分がほんとにしたいこと(=私と何らかの共同作業すること)にフォーカスする時期に入ったのかも知れません。面白いのが、この「犬と遊ばなくなった時期」と「外ですれ違う犬に警戒するようになった時期」が殆どシンクロしていたという点です。3歳半から4歳の間のどこかの時点で、コディは大人の犬になった、と解釈しました。

 ②の2段落目で書いたことも、自分たちがランへ行く機会を減らしてきた大きな理由のひとつです。記述の行動は実はシェパードという犬種の中ではけっこうよく見られるもので、狩猟本能から来る動きですが、他の犬や飼い主にとってはハッキリ言ってはなはだ迷惑でしょう。このあたりのバランスも考慮しながら、「自分の愛犬かわいさ」の世界から一歩踏み出し、「自分たちはランの秩序にとってマイナス因子になっていないか」という疑問をいつも持つことの重要性を、自分の犬からも教えてもらった気がします。



2019年3月1日金曜日

いいことにフォーカスする


 
 犬のフォーカスではなく、私(人間)の話です。

 ここのところ、やっぱり「今の自分が出来る『いいこと』にフォーカスする」という考えを強く意識しながら生活するのは大事だなと、再認識しています。不肖・私自身の場合「自分に出来るいいこと」というと、現時点では仕事や私生活で(自分の子供含む)次の世代をよく教育すること、自然観察のレポートを書いたり(☜実は私の趣味的ライフワーク的活動です。Caudataという日本の生物系専門誌に掲載して頂いてます。興味のある方は是非)、犬と一緒に訪問活動等、生活の余剰エネルギーを社会奉仕の形にして還元することがそれに当たるでしょうか。犬のことに関しては、気付いたことはなるべくこのブログに書きたいと思います。そうすれば、あとで誰かが見て、その方の知識の足しとか、反面教師にしてくれるかもしれません。

 こんな事を考えているのも、常日頃の「生活の中で気を取られそうになる事・特に『かわいそうなできごと』というのが存外多い」という現実をひしひしを感じているためです。たとえば最近だと、やれ子供の虐待だ、犬の虐待のニュースだと、気になって、自分でもなにか発言せねばならないような気になることがすごく多いです。でも、そういう時はこう考えます。「私はただ家で子供を育て犬を飼っているからというだけで彼らのこと何も知らないじゃないか」と。そんな私の発言は、周りの人にとっては価値が少ないはずです。そしてそのような時はむしろ原点にかえって、やっぱり「今の自分の立場『だから』できることはなにか」というところに集中するべき必要性を感じています。


2019年2月8日金曜日

ドライブとエナジー



 セラピーのリクエストが来ていました。行き先はホスピスでした。よく考えた上、今回は見送ることにしました。今のコディはエネルギーがありすぎるように思うので、訪問中いつ・なんどきでも200%信頼がおける、というレベルに犬が達するまで、終末医療関連の施設は訪問しないでしょう。患者さんたちが本当に貴重な時間を生きている場所です。どのような形であれ、犬がその時間の質を落とすような事は万にひとつ、いや億にひとつでもあってはいけないからです。

 ホスピスへ行くにあたって、犬たちはおよそ三週間にわたる追加トレーニングを受けます。このほかにも、目的に応じて訓練を受けねばならないシチュエーションはいくつかあります。機会は多くない(無いほうが良い)ですが、銃の乱射や自然災害の後に活動に行くユニットなども、ハンドラーの勉強と訓練ならびに、犬のストレス耐性の選考テストを更に受けます。以前ドッグランで出会った介助犬のハンドラーの方が言った、「犬は、テストに受かってからが本番よ。」という言葉を思い出します。ひとつの課題をクリアしても、またより複雑な課題が現れて、常に勉強が続きます。


 話は変わりますが、エネルギーと言えば、作業犬界隈の人々の書いているものを読むとしばしば「ドライブ」と「エナジー(エネルギー)」という単語が出てきます。「ドライブのある犬」とか「ハイエナジーな子犬」とかいう風に使われますが、人によってことばの遣い方が微妙に異なるような気がしていました。混同しがちなこの言葉について、自分なりにいろいろ見聞きした情報をもとに意訳してみると

 ①ドライブ=犬の本能に根差した動機 作業欲求につながる
 ②エナジー=犬の魂に根差した欲求 感情のパワー(動機を実行する力)

みたいなところでしょうか。こうしてみると良い作業犬というのは、ドライブとエナジーが高いレベルでバランス良く備わっていてることが大事だと分かります。ドライブには種類(フード・ドライブとか、レトリーブ・ドライブとか)があるとされますが、その中でも作業犬に必須なのはプレイ・ドライブ;狩猟への欲求だと言われています。簡単に言うと食べ物よりもおもちゃに執着するタイプの犬がこのカテゴリに含まれます。

 先祖代々作業目的で増やされてきた系統の犬というのは、このエナジーレベルとドライブの度合いに相関があって、程度の差はあれ、生まれてきた時点でこれらを併せ持っていることが多いですね。でも、ほかの系統の犬や、ミックス犬の場合でもハイエナジーかつハイドライブの犬は居ます。反面、こういう犬の中でエナジーレベルは高いのに、ドライブはそんなにない・なく見える、という犬も、わりとよく見かける気がします。


フレンチブルドッグによるIPO3の実演

 ポイントは、「エナジー」は生まれ持ったもので生涯変わることがないその犬の性質ですが、「ドライブ」に関しては、犬のもともと持つ興味の方向性に合わせて人がディレクションを与え、共同作業の経験を通して高めてあげることができるという点です。ドライブが高まると、「もっと作業をして、成功したい」というルーティーンが生まれ、ある作業を成功させるというその過程において、エナジーの捌け口も生まれます。レスキューやシェルターから犬が貰われてくるとき、しばしば「オビディエンスのクラスを受けてください」と言われるのは、こうして犬のドライブが高まっていく過程において、犬の中で飼い主自体に対する期待と執着(=ヒトから見た「絆」)が強まるからだと思います。

 一般的に作業犬とされる品種じゃなくても、ハイエナジーな犬は、ドライブの方向性を見極め、能力を育ててあげることで本当に色んなことが出来るようになる可能性を秘めていると思います(上のビデオをご覧下さい)。ただ、これらのダイヤの原石達は日常生活のなかでは扱いにくい傾向にあると思うので、純正なコンパニオン・ドッグを目指したいという場合には、五段階評価で言えばドライブ3/エナジー2、みたいな犬が良いのではと思います。[note:]上のフレブルは体格やハンドラーの様子等を見るに、もともと優れた犬が優れた訓練技術のある人に育てられたものと推測します。やればどんなフレブルでも出来る!という意味ではありません。

 なんてなことを考えながら、日曜日の犬トレ通学していました。犬の「ドライブ」と車の「ドライブ」をかけたつもりだったんですが(え~)、、、行って帰って2時間以上、山を越えて美しいバージニアの田舎道を走るので、本当にさまざまなことを考える時間があります。子供漬けの1週間の貴重な癒しと言えます。




2019年2月5日火曜日

雪あそび



 冬の雑木林は綺麗です。コディはキツネやシカの痕跡を探して忙しくしています。こういう活動は、楽しいだけなのかと思いきや、けっこう緊張するようです。時たまブルブルブル!と大きく体を振るったりして、気を紛らわせているのを見かけます。別の日に見ていたトラッキングのビデオで、インストラクターが「匂いの追跡はストレスフル」と言っていたのを思い出し、そうなんだと思いました。

 興味本位で匂いを嗅いでいるのと違って、自律してある匂いに集中しそれに全神経を集中させた状態を持続することは、かなりの忍耐力を要するでしょう。でも、地面に鼻をつけてゆっくり慎重に動物の気配を追いかけている時の姿はなかなか様になっています。この慎重さ丁寧さを練習でも発揮してくれたらいいのにな~と思います。

 こういう時に不意打ちで「スワレ」の指示を出してみたりすると、一瞬、どんな報酬があるのか思い巡らせている目でこっちを見てからゆっくり実行します。犬の頭の中にちっこい天秤があって、いつも飼い主の乗ってる皿に(僅かでも)比重が置かれた状態にしておきたいです。うちの犬にとってキツネやシカの誘惑は手強く、まだまだ修業が必要でしょう。




 この日子供と雪遊びをしていて思ったのですが、1匹の犬にこうしていろいろ教えたりして育てる事は、雪だるまを作ったり、砂の城を建てたりすることと似ているなという事です。100パーセント完璧だ!と思えるものが出来上がることは、なかなかないし、一生懸命やってても、知らない誰かに踏み荒らされてしまったり、突然の波にさらわれることもあります。幸運にも最後まで制作を続けられたせっかくの「作品」も、いつかは自然に帰っていきます。

 雪や砂をむりに何かの型にあてはめようとするよりも、手元にあるこの雪の美しさ、浜辺の砂の暖かさをただ享受しながら生きるのがいい、そう思う人も沢山いると思います。そういう人にとっては、たとえば私が常に犬にあれをしろ、これをしろとやるのを見て「不毛だ、可愛そう」と思うかもしれません(実際、身近な人にそう言われたこともあります)。しかし、「この砂で城を建て、登って景色が見たい」と思うタイプもいます。だれかが作りかけで放棄した作品のひび割れを埋めながら、形良く仕上げることが好きな人もいます。すごく人ぞれぞれです。

 特になんのオチもない話なのですが、、、雪の雑木林を見ていると、自分の飼い犬との巡り合わせというのは、この無限にあるように見える雪の中からの、偶然のひとつかみと出会うのに等しい、稀な出来事なのだから、大切にしなければならないような気がします。

 上の写真は、夕方の散歩の様子です。ひもつきボールがしばらく届かなかったので、トレ散歩のご褒美はコングのボールに靴ひもを通したもので代用していました。積極的にひっぱりっこをする事はないですが、こうしてボールの部分に食いついたまま、引っ張ってもらって歩くのが好きなようです。碓氷峠を超えていくディーゼル機関車の気分でした。1キロくらい飽きもせずこのまま歩いていました。実に嬉しそうな顔をしています。


かわいいDella


 モンディオリングのクラスが続いています。2時間の授業の間、自分が直接コーチしてもらえるのは20分程度で、それ以外の時間は全て他の人の練習を見ることに費やされるのですが、これが意外と勉強になります。この競技はヒールは右側でも左側でもよかったり、所謂IPO等で見られるようなぴっちりと横に着くツケはしなくても良かったりとゆるい部分もある反面、声での指示と体を使った指示(手によるサインなど)を一緒に出してはいけない等、今までと少し違ったルールがあります。

 今まではごく自然に声と手の合図を同時に使って犬を動かしていたので、いざ声の合図だけにしてみたら、コディは実は「フセ」をちゃんと分かってなかった(!)ことが判明しました。それに、今までどんな時も楽勝でできていたセパレーション(ハンドラーと1分以上離別する。ハンドラーは見えないところに隠れる)で失敗したりと、「え~!」と思うような行動を連発するので、びっくりしました。最近ちゃんとしたトレーニングを全然受けてなかったことを思い出させられたし、改めて定期的にクラスとか、それに類する場へ行くことや、環境や題材を変えて、色々な状況をヒト・犬共に経験することの大切さを思い出しました。



 
 いちおダブル育児ブログなので(たまには)人間の方の子供のことも書きます。ワシントンDCで行われた、ワシントン日本商工会の新春祭りに初めて足を運びました。ワシントン日本商工会は、DC地区のビジネス・コミュニティー内のつながりを深めながらアメリカ社会における文化交流と理解の促進を目して設立された組合で、対外イベントの新春祭りが特に有名です。来場者も年々増えているそうです。前にボランティアで通っていた国立動物園のすぐ傍のマリオットホテルが会場でした。

 娘はここで初めて、自らの力でお賽銭をあげて、おみくじを引きました。結果は「小吉」。チビだから、小さい吉が大きさに釣り合っています。もちつきや、ししまいにパックンしてもらったり、和太鼓の演奏を見たりと(オニやかみなり様が大好きなのでとても喜んでいた)、貴重な体験を沢山することが出来た。大人の言う指示を聞いて、その通りに出来るようになってきているのがいいと思いました。犬トレで言うところのインパルスコントロールはまだ全然だめですが、いずれ出来るようになるでしょう。犬とか他の生き物に比べ、霊長類の桁違いの「脳力」を日々見せつけられます。




 仲良しのお友達とこっそりホテルの階段に登っておしゃべりとかしていました。耳をすますと「ねんど持ってる?」とか、「わたしは階段からジャンプしたことある」「おもちが大好き」とか聞こえてきて、3歳4か月でも、ちゃんと話題があることに驚いた。

 家の子供も含め、このくらいになると皆アメリカの保育園(プリスクール)に通っているので、まわりのお友達は、だんだんにメインの言語が英語に切り替わっていっています。娘も幼稚園(キンダーガーテン)に進むころには、英語脳になっていくのかな。そんな彼女ですが、コディにトンカツもぐら先生という独創的なあだ名をつけたり、蝙蝠の写真を見て「ねずみドラゴン」と言ったり(←これはなんかすごくわかる)、おもしろい日本語の感覚をもってるので、忘れちゃったらもったいないなと思っています。




2019年1月24日木曜日

新しい1年



 新しい一年が始まりました。コディは4歳です。気付けば去年と全く同じタイトルでブログを書いていることに、去る一年も平々凡々ながらほぼ何事もなく過ごせたことへの、「ありがたや」という気持ちがわいてきます。ちょっと気になって、その前の年の新年は何を書いてたかとみてみたら、2017年は3月まで記事がありませんでした。子供が一歳七か月で、イベントごとなど何もないのに、とにかく毎日が忙しかった頃です。2016年はコディが一歳になったと書いてますね。村いぬへの道は遠く険しく、その目標はまだまだ達成できてないな。その前の2015年は、愛犬は母犬のおなかの中だったと思えば、長いようで本当に短かかったこれまでの4年間です。

 上の写真は、自分の手から湯気が出ているところを写真に残したくて撮りました(ぜんぜん映ってないですね)。私は冷え性とは真逆の体質で、ドカ雪の日でも、犬と一緒に歩いているとだんだん体がすごく熱くなってきます。そのタイミングで「雪などを掴んで手から湯気を出す」という、我ながらじつに質素な娯楽に興じることがいつもなのですが、そんな頃には、雪の中でエンジンのかかってきた犬もモクモクと大量の白い息を吐いているので、顔を見合わせるとなんともオモロイような気分になってきます。私達が生きていることを実感する瞬間です。2019年、健康に気を付け(チビが生まれてからこっち、ときどき股関節が痛むことが出てきました)、元気に生きていきたいです。





 新年の話題その1です。去年の終わりに書いたトラッキングの練習をちびちびと続けています。最近「旗=何かが起こる魔法のアイテム」の式が出来上がったようで、見るとダッシュで駆け寄るようになった犬です↑。正確な距離は測っていませんが、私の足で90歩位の距離までならなんとか追えるようになってきました。でも、IPOで見るような、足跡ひとつひとつを確認していくようなあの勤勉な動きには全く程遠いですね。空気の匂いを嗅ぎながら、右へ左へせわしなくダッシュで目印を探ろうとて、すごくおおざっぱです。今の段階では、自分で先に進もうとするよりも、基礎レベルの練習をちみちみ続けていこうと考えています。無意識に距離をのばすことばかり考えてしまわないように、練習の距離も今後はもっと縮めようと思います。




 話題その2です。国際畜犬連盟(FCI)が主導しているプロテクションスポーツの一種に、「モンディオリング」というマイナーな競技があるのですが、その初級の、プロテクション以外(服従とジャンプ)のポーションをこの1月から教わりはじめました。この競技はどちらかというと西海岸のほうが盛んで、トレーニングをやってくれるインストラクターは、自分たちのエリアだと100キロ先の田舎町に一人しか居ません。休日、ちょっとした「1人+1匹旅」気分で通っています。

 未去勢・未避妊・ドッグリアクティブな犬などなんでもOKのクラスで、練習場所は他犬から見えないようシーツで覆われていたり、待っている間犬はクレートに入れられたりと、自分たちが今までやってきたトレーニングとはアプローチが異なるところが多く、とても興味深いです。コディにとっても、分離不安傾向の犬の鼻泣きや、シーツ越しに猛然と吠えるロットワイラーの声をBGMに練習したりと、新しい経験になったことでしょう。練習場では、「オイデ」はほぼ使わずに、犬が自主的にやってきて共同作業しようとするまで待ちます。遊びと練習を素早く交互に繰り返すことで犬の活性と能率を同時に高いレベルにもっていこうとする、テクニカルなトレーニングスタイルでしたが、ベースにある考え方は私がいつも空き地や原っぱでやっていることにとても近く、わかりやすかった。

 新たな発見としては、コディはバイトピローが好きなことが分かりました。タグもほとんどしないし、うちにあるバイトバーもほとんど噛まなかったので、ひっぱりっこ系のおもちゃはピンとこないのかと思っていましたが、教室にあった使い古されたヒモ付きのボールや壊れかけのピローを血相変えて噛みに行っていた。どうもこの壊れかけというのがポイントのような気もしますが、帰ってからさっそく安いピローと、ひもつきのボールをアマゾンでポッチしました。届くのが楽しみです。


変わらぬボロ家ぶりです

 
 三歳児がいたり、家のことや仕事のこともあったりで、毎日の練習に割ける時間があまりないので、私達の練習はトレ散歩と、それから夜に食器を洗いながらキッチンで練習するなど、基本はいつも「ながらトレ」です(写真は夜更けの台所の図)。トレーナーの先生によると、モンディオリングで求められる事は、" exercises would be very similar to the Open & Utility levels in AKC/UKC with a lot more "stuff" added"、、、AKCやUKCオビディエンスで言えばオープンやユーティリティレベルに類似するもの+アルファ、とのことなので、よく考えたらかなり難易度が高いところにいきなりポンと入ってしまった状況と言えて場違い感がすごいのですが、やれるところまでやってみよう。犬は果たしてどこまでついてきてくれるでしょうか。