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2021年11月16日火曜日

「ミッション・レディネス」


 犬の運動機能の向上についてちょこちょことオンラインの講座を受講したりして、勉強を続けています。日々の生活のすきま時間を利用してなので、自分でも考えたりためしたりしながらだと遅々として進みませんが、徐々に犬の体を見る目が養われてきているような気になって?楽しいです。学んでいるのは主にワーキングドッグ(警察犬、探知犬、救助犬や牧場で働く犬等)、プロテクションスポーツをする犬のハンドラーを対象としたものなので、自分の犬には転用できない事もありますが、参考として全て頭に叩き込むつもりで見ています。

 題材の中に、「Mission Readiness/ミッション・レディネス」という言葉が出てきます。「使命を果たす準備がととのっているか」というような意味でしょう。作業犬にはさまざまな使命がありますが、ペットに毛が生えたようなコディにも、セラピーの訪問という使命があります(日夜命がけの作業に従事する犬がいる中、本当にお気楽な『使命』ですが)。

 犬達は要請があった時、即座に社会の役に立つために、最上級のパフォーマンスが出来る状態を極めておく必要があります。これだけ言うと、使役する人の側の都合を押し付けているみたいですが、心技体がバランスよく整っていることは犬の自信を向上させ、ストレスを軽減し、怪我を防止し、間接的にその犬が長く健康に仕事に従事することが出来るという意味でもあります。犬自身の福祉にとっても非常に大切なことなのです。


 ワシントンDCは新型コロナウイルスの流行下、政府の施設の多くが閉鎖されたため、政府付属の機関に定期的に通っていたコディの活動も休止していました。ワクチンの普及と共に街のようすは元にもどってきたものの、セラピードッグ達が気軽に訪れられる状況はまだまだといった感じで、コディも加齢とともに以前と違った行動を見せているし、もしかするとこのまま引退かなあなどとのんきにしていました。

 ところが先月になって緊急の招集がかかりました。行き先は、最近政権が崩壊した中近東の国のタスクフォースで、土日祝24時間稼働しているとのことでした。ライフワークバランスを重視すると思われがちなアメリカ人が、昼も夜もスーツで缶詰になっている部署というのはふつうではありません。こういう、緊張感の高い場所へ行くほど、犬も人もむしろ平常運転でいることの方が大切です。窓のない政府の建物の中で日夜、冷たい活字と早口の要請の渦の中にいる人々にとって、犬は温かい生命や、日常の象徴ともいえるものです。ふつうの、どうでもいい会話の糸口であったり、落ち葉やよだれや、生き物の温もりを運ぶことがコディの「ミッション」です。夜間の訪問でしたが、準備は万端で臨むことができました。

 この訪問をアレンジしてくれているコーディネーターの方は、この機関にセラピードッグが定期的に訪問するようプログラムを確立したのは「2年前、初めて訪れてくれたコディアック(『The pup who started it all』)が大きなインスピレーション源になった」と、あとでメールに書いてくれました。また、訪問後自宅にブリンケン現合衆国国務長官のサインの入った感謝状が届けられました。セラピードッグの訪問活動を通して、こんなに大きな賞賛を立て続けにもらうことは今後もないと思われますが、「Mission Readiness」を意識しながら日々犬も人も心身の状態を整えていたことが、わかりやすく報われた出来事でした。


2021年6月30日水曜日

田舎生活の課題点

 ランチブレイク時のミニミニトラッキング(黄色い旗が目印)

 田舎エリアへの引っ越しから早くも8カ月が経過しました。仕事や子供のホームスクーリングもどきも大詰めを迎える中で、かなり忙しくしてしまい、コディにはその分しわ寄せが行っていたように思います(本犬はのんびりウサギの糞を食べたりして満足そうですが…)そんな中で、「田舎生活と飼い犬の健康ライフ」という観点から、2つほど気付いたことがあります。

 まずひとつ目に、田舎では犬との行動範囲がかなり制限されるということです。車を出してどこかへ行って…、というような事はもとより、ふだんの散歩などにおいても、畑あり、林道あり、雑木林あり、各家々の敷地などは広々としてスペース的には十分な見たかんじとは裏腹に、自由に立ち入らせたりできる所はほぼ皆無なのがちょっと残念な所だと思いました。これらの場所は私有地なのでもちろん勝手に犬を放して遊んだりといった活動もいけません。

 このような住環境に来るときめた時点で、そういった点は考慮してありましたが、計算外だった点は積極的に犬を連れだす主な人(私)がこのコロナでうっかり多忙を極めてしまったことです。その結果、コディの外出機会が目に見えて減少するという事が起こりました。加えて、都会や郊外では馴染みのある犬の運動や遊びを代行してくれる場所や、サービスなどにもアクセスできにくい状況です。モノとモノの距離が離れているので、飼い主が忙しいと、途端に社会化のための外出や、しつけ教室等に参加する機会も限られてきます。子犬や若い犬と暮らしている人にとっては特に死活的な問題です。「愛犬との田舎暮らし」は、自然がいっぱいで空気もよくてと、なんとなく先行するイメージとは異なり、大きく飼い主のマンパワーに依存した案外と脆弱なものであるという感想に至りました。

 またもう一点は、田舎の住環境で犬に与えられる運動が比較的単調だということです。道を延々と歩く…、、、林道を延々とウロウロする…、、、そういう運動が非常に多くなりました。これらの運動は気分転換やストレスを除くためにはとても大切なものですが、身体を作っていく運動とは異なります。コディは幸運なことに、犬生の初めの5年間を人気のない自然公園の横に住み、人工的な床での運動・昇降はもとより、自然の道や獣道、倒木の上を乗り越えて丘を谷を自由に駆けまわる生活を続けてきたわけですが、今思うとかなり恵まれた環境だったと言えます。現在の日々の運動の内容を見返してみると、以前と比べて見劣りがします。見た目からは分かりにくいですが、体幹の筋肉などはかなり失ったのかもしれません。こうなってくるとケガが心配です。何しろ、(後述しますが)完全にやる気が体力に先行している性格なので…。

 余談ですがアメリカの田舎の方のドッグイベントを調べると、アジリティ大会がものすごく多い事に気付かされます。今までは、実務になにも関係のない遊びの競技がなぜこんなにポピュラーなのかなあと思っていましたが、今回実際に似た環境に住んでみて、はじめてその理由を体感した気がします。アジリティは、単なるのドッグスポーツの枠を超えて人・犬にとっての社交の場、また犬に対してふだん不足気味な動きを要求するアスレチックの良さをバランスよく兼ねていることが人気の秘訣なのではないかと思いました。


みつけた~ (歓喜で目が血走る)

 今日の写真は、ランチブレイクの時にやっている「ミニミニトラッキング」のようすです。アーティクルは、コングにドッグフード(コディの昼飯)をつめたもの。旗を持ってコングを置きに行こうとすると「早くやらせろ」と、ヒンヒンヒャーヒャーうるさいです。でも、若い頃は私の前に陣取って天に向かってギャンギャン吠えたりしていたので、大分おとなしくなったようにも思います。とにかく、シャイロのわりにやる気がかなり強いのが面白い反面、心配です。遠くの豆粒のような害獣なども見つけると、50キロ以上の体でかくやと思うガチ走りを見せるので、とにかくフィットネスと付け加えてケガの種類やケガ予防について、真剣に考えているここ最近です。



2021年5月1日土曜日

なにが君のしあわせ



 休日、コーキング剤を片手に這いまわるガレージでの作業が終わりました。かわいそうなミミズが潜り込む穴をおおかた塞ぎ終え剤を乾かしている間に、ガレージの隅にヒト・イヌ兼用のエクササイズコーナーを作りました。雨の日や日没後は、ここで娘や犬を遊ばせようという魂胆です。引っ越して少しスペースが出来たので、ついついこうして余計な事を考えてしまう。

 犬用に作られたエクササイズ用具もいろいろ見たのですが、コディくらいのオオイヌだと、道具が小さすぎたり、逆にとても巨大で高価だったりして、こういうのは最初に良い道具をそろえるのがうまく行くカギだとは分かりつつも、二の足をふんでしまいました。当面は自分用のフィットネス器具をそのまま流用して、いつもはしない動きなどをさせるにとどまりそうです。少しくらいグラグラ、ガターン!となるようなオブジェクトの上でも、ボールを見せると細かい事は頭からふっとぶタイプなので色々な動きを一緒に出来るのではと、期待しています。


「できました」
なにか違うような気がするが……



 コディはグラグラボードの上に前足を置くことが出来たので、その後、ボールを空き箱の山の中に隠してもらい、一生懸命探していました。あらためて、犬となにか新しいことに挑戦するとき、自分の犬が「これをあげれば(すれば)とても喜ぶ」ということ、報酬がどんなものごとかが事前にはっきり分かっている事は非常に大事だと思いました。

 アンパンマンのマーチに「何が君の幸せ 何をしてよろこぶ」というフレーズがありますが、まさにそれが重要です。わからないまま終わらないための唯一の方法は、自らの手で何十時間、百時間幾千時間と、犬と一緒に何かに取り組み相手の心を探求する時を過ごすしかないのですが、犬とは無尽蔵の愛を持ったいきものなので、そういうヒトの努力の過程や、たとえそれがむだなあがきであっても、無限に応えてくれます。だから、そういった一見地味な日々の努力が可能であり、且つ苦にならない人々が、また犬を飼うという事の恩恵をとくべつ沢山享受できる人、という事でもあると考えられます。




2021年4月4日日曜日

地面の効用


 一晩中吹き荒れたものすごい風が、幹の太さがひとかかえもありそうな庭木をなぎ倒して過ぎ去っていくというすこぶるワイルドな春一番を経て、バージニア北部の我が家地域にも春がやってきました。オオイヌノフグリや、カタバミ、シロツメクサなどといった日本でもお馴染の植物がそこここに群生しているので(というか、日本に移入していった植物の言わば『元ネタ』がこちらという事も多い)、あまり「ザ・海外の春」という感じはしません。両生類がたくさん見られるシーズンも始まっているので、結構頻繁に留守にしました。

 犬的な話題と言えば、最近、犬の解剖学と生理学に興味を持って、時折時間のある夜に本や文章を読むことが出てきました。フィットネスの観点から「中年以降の犬の健康をどう守るか」という疑問について考えた時、日々適切に体を動かして代謝を健全な状態に保つことが一つの解だと思いますが、それ以外にも衰えていく筋肉を安全な方法で増強したり、犬の体の柔軟性を維持・高め、ケガを予防していくには、どのような方法があるのかを探っています。もう一つ大切なカギとなるのは栄養だと思いますが、情報量が膨大なエリアなので、こちらはなかなか手が付けられていません。検定の時に覚えた知識も、だいぶ風化してしまいました。

 上の写真は、先日の雪の日の写真です。結果的に今年最後の積雪となった日でした。このような雪や岩などで段差ある自然の造形はまさに「でこぼこ」で、アットランダムに起伏が繰り返され、時に氷が張ってツルツルの滑りやすいところなどもあります。自然の大地の表面を、気を付けて歩き続ける事は、犬にとってはそれだけで(脳も含めた)全身運動、と言っても言い過ぎではないと感じます。犬の生活の舞台が、こうした場所からアスファルトの舗装路に変わっていく過程で、「歩行」のプロセスに使われなくなった脳の分野や、微細な筋肉群がきっとあるはずです。日々の暮らしの中で、これに似た運動を置き換える方法を考えています。