2021年9月1日水曜日

オオカミと犬、遊び、絆 雑考



 とても面白い話を耳にしました。オオカミと「取ってこい」:子オオカミのボール遊びが何を意味するか(Science)。スウェーデン・ストックホルム大学で研究用に集められた幼いオオカミの子供にボールを投げたところ、ごく少数ではあったものの、ボールを投げた人の所へ持ち帰る行動を見せた個体が初めて観察されました。この行動は全体の数からみると珍しい行動でありながら、他にも同様な行動を見せた個体が少数おり、オオカミの中に特性として受け継がれているのではないかという研究者の考えが述べられていました。これは太古の昔、犬がオオカミから分化した過程がどのようにはじまったかという話題について極めて一般的な「食べ物が介在して順化が起こった」とする論に一石を投じる発見だといいます。

 言い換えると、大昔オオカミが人の集落のまわりをウロウロするようになったのは、食べ物だけが目的なのではなかったかもしれない、遊びが介在して順化がはじまったということも考えられるかもしれない、ということになります。近年コンパニオンドッグ界隈でも「犬と人との遊び」の重要性が説かれるようになって久しいですが、そもそもイヌという種族自体が、ヒトとの遊び能力を基にして選抜が起こった可能性すら出てきたというわけです。

 最近コディにまだ熟れていないナシの実を投げていて思いついたのですが、、、人が何の気なしに投げた枝を同じ場所に戻しに来たり、崖下に転がり落ちて行った果物を拾ってきてくれたりするオオカミが、稀に存在したのかもしれません。オオカミもヒトもこれをおもしろいと思い、ヒトは感心して、これは何かの役に立つかもしれないと思ったかもしれません。おもしろい行動をするオオカミに積極的に餌やおやつをなげてやったりして、いつしかそういう「ヒトにとっておもしろいオオカミ」は集落のまわりで暮らしはじめ、おもしろいヤツ同士で結婚しさらにおもしろい子供が生まれ、そしていつしか村の中で、家の中で暮らすようになった。コディを見ながらそんなことを思うと、何かとても自然な気がしました。

 写真は小さい頃のコディ君です。コディは、食べ物をくれる人も好きでしたが、一番は棒や転がるもので遊んでくれる人になつきました。ゲーム全般と、かじるのがとにかく好きで、家をかじられないために一日の大部分を外で過ごしました。大型犬、超大型犬は子犬のうちは運動制限を進められることが多いですが、自由運動に関しては何も制限せず毎日たっぷりとさせました。外の草原で私と共に遊びまくっている時が一番楽しそうに見えたのです。しかし、撫でられることはあまり好きではなかったので、褒め方にはコツがいりました。


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