CASH



 まだ夜も明けきらぬうち、ワシントンD.C.の中心街にほど近いボランティア先の最寄りの地下鉄の駅から出てみると、犬が張り切っていた。彼は地元警察の探知犬なのだ。この犬が何の探知をするのかは聞きそびれてしまったけど、おそらく麻薬類、ひょっとしたら爆弾かもしれない。こんなふつうの朝の街で爆弾探知?と思うけれど、テロリズムの危険と隣り合わせの街でもあるので、いても不思議はない様な気がする。公共の駅にあるゴミ箱は、爆弾やその他兵器のメジャーな隠し場所である。オジサンの出すヘイ、ツケ、スワレ、マテの号令4点セットに幸せ中枢を刺激された犬のシッポは全開だった。残像しか写らない。

 アメリカの都市部でここの所、警察官が自己防衛のために主に黒人の青少年をピストルで撃って死なせてしまう事例が続発して、当地でも、それがもとで黒人の人々による大きなデモが起きた。理由はどんなものであれ、ピストルの弾は、撃ったらもとに戻らないし、それが警官の命であっても、容疑者の命であっても、失われた人命も、もとに戻すことは出来ない。

 そこで、警察官はもっと犬を使ったらどうか?というはなしに、世論はなっているらしい。これは最近ニュースを流し聞きにしていて耳にはさんだのがだ、確かに、犬なら号令一つで出動させることも、「やっぱ中止」することもできる。また、容疑者を実際に噛んで止める時も「めちゃめちゃ痛い思いをさせる」だけで、命までは奪わない。何よりも、犯罪抑止効果があるし、待機中は(写真のように)オフィサーと遊んだりして、精神的に厳しい仕事についている、警察官の心理面にも良い効果が沢山ありそうな気がする。この街にも、元気とやる気に満ちたCASHみたいな犬達が、もっともっとたくさん見られるようになる日が来るのかもしれない。