2015年3月29日日曜日

D.C. 凧揚げフェスティバル、ほか

朝10:00、お祭りが始まった直後


 コディの三ヶ月齢を目前にした最後の週末。これと同時に管理人の「犬・育休」も、いよいよ終わり間近となってしまった。そこで金、土、日と、社会化ラストスパートと称して、ワシントン・ダレス国際空港近くのコンベンションセンターで行われたスーパーペットエキスポ・2015、ワシントンDC中心街で行われたDC・凧上げフェスティバル、それから近所の農場公園などへと繰り出していた。

 スーパーペットエキスポは年に一度のペット関連の用具や餌の見本市で、それ以外にも作業犬のデモンストレーションがあったり、リードをつけた一般の犬も一緒に入場できる、なかなか楽しいイベントになっている。

 凧上げフェスティバルは、年々有名になっていく印象のある「DC桜まつり/National Cherry Blossom Festival」の一環として、毎年ナショナルモール周辺で行われる愛好家の集まり。みんなで凧揚げしているのは牧歌的印象だけれど、結構シリアスな競技などもあるらしく、このためにわざわざ遠くから参加する人々もいるそうだ(長くなったので農場公園については、別記にします)。


エキスポで出遭った素敵なプードル


 ペットエキスポでは、商品に触らないようにさせる「leave it」のコマンドの効きが不十分なことと、どんな犬とすれ違うか分からないという点が不安要素だったけれど、こういうセッティング下でシャイな犬、防衛的な犬、怒りっぽい犬など様々な成犬の態度に触れるのも多分いい勉強になるだろうと思い、極度に興奮している犬以外とは、挨拶してもいいかどうか聞いたうえで、できるだけ触れ合わせるようにした。まだ子熊のようで可愛く見えるコディは会場でも沢山の人に撫でてもらったり、オヤツを貰う事が出来たけれども、他の人に触ってもらう前に「スワレのコマンドを入れてください」と、いいタイミングで&かつポジティブな感じでリクエストするのが難しく、これは今後の課題になった。




 凧上げフェスティバルでは、上空にある大きくてバタバタと音を立てるもの(例・・・飛び立つ大きな水鳥、旗など)が苦手と既に分かっているコディにとっては少々ハードル高いかなと思ったけれど、DC各所に掲げられたアメリカ国旗や強風にうなりを上げる凧の群れ、祭りムードに盛り上がった人々と興奮した犬達の間でシャッフルされた結果、帰る頃には「がんばればなんとか共存できるかも?」という雰囲気にはなっていた。この日はあまりの寒さに人間(♂)の方が根を上げたため、ほんの一時間半ほどの滞在になってしまったけれど、なかなか有意義な経験になった気がする。

 多種多様なものが混在する都市の雑踏を歩くのは犬にとっていい刺激になるので、記憶が薄れない来週中に、またもどってきて復習することにした。上はこの時の管理人とコディ。遠近もあるけれど、コディが11週目にしては大きい仔犬だということが分かる写真。毛並みのせいか、毛色のせいか、シェパードの雑種とか、ロットワイラーの雑種、チャウチャウ犬ですか?と聞かれたことも複数回あった。もっとジェネラルな質問である「何犬ですか?」と聞かれる事が一番多いのだけど、詳しく説明しようとすると話が長くなりがちなので、時間が惜しい今は(自分でも感じワルイなあと思いつつ)「ロング・ヘアのジャーマンシェパードです」と答え、会話を短く切り上げている。そのうち、犬の周囲へのマナーや、拾い食いの危険性、リードの引き等を気にすることなくのんびり散歩を楽しみながら、道すがらの人々とのんびり犬トークを楽しめるようになりたいものだ。




 凧揚げフェスティバルの日は帰宅してから、たっぷり昼寝タイムをはさんで、それから近所の量販店で行われているパピー・クラスに参加した。コディは、先生の話半分で、目の前にいた可愛いイングリッシュ・ラブラドールレトリーバーのピカルディちゃんと目が合うのを、辛抱強く待っていた(笑)。クラスの間中おりこうだったピカルディちゃんはコディの事を「毛深いヤボな男」と思ったようだが、飼い主のカップルはコディの事をいたく気に入り、ピカルディをお嫁にあげてもいいわ!と、さっそく彼女の将来を勝手にアレンジしていた。

 もう、すっかり親の心境なのだ。管理人が初めての犬を飼った時は中学生だったから、まわりの大人達が犬を飼うと皆急に自らを「○○(犬の名前)のママ・パパ」と言い出す気持ちが分からなかったが、30を過ぎた今、徐々にその心境が分かる様になりつつある気がしている。仔犬と向き合う事によって、こんな風に時の流れ(と自分が年をとっていること)に向き合う瞬間も出てきたりするので、悲喜こもごもである。


2015年3月24日火曜日

友達ができた

お尻を並べて水たまりの水をのぞき込むコディとデヴィ。

 先日、コディと共に近所のスターバックスの脇に座ってコーヒーを飲みながら、そこを通りかかるランダムな人や犬と触れ合わせるということを行っていた最中、うちの犬と同じくらいの年齢に見える、とてもかわいい仔犬に出会った。この犬の名前は「デヴィ」といい、聞いてみるとコディよりも3週間年上のメスのオーストラリアンシェパードだった。薄い青色でちょっとクレイジーな感じの目と、シッポのないおしりをクネクネと振りながら飛びついてくる様子がとても愛らしい反面、かなりバイタリティがあり活発で永遠に走り回っていられるうえ、遊び方自体もけっこうハードなので、飼い主のお兄さんはデヴィの遊び相手を探すのに苦労しているとのことだった。



遊びの合間のプチ勉強タイム。やはり3週間の差は大きかった。

 そこで2匹を遊ばせてみると、やはり牧羊犬同士だからかすんなり気が合ったようで、すぐに仲良くガルガルと遊び始めた。といってもあちらの方が年上だし身軽なので、うちの犬はすぐひっくり返されたり、耳やほっぺたを引っ張られたりしていた。しかしそのうちデヴィが攻撃からパッと走って逃げてもまたすぐ円を描きながら戻ってくると学習したらしく、落ち葉の上にじっと低く身を伏せて興味を誘い、彼女がやってきたところを狙い撃ちにするなど、彼なりに頭を使って攻防しているのが分かって面白かった。

 実はコディもこれまでに「パピープレイデート」等、仔犬同士のお遊びグループの様なものにも幾度か参加していたのだけれど、なかなかうまくいっていなかったのだ。というのも同年代の他の仔犬とくらべて体格が大きいため、特にここ最近はいじめっ子の様なプレイスタイルばかりを繰り返すようになってしまっており、少し気になっていた。だから、デヴィのように小柄でも高い身体能力とバイタリティのある犬によく遊んでもらうことで、上になったり、下になったり、力のさじかげんを学べることはとても意味があるように思えた。



この水飲めるのよー!と、泥水をすすめるデヴィ。
マネして飲んでいたコディ、あとでお腹をこわしてしまった(T_T)


デヴィとキキ

 夢中で遊ぶ犬の様子に気を取られていたら、あたりはあっという間に真っ暗闇になっていた。デヴィの飼い主キキがたき火を炊いてくれたので、三月の夜風に漂う冬の残り香を嗅ぎつつ(火で炙るソーセージを持ってこなかったことをかなり残念に思いつつ)、楽しい時間が過ぎていった。





2015年3月20日金曜日

生後10週目



 家から出てすぐのあまり人通りのない脇道に、ひと株だけスノウ・ドロップ(マツユキソウ)が生えている。 今までもなごり雪のまばらなこの時期になると、その隙間からひっそりと1・2輪だけ綺麗な花を咲かせていたので、風が吹くと小さなベルのように揺れるかわいらしい佇まいが、冬を乗り切った証の様な気がして、毎年楽しみにしていた。そしたら今年は雪が多かったせいか、奮起して?5つも花を咲かせていた。これは過去3年間で最多の開花数だ。そんな今日は米国ではFirst Day of Spring、春分にあたる日なのだ。外はダメ押しのように雪がちらついている。




 コディは生後10週目に入り、体重は12キロ弱になった。大きいようだけれど、他の兄弟と比べると小さく、目測1週間分ほど成長が遅れているのでちょっと心配している。道で出会ったジャーマンシェパードを連れたお姉さんが、おやつにカッテージチーズを食べさせると良いよ、耳も早く立つよ。と教えてくれたのだが、コディはお腹があまり丈夫じゃないので、食の冒険はまだあまり出来ないのが残念である。

 雪のちらつく今日の様な日は表を歩き回っての散歩は難しいので、街へ行って犬入店OKな本屋、服屋、雑貨屋等を主に巡ることになる(写真はAntholopologyという服屋で)。コディはまだオヤツやハンドサインのガイドが要るけれど、日常生活に最低必要と思われる、12のコマンドがだいたい出来るようになってきた。今週末から来週にかけては、何故か苦手でなかなか上手にできない「マテ」と、「スワレ」・「フセ」・「タテ」の区別をはっきりさせること、またトリミングに慣れる練習(特に爪切りとシャワー!)を主にやっていきたいと思う。手への甘噛み癖、オヤツを貰う時歯を使いがちな事、不可思議なものや、フラストレーションを感じた対象物(特に他の犬)に対して吠えてなんとかしようとする事は、シェパードの仔犬の間では比較的よく見られる傾向だという。だからといって放置していいとはあまり思えないので、今後もトレーナーの人にいろいろ話を聞きながら、改善していけるようにがんばりたい。





2015年3月15日日曜日

BONNIE



 犬を迎えるためにと前々から準備して今月いっぱいとっていた休みも、気が付くと半分が過ぎてしまっていた。最初の頃は「一ヶ月も赤ん坊犬につきっきりでいたらノイローゼになるかも」と懸念していたけれど、ここへきてもうあと二週間しかないぞ!と慌てるとともに若干寂しい気分を味わっているのは、仔犬の成長の速さを目の当たりにしたせいかも知れない。コディは耳をすますと、めきめきと音が聞こえてきそうなぐらいのスピードで大きくなってきている。仕事や用事で家を留守にするようになれば、成長期の一瞬で現れては過ぎ去っていく変化を見逃してしまうことになるのが惜しいと思うようになった。

 反面、今月に入ってから犬の飼育用品一式にゲートにクレートに、ブリーダー宅への何往復分ものガス代やホテルの宿泊費、トレーニングクラスの月謝に医療費、子犬用の健康保険プランに・・・・・・と、あらゆる箇所で散財してしまったので早々と仕事やバイトに明け暮れたい気持ちもヤマヤマなのだ。。そこで、クレートトレーニングを急いでやる必要が出てきた。基本クレートなど入りたくない子犬に、静かにクレートに入っていてもらうには?トレーニングやオヤツも有効だけど、やはりまずは犬自身をクタクタに疲れさせておくことがいいと思う。

 写真のかわいい若犬「ボニー」に出会えたのは、上のようなわけで、コディと共にバージニア州アレクサンドリアという古い波止場町を歩いていた時だ。通りを行く姿に何か特別なものを感じたので、歩み寄って「この犬は何という種類ですか?」と聞いたら飼い主のオジサンとその彼女が大変嬉しそうに(本当にめちゃくちゃ嬉しそうにしていた)、「パタデールテリア」という犬だと教えてくれた。

 一見テリア系の雑種と思われることが多いというこの小さな犬は、ネズミとり専門の作業犬として、非常に古くからイギリスで使われてきたという。作業能力の追求のために良い犬の血を取り入れるので犬種というより「タイプ」に近いようだ。ボニーの飼い主のオジサンは、イギリスで素晴らしい成績をもつ犬を個人輸入してここ米国で繁殖しているのだという。オジサンはさらにこの犬の特技を生かして、ワシントンDCエリアのオフィスや建物で害獣駆除を行う会社まで設てたのだという。現在10数頭が実際に働いていて、ボニーも含む数頭の若犬たちが未来のマスター・ネズミ捕りとなるべく訓練を受けているという。ほかにネズミの通り道の探知、南京虫(ベッドバグ)の探知も行うという。とても面白いアプローチだと思う。


出かけるまえ、おべべを着たコディ。残念ながら記念撮影のみとなった。
本人はすこぶる毛深いため寒さは平気。


 写真には残していないがもうひとつ印象深かったのは、犬種の説明をしながらオジサンがボニーのシッポを掴んで、ヒョイと地面から持ち上げた事だ。今まで見た事のない犬の持ち運び方(?)だった。知らない人が見たら虐待と思えるような持ち方だが、作業中、穴や狭い隙間に潜り込む犬を効率よく引き上げる、パタデールテリアの間では普通に行われているハンドリング法なのだという。犬の方も勝手を分かっていて、持ち上げられた瞬間手足を縮めて顎を引き、すっかりコンパクトになってぶら下げられていたので感心した。これはそもそも犬が軽くて小柄な事、また仔犬の頃から練習を繰り返すうち尾の付け根の軟骨が丈夫になっていくことで可能になるそうである。

 オジサンによると、パターデールテリアはコディ(シャイロ・シェパード)と同じく、AKCに公認された犬種ではないのだという。オジサンはまた、作業性能が最大にして唯一重要なこのテリアにとってAKCに認められ、コンポジショニング(ショーイング)の選択肢が出来る事は犬種にとってはマイナスであるという。そういえばコディを迎えるまでに話した複数のシャイロ・シェパードのブリーダー達も、ほぼ誰一人として「AKC公認」をゴールにしている人は居なかった。公認犬種になると同時に玉石混合のファンとブリーダー層が現れて、犬種自体の品質に格差が生まれていくことは、犬の歴史上何度も繰り返されたことである。

 一生展覧会のスポットライトに当たることのないボニーだけれど、道を行く犬達の中でもひときわ輝いていたように思う。永遠に止まらないシッポと、『自分が生まれてきたわけを知っている』とでも言うような、あのいきいきとした瞳がそう思わせたのかもしれなかった。



2015年3月9日月曜日

仔犬がきた



 雪深いペンシルバニアの山奥から南へ数時間、車の荷台でコトコト揺られて家に来ました。大きさのせいか、顔のせいか、あまり「犬の赤ちゃん」というかんじがしないんですが、シャイロ・シェパードのオスで生後約9週、名前はKodiak(コディ)としました。性格は優しい犬ですが、突然大胆な独立心を見せることもあるので、コントラストが面白いと思いながら観察しています。

 冬生まれらしく雪が大好きで、自宅の裏庭の雪を嬉しそうにシャクシャク、ちょっとづつ食べていたんですが、ここ数日ぐっと春らしくなったことで雪が溶けてしまいました。どうするかなと見ていたら、今度は雪の下から出てきた「コケ」は食べられるかどうか、果敢にチャレンジしているようです。裏庭ではボールやタオルなど、たまにですが何かを持ってきてくれます。今日はコケを食べた後、3センチくらいの小石を拾って届けてくれました。朝と夕とでは大きさが違うと感じるくらい、めきめきと猛烈なスピードで成長しています。

 はたして15年ぶりの仔犬育て、うまくできるだろうか。まずは自分にとっても、この犬にとっても、家庭にとってもひとつの転換点となるだろう、半年後の9月末を笑って迎えられるように頑張りたいと、気合を新たにしました。





2015年3月4日水曜日

KUSHAKUSHAKUN




 心のなかで「クシャクシャ君」と呼んでいる犬が来た。クシャクシャ君は見てわかる通り、生まれついてのくしゃくしゃシルキーヘアが、常に3倍速で活動しているおかげで加速度的にさらにくしゃくしゃしていくという、なんとなく宇宙の定理を想像させる犬だ。この犬はとても小さく、ラットテリアと、チャイニーズクレステッドドッグと、あと何かのミックスだという(飼い主は「サモエドも入っている」と主張しているが自分は「たぶんそれはない」と思っている)。

 クシャクシャ君はなぜこんなにもくしゃくしゃになってしまうのか?という問いは、なぜ彼は常に走り回らねばならないのか?という問いと、連結している。その理由は、クシャクシャ君が勝手に決めた彼の職業による。貰われてきたその日から、クシャクシャ君は「人間のお母さんをまもる」という事に、その小さな胸いっぱいのパッションがバーニングなのだ。クシャクシャ小宇宙の真ん中にぽっかりと浮かぶ「人間のお母さん」の衛星である彼は、いつも彼女の周りをくるくる周回している。誰かが不用意にお母さんに近づきすぎれば、口を小さなo(オー)の形にして、空に向かってキャオーン、キャオーン、と警報する。なりふりなんか文字通り 'out of universe'でかまってなどいられないのだ。

 そんな、他人にとっては若干迷惑なクシャクシャ君だが、「人間のお母さん」に鼻からしっぽの先まで溺愛されて、とても幸せな毎日を送っているようだ。二人だけのユニバースが、いつまでも平和で満たされている事を願っている。





2015年2月28日土曜日

仔犬の社会化と気付いた事




 あっという間に3月になりました。件の仔犬達はもう8週目に入る所だそうで、ここのところあらためてベッドの脇に積んであった「仔そだて本」数冊をひっぱりだして夜な夜な、近所の定食屋さんに入り浸り、読んでいた。そこで、ホラーな事実に気付いてしまったので、今日は、その事について書こうと思います。

 気付いた事と言うのは、イヌの一生にとって一番感受性の豊かな時期(=最も効果的に社会化できる時期)は、飼い主が子犬を家に連れてきてからひと月ほどで終わってしまうという事実。それは、複数のジャーマンシェパードのブリーダーや飼い主達に勧められたThe Art of Raising a Puppy(写真の本)を読んでいた時、その成長段階ごとの説明を見ていわゆる「真の社会化期」って、意外と短いなと思ったのが発端だった。そこで一般に言う「社会化の臨界期」の厳密な時期についてがぜん気になりだし、調べたところ、Dog Actuallyというブログマガジンの史嶋桂さんの書かれたコラムにこの頃の発達についてわかりやすくまとめてあったのを見つけることができた(灰字部にリンクしました。これから仔犬を飼おうと思っている方におススメの記事です)。以下は読書の覚書もかねて、「生後0日から4か月めまでの間に子犬の脳裏で何が起きているか」について、手持ちの本やウェブサイトで読んだことを自分なりにまとめたものになる。

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 生後0~13日目まで

 仔犬は嗅覚、触覚にまつわる単純な記憶以外を学習する能力はなく、日常の90%の時間を寝て過ごしている(起きていても寝ていても脳波に変化がない)。しかしこの時期の終わりごろから徐々に個体差らしきものが出てくる。この時期人間のハンドリングによって日々仔犬が「適正なストレス」にさらされることが、諸説あるがその後の社会化に一定の効果を生み出すと考えられている。

 生後13~20日まで

 12日から15日目までに子犬の目が開き、仔犬の感覚が急速に成長する時期に入ったことを知らせてくれる。感覚器の発達と共に、仔犬達は自分の今居る環境や、外界からの刺激に対してずっと繊細になる。仔犬は自力で棲みかの中で「冒険」を始めるので、様々なオモチャ等に触れる機会を与えられるようにする(このあたりが社会化期のぼんやりとしたはじまり、と言う気がする)。

 ここでも子犬に「適正なストレス」を与えることが重要視される。例えば足先をつまんだり、体重計の冷たいプラスチックの表面に乗せたり、仰向けにひっくり返すなど。これらのプロセスを行った後は、仔犬をやさしくゆっくり撫でて落ち着かせ、ストレスとなでられる経験をセットで印象付けるようにする。ここで、人の介入や触られることによく慣らしておくことが、後でイヌの体のケアや獣医師の検診をずっとラクにする。

 生後3週間~12週間(三か月齢のおわり)まで

 真の社会化期の到来。その犬が一生を通して受け入れるべき物事は、全てこの時期に親しまされておく必要がある。この時期の社会化は主に2つの段階に分けられる。

フェーズ①:犬同士の社会化期

 生後4~6週間の間に訪れると考えられている、母犬や兄弟との重要な交流の時期。仔犬たちはこの時期、与えられた棲みかから出て他の兄弟たちと遊ぶようになる。ここで様々な重要な事・・・個体同士のコミュニケーションの仕方や、他者に対する力加減を学ぶ。5週目の半ばころ、子犬はそれまでの母犬だけにフォーカスした生活から徐々に「それ以外の世界」へと興味を移行していく。

 犬同士の社会化と並行して、仔犬たちは自分の「においのポスト」を設定し始める。これはトイレの場所を自分で決め、自発的に巣を離れて排泄し、寝床を綺麗に保とうとする本能的行為である。だからこの時期に不衛生なケンネル等で生活しなければならなかった子犬は、あとで排泄の問題を抱えることが多い。

フェーズ②:人との社会化期

 生後5~12週間の間に訪れると考えられている。一般的に社会化の臨界期と言われている。仔犬達にとってニンゲンとは、母や兄弟との新睦を十分深めたあとに、慣れ親しんだ棲み家の果てで出会い、さらにそこから外の世界へと導いてくれる存在になる。仔犬はここで「人間社会のものごと」、たとえば変わった場所や犬以外の生物、聞いたことのない音や触れた事のない物に対して十分親和性を深めていく必要がある。特に5週から7週目までの間は意識的に毎日違う人々を家に招き、仔犬と遊んでもらう必要がある。毎週グルーミングセッションを設け、子犬が体のどこを触られてもへいちゃらなようにする。また、人との社会化期とはいえ、この間も仲間の犬達とたくさん遊ぶことは、その犬の一生涯を通して大事な意義をもつ。この時期の後、仔犬は外界のものに対して懐疑的な態度で挑む(一般的に「恐怖期」とよばれる)時期に入る。

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  ここまでの内容を見てみると、自分が仔犬の最初の一月用に「社会化手順表」みたいなのを作成していて、気にしすぎかな・・・・・・と思っていたのが、あながち悪いアプローチでもない気がしてきた。特に、防衛本能に優れた護衛犬種やシェパード系統の犬は、社会化期の終わりが他犬種と比べてはっきりしているという話を色々なところで耳にするので、がんばりどころだ。うちの犬は諸事情により9週目近くなってから家に来ることになったので、最も効果的に社会化出来る期間は実質、3週間と限られている。時間をなるべく有効活用するために、計画的にがんばりたい。





2015年2月19日木曜日

ALDOUS




 技術点10、構成点9、芸術点9といったところ。今まで見てきた中でも一二を争う見事なヘソ天だと思う。とあるブティックショップのお店のマネジャーだという人の愛犬で、オルダスという2歳のシベリアンハスキー、毛色にとてもマッチしたオレンジ色のハーネスの「使い古した感」がイケている。スポーティなハーネスに対し、メインに使っているのは細革のロングリードという組み合わせなのもギャップがあってなかなかカッコよく、マネしたコーディネイトだ。

 ・・・と、去年一年間1度も自分用の服を購入しなかった(!)「ファッション」とか「コーディネイト」とは対極にいる存在である管理人が申しております。(しかも「シリコンバレーでは、いつも同じセットのトップスとジーンズを着るのはおかしいことじゃない」とか言って、開き直っている。シリコンバレーに住んでいるわけでもないのに)。




 彼のヘソ天の凄みは持久力にあり。まったく自然なかんじでこの恰好のまま、自分がお店に滞在していた40分ほどの間、ずっとレジ横にひっくり返っていた。その間入れ替わり立ち代わりレジにやってくる人を見ては、「なでてもいいよ・・・?」という感じでシッポをパタパタ、目をパチパチさせていた。犬の社会化、ここに極まれり(笑)。お見事。





2015年2月14日土曜日

WEEK 4+



 せっせとメールを送り合っているブリーダーからのメール。1月に生れた生き物が、ネズミ期を脱して徐々にイヌらしい形態に移行してきているという。そこで、隣の隣の州の山奥まで往復9時間かけて、覗きに行ってきた。見てなるほど!確かに、先週までの様子とは大分違って、あのテカテカ生物がいつの間にか自覚を持ってモゾモゾ歩き回り、小さなブリースティックをカジカジしたりするようになっていた。「犬」まではまだあと一歩だけれど、「これは、つきのわグマの赤ちゃんです」と言われたら、頷けるようなところまでは来ていた。

 今回、どの仔犬を迎えるかの決定プロセスは全てブリーダーに任せようと思っているので、自分は仔犬の頭をなでてやること以外、ほとんどすることがない。そうしようと思った理由は、特定の仔犬に感情的に入れ込んでしまい、それで欠点が見えなくなる事を避けたかったのと、また、自分ではどんなに犬に詳しいつもりでいても、長年その犬種を繁殖しているブリーダーのほうが仔犬のポテンシャルや適正について、ずっと優れた観察眼を持っているはずだと考えたからなのだ。この仔犬達は月末にベースの性格を診断するテストにかけられ、その後晴れてどの仔犬がどの家に行くかが決定される。うちはつい最近、犬を迎えるのに際してとても重要な「家庭の事情」がもう1つ増えたので(そのことについては、いずれ別記したいと思います)それについてもしっかり話し合いをし、また2週間後に来ると約束して、ブリーダー宅を後にした。

 写真は仔犬の足。ずっとモゾモゾ、モゾモゾしていて写真はみんなピンボケになった。まだ一度も外の世界に行ったことのない彼らの肉球は、まさに「穢れを知らない」といったかんじで、ちょっと感動するくらいぷにょぷにょと柔らかかった。連続9時間の運転は辛いと思ったので、仕方なく近くにあったカジノに隣接するホテルをとったら、その横にとてもおいしいヨーロピアンスタイルのチョコレートを売る店を発見した。アメリカの田舎とは基本、非常に退屈な場所だと思うけれど、よく見るとこうして「きらりと光るもの」が隠されていることがある。たまにはそんな宝探しもいいのかもしれない。





2015年2月9日月曜日

LAYLA



 近所を散歩中すごい美人に遭遇したので、お願いして写真を撮らせてもらった。見てわかる可愛さもだけれど、この犬の場合性格も花マルで、可憐そのもので、「レイラみたいな犬を持てて本当によかったね。」と、飼い主のオジサンに自然と賞賛の言葉を口にしていた。「彼女は可愛いだけでなく、何でも分かるし、何でも出来るんだ。」と、犬を褒められた嬉しさで顔のほころびが止まらない、レイラのオジサンだった。

 レイラがオジサンの家に引き取られてくる時、この犬はパピヨンか、パピヨンの雑種であると説明を受けたそうだ。「しかしパピヨンのアイコンであるあの耳がないので、あまりそういう風には見られないね」とも言っていた。そこで、パピヨンは12、3世紀くらいまでさかのぼればもとは垂れ耳の犬種で、現在の立ち耳は歴史的には比較的「モダン」であり、レイラのような耳は、パピヨン(風の犬)としては古典的で自分はかっこいいと思うと、昔どこかで読んだ雑学と共に話した。レイラの耳について「かっこいい」という感想を聞いたのは初めてだというオジサンは、ふんふんと結構真剣に聞いてくれた。ふだんの生活において全く意味をなさないこういうムダ情報だけれど、その真偽はさておき、レイラは今日から「かわいくて、なんでも分かり、なんでも出来て」しかも「古典的パピヨン風の犬」として、より一層オジサンに可愛がられていくのかもしれない。




2015年2月4日水曜日

おかめちゃん

 
 ロボロフスキーハムスターの「おかめちゃん」に一週間ぶりに出会った。
 この家の隠れ住人、3匹のロボハム達は基本夜しか活動しないうえ、季節の変化を肌で感じてか、トンネルの下の家に籠っている時間が非常に長くなって、ほとんどめったに見かけないのだ。いちおう毎日生きてるかだけは確認しようと、「おいしいもの」例えば4等分したブルーベリーとか、種子類や甘いラディッシュなどを一切れ置いておき、次の日なくなっているのを見て「よし生きてるな」という、ふつうの人から見たら「なにが良くて飼ってるの?」と言われそうな付き合いが続いているのだ。しかし普段野生動物に親しんでいる者からすると「気が向けば手に乗ってくれる」という事だけで、とても大きな感動があり、長生きしてほしい大切なペットなのだ。

 そんなロボロフスキーハムスターに関してだけれど、飼育法についてきちんとコンプリートされた日本語のテキストがネット上にあまりない事が気になっていて、以前自前でミニサイトを制作したことがあるのです。どのくらい需要があるかは分かりませんが、一応、リンクをつけておきます。

リンク:ロボロフスキーハムスターの育て方



2015年1月31日土曜日

犬のオーラルケアについて


 北アメリカに引っ越してみて最初に驚いたことのひとつに、この国では歯と口腔の健康が非常に重要視されているということがあった。多くのアメリカ人達がもつ、綺麗に整列した白い歯と健康な歯茎への意識は、アジアから来た者からするとちょっとびっくりするくらい高いのだ。管理人の場合、毎度歯科医院へ定期健診に行くたびに、そこで働く人々による「お口の健康教」の熱心な布教活動が行われた。結果、風呂も歯磨きも嫌いな野生児だった自分が、一日のうち何度も歯磨きや、フロスをするようになってしまっているのだ(それは、よかったと言える)。

 このように口腔ケアについて関心の高い本国だけれど、他にも高いものとして、それにまつわる医療費が挙げられる。そしてそれは、動物の場合も然りなのだ。ある民間保険会社によるとアメリカの獣医師による一回の犬の口腔ケア代は、平均200ドルだという(実際には、ここに診察料など諸々の雑費が加算される)。全身麻酔を伴う大がかりな歯石除去ともなれば、この価格は一回平均1500ドルまで上昇する。犬の一生を通して考えると塵も積もればで、バハマでバカンスできるくらいの費用を、犬の口を掃除することだけに費す計算になる。

 そこで家庭で出来る、日々の口腔ケアの重要性をひしひしと感じてくるわけなんだけれど、
 今までの一般常識を鑑みると、主に;

 ・ 犬にも一日一回、歯磨きを施すこと
 ・ ドライフードを与える事
 ・ デンタルトリーツを与える事

が、犬の歯と口腔の健康を保つために、よいとされてきた。ところが、丁度先日、グレインフリーのドッグフードについて調べていた最中に、個人的に信用のおけると思っているいくつかのウェブにおいて、気になる記述を見つけてしまったのである(ウェブその1その2その3)。それ曰く、犬のドライフードも、デンタルトリーツも、犬の口腔ケアに関して巷で言われているほどの効果は期待できないのだという。

 ドライフードは、歯垢を物理的にこそぎ落とすことは出来るけれど、まず覚えておかねばならない前提として犬はモノを噛むとき、歯をまんべんなく使わず、尖った先の方や、臼歯を重点的に使う。だから小臼歯のあたりだとか、歯周病菌の温床となる歯の根元付近を綺麗にする効果は、そこまで期待できないという。次の問題は、ドライフードを構成する成分だ。ドライフードは、プレミアムレベルでかなり品質の良いものであっても、つなぎとして必ず何らかの炭水化物が使われている。それはグレインフリーの餌であっても同様で、ポテトや、タピオカ粉などが入っている事が普通なのだ。炭水化物は哺乳類にとって手軽なエネルギー源なので、その存在自体は悪い事ではないけれど、問題は、歯周病菌も炭水化物が大好きだという点。犬の口内に残ったそういう微小な食べかすは、短時間で歯垢へと生まれ変わってしまう。

 デンタルトリーツも、上に同じく物理的に歯垢や出来たばかりの歯石を取り除く効果はあるかも知れないけれど、ドライフードと同様の落とし穴がある。デンタルトリーツの多くは、原材料に多くのスターチ(澱粉類)を含んでいる。スターチは、炭水化物である。よってこれまた上に同じく、歯をちょこっと綺麗にすると同時に、また新たな歯垢を作りだす材料を投下してしまうことになるのだ。これはちょっと悲しい。またスターチ類は高グラセミック・インデックス(イヌに対してどのくらい影響があるのかはわからないけれど)なことと、これらのトリーツには人口保存料や着色料が使われている事がふつうなのも、個人的に少し気になるところ。

 じゃあ一般家庭で出来る中では、どうするのが最善なのか?ということで、色々読んでみたものを総合した策を下に書き出してみた。;

 ・ 1日1回の歯磨き、歯茎のマッサージ。歯ブラシより、ガーゼ片などで行う方が良い
 ・ 生食餌か、ドライフード(グレインフリー・プレミアム)を与える。
 ・ できれば一週間に2回、生の肉のついた骨を食べさせる。
    骨の種類は、ニワトリ、ラム、ウサギ、ヤギが適している。

 上にリンクを貼った所の獣医師によれば生の骨の歯垢除去効果はかなり高いそうで、実際知人の1才になるティーカッププードルも、口臭が地獄の様にひどかったのが、餌を生食餌に換え、髄の入った生骨を定期的に与えるようにしたところ、ここしばらくでだいぶ軽減してきた。生骨についての注意点は、必ず犬の体格にあったものを与えるという事。ただ個人の経験上、ヒツジやヤギ以上の大きさの動物の骨は、飲み込むと体格に関係なく消化不良を起こす犬が出てくるので、それらの骨を与える場合は1、2時間飼い主の監督下で噛ませて、ころ合いをみて取り上げる。時に犬の歯よりも硬度のある場合がある、ウシ、ウマ、バッファロー、シカの大きな部位の骨は、まれに犬の歯が欠けることがあるので、気になる人は注意して使うこと。加熱調理済みの骨は、どんなものであっても絶対に与えないこと

 人間でもそうだけれど、歯の健康は一度損なうと治療に多くのコストやストレスを伴うので、そんな機会は少ないに越したことはないな~と思う。但し上に書いたような策を実践したうえでも、半年に1回は獣医師による定期健診を受け、口腔内のチェック・必要であればクリーニングをしてもらうことは必須だということも、念のため覚えておきたい。





2015年1月29日木曜日

仔犬がくる 2



 オモチャがどんどんふえている。

 餌や用品類、サービスの価格や種類を調べるのもかねて、近隣のペットサプライストアに寄るたびに何かしら購入しているのが原因だとは思うけど、自分自身も犬のオモチャが好きなので、もはや仔犬のためなのか、自分の娯楽のために買っているのか、よく分からなくなってきた。しかしそのかいあってか地元の殆どの店舗について詳しくなることが出来、気に入った所も数箇所、抜きだすことができた。おもちゃは、丈夫さ、衛生を保ちやすいかどうか、なるべく環境にやさしい素材で出来ているかどうかを基準に選んだ。 ※写真のオモチャ全てが条件をクリアしているわけではありません

 正直、道具や餌を買うだけなら、通販の方が便利だと思う。それでも地元のペット用品店に足を伸ばすのは、そこにある人間関係がきっと重要であると、信じているからなのだ。こういうお店にはお客さんだけでなく、ペットに関係のある仕事をする人も多く出入りしている。自分のアルバイト先である用品店を例にとると、たとえばトレーナー、グルーマー、ドッグウォーカーにデイケア、珍しい所では発明家(!)、アーティスト、ペット用マッサージセラピストや、レイキヒーラーという方にも出遭ったことがある。だから複数のお店で聴取すると、地域で愛される仕事をしている人を比較的楽にみつけることができる。今回も、オモチャを買うついでに聞いて回った結果、腕のいいトレーナーで、仔犬のクラスをもっている人の情報を得ることが出来た。

 オモチャの話に戻すと、もうひとつおどろいたのは、日本でいう「ペットのこじま」に相当するような店で犬用の知育玩具(写真上、白い箱に入っているもの)が売られていた点。15年前、日本で仔犬を育てた時には、こんな商品は探しても見つからなかったように思う。犬のオモチャもどうやらどんどん進化している事が分かったし、それは買う人の意識が進化しているということでもあるので、とても興味深かった。動物の「QOL向上」とか「環境エンリッチメント」について、一般の関心が高まってきているのかもしれない。北アメリカには、テレビにいきもの・自然・科学専用チャンネルが複数あり、かの有名なシーザー・ミランの番組などをはじめ、自分の関心のある分野のプログラムが24時間かけながしで見られる環境であることも大きいのではないかと思う。こういう時に、大衆の教育という面においては、テレビは未だにとてつもなく大きなパワーを持っている媒体だと思わされる。日ごろスーパー日本びいきの管理人が、「日本がアメリカに圧倒的に負けている」と認めなければいけないもののひとつに、このテレビ産業がある。こちらのテレビに慣れ親しむと、日本のテレビにチャンネルが12個しかないのは社会主義的だと思えてくるし、どこの局を回してもだいたいバラエティか、それに類するような番組が放送されている印象もあり、ちょっと残念だなといつも思う。




2015年1月24日土曜日

CASH



 まだ夜も明けきらぬうち、ワシントンD.C.の中心街にほど近いボランティア先の最寄りの地下鉄の駅から出てみると、犬が張り切っていた。彼は地元警察の探知犬なのだ。この犬が何の探知をするのかは聞きそびれてしまったけど、おそらく麻薬類、ひょっとしたら爆弾かもしれない。こんなふつうの朝の街で爆弾探知?と思うけれど、テロリズムの危険と隣り合わせの街でもあるので、いても不思議はない様な気がする。公共の駅にあるゴミ箱は、爆弾やその他兵器のメジャーな隠し場所である。オジサンの出すヘイ、ツケ、スワレ、マテの号令4点セットに幸せ中枢を刺激された犬のシッポは全開だった。残像しか写らない。

 アメリカの都市部でここの所、警察官が自己防衛のために主に黒人の青少年をピストルで撃って死なせてしまう事例が続発していて、当地でも、それがもとで黒人の人々による大きなデモが起きた。理由はどんなものであれ、ピストルの弾は、撃ったらもとに戻らないし、それが警官の命であっても、容疑者の命であっても、失われた人命も、もとに戻すことは出来ない。

 そこで、警察官はもっと犬を使ったらどうか?というはなしに、世論はなっているらしい。これは最近ニュースを流し聞きにしていて耳にはさんだのがだ、確かに、犬なら号令一つで出動させることも、「やっぱ中止」することもできる。また、容疑者を実際に噛んで止める時も「めちゃくちゃ痛い思いをさせる」だけで、命までは奪わない。何よりも、犯罪抑止効果があるし、待機中は(写真のように)オフィサーと遊んだりして、精神的に厳しい仕事についている、警察官の心理面で良い効果が沢山ありそうな気がする。この街にも、元気とやる気に満ちたCASHみたいな犬達が、もっともっとたくさん見られるようになる日が来るのかもしれない。





2015年1月19日月曜日

きつね





アカギツネ(Vulpes vulpes)

 今の家に住んで2年目になるけれど、いつもすぐ傍に奴らがいることはうすうす分かっていた。それは、夜中に裏の雑木林から奇怪な叫び声が聞こえてきたりだとか、ウォーキング中、「ミニチュア犬フン」という形状の排泄物に出会ったりだとか、月曜の夕方、そとに出したゴミ袋に火曜日の朝小さな穴を見つけ、そこから古くなった野菜の切れ端が半分引き出されたまま、いかにもがっかりした風に置き去られていたりしたから。でも、今日、初めて朝の光の中で対面したその生物は、赤いふかふかのコートを着たほんとに素敵な生物だった。