2025年8月6日水曜日

犬のハムストリング(大腿二頭筋)の強化

 



 夏の帰省で日本にいる間久しぶりに和室で硬い布団で寝てたら、朝強烈な寝違えのようになって目が覚めて、もう3週間経ちますがまだ痛みが続いています。あと1週間待ってみて、続くようだったらMRIを撮りに行こう。多分、軽いけど椎間板ヘルニア的なやつなのだと思います。それにしても寝てるだけでなる……そんな奴いるの?と思いますよね。私も思いました。寝てる時になったので、日中の活動には影響がなくて夜、寝る体勢になると痛みます。

 「鎮痛薬を飲んで寝ても翌日に痛みが戻って来るケガ」の類を人生でしたことがなかったばかりか、よく聞くぎっくり腰も、冷え性も、肩こりすらなったことない人生だったので、これまで自分は本当に幸せ者だったと思います。うしなって はぢめてわかる けんこうかな ←俳句の才能ははぢめからなさそう


 犬の方もちょっとヨレヨレです。帰省前の準備期間も含め、約ひと月ほど「大きいニンゲン」に主な世話を委ねていたのですが。ちょうど仕事が忙しい時期と重なってしまったらしく運動を全くしてもらえなかったようです。帰って来てチェックしたところ、6月の時点ですでに弱り気味だった後ろ足の、biceps femoris(大腿二頭筋)が一気に失われていて驚きました。齢のせいか筋肉がなくなるスピードがかなり加速している!


 そういうわけで、犬も飼い主も機能回復につとめる週間をやっています

 犬の大腿二頭筋の力をつけるには、股関節と膝関節の両方を屈曲・伸展させる運動が必要になってきます。具体的には坂道の上り下り、障害物をまたぐ運動などが特に有効です。下にいくつか併記します。これらは、普通の元気な状態の成犬であってもメリットがあると思うので、できる範囲でチャレンジするとよいかと思います。ハムストリングはじめ動物の四肢はわりと大きい筋肉が集まっているのでおそらく犬の全身的な代謝などにもよい影響があると思います。

 高齢犬の場合は全てのモーションをコントロールされた環境下で行いケガを防止しながら、痛みなどが出ていないかよく確認しながら行うことをよく気を付けたいです。ふとしたはずみでケガするとなかなか治らないと思うので。

【またぐ運動】
ハードルや障害物、アジリティのカバレッティレールなど
コントロールされた脚の動きと伸展で大腿二頭筋を強化
つっかかると自信を失うことがあるのでまずは地面に置いた棒などから。

【重心の移動が伴う運動】
立っている状態で体重を片足からもう片方の足へ移動させる運動
「犬を不安定な場所に立たておくこと」で達成できる
体重の軽い犬は、前肢を持ち上げて体を動かしてあげるのでもよい
大腿二頭筋を含む姿勢を安定させるための筋群全体の強化の活性化
持久力の向上、バランス感覚のエンリッチメント

【坂道の上り下り】
大腿二頭筋を含む筋肉により強い負荷をかける
坂道を降りるのは肩と前肢にかなり負荷がかかるので気を付けて行う。
特に下り坂に向かってボールを投げるのは若い犬であっても気を付ける。
屋外の坂を利用する時は地面のコンディション(濡れててすべらないか、等)注意

【昇降運動】
犬の体重を持ち上げるために大腿二頭筋が大きく使われる
後肢の筋力全体の強化と持久力向上。
坂路と同じく、下りる時に上半身の関節に負担がかかるので注意して行う。
特に階段など段差の下りに注意する。

【その他】
トロット(速歩)、後ろ向きに歩くこと ※できるわんちゃんの場合
大腿二頭筋を動的に鍛えることができる

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 「犬のエクササイズ」というと痩せた白人のおばちゃんが(偏見)犬を立たせたり座らせたり、ピーナツみたいなボールの上に乗せたりしてそれらについて「シット・トゥ・スタンド」とか「ウエイト・シフティング」とか色々名前をつけて大げさにやっていたりするのを見かけることもありますが、運動量としてはあまり足りないと思うので、ふだんのメンテナンス的な運動(たとえば散歩や水泳)にプラスアルファで取り入れるのがよいのだと思います(「シット・トゥ・スタンド」を1日15分ずつ何回も繰り返せる人なら、話は別ですが)

 自分自身、筋トレを長く続けている者として、ふつうの日常の動作の中で犬の筋肉がドラマチックに大きくなり筋力が向上するということは基本的には『ない』と思っています。犬の筋肉にも多少負荷をかけることを念頭に「ケガや痛みに気を付ける」「目的に見合った運動を選択する」ということを行い、あせらずじっくり筋力をつけてあげるのがよいと思います。また負荷をかけることで短時間でもフィットネスの効果が生まれるので、今のように暑くって、長時間の散歩などが厳しい時でも効率的に運動させられると思います。


 犬っちは10歳6ヵ月です。認知能力も緩やかに下降気味です。前回書いた時より更に、ストレスに弱くなった感があります。天候が悪かったり、風が吹いていると「あれ(雷)がくるかも」と、散歩や運動中でもさっさと切り上げて家に帰ろうとするようになりました。発砲音やハイピッチ音が聞こえると即座にUターンしてあわてて駆け足です。ボール投げの最中でも、おかしな音がすると急いで帰ろう!とボールを持って駆け寄ってきます。この犬の中でボールより優先することがあることに驚きです。

 またこれまでコディは散歩中、吠える犬の家を通る時は一気に首の毛を逆立てて尾を立て、毅然とした様子で二、三言、主張(※大音量)をしてから通り過ぎるのが常だったのですが、ここのところ毛を立てて「僕は大きいぞ」「僕にかかわるな」とジェスチャーする以外はさっと通り過ぎるようになりました。私も筋肉が減ると気力も「減」になる気がしているのですが、コディも筋肉の減少と共に自信が減ったのかな・・・と同情しています。


 毎日のお薬です。
 左側のコディの皿に乗っているのはフィッシュオイル、PROVIABLE-FORTE(プロバイオティックのサプリメント)、Denamarin(肝機能のためのサプリメント)、Galiprant 60mg(関節炎の痛みをおさえるお薬)です。フィッシュオイル以外は、サプリメントも全て獣医さんに処方されたものです。コディはいつも通り痛みがあるのかないのかよく分からない犬なので、とりあえず所定の日数を投薬しています

 去年の年始に犬の生活の充実は飼い主の健康からと書きましたがほんとにその通りだと思います
 まずは自分の腰をしっかり治しながらコディ君と少しずつ体を動かして筋力回復していきます。

おお よし よし


2025年6月15日日曜日

小さな獣医科医院


 コディが10歳になったのを節目に、ふだんの検査や予防接種を受けている病院とは別に、高齢になってきた愛犬に優しく接してくれ、コンサルテーションに時間をかけてくれて、またもしもの時の往診や、自宅での緩和ケアに特化した獣医さんを根気よく探してきました。運よく「ここは」と思える医院を隣村に見つける事ができ、さっそく検診にいってきました。

 行ってみて驚いたのですが、ここの獣医さんは看護師さんがおらず、いわゆる「診察室」もありませんでした。改装されたオフィスはおそらくかつては農家の納屋だったらしく、ところどころ名残がありました。診察はこの広々したスペースで1頭ずつ行ってもらえます。怖がり屋や緊張しやすい犬にも優しく、ふだんに近い犬の動きがみられそうですね。非常に画期的だなと思いました。

 オペレーションは、写真の獣医師さんが全て一人でやっていて、奥に検査機器がいくつかと小さなラボがあるのと、残りは移動用のバンにすべてまとめてあるのだそうです。今まで通った事のある獣医さんとはだいぶ形態が異なるので面白いなと思いました。


すみっこに子供が座れるイスと机もありました

 今回の主な話題は、2月の検査で分かった肝臓のALT(SGPT)の値が高まっていること、後ろ脚の筋力が弱り気味なこと、前足とオシリまわりの毛の変色について、腫れやすい歯茎のケアなどなど、シニアライフのちょっとした懸念事項についてアドバイスをもらいました。

 まず肝臓については老齢なのである程度は仕方がなく、今何かしなければいけないというような数値ではないという見立てでした。タンパク質や脂質の代謝にも関わらないだろうということで、ドッグフードをベースにしながらも「毎日1回なにかうまいものをあげる」という生活に戻して大丈夫、と言われました。またコディが心置きなく『うまいもの』を食べられるぞ!と嬉しくなりました。

 後ろ足の筋力については、じっくり触診してもらい、また行動や歩様の観察で、おそらく軽度から、もしかすると中程度に進む段階の関節炎があるだろうと言われました。後肢に違和感や痛みがあるので、そこから少しずつ体重のかけ方が変わっていったり特定の動作を避けるようになり、そのことの繰り返しで筋力の低下が生じているのだろう、という見立てでした。

 これは私自身も色々調べて、思っていた通りの内容の診断だったので、聞いてスッキリしたと同時に「これからどう緩和・改善させるか」ということに関心が向きました。獣医さんの方針ではまずは薬で炎症や痛みをとりながらサプリメント類で栄養を補い、筋力を温存するための運動を、ということでした。同時に積極的投薬などで老化した肝臓に負担をかけすぎないように気を付ける必要があるとのことでした。

 印象に残ったのはシニア犬の健康に関して獣医さんの、なにごとも『完治』を目指さない事、という発言です。コディの若い頃を知っていることで無意識にそのころの状態をベースに考えていたかも知れませんが、人間でいえば75歳をゆうに超えています。全身的なコンディションが緩やかな下降線上にある今のこの状態そのものがこの犬にとっての「健康」なのだと、今回、私のものの見方も変えていった方がいいなと思いましたし、現状に即した日々のケアをしていないとな、と思いました。


2025年6月1日日曜日

「あなたの犬、咬みますよ」

 


 所用で知り合いの家に行った時、そこの家の、もう成人した子供さんがウエストバージニアのパウンド(保健所)から引き取ったという若い犬と出逢いました。ヒーラー系の小柄な雑種で可愛い犬です。子供さんの大学院がお休みの間、友人夫婦に預けられたというその犬の目つき、挙動を一目見てあれ?と思いました。この犬は以前だれかを咬んだことがあるのでは、と感じたからです。



 その知り合いは私よりかなり年上で、よい関係ですがなんでも言い合えるようなすごく親しい間柄というわけでもないのです。そこへきて、しかもまだ何も起こっていないうちから「この犬咬みそう」なんて、あまり空気を気にしない私でもさすがに言えないぞ。でもちょっと考えてしまいました。


 今思えば問題行動の段階で相談してくれていた時に、当たり障りのない助言しかできていなかったな。私が地域の訓練士さんのおすすめのリストを持って行ったりしていたころ、彼等はまさに事故が起こるせとぎわにいたのに。そんな人に悠長に『アドバイス』とは我ながら聞いてあきれるな、、、その咬まれて死んだ近所の老犬、保健所送りになった同僚の愛犬への責任は私にもあるのだ。

「グッドボーイはどこかな?」と探すフリをする私
自分を見つけてもらえるかも知れない嬉しさで頭を抱えてるコディ

 ここで私がやいやいすると「少しのことでおおげさな人」みたいに見られることが多いのもまた悩む所です。

 〇行動を起こさない➱ 犬が事故を起こす、友達が怪我をする、犬の命がなくなる
 〇行動を起こす  ➱ 何事も起こらない、自分はうるさい友達と思われる

というような構図になったりします。これはウィン&ウィンの逆で、マケ&マケみたいな、不毛な二択です。ただ私が「うるさい友達」と思われるポジションで満足していればいいだけなのですが、悲しいかな、「よき友人と思われたい」という欲望が私にも存在するんですよね・・・

 間をとってやさしく指摘したり、訓練をすすめたりすればいいじゃんと思うかもしれないですが、経験上、やさしく指摘するのだと危機感がちゃんと伝わらないことが多いです。犬に関して、大抵の人は実際に問題が起こってはじめてあれ・・・ちょっとやばいかな?となるものだからです(そういう必要性にピンと気付いて未然になにかしようという性格の飼い主だと、そもそもあやしい状況までいかないことが多いです)。

チラッ

 何よりも、私がこういう些末な大人の都合みたいなことをことをごちゃごちゃと思案している間にも、今すぐにでも軌道修正しなければならない目の前の怪しい犬が、何のおとがめもなく、「また自分の思い通りにやれた」と自信をつけている様子が手に取るようにわかります。私の中に住んでいる『犬しつけ職人』が居ても立っても居られなくなる瞬間です。

 こういう時「もし私が犬の訓練士の資格でも持っていたなら、もっとはっきりと進言できたのかな。」と思います。いや、無理かもしれないな。世の中でもまれる中年をやって久しく、すぐ相手の立場や気持ちを考えすぎるクセがついてしまって、それは良いことだと思うのですが、目の前の問題に即座にとりかかって目標を達成したり、現状を打破する際のスピード感みたいなものが大幅ダウンしたと思う。


 こういう時、嫌われ者になったり、うるさい人と思われてもいいから、ブレイクスルーする力が欲しい。上手に伝える術はどこかにあるはずで、それをさがし続けないといけないと思う。場面や状況、相手によっても変えていかないといけないし、そういうのを「本物のソーシャルスキル」と言うのだと思う。ただあたりさわりのない、安心させるような耳ざわりのいい事を言って、相手の問題を真剣に解決しようとしない、それだと相手は結局は失敗したり、困ってしまうことが多い。そういうのは真の意味での社交上手ではないし、なにより不誠実である。


 人間の教育現場でもよくある葛藤なのですが。

 なんだかんだ10年くらい教育関係の領域の末席をうろついていると「この子は、幼いころにあまりしつけをしてもらえなかったんだな」という子供に出会う事があります。しつけって、勉強以前の問題で学校とかへ行くずっと前から「父さん母さんはこう考えるんだ」「ウチではこうやるんだ」ということからくる、その人の行動原理を形作るものということですが、この部分が抜けてる子がちょっと増えてる気がします。

 今の学校って、子供が小さい時は「まだ小さいから愛情を求めている」とか、低学年くらいになると「苦手も個性だから尊重し、良い所を見つけて褒めて伸ばす」というアプローチで、『子供の人権』とか、最新のナントカ式教育技術をうたう『識者』みたいなのが急に出てきて、耳ざわりの良い事を説き、今実際に目の前の子供に起こっている問題の実質的な解決が先延ばしにされてしまうことが多いと思う。親も「プロの先生が言うのだからこの通りでいいのだ」と安心させられてしまったりして、その子供の勉強だったり素行上の問題について本当に責任を持って取り組んでる人が実はだれもいない、という図になっていたりしています。

 そうこうするうちに、こういう子達の多くが小学校ではぼんやりとした不適合を起こし、4、5年生くらいから学力も伸び悩むようになり、中学校位になると思春期もあってだんだんまわりから手を差し伸べてくれる人も引いていき、親も仕事で忙しかったり、なおかつ衰えてきて積極的に介入したり子供の軌道修正ももはや出来なくなり、だれからも真剣に向き合ってもらったことがないから自分自身の価値に気付かず、大人を尊敬することも知らず、よって手本となる人もいない、夢もない、得意な事もない、誰からもなんとなく放置された若者が残される・・・そんなに珍しい話ではないと思う。

犬の口元のこの「ふぐふぐ」した所が大好きです
コディの「ふぐふぐ」は触り心地も匂いもとてもかわいい

 この経路を逆算して子供に接するので、私は小さい子供に対しても、子犬などに対しても、比較的厳しいと思います。すると「○○ちゃんのきびしいお母さん」「こわい先生」と思われることもあります。いつの間にかよそんちの子供のしつけを肩代わりさせられてる時もあります。

 でも、犬の子だって小さなよちよち歩きの頃からその10ヶ月後の姿を想像しながら育てないとならないですよね。抱きしめたいほど愛らしい子犬の中にも「今、正した方がいい行動と考え」がある。そういうのをひとつひとつ優しくでもしっかりとしつけてやるのは重要な飼い主の、というか飼い主にしか出来ない役目です。人の子供も同じなのではないかな。小さい頃から傍について「あなたたちは大人からどう見られているか」「社会からどんなふるまいを求められているのか」「その中でどう生きていくか」子供に知らせてあげることが親やまわりの大人の責任なのではないかな。

 とかなんとかああでもない、こうでもないと思いめぐらせながら歯科治療を受けていた今日です。実は今日の日記は全部歯医者さんのイスの上で書いてます。「ウエストバージニアのパウンドから引き取ったウチのダルメシアン、同居の犬を咬むんだよね。今日マズルを買うわ。」という歯科衛生士さん。すわ、チャンス到来!!!「今日からすぐやるといいこと」を紙に書いて渡しました。それにしても『ウエストバージニアのパウンド』はいったい、どうしたことか?興味がわいてきました。一度覗いてみたいです。

~オマケ~


 チビのスナネズミがやたらと人に慣れてきました。見ているとずっと手の上にだっこされています。私はストレスで死を覚悟して固まってると思ってたのですがこの状態のままトイレットペーパーの芯などを差し出すとカリカリかじっていたり、そのうちねむたそうな感じになってきます・・・どうやら娘の言う通りほんとにリラックス?しているのかも??

 スナネズミがこんなによく人に慣れるとは知らなかったので、どうやったの?と聞いたら「お母さんが言った『おどろかさない、5秒くらいの短い間やさしくだっこする、暴れてもケージに下ろさない、掴まれたり撫でられても落ち着いていたらすぐケージに下ろしてミルワームをあげる、落ち着いていられる時間を少しずつ延ばす』ことをやった。」と言います。

 聞くとこのやり方をなんとかの一つ覚えみたいに毎日10回、20回と愚直に繰り返していたようなのです。時間のある小学生すごい!ということと、やはりストレスでは?という一抹の不安、それからスナネズミもトレーニングが入るんだ!と二重の意味で感心しました。そして、トレーニングの基本はやっぱり頻度だなと確信しました。チビは、もう一匹の方も全く同じことしたけどあまり覚えがよくない、お勉強が苦手なのかな、とかブツブツ言っていました。こんなに小さな齧歯類だけど個性がちゃんとある!と感心しました。


2025年5月1日木曜日

最近のトレーニング

 


 10歳にもなって新たなトレーニングもないもんだと言われそうですが、相変わらずちょこちょこ色々やっています。ボール投げは足腰の負担を考慮して「ボール拾い」(転がって行って止まるまで待たせてから拾いに行く)になって久しいですが、単純なボール拾いからだんだん複雑になった「変化ボール拾い」をエンジョイしてます。

 例)20メートルくらい先まで投げ、いったん止まったボールを拾いにいかせる。⇒拾ったら呼びもどす。戻って来る途中でボールを咥えたまま「マテ」。⇒次にボールを咥えたまま「フセ」させる。⇒また呼び戻す。⇒戻って来る途中で「ドロップ」でボールを口から落とさせる。出したボールを「リーブイット」して、放置したまま私の所まで戻らせる。⇒褒める。再度、さっき「リーブイット」したボールを拾いにいかせる。⇒探して手の上に持って来させる。



 「これをやったらおもしろがるのではないか」というネタを考えながら少しずつ変化させていったボール拾いなので、遊ぶ時間や状況、地形などによっても様々なルールの分岐があって有機的なゲームです。犬を遠隔操作できるのが楽しいし、こういったことをすごく一生懸命やっている姿を見ると「ちゃんと牧羊犬なんだな」と思います。今は「木のまわりをまわる」という動きを強化しています。

 遠隔操作と言えば、ボーダーコリーとかだと、顔をこちらに向けたまま右や左へ平行移動する動きがありますよね。かっこいい!と思いますが、あれをコディがやっているところはあまりイメージがわかないです。

 シャイロシェパードがそうなのか、コディが特にそういう個体なのかはわからないですが、この犬はBody Awareness (身体意識)がもともとちょっと薄いかんじがします。若い頃からいろいろな活動をしてきましたが、十分じゃなかったみたいです。今からでも、きちんと教えてやれば身に付くのかも知れません。


ちらっ

 最近車をフルサイズのSUVに買い替えました。今、コディにとっての最も大きな課題は「車の荷台に乗ること」。実は買い替えたしょっぱなに本犬が思っていたより足腰が弱っていたのか目測を誤ったのか、荷台に跳ね上がろうとして派手にズッコケてしまったのです。以来警戒モードに入ってしまい、車に乗れなくなっていました(シェパードあるある現象)。こういうのもBody Awareness (身体意識)の曖昧さが招いたことなのかもですね。

 ズッコケさせた瞬間、その後の展開が読めた私は「あーーーまた始まる(練習の日々が)」と天を仰いだのですが、小さな目をチョボチョボさせながら鼻息荒くして一生懸命練習しているコディは健気で「世話がやけるが可愛い奴」といった感じで、がんばれよ、やればできる、大丈夫だよと鼓舞しています。今はいったん荷台に前足をかけさせて、後肢は私が持ち上げてやる肉弾戦スタイルで乗り込んでいます。スムーズに乗れるようになったら新しい散歩道の開拓がしたいですね。アパラチアのトレイルに行きたいです。


いつでもダッシュの準備万端


2025年4月25日金曜日

ツツジの季節です。


 庭のツツジが咲いています。まだ8分咲きなのにおおいばりでブログにポストすることをお許しください。
 なにしろこのツツジにこんなに花をつけさせたのは久しぶりで嬉しいのです。
 
 去年一年、素人ながらいろいろ読んで調べ、「来年は花を咲かすぞ」と決めていた三種がレンギョウ、アセビとこのツツジでした。三種ともこの春は沢山花をつけてくれたので嬉しかったですが、特にツツジはおもったより蕾がたくさんついて、それがどんどこ咲いて大喜びしています。裏庭の誰も見ないようなところに咲いているのでせめて画面の前の貴方様に見て頂けましたら。




 本格的に暑くなる前に庭の隅のトラッシュ・パイル通称「ゆめの山」の征伐に乗り出しました。前の住人が家を建てた残りのタイルやレンガをなげたものを起源とするトラッシュパイルなので、20数年物のごみ山です。20年分の落葉や倒木、それらが堆肥化したものを足掛かりに、こちらでは外来種であるスイカズラが繁茂して周りの木を圧迫しています。昔ながらの日本式ののこぎりとナタで攻略していますが、そろそろ小型のチェーンソーやウィードワッカーが欲しくなってきました。ふたつとも使い方を誤ると結構危ないので二の足を踏んでいます…あと、小枝を燃やす場所も作りたいですね。いい斧も欲しいです。欲を言えばきりがありません。

 ここの角、虫さんやかたつむりが出るのと、掘って遊ぶのが楽しいのとで(「南北戦争時代のお宝があるかも」とのこと)子供が遊びたがるのですが、雑草を好きに生い茂らせておくと各種、ダニ類が大発生するのです。ライム病をはじめとするダニ媒介性感染症は北米だけで年間数十万人が感染するとされ、しかも抜本的な治療法が確立されていない、やっかいな風土病といっていいものです。アメリカ疾病予防管理センター(CDC)のカウンティごとのトラッキングパネルがあるので、見てみてください。バージニア州はライム病の好発地域なので、自然観察や野外活動をする際はよく気を付けられてください。




 作業中、コディはずっと私のことを見ています。

 コディをもらってくる前、シャイロ・シェパードのことを調べようと思って足を運んだドッグショーで始めて話したオーナーの方(なんと偶然にも日本の方だったのです)が、ショーが始まると机の下に隠れていたことを思い出しました。とにかく、飼い主の方をいつも見ているのでショーイングの最中はいつもこうして隠れてる、と仰っていました。飼い主への大集中はシェパードの類みんなに見られるものだと思いますが、かなりかわいい特徴だと思っています。

 コディの生活も、大まかに分けると寝てるか、私を見てるか、私のたてる物音を聞いているか、家の見回りをしているかのどれかです。そんなにおもしろくもない私をそんなに眺めてどうするのかと思いますがぜんぜん飽きないようです。このブログでは繰り返し言及しているかもしれませんが、この犬達は飼い主の日常全てに介入することが好きなので、介入されることが平気な飼い主、介入させることが可能な飼育環境だと、犬がよりいっそう輝くと思います。


トイレにも「介入」するよ

 これは「お隣さんのボクサーが窓からこっちを見ていた」と私にちくっている様子です。↑


 わたしたちの暮らしの様式全体が都市化し、仕事も複雑化し、余暇の娯楽も多様化した世の中に変わっていますから、大型犬特にシェパードみたいな、いつも話しかけたり遊んだり、繊細なところについて気にかけてやったり、飼育に一定の責任がともなったり、といった側面は考えてみると手間がかかりすぎるのかもしれません。

 なによりも大型犬を飼う事のような「人手が必要な活動」全体が時と共にだんだん困難になっているようにも思えます。家族内であっても、各個人のスケジュールが複雑化していて、家族で予定をあわせて何かするとか、そういうことがだんだん難しくなっているように思います。

 「一個人で完結できる活動としての犬の飼育」を考えると、フレンチブルドッグなどのような「気楽でかわいいルームメイト」的側面を持ち、ローエナジー・比較的ローメンテナンスな犬種の興隆は、時代をよく反映しているなあと思います。犬種とはわたしたちの生活史そのものですね。


2025年4月22日火曜日

10歳の春/犬の聴覚過敏と付き合う➂



 ようやく暖かくなったと思ったら、もう一気に初夏の空気であります。そうかと思えばまた急にどどんと冷え込んだり。上の写真の日などは、4月初旬の朝でしたが雪がちらつきました。高緯度の白い陽光の中に横殴りにちぎれた雪が舞う様子はどこか神がかりを感じるお天気でした。

 我が家の犬君もついに10歳となりました。毛づやよし、足腰OK、頭脳明晰、快食快便、おおむね快調、うれしいです。しかしこのくらいの年になると、しばらくたよりがないと「死んじゃったかな?」という感じになると思うので、少しまめにアップデートを心がけたいと思います。このごろは庭作りやコディと遊ぶことにより多くの時間を費やしていること、あっという間に高学年になった子供の勉強(アメリカの公立校+家庭学習で日本の小学校の四教科を教えています)や身の回りの面倒、そしてなによりもデジタル・デトックスが進み過ぎたことで、なかなかPCに向かう時間が少なくなって来てしまいました。

 ということで短く近況をまとめます。


お隣のトウモロコシ畑は売り払われ、建売のおうちに変わりました。
飼い主は残念ですが犬は見るものが増えて忙しそうです

 体調はおおむね快調、とはいったものの『満点ハナマル』ではないのがやや残念な老犬ライフです。2月の血液検査で肝臓のALT(SGPT)の値が196となり、高いことを指摘されました。じつは去年も同じ内容でちょっとひっかかってその後のパネルで異常なしとなった経緯があります。数値としては前回よりも高いので、要観察、8月に再検査を行う予定です。

 ALTは、アラニンアミノトランスフェラーゼという酵素で、肝臓に何らかの異常があると血中に漏出して数値が上がるということのようです。自分でもいろいろ調べてみましたが、老犬の場合ALT値の上昇は単に肝疾患以外にも膵炎、クッシング病、心臓回りの不調、それから激しい運動や甲状腺機能障害(犬ではまれ)などなど、肝臓からはなれたところに原因があることもあるそうです。まあ一大要因として加齢があることは間違いがないと思います。相変わらずトレーニングで一日に一回は猛ダッシュしているのですがやめさせた方がいいのかな。

 肝臓に関係があるか分からないのですが、コディは放っておくとほとんど水を口にしない、昔のヨーロッパ人みたいな奴です。なんとなくこれも良くないような気がしています。それで最近、フードにぬるま湯を混ぜて、ふやかしてあげています。こうすると香りが立っておいしくなるみたいなので一石二鳥です。「1日1回はコディになにかおいしいものを食べさせる」取り組みも続けてしばらくになりましたが、特にタンパク質や脂質を摂る事ことの内臓への影響に不明な点が出てきた今、いったん中止して、「基礎の食餌(ドッグフード)を工夫してたのしく食べる」ということに切り替えています。

 でも、水けの多い餌だと歯が汚れるので歯肉や口周りの皮膚が弱いコディにとってはまた別の問題が生じるわけであります。こうしてどこかを立てれば別のどこかが立たず、という感じになってきたのがいかにも老齢期の健康という感じで、なるほどねと思っています。わたしだって今はピチピチの中年ですが、明日は我が身だと思っています。




 聴覚過敏の現在です。(犬の聴覚過敏と付き合う①犬の聴覚過敏と付き合う➁

 寒く気候の安定していた冬は終わり、春雷の季節に至りました。コディは相変わらずちょっとの音で慌てまくっております。ピーピーヒャラヒャラどすどすと、暴れコディの笛太鼓といったかんじで大騒ぎです。そういう時、コディの顔を見ると「👁👁命の危険!!!」という感じの目をしているので可哀想なんですけど、何かちょっとかわいいなと思っています。

 ただ最近は騒ぎ方に変化が出てきました。ゴロ……と来たら落ち着いた声で「クレート入んなさい」と声をかけてやると、がむしゃらに2階に駆け上がったり走り回ったりせず、ガタガタ震えながらも確固とした足取りでクレートに入り、奥の壁ぞいに座ってがんばるようすを見せるようになったことです。初めてはっきりと落雷を怖がる様子を見せてから約4年。クレートに入ってゴロゴロをやり過ごす経験が蓄積した結果、「ここに入れば命だけは助かる」という信頼がクレートに対して芽生えたように思います。

 クレートを快適にして長時間入っている時のストレスを軽減したことにも少し効果があったかなと思っています。特にクレート内の風通しを良くし、足元を涼しくする素材のマットに換えて、壁に水入れをかけられるようにしてやってから目に見えてクレートに入るスムースさが向上しました。コディは雷の音だけでなく急な光の明滅(稲光を思わせる)にもかなり反応するのですが、クレートに居る間は周囲の電気を点けてやるようにしたのもよかったのかも。ちょっとでもアヤシイと思うとすぐクレートに出入りするようになりました。


ドッグフードへの感謝を伝えるために、食後に寄って来るコディ
最近、このタイミングで口を拭いてやることにしました

 重要なアップデートはこのくらいでしょうか……。そういえば最近、知り合いがゴールデンレトリバーの子犬を飼ったので遊ばせてもらったんですよ。金色の、命そのものみたいなふわふわのつむじ風でした。誰もかれもを笑顔にする魔法をかけられて生まれてきたような・・・ひとしきり子犬との時間を堪能して、それで、うちに帰ってからこちらの相棒の顔をまじまじと見ていて気付いたことがあります。

 コディの方がずいぶん、かわいいのです。

 ゴールデンレトリバーの赤ちゃんより10歳で白髪だらけで鼻の色素が退色していて、歯も抜いちゃったし、瞳も少し濁ってきているおじじの方が愛らしいなどということはどう考えてもあり得ないと思うのですが。何度目を擦って見てもコディの方が可愛いです。もっと言えばコディだってまだ子犬なのです(いよいよ正気があやしい物言いになって来ました)。正確には、コディは見た目が古くなっただけで、中身はあの雪の日にもらってきた子犬の時から何も変わっていない存在だということで、どうして、と聞かれても「ただ分かるから」としか言えない飼い主です。

 人間だって、『三つ子の魂百まで』です。最近、自分自身やまわりの人を見ていても、これをよくよく意識することが増えました。だから犬だって『三カ月の魂十まで』としたって、きっとおかしくないと思います。目くばせの仕方、注意されてバツの悪い顔をしている時、寝相ひとつとっても、子犬の日となにも変わったところがありません。魂って、時間の影響を受けていない!古くならないんだ!(物理法則的にそんなのあり得るのかな?!)と、コディの事を見ていて、すごいことに気付かされています。