2021年3月24日水曜日
犬はシェルターから迎える事が最善である。という風潮について。
2021年1月6日水曜日
6歳
2021年1月1日金曜日
あけましておめでとうございます。
初霜が降りる頃、わたしたち一家は北バージニアのはずれへ転居しました。東京にもあきる野や奥多摩といった別世界がありますが、若干あのような感じで、周囲は静かな住宅地や畑が点在し山が見え、道端では馬や羊や野生のシチメンチョウに出会ったりする、のどかな土地柄です。
今後目立った問題が起きなければ娘はここで少女時代を、コディはシニア時代を過ごすことになります。自分にとっては、自然観察や創作などのライフワークにさらに力をいれる場となりそうです(仕事はどうなった?)。自由に使えるスペースが出来たので、家の中に魚や植物や両生類の水槽エリアを設ける企みを練っています。目の前に何も書かれていないスケッチブックが置かれたような気分です。
2020年11月2日月曜日
夜のDC市街地 11/2
2020年10月1日木曜日
急に涼しくなりました。
Lake Skaneateles, New York
疫病に暴動に山火事にと、波乱ばかりの2020年に夏も遠慮したのか、今年の北バージニアは本格的に暑くならないうちにすっかり秋模様となってしまいました。どこへも行かずに終わってしまった今夏なので、今まで撮りためた写真を引っ張り出しては眺めて旅行へ行った気になっています。
上の写真は、以前住んでいたニューヨーク州北部の街で、ちょうど今頃の時期によく魚釣りをしていた湖のデッキからの眺め。五大湖周辺のこのエリアはヒトの手指に似た細長い形の湖が多数あり、全部まとめて「フィンガー・レイクス」と呼ばれています。ここはその中のスキニーアトラス(スカニースルズとか、スキニアレスと表現されることも)という湖です。かつては北米でも有数の水質と透明度を誇ったのですが、17年頃から毒性のある青緑色の藻が大量発生してしまい、水質の再生が課題となっています。地域の努力でまたきれいな水が戻ってくることを、本当に心から願ってやみません。
犬5歳娘5歳と、「おれたちのコロナ戦争」も継続中です。現地校がなくなって、週に一回のデイケア以外は自宅でホームスクーリングもどきをしている娘が、PC上でお友達に「まいにちたのしいよ。」と言っていたのがせめてもの救いと言えます。
自分の方はといえば、日中は家や子のせわをして夜皆が寝静まってから仕事をしたり、買い物へ行ったりなどしているので、寝不足です。元気盛りの犬とわが子と、こんなにも濃密な時間を過ごせる1年間は今後一生ないと思いますが、たまに突発的に一人になりたい時もあります。ぶらっと一人で…、中央アジアでも行きたいな。ウクライナでもいい。バルト三国もいいですね。
今週は、犬をブラッシングして、オフロに入れて、全身乾かしアンダーコートをすきました。歯石のチェックをし、ほんの先っちょを切ってお茶を濁す爪切り&パッドの間の毛を切って、4つの足裏を写真のの状態にするまでで半日が経過してしまった。これでも大分スピーディになったつもりでした。兎に角みんなでアメリカ生活のホワイトシェパードわんた氏は、足裏トリムをしたら藪でケガしやすくなったと聞いて以来、どうするのが正解なのかは分からないのですが。
「いそがしい」とか言いながらこうして自分で不要な作業工程をいろいろ作り出し、ムダな労働と分かっていつつ一旦手を動かし始めると止まれないのが悪いクセだなと思いますが、犬はきれいになったから、まあいいや。
犬をきれいにして出かけた先は地域の獣医さんです。この場所でずっとやってる小さな病院なんですよ。セラピードッグの活動を続けるためには、定期的に健康診断のフォームを更新しなければなりません。コディは獣医での素行があまり良くないので(診察室内で、この図体でなんでというくらい巧みに注射や診察から逃げ回る)獣医さんや看護師の皆さんにはせめて清潔な犬を診てもらいたい。
コロナのパンデミックのおかげで獣医さんの方式も大分変わっていました。車からドロップオフしたあとは、病院のスタッフの方で全ての工程をやって下さいます。途中で獣医さんが出てきて、行った治療と検査結果等を口頭で教えてくれます。待合室などで不要な混雑も起きないこのやり方は、検診程度で訪れる患者にとってはいいなと感じました。あとで看護師の方にも話を聞きましたが、飼い主から離されることで診察室内での行動が改善する犬も多いそうです。でも「コディアックはあなたと一緒にいた方がおりこうだけどネ」と言われてしまいました。あらら。
2020年8月16日日曜日
シェパードと借家
私達の場合は、事前に「都市の優良家庭犬資格(CGCU)」を取った時のペーパーワークとセラピードッグ(TDI)の証明書(☞これをとった時の長くドキドキした話)、実際の活動の経歴などを簡単にまとめたものを準備しておいて渡したところ、賃貸の査定の時に有効だと言われました。アメリカの優良家庭犬資格などは「やれば誰でもとれる」とか、とってもあまり意味がないとか様々なことを言われていますが、公的な認定はこうした場面で効力があるという事を、再確認しました。大型の犬やいかにも強そうに見える犬種の飼い主は目指すと良さそうです。いつかどこかで役にたつこともあると思いました(法廷でも有利に働くそうです)。
2020年6月7日日曜日
近況です
2020年1月21日火曜日
歯医者さんを探す
新しい一年も始まったことなので、うちの愛犬の汚い口と歯について少し書いてもよいでしょうか。
そこで「どうぶつの歯医師さん」探しです。実は、コディの主治医の先生にも歯のことは話していて、クリーニング費用の見積もりまで出してもらっていたのですが、ここでハタと気付いたのは、人間は体の事は内科で歯は歯科へ…とやるのに、動物は外科も内科も歯科も眼科もぜんぶ一緒になっている、これは大変な事だという点です(改めて獣医さんとは大変な仕事で、頭が下がります)。何が言いたいかというと、歯の事なので犬でも歯科に特化した医院を探して行くべきではないかという考えに至りました。
自分たちの住む北米の場合、アメリカ獣医歯科学会(American Veterinary Dental College)という獣医師向けの継続教育機関があり、認可を受けた獣医師が各州のどのクリニックに在籍するかが楽に分かるページがあります。これは、教育を受け技能を身に着けた獣医師をとりまとめる協会等が実際的には存在しない日本の状態と比較すると、恵まれているといえるかも知れません(日本の場合は小動物歯科研究会として長年獣医歯科学の知識と技術の啓蒙・実習を行ってきている会があるので、直接連絡をとれば最寄りの学会員の紹介を受けられるのではないかと思いました)。
コディはもともと口まわりがあまり強くなく、歯茎も炎症を起こしやすかったり、病気ではないですが歯肉の異形成なども子犬の頃からわりとよく見られました。周辺の皮膚も敏感で食器が汚いとすぐ潰瘍になるので、毎日の食器の熱湯消毒を習慣化しました。固いものをガシガシと齧るのが三度の飯より大好きなため成犬になった今、歯も色んな所が擦り減り、欠けています(これはシェパには比較的見られることなようです)。犬のオーラルケアなどという概念が希薄だった1990年代後半の日本に生きた先代ドーベルマンなんかは、歯磨きなどは誓って1回もしていなかったですが歯は死ぬまで真っ白に輝いてたので、やや不公平だなあという感じです。
話を歯医者に戻すと、私は上記のページを見ながら3件ほど獣医歯科専門クリニックをリストアップしたので、次はひとつひとつの病院にアポをとり、実際の歯の状態を見て貰ってコンサルテーションを受け、価格の査定をしてもらうことにしたいと、今の時点では考えています。コディの場合、ついでに麻酔下で耳の検査と爪切り、採血とセットのワクチンもできないか、交渉してみたいと思います。犬の歯医者さがしの旅が始まる予感がしてきました。
2019年11月6日水曜日
犬。おりこうにする
コディは会場でただ一頭の「触れる犬」だったので、本当に多くの人々の注意をひいていました。広報の人も来て取材を受け、ニュースレターに載るそうです(もらった上の写真は許可を得て、解像度を落としてポストしています)。いつも思いますが、こういった場所で日々激務をこなす全ての人をセラピードッグがたちどころに笑顔にする様子にはほとんどショックといっていいほどの驚きを感じます。自分の育てた犬が、おそらく自分自身の10倍は社会の役に立っているであろう様子を眺めるのは、とてもおもしろい経験です。
コディはこの日、前回のログにも書いた「say hi」を、何十回と根気よく繰り返していました。彼は訪問中は撫でられることも、おやつもないのに、一体何をモチベーションにしながら私の指示を聞いているのかと、ときどき不思議に思う事があります。いつも私の目を凝視しており、「おりこう君だね」と言うと、なんとなく嬉しそうな目をするので、ここまで育っていくどこかの過程で、褒められる事そのものが好きになったのかもしれません。もしかしたら、子犬の頃散歩や自主練でちょくちょく出掛けていたこのDCの街だから、沢山の「楽しい思い出」の欠片がそこここに漂っているのかもしれません。その街にこうして立派に育って(?)戻って来られたことは、ごく個人的なことながら一抹の達成感を感じさせてくれた出来事でした。
2019年10月24日木曜日
元気です
北バージニアも、ようやく朝夕の冷え込みが秋を感じさせる頃となりました。今、木々の葉もどんどん色が変わっており、数日単位で野山の情景が変わっています。美しい季節となりました。
我が家では毛の生えた兄に続いて娘・「ちいさいにんげん」が、無事に4歳を迎えました。初めてのお誕生日会は50名近くの人に来てもらえ、それだけで別の記事に起こしたいほど、印象的な日となりました。こういう事があると改めて「友達っていいな」と思います。子供が人生の早い段階において、「暖かい人の輪の中にいられるかどうか」は、親が進んで助けてあげることのできる、数少ない項目のひとつかもしれません。そのことは、いずれ自分の力で「日系/ロシア系アメリカ人」としてこの国で人生を歩んでいかねばならない娘にとって、特に重要なことの様な気がしています。
訪問活動ログ。今回、特別に屋内の写真を撮らせてもらえました。アメリカの外務省にあたる所の、付属機関の中で、沢山のセキュリティを通過した先にある場所(セラピードッグも鑑札まで外して身体検査を通ります)。私はコディがいなかったらここに来ることはおろか、こういう場所があるという事すら、一生、知り得なかったでしょう。犬が私の知らない新しい場所に連れていってくれるようです。がんばっているコディの事を誇らしく思いました。
以前は少し難易度が高かったまるまる2時間の訪問も、きちんとこなせるようになってきました。秘訣は犬を立たせておくことかもしれないと思っています。「say hi」というキューで、立って近くの人にあいさつに行くことを教えたので、受動的に撫でられるばかりでなく、自分から挨拶に行ける事がどうもプラスに作用しているような気がします。ほんの些細な要素を微調整するだけでも、ストレスが軽減されることを実感しています。今後も観察を続けたいと思います。
2019年7月19日金曜日
4歳半の夏
ボストンから帰って、冷房の効いた部屋でトドのようにゴロゴロしている犬。ベランダに出てセミの声を聞いたり、ホタルを見たりしたいのですが、暑いらしくすぐ家にひっこむ。散歩中も、上り坂をジョギングで上がろうとすると「ゆっくり登ろう」とアピールしてきて、首輪ごとリードがすっぽ抜けた事2度。しかし本犬気付かず、すっかりリードがあるつもりで歩いていました。慣れ親しんだ散歩道だと、リードの存在を感じさせない風船のような犬なので、散歩がしやすく助かるのですが、これはちょっと笑えた。
ところで、本当にリラックスしている犬って、頭をさわっただけでも分かる気がしますね。人間と同じく、犬も頭部や顔にあつまった筋肉群の緊張がほどけるのかな?フニャフニャした触り心地です。ドッグマッサージって効くのかな~と思っていたけど、こんなに筋肉があるのなら、犬もきっとこったりするのでしょう。
一週間冷房のない環境で過ごしたからか、帰ってからアンダーコートがごっそりと抜けました。上の写真の、灰色がかったところにアンダーコートレーキをかけるとブラシの歯いっぱいに毛がとれます。背骨に沿ったあたりはピカピカのサマーコートです。やはり、室内犬だと自然にズバッと毛が生え換わるようなことはなく、だらだらといつまでも換毛が続く気がします。バージニアは今の季節雨が多く、泥はねも多いので、脚やお腹の毛は自然に見える範囲で先っちょを切りそろえました。
散歩中、犬の毛艶を褒めてもらえることがたまにあります。どんなシャンプーを使ってるの?と聞いてくる人もいます。私はいつもコディを食器を洗う中性洗剤をよく薄めたもので洗っているので、そう正直に言うと大そう驚かれます。コンディショナーは、もともと馬用に配合されたMane and Taleという製品です。なるべく地肌につかないように、毛先にちょっとつけてくしで撫でつけてから流します。そのへんのスーパーで買える安物ですが、洗い上がりもその後も、問題なく使えています。匂いもきつくないです。
そんなこんなで、コディ4歳半の夏。この夏から冬を終えれば5歳になると思うと、イヌの壮年期真っ只中というところかと思いますが、まだまだ毎月ひとつは新しい発見があります。
・ボール遊びのあと車に乗る時、口にボールを咥えたまま荷台に飛び上がるようになった。
・ながら散歩でボールを咥えながら帰る時、ボールを咥えたまま排便をするようになった
(オシッコは前からしていましたが、ここへ来て「ながらウンチ」もマスター)
・散歩の時のオシッコの回数が増えた。マーキング的意思を持って故意に分散している感じがある。
などなど、主にボールにまつわる行動にちょっとした変遷が見られました。いつもするわけではないのですが、ボール好きに筋金が入ってきたようにも思えます。年齢と共に、目には見えにくくても、日々何らかの成長?変化?をしていると言えるかもしれません。
時折ドッグランなどへ行くと会える昔からの犬トモ達の行動も、最近変わりつつあります。特に大型犬仲間の間で元気よく遊ぼうとする犬がすごく減ってきました。コディはプレイバウしたりお尻をドンと相手にぶつけてみたり、一人もみくちゃになって遊びに誘おうとするのですが、疲れているのか、暑いからか、はたまたコディとはもう遊べないと感じるのか、あそびに乗ってきてくれる犬がぐんと減りました。もともと遊び方が乱暴で、いいバランス感で遊べる犬が少なかったので、これは本当に残念でした。コディのでっかいグーパンチではたかれても、頭をすっぽり咥えられても怯むどころか、むしろ大歓喜でコディを追い回していたボーダーコリーのニックが、とても恋しくなりました。
セラピードッグ協会を通してリクエストを受ける時、殆どの訪問先は2時間くらいの指定をしてきます。しかしうちの犬の場合、終わりごろになると出入り口の開け閉めの音に耳を澄ませたり、外を見る動きが少し増えたりと、「帰りたいのかな?」と思わせる行動が増えてきます。1時間30分~45分の間が、「楽しい」と「疲れた」のターニングポイントという感じがします。シェパードはこういう点で他の犬種、たとえばレトリバー系やブリー系の犬とは性質が違うと感じます。タイマーをセットしておき、訪問時間の途中で一旦トイレ休憩を入れ、ほんの少しの間でも小さなおもちゃで遊ぶなどして、犬のメンタルをリセットしてやるといいようです。
シェパード全般そうかも知れないけれど、コディもまた、普段の生活の事からトレーニング中の癖までちょっとした「調整ポイント」がいろいろあって、対象をジロジロ観察して、どうやったらもっといいパフォーマンスをしてくれるかなあと考える事がとても大好きな自分のようなタイプにとっては、知的好奇心を延々と満たしてくれる最高の題材と言うことができます。けれどもそういう細かいりくつ抜きで、ただただ楽しく犬と付き合っていきたい人々にとっては非常に疲れるというか、めんどくさい犬にもなり得るという点を、理解しておくことは重要だと思いました。
2019年7月10日水曜日
ボストンへ行ってきました(再び)。
それから今回初めて夏のボストンに滞在して、一般家庭に冷房がないことを初めて知ったんですね。自他共に認めるすごい暑がりである自分は死んでしまうのではないかと、道中心配していましたが、築112年の(アメリカ的には)古い家の中は日中は意外なほど涼しく、湿度の低い風が一日中吹いていてさわやかでした………、というのは今年がラッキーだっただけで、去年はマサチューセッツも猛暑で大変だったそうです。
戦争では、間接的に、いやもしかしたら直接的に、多くの日本人の命を奪った人なのかもしれません。今目の前で死にゆくその人を見て、複雑な思いでした。個人のレベルでは、怒りや憎しみなど、何も感じる事がないからです。今までの人生の中に散りばめられた「戦争への間接的記憶の断片」を急に意識して、戦争への思いがふくらみました。自分の娘と、その友達は、バグパイプの音に合わせて楽しそうに踊っていました。その仲良しの娘達にだってそれぞれ、ユダヤ人とドイツ人の血が流れています。
今回は庭や近所をうろつく事がメインだったコディ。暑さと、朝から晩まで子供だらけで、あまりよく眠れなかったみたいです。この犬は旅行はいつもこんな感じですね。夜は冷房のある友人夫妻のメインのベッドルームに入れて貰ったりして、すごい特別待遇を受けていたのに(うちのが来ると毛まみれになるラグに文句を言うどころか、こんな事してくれる友人夫妻に感謝)。バージニアの家はずっと狭くて暗い家ですが、静かだし涼しいのでやはり落ち着くようで、帰ってからは3日位ずっとゴロゴロ&寝ぼけまなこで過ごしていました。
2019年6月4日火曜日
雷が来る前
仕事から帰ってくる最中、西の方で雷雨警報が出ていたので、2時間程で自分のところまで到達すると考え、このブログにももう何度も登場している(→登場その1、登場その2)バージニア州ターナーファームへ散歩に行きました。私が出かける日は朝から殆ど動かしてもらえないので、家の中で退屈していた犬です。大喜びで走り回り、ボール拾い、馬用の堀を飛び越えたり、馬糞を味見したり、ワタオウサギの通った後を嗅いだりする横で、いかにも怪しい黒い雲が沸き立つ様子を眺めました。雷雨という気象イベントはわくわくします。こういう時に急に冷たい風などが吹いてくると、おっ、来るな!という感じで、走り出したいような高揚感を感じます。
かと思えば急にまぶしい日が照ったり。この心をかき乱す空の様子を見て、昔の人は、妖怪や神様を連想しました。私達の脳は否定形を認識出来ない、と聞いたことがあります。科学が発展する前、天気などの現象の起きる理由についても「(理由が)ない(=わからない)」ものをそのまま「ない」としておくことが出来ず、なんとかして「有る」とこじつけた結果が神話や物語なのだと考えると、空想を産む構造になっている自分の脳に愛着のようなものが芽生えます。
コディはセージとかローズマリーとかの刺激臭のする薬草系の匂いが大好きです。ここの牧場の傍に生えている名前の分からない葉が三角形の植物も、つぶすと強いハーブの匂いがして、たまらないようです。葉っぱを見つけるとゴロンゴロンと全身にまんべんなくまぶそうとします。すべてをなぎ倒してめちゃめちゃにするので、娘と一緒に見ていた「しぜんとあそぼ」のイノシシを思い出します。なんか、ドクダミとかも好きなんじゃないかな?生えてなくてよかった。
2019年6月2日日曜日
いちご祭りにて
週末は、バージニア州スカイ・メドウズ州立公園のストロベリーフェスティバルに足を運びました。ワシントンDCからだと大体1時間20分ほどの場所に位置し、豊かな自然とワイナリーに囲まれた風光明媚な田舎の公園です。山積みになったいちごのカートンの出店を抜けると、ノーマン・ロックウェルの1940年代の大衆絵画からそのまま抜け出てきたような、年老いた大道芸人がいました。アメリカにもさるまわしがあることを初めて知りましたが、動物愛護の気運も高まるこのご時世においては、こうして野生生物を使役して収入を得るということは、失われていく文化・芸能のひとつと言えるでしょう。
3歳と8カ月を迎えて、知性が犬を上回ってきた「ちいさいにんげん」の世話が本当に忙しくなり、最近全体的に遊び足りていないコディは、悪い子でした。最近気付きましたが、犬って、足元が芝生だとてきめんに行動が変わりますね。この日の朝も運動が足りていなかったコディは走りたそうにあっちへフラフラ、こっちへフラフラ、終始いれ込んでいて、いちご屋のディスプレイに突然前足を乗せたり(!)しまいには大きなダニを2匹くっつけて帰って家で念入りにブラッシングにかけねばならず、100点満点でいうと20点くらいのワルでした。
どこへ行っても、行儀がいい、頭がいいと、割と褒められることの多い犬ですが、慢心せずいつもきちっとコンディションを整えてくることの重要性を再確認しました。
スカイ・メドウの名前の由来になったと思われる、広い空と丘陵を背景に写真を。こんな風景がどこまでも続いています。ワイドアングルのレンズじゃなかったのが残念です。そういえば最近、仲の良い友人の子供が洗礼を受けたのですが、家族の由来のあるヨーロッパの一地方に一族で何十人も集っている写真を見ると、とても賑やかで楽しそうでした。
そんな様子を見た後だと、私達の家族写真はとても寂しく感じます。皆遠い所からやってきて、今この地に根付こうとしている3人きりのチームです。自由と孤独とが心中に去来します。喋らなくても、いたずらをしたり自己主張をしたり、フカフカとした毛の温かさを家庭に添えてくれる犬の存在は、我が家にとってとても意味があるのではないかと思いました(たとえワルであっても)。
2019年5月4日土曜日
セラピードッグの準備クラス
愛犬もかつて通ったことのある、セラピードッグのための準備クラスに、お呼ばれしました。と言っても、リクエストは犬の方にではなく、3歳6ヵ月の娘にです。この日、セラピー犬、介助犬、ファシリティドッグ候補の若イヌなど、合計6頭の賑やかなクラスで、簡単なノーズワークごっこや犬のパズル、double leash walkingと呼ばれる二本のリードを使った犬との歩行、読み聞かせ、ブラッシング、犬にコスチュームをつける、などなどのタスクを一緒に練習していきました。クラスの終わりにトレセン長が娘に歩み寄り、「大きくなったら、サービスドッグのトレーナーになってここで働いてネ!」と言ったところ、「私はおひめさまのねこを育てる人がいい」とか言って、自己主張していた(笑)。犬に舐められたり踏まれて泣いたりしながら育った娘は、ネコが好きです。
娘が将来なりたいものは、「ピンクのウサギをお世話する仕事」とか、「みんなに食べ物をあげるしごと」「お買い物をする仕事」「虹をつくる仕事」などなど、わりかしコンセプチュアルなものが多いです。可愛いものとか、おひめさまが大好きで、アメリカの女の子の王道を行く嗜好の持ち主と言える一方、「お買い物をする仕事」のリストの内容があぶらあげだったり、プリャニキ(ロシアのおやつ)だったり、いきなり懐から小判を出すマネをしたり、文化的にいろいろ混ざっていて、面白いと思います。いつまでもこのユニークさを失わず、強く生きていってほしいと願います。
ここ一週間ほどは、天気が良くて涼しい日が続いていたので、犬も日がな一日ベランダに寝そべって過ごしていました。体重があるのに、痛くないのかなと思うのですが、家の中でも外でも、固い地面に直にゴロ寝します。特に、「屋外の」「半日陰」「固くて冷たいコンクリート」みたいな条件がそろった場所が大好きな様です。雑木林からの風がくるので、いろんな匂いや音もすぐキャッチ出来て、寝ながらでも好奇心が満たされるのだと思います。水も、室内の清潔なボウルにためてある水道水より、外に出しっぱなしになっているお皿の、小枝や落ち葉入りの「はっぱのアロマウォーター」の方が好きです。
私の住むこのボロ屋は、雑木林に面しややせり上がった台地に建ててあるため、このベランダはちょうど林床から5メートル程度のところに、さながら木の上の秘密基地のように浮遊しています。木陰のおかげで一日中薄暗く、狭く、穴ぐらみたいな場所が好きな私にとってはパーフェクトな家です。ベランダの至近距離まで野生のタカやノスリやフクロウ達が来たりして、住んでいてぜんぜん飽きることがありません。でも、娘にとっては狭すぎることが、だんだんと不便になってきていました。あと数年、いやもしくはもっとすぐに、この家を後にせねばならならなくなるでしょう。
また最近は件のながら散歩と並行して、「むこうから人がきたよ」だの「犬がきたよ」だのと、犬にせっせと話しかけるようになりました。多分、傍から見たらあぶない人みたいに見えてる可能性もありますが、「今のうちからこうしておけば、もしそのうち愛犬の目が見えなくなったり、耳が悪くなることがあっても、二人五脚で楽しく散歩が出来るのでは」という実験です。
うちの犬はトレイルのような場所で何かの気配がすると、グッと首を持ち上げて尾を立てますが、そういう時「あれは人だよ。」というとシッポが下がるので、なんとなく意味は分かっているようです。犬が来るときも、「あれは犬だよ。leave the dog.」とか言うと、時々鼻息を荒くしながらも素通りすることが出来ます(※)。散歩道で何かに遭遇する前の段階で、心の準備が出来るか・どうかは、コディの心の平穏度に密接にかかわっていると感じます。(※コディは雑木林のトレイルの様な場所では、他の犬に対して警戒し吠えます。)
もうひとつ面白いのが、上手にふるまえた時「おりこうさん!あとでオヤツがもらえるね。」と言うのですが、これをちゃんと覚えていて、家に帰ってからおやつの棚の前で待っています。わりと記憶力がいいので感心します。どうも犬の中で、「あとでオヤツ」というアイデア自体が報酬化しているようです。
効果があるのか、ないのか分からない、細かいことばかりですが、人・犬ともに事故や病などのライフイベントが、いつ訪れるかは分かりません。これは、先代の犬に教わったことのひとつですが、いつも、どこかで、来るべき犬生のシナリオについてなんとなくシュミレーションしておくことは大事だと感じています。