コディが10歳になったのを節目に、ふだんの検査や予防接種を受けている病院とは別に、高齢になってきた愛犬に優しく接してくれ、コンサルテーションに時間をかけてくれて、またもしもの時の往診や、自宅での緩和ケアに特化した獣医さんを根気よく探してきました。運よく「ここは」と思える医院を隣村に見つける事ができ、さっそく検診にいってきました。
行ってみて驚いたのですが、ここの獣医さんは看護師さんがおらず、いわゆる「診察室」もありませんでした。改装されたオフィスはおそらくかつては農家の納屋だったらしく、ところどころ名残がありました。診察はこの広々したスペースで1頭ずつ行ってもらえます。怖がり屋や緊張しやすい犬にも優しく、ふだんに近い犬の動きがみられそうですね。非常に画期的だなと思いました。
オペレーションは、写真の獣医師さんが全て一人でやっていて、奥に検査機器がいくつかと小さなラボがあるのと、残りは移動用のバンにすべてまとめてあるのだそうです。今まで通った事のある獣医さんとはだいぶ形態が異なるので面白いなと思いました。
今回の主な話題は、2月の検査で分かった肝臓のALT(SGPT)の値が高まっていること、後ろ脚の筋力が弱り気味なこと、前足とオシリまわりの毛の変色について、腫れやすい歯茎のケアなどなど、シニアライフのちょっとした懸念事項についてアドバイスをもらいました。
まず肝臓については老齢なのである程度は仕方がなく、今何かしなければいけないというような数値ではないという見立てでした。タンパク質や脂質の代謝にも関わらないだろうということで、ドッグフードをベースにしながらも「毎日1回なにかうまいものをあげる」という生活に戻して大丈夫、と言われました。またコディが心置きなく『うまいもの』を食べられるぞ!と嬉しくなりました。
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後ろ足の筋力については、じっくり触診してもらい、また行動や歩様の観察で、おそらく軽度から、もしかすると中程度に進む段階の関節炎があるだろうと言われました。後肢に違和感や痛みがあるので、そこから少しずつ体重のかけ方が変わっていったり特定の動作を避けるようになり、そのことの繰り返しで筋力の低下が生じているのだろう、という見立てでした。
これは私自身も色々調べて、思っていた通りの内容の診断だったので、聞いてスッキリしたと同時に「これからどう緩和・改善させるか」ということに関心が向きました。獣医さんの方針ではまずは薬で炎症や痛みをとりながらサプリメント類で栄養を補い、筋力を温存するための運動を、ということでした。同時に積極的投薬などで老化した肝臓に負担をかけすぎないように気を付ける必要があるとのことでした。
印象に残ったのはシニア犬の健康に関して獣医さんの、なにごとも『完治』を目指さない事、という発言です。コディの若い頃を知っていることで無意識にそのころの状態をベースに考えていたかも知れませんが、人間でいえば75歳をゆうに超えています。全身的なコンディションが緩やかな下降線上にある今のこの状態そのものがこの犬にとっての「健康」なのだと、今回、私のものの見方も変えていった方がいいなと思いましたし、現状に即した日々のケアをしていないとな、と思いました。