今、借りているアパートでは犬を飼うことができます。先日は共用エリアでジャーマンシェパードの子犬を散歩している住人と世間話をしました。「コロナで在宅勤務になって、運動不足だし、丁度いいからこの子を迎えたの。」と話してくれました。訝しげな眼で私の事を見るその子犬の様子を見ていて私は、今年生まれた子犬達が社会化に大きなハンデを課されていることに気が付きました。
この話題については、やっぱり同じことを考えてた人がいたみたいで、アメリカンケンネルクラブの記事にもまとめられていました。また「行動の変化」という点に目を向けると、成犬であっても、自主隔離生活期間が長引くにつれて分離不安傾向が強まる等の問題が考えられるようです。犬によっては分離(セパレーション)の練習をし直す必要が出てくるかもしれません。この話題について気になる人はBloomberg Businessweekのこの記事も見てみてください。残念なのですが、時間的にまとめる機会がなさそうなので、、、
私達の場合は、事前に「都市の優良家庭犬資格(CGCU)」を取った時のペーパーワークとセラピードッグ(TDI)の証明書(☞これをとった時の長くドキドキした話)、実際の活動の経歴などを簡単にまとめたものを準備しておいて渡したところ、賃貸の査定の時に有効だと言われました。アメリカの優良家庭犬資格などは「やれば誰でもとれる」とか、とってもあまり意味がないとか様々なことを言われていますが、公的な認定はこうした場面で効力があるという事を、再確認しました。大型の犬やいかにも強そうに見える犬種の飼い主は目指すと良さそうです。いつかどこかで役にたつこともあると思いました(法廷でも有利に働くそうです)。
とまあちょいちょい苦労しながら晴れてのアパート暮らしが始まったわけですが、3ヶ月ほど暮らしてみて「やっぱりうちの犬にはやや無理があるかな~」と感じています。手前みそですが、コディはとても良い番犬で、そのおかげでボロ屋時代は毎日安心して暮らすことが出来ていました。ところがアパート生活では彼の番犬としての「良い資質」が、ぜんぶ裏目に出てしまうことに気が付きました。
窓が沢山あって明るい部屋ですが、逆に家の前の通り道が丸見えで、コディは定期的に見回りに行き、吠えようとします。声量があるのでとてもうるさいです。「もういいよ」と言うと渋々吠えるのをやめますが、「ウオ~、ウオ~」「ピーピー」と文句を言う事もあります。犬からしてみれば、「あそこにまだヘンな人がいるのに」といったところでしょう。フラストレーションがたまるようです。
また、住居の構造的にも難しい点があります。自動ドア、みしらぬお掃除の方など、犬的にこれはチェックしないと!と強く気持ちを煽る仕掛けが点在します。エレベーターなどもまさにそうで、セラピーの訓練でも実地でも何度も利用して全く慣れたものでしたが、日常使いのエレベータだと、急にドアが開いていきなりガウガウと吠える犬が現れたりします。これはものすごい刺激です。
コディはのんきなクマさんみたいに見られがちですが、吠えられると引き下がらず、逆に前に出ていくタイプです。案の定、ガウガウエレベーターを速攻で覚えて準備(ドアが開いたらとりあえず吠える)するようになってしまい、ついには人が立っているだけでも吠えるようになりました。セラピードッグとしては、かなりまずい状態です。別途練習することになりました。シェパ飼いの皆さんはご存知だと思いますが、いらんクセは一度で覚え、直すのには10倍時間がかかるのでこれはかなり疲れました。
最も深刻な懸案事項は、オートロックが開く「ピー」というハイピッチ音や、集合住宅で夜不意になったりする全館火災報知器の爆音です。5歳を過ぎて音に敏感になりつつあるようで、火災報知器が鳴った日のコディのテンパり様は、とても可哀想でした。私達の安全な暮らしのために絶対必要な装置だと思いますが、大音響とあわてて移動する人々の喧騒や、階段で出会う混乱した他の犬に吠えられたりと、感受性のやわらかい1才未満の若い犬や、音響シャイな犬などにとっては一度でトラウマになってもおかしく無い状況だと思います。私達も「もう、鳴りませんように」と祈りながら住んでいます。