2015年11月14日土曜日

1日「シェパード」体験へ



    このあいだ「シェパード」と辞書をひいたら、「可算名詞」と書いた横に「羊飼い 牧羊者」と書いてあった。世間一般では、「シェパード」という言葉がほとんど独り歩きして、ジャーマンシェパードを指している感があるけれども、シェパード犬とは羊飼いの犬、牧羊犬の事で、なにもジャーマンシェパードだけに限定するわけではなかったのだ。考えたらしごくあたりまえの事だけれど、もともと牧羊の文化を持たない日本人ならではの固定観念だったかも知れない。

    冴えないぼやきはさておき、今回、個人でヒツジを飼っている方の所で家の犬「コディ」とその親戚の子犬達を対象に、そんな牧羊犬としての能力が彼らにどのくらい残っているのかを審査してもらえることになった。週末、ぐんぐん短くなる日を追いかけるように、西へ向かって車をとばした。80キロほど走る間に灰色の住宅地の光景がだんだん緑になり、そしてのどかな田舎の風景に変わった。


見覚えのある顔、アローお姉ちゃん

メエエ メエエ



 牧羊犬の適正診断はまず、ヒツジのいる柵に犬を入れ、離れたところから犬がどのような行動を見せるか観察する。同時に羊飼いが杖で地面を叩き、犬に、杖へ敬意を払うよう促す。この時点で、ヒツジに対して攻撃的な行動を見せた犬は除外されるらしい。コディはヒツジに大注目&大興奮で、珍しくワンワンと吠え、瞳がらんらんとして今にもヒツジを丸飲みしそうに見えたので(笑)一同若干心配になったけれど、羊飼いと杖への注意力が高かったので、審査続行となった。また、ヒツジは意外とタフなんだそうだ。少々、犬にどつかれた位では、なんともならないそうだ、、、と言うのはオーナーの談。


しっぽをブンまわしながら羊の後を行くコディ。



 羊飼い役の人が、犬に適宜指示を出していく。と言ってもまだ何も知らない子犬なので、「そうそう」「優しく」「ダメダメ」など、主にヒツジに対する基本的なマナーを教えることがここでのメインだった。

    話を聞いていて面白いなあと思ったのは、ポインティングやレトリービングと同じく、ハーディング(ヒツジをまとめること)も強く本能に根ざしていて、犬一頭一頭のもともともつ資質が重要なんだそうだ。トレーニングをほどこして、後天的に教える事も出来るけれど、やはり生まれつき「動く生き物の集団をまとめたい」という、強いモチベーションを持っている犬がいて、本格的なハーディング競技や実務にはこういう犬達が使われるそうだ。


なんだかそれらしくなってきた?



 結論、コディの牧羊犬としての資質は???

 審査をしてくれた方によれば、ホビーレベルのハーディングなら十分通用するということだった。ヒツジへの興味、忍耐力、エキサイティングな状況下でも号令への注意力を失わなかった事、それと群れからポンと一匹飛び出したヒツジをさっと連れ戻す動きが出来た事が評価された。マイナス点は「遅さ」。コディはそもそも牧羊犬としてはオーバーサイズなのだ。これは自分で見ていても、確かにそう思った。しかし競技レベルはムリでも、いずれ庭の広い家に住む機会でもあれば、小さいアヒルかガチョウでも飼って、追わせてみるのも楽しいかもと、夢が広がった。

 余談だけれどイヌにとってヒツジ追いは随分ブレイン・エナジーを消耗するようだ。コディがヒツジの柵の中にいたのはものの20分たらずだったが、そのあと帰りの車の中でも、帰ったあとの家でも、グーグー熟睡していた。これを見ると以前ハーディング・コンペティションのチャンピオン戦で見たボーダーコリーなどプロの牧羊犬達は、とてつもないアイロン・ドッグ達だったのだと改めて思った。ワーキングラインに限って言えば、とてもじゃないけど一般家庭では飼えない代物だと思う。



2015年11月9日月曜日

バージニア州 リトル・ディフィカルト・ラン



 母が帰国する前、最後にとトレッキングしたバージニア州リトル・ディフィカルト・ランでの光景。ここは、コディがまだ小さかった頃に、コディの友達も連れて一度来ているので(→参照)地理的には馴染みがあるけれど、季節が違うのでまた新鮮な趣があった。こちらではほんの2週間ほどの間で、きれいだった広葉樹の葉がドカッと落ちて、林床まで日光が届くようなり、森全体が明るく見通しも良くなって、さらに地面を覆うシダや棘のある植物の多くが枯れた事で、かなり歩きやすくなりました。




 林道を楽しそうに歩くコディ。生後10ヶ月になり、体重も、最近忙しくて計っていないけれど50キロ近くになっているのではないだろうか。写真を見てふと、ずいぶん大きくなったなと思った。こう見えて本当は、家に入ってきたクモやバッタを倒すのが関の山と言うお人よしの犬だけれど、彼の事を知らない人がもしこういうところで急にこの犬と出くわしたら、ちょっと怖いのではないだろうか。

 遠くから近付いてくるこの犬を見て腰を抜かし、転んで骨折してしまったおばあさんが居たとして、ここアメリカでは、裁判になればおそらくこちらが負けてしまう。日本と同様、オフリードでの犬の散歩にはリスクが伴う。野外でのびのび遊びたければ、場所と時間帯の吟味がとても大事だと思う。リコール(呼び戻し)を確かなものにしておくことも重要だ。それも、他の犬や見知らぬ人、物、大好きなにおいなどの誘惑に打ち勝って、必ず戻ってこなくてはいけない。うちの犬は今の所、リコールの反応はとても良い状態を保っているけれど、個人的に身の回りで訓練のよく入った犬達を見ていても、犬の行動に「200%絶対」はないと感じているので、鉄のリコールに到達するのは容易な事ではないと思う。




 ところでここへ犬を連れてきたのは、先日リバーベンドパークへ行ったおり、コディが(積極的にはいかないまでも)全く泳げないのも良くないと気付いたことがきっかけだった。その点ディフィカルト・ランは全域にわたって小川の水深が浅く、流れも遅く、また水質が比較的きれいなので、練習にはうってつけの場所だった。この日は、日本のウグイに似た川魚がちろちろ泳ぎ回る横で、コディの犬かき(?)を数回、見物することが出来ました。


犬かき(?)後、ほうほうのていで張り出した木の根につかまるコディ。

河原に上がって一息つく犬。



 水泳?といえばこのお方も初めて、「赤ちゃん用の風呂」というので沐浴をさせてもらったのでした。今まで自分がタライみたいなのに浮かべてぱちゃぱちゃ程度にやっていたのでは全然汚れがとれていなかったらしく、ばっちいベイビーになってしまっていたのです。写っているのは母の手です。この手で自分も含め、3人の兄弟は毎日沐浴させてもらっていたと思うと感慨深く、また時の流れを感じます。おお、母よ!(笑)。


沐浴後 爆睡するかーちゃ