2015年7月9日木曜日

飛ぶオモチャ、犬用GPSタグ



 「ワンワンワン!」と、今まで聞いた事のなかった家の犬「コディ」の警戒した吠え声で週末、昼寝から起こされた。なんだろう?と見てみると、今降り始めたばかりの雷雨の中、外をレインフードを被って走る人を見て吠えていたのだった。のんびり者だったコディも今週生後六か月目に入り、ちょっとした防衛本能が芽生えてきたらしい。体重はおよそ80パウンド(36キロくらい)になり、だいぶ大きくなってきたと感じる。

 そんなこんなで(?)本格的に夏になってきた北バージニア方面、今にもめげそうな暑さと湿気の合間に轟音を鳴り響かせながら雷雨がやってくる日々が続く中、活発な若犬になったコディを効率よく運動させてやるために、今週はドッグランへ行くことと、オフリードでの散歩を沢山やった。具体的には朝晩2回のランと、日中に雑木林の坂路で「とってこい」遊びをさせた。日中は気温が30℃近く、湿度も80%前後と蒸し風呂状態が続いていたので、30分程度の短い時間でも楽しく運動できる「とってこい」遊びを出来るようにしていたのはよかった。




 因みに上のGIFでコディが咥えているのはチャキットというシリーズのアンフィビアス・バンパー(アマゾンのリンクへ飛びます)というもので、今まで使った投げる系おもちゃの中では一番使い勝手が良かった。

 オシリの所にヒモが付いているので投げやすいし、バーの形状も咥え易いらしく一番よく遊んでいる。水にも浮くので川遊びもOKだった。あと、両端がウレタンみたいな素材で出来ているので、あまり大きな声では言えないがガレージなどで遊んでいて力加減を誤り、他人の車に当ててしまったりしても大丈夫なのである(経験者は語る)。他にもパチンコのように飛ばせるダガー(上の写真)を使ってみたけれど、おもしろそうな見た目の割に案外きれいに飛ばすのが難しく、また犬の方も咥えづらいらしくて、まあ、自分腕のせいかもしれないけれど、あまり活躍していない。




 話題その2。ペット用のGPS「TAGG」を入手した↑。 オフリードで遊ぶことが増えたのと、コディがシカを見ると警戒して吠え、追いかける事を知ってからずっと必要性は感じていたもの。しかし購入の直接の動機は、毎朝ドッグランで会って顔見知りだった可愛いオスのラブラドール・レトリバーが、ランから帰る際にキツネを見つけて興奮し、リードが外れ、迷子になったという事件があったことだった(この犬は二週間後に林の中で遺体で発見された)。GPSがあればリアルタイムの位置情報を知ったり、内臓電源がきれるまでは少なくとも犬がどっちの方角へ行ったかくらいは分かるので、持っているだけで大分安心感が増す。


こんなかんじで首輪に装着します。写真を撮るのでじーとして!と言われ、硬直しているコディ。

本体を購入後、連動するアプリを使って位置情報などを見ます


 TAGGに関してもうひとつ便利だなあ~と思ったものに、「TAGGポイント」という犬の活動履歴を記録してくれる機能がある。TAGGを首輪につけた犬の行動を、Resting=寝てるかそれに近い状態、Light=ごろごろする/部屋の中をあるきまわる、Moderate=散歩/庭の探索、High=ランニング/とってこい遊び、のような目安ごとにわけ、一日のうちにどのくらい運動したかがグラフになる人間のフィットピットみたいな機能だ。ユニットがどう換算されているのかまだよく分かっていないものの、これを見ればだいたいどれくらい運動させればあとで大人しく寝てくれるのかが手に取るようにわかるし、急に活動レベルが下がった時なんかは、病気やケガの可能性を探る手掛かりにもなる。

 このGPSの難点は、知らない人からすると、パッと見eカラー(しつけ用のショックカラー)に見えることだと思う。気のせいかもしれないけれどTAGGをつけだしてから街中などではなしかけてくれる人が減った気がするのだ。そういうわけで、今は専ら運動する時だけつけて、それ以外の在宅時や街歩きの時は外すようにしている。犬は、いつ迷子になるかわからないので本当は常につけておきたいけれど、そのせいで犬が他の人とかかわるチャンスがなくなるのは本意ではないから、結構悩ましい。





2015年6月30日火曜日

「フィックス」すべきか、せざるべきか、

アップルストアにて

 それが問題だ。なんて、えっもう?こないだまでパピーでひょっこひょっこしていたのに、もうそんな感じになっているのか、と、育ての親ながら犬の成長の早さにビックリしている。いや、実際にはまだ足取りもまだおぼつかない(頭脳に至っては完全にパピーのまま)のだけれど、家のイヌ「コディ」は今週に入ってしきりとシッポやオマタの辺を気にして舐めはじめ、ガビガビにしてしまうのを洗ってやっていた所、オシッコでもない、かと言って膿とかそういう感じでもない分泌液が滲んでいたので、そうか、もうそういう時期か、という認識に至ったのだった。いま、5ヶ月と3週目に入った所なので月齢的にも妥当かと思われる(一般的にオスは5ヶ月前後で第二次性徴期を迎えると言われている)。毎日のドッグランでもまだマーキングらしきマーキングはしないものの、オシッコは「なんとなく」複数回に分けてするようになってきたし、ランでも気に入った犬を見つけると積極的にマウンティングもするようになり、時には言っても言っても辞めない時が出てくるなど、行動も子犬時代とはだいぶ変わってきたと感じます。

 オス犬の去勢をする適正な時期に関しては、自分でも色々読んでみたところ専門家の間でも結構意見が分かれる傾向があって、他の若いシェパード犬オーナーと話す時もよく議論になる話題です。以下、色々聞いたり読んだ中で自分的にもある程度納得出来たメリット&デメリットを並べてみると(参考);



 去勢のメリット




 ・オス犬特有の「迷惑行動」-攻撃性、支配性、興奮、過度のマーキング等-を緩和させる

 ・前立腺と精巣関連の病気(特に精巣ガン)に罹患するリスクを下げる ※1

 ・肛門周囲膿瘍に罹患するリスクを下げる ※2

 ・望まれない仔犬の誕生を防ぐ




 ※1未去勢かつ五歳以降のオスのおよそ80%が前立腺肥大に罹患するとされていた。

 ※2肛門周囲膿瘍-肛門近辺に発生する難治性の潰瘍で、アイリッシュセッター、ジャーマンシェパード、

  レオンベルガーは特にかかり易いとされていた。




 去勢のデメリット




 ・肥満のリスクが大幅に上昇する。※1

 ・血管肉腫に罹患するリスクが上昇する ※1

 ・甲状腺機能低下症に罹患するリスクがおよそ3倍に上昇する

 ・認知症に罹患するリスクが上昇する ※2

 ・早すぎる時期に施術が行われると、股関節形成不全、前十字靭帯の断裂、骨肉腫に

罹患するリスクが上昇する ※1




 ※1リスク上昇率に関しては諸説分かれる。

 ※2性ホルモンが健全な脳機能の保持に貢献するという、近年の説による




などなどがあり、去勢するにしても未去勢のままにしても、どちらも一長一短だな、という印象だ。うちの場合でいえば、かかりつけの獣医さんは生後6ヶ月での去勢をすすめている一方、繁殖元のブリーダーからは生後1年まで待つように、と強く勧められているのが主な悩みどころだ。個人的に、犬が完全に成熟するまでは健全なホルモン分泌を抑制するようなことはしたくないけれど、いわゆる問題行動に悩まされるのはわずらわしい。かといって攻撃性、支配性については、去勢することによって「緩和」はするかもしれないけれど、いわゆる「改善」するかといえば答えはNOだと思うし、病気のリスクにしても、去勢云々よりもまず第一にその犬のもつ遺伝的形質に由来すると思っている。そんなわけで、とにかく結論が出しにくいトピックだと感じている。


先月のノーザンバージニア・マガジンで優良デイケアに選出されていたドッグトピア
扉の向こうでは、コディが適正テストを受けている。

 ただ、管理人の暮らすこのアメリカの都市部郊外という環境に限定すると、飼い犬を去勢しない事に看過できないデメリットがひとつだけあることを最近知った。それは未去勢のオスは平穏なソーシャルライフを楽しむことが大変になるという点だ。例えば子犬が未去勢のまま7か月を過ぎると、どこのデイケアやペットホテルでも預かってくれなくなる。だから、飼い主に急用が出来たり、雨の日が続いて犬が家でつまらなそうにしていても、息抜きに気軽にデイケアへ連れて行って他の犬と遊んでストレス発散、などという事は出来なくなる。それならばとプライベートのドッグシッターやドッグウォーカーを雇う場合でも、未去勢でしかも大型犬・超大型犬ともなると請け負ってくれる人を探すのも難しくなるし、価格もそれに合わせて高額になるので、足が遠のくかもしれない。

 さらに、未去勢のオス犬は、街中やドッグランなどでトラブルに巻き込まれるチャンスがかなり上がる。これは全く個人的な経験によるものだけれど、地元のドッグランでもタマタマつきの犬が喧嘩や小競り合いのもとになる場面を幾度となく見かけた。皮肉だったのは、こういう場面で喧嘩をふっかけていくのは去勢済みだが、ドミナントで素行の悪いオス犬の場合が多く、それまで平和に楽しく遊んでいた未去勢オスにとってはとばっちりなケースをよく見た事だ。けれど、ヨーロッパなどと違い一般家庭の犬は去勢・避妊をすることがあたりまえで、「フィックス」された犬達がマジョリティ層を占めるアメリカの環境下では、人々の間では犬のケンカ=未去勢のオスが悪いという安直な図式が成立してしまう傾向にあるように見える。その結果、未去勢オスとその飼い主は(仮に彼らに非はなかったとしても)ランを去らなくてはならなくなることが多い。そんなとき遊び足りなそうに後ろを振り返りながらトボトボ帰っていく犬はすごく可哀想なのだ。こういう出来事が続けば犬にも悪い影響がありそうだし、飼い主の方も、そういう些細なトラブルの積み重ねで、自分の犬を公共の場に連れて行くのがおっくうになってくるようでは良くないと思う。

 ということでうちの犬に関しては、今後は去勢を行う事を前提に「いつが適正な時期か」について、かかりつけの獣医さんや繁殖元のブリーダー、他のベテランシェパードオーナーの人々にもよく話を聞きながら、最善と思える結論を出せるようにしたいと思っている。