2023年1月1日日曜日

おにぎり君とおしんこ君(別れ編)


 

 「長期わたる犬の友情」というのは、非常に稀有な現象で、特に引っ越しなどの人の移動が頻繁なアメリカ暮らしの中では、それが存在している(していた)こと自体にとても感謝しないといけないなあと感じている今日です。犬って、自分の生活のことは自分ではなにも決められません。それに私達のに比べて、悔しくなるほど短い一生を生きています。そんな彼らにとって犬の友達がいることは、本当に貴重でありがたいことだと思います。

 愛犬に犬の友達を作ったほうがいい、という意味ではないんです。犬は、自分に犬の友達がいなくでも、全く平気です。これは、犬が本質的に「人間のトモダチ」を目指して歩んできた動物だからということと関係していると思います。けれど犬と共に社会生活を送って、犬同士の遊びなども逐一観察してみると、犬にもちゃんと友達の好みがあるし、個体同士のケミストリーや、複数集まった時に起こるダイナミクスが存在することが分かります。


 

 うちの犬が3歳とか4歳くらいの頃だったかな。何気ない会話の中で、ドッグランでよく遊ぶ犬の名前を出すと、吠えるようになりました。確認のため何度も日を改めてやってみたのですが、「ライリー」とか「ニック」とか「ショーン」とか、特定の犬の名前を出すと、必ず吠えるのです。ワンワン言いながら玄関に移動して、外に行きたいような素振りを見せることもありました。他の犬の名前が分かるんだ!と、驚いた覚えがあります。犬でも、特定の好きな犬の事が脳裏に浮かんだとき、まさに豆電球が光るかのごとく、活力が生まれてそして吠えているんだと気付いた時は衝撃でした。



 コディが生後3か月の頃からの友犬ショーン、こちらのブログでは通称「おしんこ君」が、お正月を跨いで遊びに来てくれていました。おしんこ君の一家は今春、ヨーロッパにお引越しします。出会ったのはついこないだの事のようなのに、いつのまにかコディは8歳、ショーンは12歳になってしまいました。国をまたいでの移動となるので、この2匹が生きて会えるのは今日が最後となるでしょう。

 コディに小さい犬との付き合い方を(時に鉄拳と共に)叩き込んでくれた「おしんこアニキ」です。様々な場面でアニキに教わってきた知恵は、コディの中に深く刻み込まれています。一生のお別れは寂しいですが、それで今までの楽しさや、キラっと光る思い出までもが帳消しになることはない。お互い元気なうちに笑ってさよならできる良さだってあるはずです。新天地での、おしんこ君・おしんこファミリーの生活に、沢山の幸運があることを願っています。