2021年5月27日木曜日

春の終わり


 
 ナボコフは、タンポポのことを太陽から月に変わる植物と小説の中で表していました。茂り出した青葉の隙間を通ってくる、暮れていく晩春の光の中で一瞬あめ色に光っている様子などを見ると、路傍の雑草であっても、たしかに官能的に見える瞬間があることに気付きます。この季節特有のこの光は、ものの特別な一面をクローズアップする効力があるように思う。こんな時、例の毛むくじゃらも、いっそう素敵に見えるような気がします。