2015年6月19日金曜日

園芸店へ




 熱波と共に湿度も70%、時に80%を超え、常にムシムシ・むんむんした日々が続く北バージニア方面、こうも気候がアレだとなかなか日中、外へ出て行こうという気が起こらなくなります。ということで今日はメリーフィールド・ガーデンセンターという園芸店へ、愛犬「コディ」の散歩とトレーニングも兼ねてうろうろし、お茶を濁してきた。




 因みに行く途中の車内でのコディの様子。この犬は周りの車やドライバーを観察するのが好きなんだけれど、最近背が伸びてきていてハッチバック部の天井に頭がつかえるようになってしまった。そんな時よく見ると、天井につけている頭がまっ平なのが分かります。頭頂の毛がフワフワしているので普段はあまり気にならなかったけど、こういうのは「絶壁頭」の一種としてカウントしてもいいんだろうか。因みに自分も後頭部で卓球が出来そうなくらいの絶壁頭なので、勝手に親近感を覚えた。




 日本で食用にされる「ウルイ」の育った姿である「ギボウシ」、アメリカではHostaと言われこの辺りでは人気の園芸草のひとつとなっている。丈夫で日陰でも育つうえ品種もいろいろあるので(地味だけれど花まで咲く)、園芸店には上の写真のようにギボウシコーナーが設けられ、写っているのの3倍くらいの数のバリエーションが展開していた。そういえばうちも去年幾つか買って前庭に植えといたんですが、初年度は野生のシカに根こそぎ食べられてしまい、あっという間に無残な姿となってしまいました。反面今年はまだ食害に会っていないので、犬の尿の匂いが強力なシカよけになるというのは本当なのかもしれない。近隣の皆様、シカにお悩みでしたら、よかったらうちへおいで下さい。優秀なオシッコ製造機(型は写真参照)お貸しします。





    こういうのってなんていうんでしょう。様々な小さな植物を、これまた小さなプランターやガラス瓶に寄せ植えにするものです。日本の盆栽鉢も使えるようで、色々取り揃えてあったけれど、やはり本場のものと比べるとどれも皆すこし高価だなあと思った。


ハオルチアも居ましたよ。これは結構大きい奴。多肉は今回は購入しませんでした。

これは小さいやつ。この園芸店では、これ以外の品種は殆ど見かけないのが残念な所。



 今回とりわけありがたかったのがこちら、サボテン御一行様のテーブルだった。「leave it」のコマンドがこんなに説得力を帯びていた状況は、今までになかったように思う(笑)。最初のコマンドでまともに取り合わなかったコディは鼻の穴にサボテンの針が入ったらしく騒いでいた。いい勉強になったのではないだろうか。





 こんなに瑞々しく柔らかな植物が、荒野で生き残るためにはこんなにトゲだらけにならねばならなかった進化の過程を思うと、感慨深いものがある。日常生活でも、やけにツンツンしている人に出会ったら「サボテンのような人」と思って、彼らのこれまでのハード・ライフに思いを馳せれば、苛立ちも収まる様な気がする(かも)。


エア・プランツもありました。小さいものは特に可愛らしいので、
見るたび家にあるのに足したい気分になるけれどガマン、ガマン。



 温室内は屋内とはいえかなり暖かだったので、自分もコディもものの30分ほどでヘバッてしまった。おかわり自由のポップ・コーンマシンとコーヒーのカウンターを横目にガーデンベル売り場で揺れるベルの音を聞きながら、日本の夏、風鈴の音とスイカの味を思い出していると、コディが帰りたそうに催促してきたので、この日はここで引き上げました。




2015年6月14日日曜日

ウィリーのボール

これ以上近づくと逃げてしまう。

 ドッグランでもどこでもいつもかたわらにボールを携えているメスのジャーマンシェパード「ウィリー」。ベンチや木陰で涼む時も、大切なボールを片時も離さず、もはやボールが体の一部になっているようだ。

 ウィリーがレスキューされ新しい飼い主にめぐり合う前、ある家のキッチンの片隅に置かれた、大きな体がぎりぎり入る程度の古びたクレートと、餌皿、ゴムのボール1個がこの犬の持ち物の全部だった。基本的な世話する以外、誰もこの犬の事を気にかけないその家でウィリーは、いつもボールを口に咥え、遊んでくれる誰かが現れるのを待っていた。何年もの間辛抱強く待っていたので、口のまわりに白髪がちらほらしだした頃、ウィリーは「不要な犬」としてシェルターに連れていかれた。シェパード犬専門のレスキューグループに引き取られ、新しい家庭へ行くための訓練が行われたけれど、今まで「ボール」と「キッチン」と、そこから続く裏庭が世界の全てだったウィリーは、見知らぬ人を極度に怖がるようになっていた。前の飼い主を思わせる大柄な男性とみるや口から涎を流して恐れ、逃げ惑い暴れるウィリーにはもはや「ふつうの生活」を送ることが難かしく、この犬の管理はシェパードの更生を長年やっているフォスターファミリー(一時預かり家庭)の手に委ねられ、そのままその家庭に引き取られたのだった。

 ほぼ毎日ドッグランで見かける風変わりなシェパードにそんな悲しい過去があったとは知らなかったので、彼女が一生懸命(ほとんど脅迫的に)ボールと共に行動しているのを見る目が変わった。ボールは彼女にとってライナスの毛布よろしく、心のよりどころだったようだ。しかし、どうしてこんな話になったんだったかな。そうそう、うちの犬「コディ」が、何度体ををリンスしてやっても、ランへ行くたびに鬼ごっこで不必要に転げまわり労力が不意になる・・・というのをぼやいていた時、ウィリーのオーナー兼トレーナーであるリーさんが「走り回って汚れている犬は、幸せな犬よ!」と元気付けてくれたのが、きっかけだった気がする。「世の中のどこかには、こうして遊ぶチャンスのない犬もたくさん居るのだから」と。

 因みに現在のウィリーは、いまだにかなりシャイではあるものの、毎日たっぷり一時間のボール遊びとトレーニングの結果、気が向けば初対面の人にもそっと挨拶にくるほどまでに進歩している。