2015年1月9日金曜日

PERO



 現在管理人の住む、ワシントンDC郊外、バージニア州北部のまちは、日本の仙台くらいの緯度にあり、今外は寒い最中だ。すると、日本の友人の管理するケンネルの敷地内の倉庫に、勝手に「巣」を作って、そこで寝泊まりしていた数年前の今頃をふっと思い出す。その犬舎には数種類の犬が飼われていたが、その中でも写真のマスチフ犬と、なぜが気が合ったようで、仲良くなることができた。

 この犬は、ローマ時代の戦闘犬を思わせるような、正真正銘の猛犬だ。体重は60キロをゆうに超えていて、手はコンビニのクリームパン位あり、そして敷地内に入ってくるもの・・・人でも、動物でも、トラックでも、に最初に猛然と喝を入れに行くのが彼の仕事だった。彼を見ていて正直、都市部や郊外の一般家庭でこの犬を飼うということは考えられなかった。これだけ防衛に対して熱意を燃やす犬を、そういう場所で飼う事にはリスクがありすぎるし、獣医や散歩に連れ出すだけでも大変な労働を要するというのは明らかだった。

 しかし一歩喧騒の都市部を離れ、人気のない畑と、北風だけが吹き抜ける湾に囲まれた丘に建つ犬舎で過ごしたその年の正月、犬達の世界ほど「適材適所」がクリティカルな意味をもつ所はないと気付かされたのだった。そこでは、そのマスチフ犬一頭のおかげで、敷地の平穏は完全に守られていた。風呂なし、ガスなし、電気ギリギリありというその場所で、毎夜まったくの夜闇に閉ざされた中で幾夜も、幾夜も安心して眠ることが出来たのは、自分の寝袋のすぐそばにこの犬の存在を感じていたからというのも大きかったと思う。そんな生活を暮らす時、彼ほど心強い味方はいなかった。きっと大昔のローマ人もそう思っていたに違いない。



2015年1月4日日曜日

奇跡の融合



 ハワイで念願のセミリタイヤ生活を手にした家族から、写真が送られてきた。常夏の楽園ハワイは、「2匹のポメラニアン」と「おじさん」という、一見座標の正反対の場所に位置するかのような生命体同士が、奇跡の融合を遂げる場所でもあるようだ。この、醸し出す空気感のこの完全なるハーモニー。ただ事ではない調和具合だ。




2014年12月31日水曜日

子犬の見る夢



 少し前にブリーダーさんから送られてきた写真。この宇宙みたいな場所にプカプカしている、ぼんやりとした膨らみのうち、どれかが家へやってきて、そのうちお手やオスワリを覚え、多分家具を齧り、ソファをやぶり、トイレットペーパーと新聞紙をびりびりにする事を思うと、なんか不思議である。彼らは今頃、いったいどんな夢を見ているのか。




2014年12月29日月曜日

おしり譚



 グレイハウンド達に出会った。2頭は約5歳、犬としてはまだまだ元気盛りだけれど、ドッグレースの選手としてはもう引退する年齢だ。彼らは優しいお母さんに引き取られて、真新しいサイトハウンド用のカラーと、寒い日にはコートを着せてもらってトコトコ歩いて散歩する。お尻に毛が無いのは、スタート地点のゲートの中で興奮して動きまわり沢山擦れたせいで、元レーサーの犬にはよくあることだそうだ。(2019/12追記)これまではこのように考えられていましたが、最新の調べによると遺伝的要因による毛根の変異でこのような脱毛が起こるそうです。

 ドッグレースの犬達は「スワレ」を教わらない。それは体が出来上がる頃から走る練習を重ねに重ねて出来た大腿部の筋肉が、座る格好をする時不都合なためだそうだ。レースを引退した今も、二頭は一切座ることなく、しかして日々を楽しく過ごしているようだ。では寝る時はどうするのか?オーナーによれば、大きなふかふかのドッグベッドの傍まで行って、すこしかがんでから、ぱったーんと身を投げ出す感じで横になるのだという。このオーナー愛犬を引き取る時に、便利な「スワレ」を教える事を検討したそうだけど、座らなくても犬の生活が意外と問題なくまわっていくことを発見して以来、無理に色々やらせなくても・・・そのままの自然体で、の~んびりたのしくやれればいっか!と考えたそうだ。

 二頭が働いていたアメリカはフロリダ州にある、米国でほぼ唯一今でも活気あるドッグレース場はもしかすると近いうちに閉鎖になるかもしれないそうだ。ドッグレースは非人道的に見えて今までにも動物愛護団体の非難の的だったけれど、先進諸国において、古代から続いた「狩猟の手伝い」という仕事をほぼ失ったグレイハウンドにとってのそれは、残された数少ない、実益を生み出す仕事の一つであったことは確かだと思う。この犬種の生み出された目的は「より早く走る事」であり、それに伴ったレース競技という基本的なタスクが無くなれば、この犬種にとってもっとも重要な、改良の方向性が失われはしないだろうか。それは巡り巡って、この犬種にとって本当にいい事なのだろうか。




2014年12月24日水曜日

Merry Christmas!



 メリークリスマス!日本は今日がそうですが、こちらは只今24日「イブ」であります。

 今年は子犬探しの件で知り合った人が多かったので、彼らの愛犬達へオモチャ類や、ちょっといいオヤツなどを包んでギフトにした。人間同士だとどことなく気恥ずかしい(少なくとも自分にとっては)贈り物を送る習慣も、「犬のため」と言った瞬間グンと気楽になるので、これは結構優れた言い訳かもしれない事に気付いた。写真は小さいシカ君。←トナカイかも・・・