2022年3月29日火曜日

コディのバックパック


 サクラやアンズの花が満開のバージニア北部、ここ数日はかなり冷え込んで、陽光の中で時折パラパラくる粉雪が光っています。我々のほうは、前回のノートに書いていた秘密兵器が来たので、ここ1か月ほど慣らし運動をしていました。なかなかいいかんじです。トングと、軍手もゲットしました。私の軍手は、なんと花柄です(全くもってイラナイ情報)。


 コディが背中にしょっている緑の袋がその「秘密兵器」です。ノルウェーのサーミ自治区にある小さなキャンプ用品会社にオーダーしました。容量は40リットルで、ちょっとしたヒト用デイパックよりもたくさんものが入ります。テントなどの野外用品に使う布地を工業縫製で縫い合わせてあります。これが届くまですごい紆余曲折があって、ノルウェー語しか対応してないオーダーサイトからは注文も振り込みもできず、発送も基本的に国内のみだったため、直接交渉してインボイスを作成して送ってもらったのでした。時間はかかりましたが、スタッフの方がとても親切に対応してくれたので実現しました(ありがとう)。

 最初の2週間ほどは空の状態でしょわせて歩かせて、慣らし運動と荷重分配の確認をしましたが、左右のウエイトの違いに結構繊細なので、そこさえ気をつければあとは比較的シンプルで非常に使いやすいバックパックです。なによりこの緑色をすごく気にいっています。派手じゃなく、でもバックグラウンドには埋もれず、素朴だけどちょっと目を引くような、しかしカッコつけすぎない、なんともいえないいいデザインだと思います。

 日本やアメリカだと「犬のバックパック」といえばファンシーか、スポーティか、タクティカルか(軍隊みたいなスタイル)みたいな極端な選択肢しかなくて、それぞれのカテゴリにマッチする犬の場合は良いのですが、コディ郎のようにファンシーでもスポーティでもタクティカルでもない犬にとっては「どれをしょってもなんかヘン」という状況になってしまうのが悩みでした。また、私はこれは「犬に荷物をしょわせる」という文化がないことが原因と思っているのですが、容量自体も多くないものがほとんどで、ハイキング以外の実務に耐えるような製品がありません。



 私とコディがせっせと片付けた通りを地元のホースマンが通っていきます。思わず口元が緩んでしまいます。私達2人の秘密のプロジェクトによってきれいに保たれた道をあなたたちは何も知らず歩いて行くのだと、ちょっとほくそ笑みに近い笑いです(笑)。

 ニュースを見ればウクライナ情勢がヘッドラインを席巻する中、私は自分にできる事を実直に続け、家族や子供や、こういう光景が見られる日々を守っていかねばいけないと、思いを新たにしました。騒がず、弱った心に鞭打って奮い立たせ前に向かって歩み続ける事が時に必要だと、40年前ソビエトを捨て亡命者となった私の家族達は教えてくれました。

 遠くの世界の不正に対して憤ることと同じかそれ以上に、今目の前にある問題を自分のものとして捉え、能動的に取り組むこともまた重要であると思いました。家族や友や隣人のために働くこと。(がらくた拾いみたいな些細な事でも)思い立ったことを実行できる健康や時間がある今日一日を感謝しながら生きようと思いました。

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