今日も文字ばっかりの長々ブログです。笑
標題ですがのーがきはエエ、結論から先にと思う方に言うと、わがやは医療費を自分で積み立てるいわゆる「自己保険」をこれまでこころみてきて、その判断はよかったと思っています。ただし、場合によってはペット保険が有用な場合があるんじゃないかとも思っています(このブログの一番下らへんに、ペット保険が合う場合の条件について書きました)。基本、シニアまで大病しなさそうな犬=自己保険にメリット、若い時から大病・大ケガの可能性あり=ペット保険にメリット、つまり運がかかわる、という認識でいいかと思います。なお、日本のペット保険と違ってアメリカのペット保険は年間免責額(Annual Deductible)というものが高めに設定されていることが多く、実質事故と大病に特化していることも踏まえて読んでいただけると幸いです。
さて2月の全身健康診断費用、各種検査、サプリメントと薬代、餌代、診察代に手術代にと、ここ数カ月で獣医さん代の支払いが1万ドル(約160万円)を超えました。今回コディの診断から外科手術~メンテナンスまでをひととおり終えてみて、「獣医診療費は非常に高額だ」と再認識しています。自分たちが患者となってみると、アメリカの獣医さんの相場感がわかりにくいことも大きな不安要素だったかなと思います。価格の比較のためにセカンドオピニオン、サードオピニオンをとることは理想ですが、病気の動物をかかえて、また自分も日々のスケジュールに追われる中で、現実的に困難な場合も多々あるかと思います。
獣医さんの費用について調べていた時、ノースカロライナ州立大学のこのページが各種治療の具体的な内容とスケジュール・金額までが網羅されており、相場感覚を養うのに大いに助けになりました。上のリンクを開くと「Hospital Service」からそれぞれの診療科へのブランチに分かれているので、たとえば肛門腺癌であれば「Hospital Service」→Cancer Care/Oncology →Medical Oncology →Canine Apocrine Gland Anal Sac Adenocarcinomaのページにたどりつくことができます。ページをスクロールダウンするとこの疾患にまつわる一通りのトリートメント・オプションと、概ねのコストのテーブルがあります。ノースカロライナは、ほんの10年くらい前までは「北バージニアの人がリタイアしたら住むところ」などと、北バージニアの生活費との比較のために取り上げられる地域のひとつだったのです。けれども、動物の医療費から見ると恐らくものやサービスの価格は北バージニアともうあまり差が無くなってきているのでは、と感じます。
8年くらい前にアメリカの獣医さん代がどんどん上がっているというブログを書いたあと、わがやでは「獣医代の高騰は続く」という前提をたてていろんな計算をし、自分達の状況を踏まえて自己保険という選択肢をとることにしました。というと大げさですがいわば「非常用持ち出し金」みたいなのを毎月ペット保険に入れる代わりに、少しずつ積み立てて運用する地道な試みです。今回、自己保険にした場合と、ペット保険に加入していた場合と、複利込みでのグラフ化してみて(細かい部分はいろいろおかしい部分もあるので薄目で見てください)あらためてわがやの場合は自己保険でよかったかなと思っています。
キーとなったのは大きく分けると以下の2つの観点です。
①払い戻しの基準を満たす大病をするかどうかは運しだいであること。
②ジャーマンシェパードがもともとそれほど健康な犬種ではないということ。
まず①ついてですが、仮に犬が5歳のときに保険に加入し、月100ドルの掛け金を6年間(11歳まで)払った場合、累計は7200ドルです(保険料は加齢とともに上がるのでこれは最小値です)。実際は検査代や診療費など保険対象外の費用が多くかかったことなども考えると、今回のような手術で仮に払い戻しがあった場合でも、大幅な掛け捨てになっていたと思われます。
分子標的薬などの治療に進んだ場合はもしかすると満額払い戻しも可能だったかもしれませんが、それにも運が関わり、またコディのように性格的にあまり治療を受け付けない犬の場合、QOLの観点から見るとベネフィットを享受出来にくいのではと考えました。ペット保険は基本的には安心を買うためのシステムで、いわゆる『お得』になっていた可能性はわがやの場合、あまり高くないと改めて感じました。
つぎに②ですが、ジャーマンシェパ―ドはアメリカではいわゆる人気犬種で、需要に応じてホビーブリーダーによるバックヤードブリーディング等も盛んです。その結果、大型犬の持つもともとの疾患リスクに加え股関節形成不全、胃捻転、その他特有の遺伝性疾患の発症率が高いと考えられています。活発なのでケガも多く、いわゆる「高リスク犬種群」に分類されることがほとんどです。大型犬は基本的に掛け金が高く設定されてます。一部の優良な繁殖プログラムの過程を経てきた健全な犬であっても、高リスク群のプールに入ることになります。健康な犬は余分な保険料を支払う形になりやすく、この部分だけでも自前で運用すると最終的に大きな違いになると思います。
・
ここまで考えると、じゃあむしろペット保険が有効な状況とはどのようなものなのか?と興味がわいてくるので、これについても考えてみたいと思います。
・病気にかかりやすい犬種(ホビーブリーダー・バックヤードブリーディング個体)
特に若年期から毎月治療が発生するタイプの病気が予見される犬。アメリカのペット保険は既往症が出てからの加入だとその疾患だけ補償対象外になることがほとんどで、そもそも加入ができなくなるといった場合もあるので、こういった犬種やその混血の犬を飼っている人は、犬が子犬で元気な段階で保険に入ってしまうことに一定のメリットがあると思います。
・ハードな野外活動やスポーツをする4歳くらいまでのアクティブな犬
若年期に突発的な高額の支払いが生じる可能性のある犬。
藪を全力で突き抜けてわけわからん大怪我をする、自分の能力の限界を超えるスピードで急ターン、急に足ぷらんぷらん(意訳)等。さっきまで遊んでたロープがナイ……そして隣の犬はなぜか急に食欲ナイ……みたいな状況。スポーティング、ハーディングドッグオーナーの皆さんは極めて想像しやすい状況かと思います。笑
自己保険の場合、犬を飼い始めて数年のこの時期に高額の支払いが生じるケースだと対応できず、その後の積み立てのプランもガタガタになってしまうというのは最大の弱点です。保険はこの点有利ですね。が、たとえば体の片側のケガがあるとその反対側も既往症とみなして補償対象から外す規約がある保険もあるので、靭帯・腱系の負傷の場合は要注意です。あと、手術代は保障されても、リハビリや理学療法はカバーされないことなどもあるので、とにかく要綱を気を付けて確認する必要があります。
保険会社もビジネスなので、狩猟・スポーツ従事犬は除外する規定があらかじめ組まれていることがあります。規定は飛ばさずによく読んだほうが良いですね。もし、私だったら犬のアクティブイヤー(ハイリスク期)だけ保険に入って、ハイリスク期が終わったら保険は解約して、サブとして維持してきた自己保険でシニア期をカバー、という二段構えの構成にするかも知れないです。←今ポッと思いついただけなのでこれが『お得』かどうかは不明です。
・シェルターから来て、犬種や健康状態などの遺伝的背景がわかりにくい犬
・「保険に入ることが安心につながる」飼い主
医師に高額な治療を提示された時、飼い主は悩み、自分で調べ、選択と決断をすることになります。当事者として思いますが、やはりこのプロセス自体にかなりの時間的、また感情的なコストがかかる。必要な治療の判断にあるていど外部性をもたせ、責任を分散しながら「私はできることをきちんとやった」と思いたい場合には、ペット保険は非常に有用なオプションではないかなと思います。特に飼い主だれもが恐れる展開である「お金があれば助かるペットなのに、急に生じた10000ドルの治療費が支払えず、経済的な事情で安楽死させなくてはいけない」という最悪の事態を避けるという観点においては、ペット保険は一定のメリットがあると考えられます。