先日、近所に住む日本人のイヌ友さんの子犬を見に行ってきました。ピチピチ生後7か月(だったかな)のドーベルマン君です。可愛いですね~。バネ仕掛けのゴムの人形みたいにビョインビョインしてました。目がくりくりとしていて、骨と皮しかない可愛いカチカチの頭で「愛の頭突き」をしてきました。うちの先住犬も若い頃こうだったな、と非常に懐かしく思いました。
飼い主さんがコディが並ぶとドビちゃんがすごく小さく見える、と言って笑ってました。ごつくて顔もでかいので、並ぶと確かに感覚がおかしくなりそう。私の周辺、日本人の女性で元/現ドーベルマン飼育者にわりと出会います。なんか、統計的に優位な差!という感じでかなり気になっています。日本では滅多に出会わなかったのに、アメリカにはこんなにいるなんて。
日本語の家庭学習をやってると来ます
さてそのアメリカでは大統領選が近づき、なんとなく街や人々の空気が変わってきました。4年前の大統領選前夜、私とコディは深夜のDCを徘徊したのですが、ちょっとスリリングで楽しかったのでよく覚えています。街はまた板張りになっているそうで、「近づかないように」と日本大使館から通達も来ました。日米メディアではハリスの評価が総じて高いようですね。
私個人の所感としては、ここ数年の物価の大幅な上昇、違法薬物の蔓延や治安の悪化、バランスを欠いたように見える学校教育関係の政策が次々と生まれるなど、ここ4年間だけでもこの国に急速にさまざまな変化が起こっている事を日々自分の目で見て、生活を通して、時に直に影響を受けることで実感して来ました。
同じくここ数年で国際情勢もかなり、大丈夫かなという状態になってきていますよね。これを書いている今現在も地図上のさまざまな場所での戦争と大国同士の緊張関係が高続いています。国際舞台での米国のプレゼンスが弱まっていることを実感します。
ごみ置き場にされてることに気付いた犬
近年の新聞やニュースなどでは地球環境保護、機会の平等、多様性、移民政策、SDGs等が常に取り沙汰されてきて、いわゆるトレンディな話題だったわけですが、いわゆる『弱者』の救済というのは、もともと、秩序ある社会と安定した経済があって初めて実現するものです。しかし、実際に住んで日々暮らしている私のような者からすると今のアメリカは、そういった「あそび」が許されない雰囲気に急速に変わってきているように思います。
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先日コディが歯の手術をした時にふと頭に浮かんだのが、もしかして今、アメリカ中で、治療が出来ずに安楽死になる犬が増えているのではないか?という考えです。ペットの安楽死の件数については包括的な統計がなく、さっと示せるデータがないので完全に憶測なのですが、、、、、、
北米のペットの医療費は以前ちょっと触れたとおり、もともとインフレ率を遥かに上回るスピードで上昇してきました。ここへきて人件費や医薬品費、医療設備費などの高騰が追い打ちになったのか、さらに割高になった感があります。私達の場合も、検査と日帰りで歯を数本抜く処置で、サラリーマンの月収分位のコストがかかりました。もし、入院が必要な高度な手術や、治らない病気の治療だったら?さまざまな事情で医療費の準備ができない家庭も多いはずです。なついてくれて、ずっとついてきてくれた犬なのに、どうしてもお金がないから助けてやれない、そのような人が増えているのではないか?とふと想像しました。
飼い犬を苦しませてしまうことは犬の飼い主として一番辛く苦しい事ですが、一般的な中流のアメリカ人の視点から見ると、働いて税金を払い、各種ローンや保険料を支払い、ものの値段がどんどん上がる中、家族を養い、ガソリン代の高騰や高度オートメーション化にAI化で職もいつ失うかも知れないという危機感の中で、どうしても無い袖が振れない、また今回だけはと家中からお金をかき集めたとしても、もし今後もずっと治療が続くようならあきらめなければならない人、というのが一体どのくらいいるでしょうか。そうやって治療を泣く泣く放棄する人を非難できる人が、またどれだけいるでしょうか。
一介の犬好きなので犬を例にとりましたが、このようなことが多くの人々の生活の色々な場面で生じているのが、今のアメリカの現状なのだろうと思います。大統領選挙というのは昔から「4年に1度のセレブリティ大運動会」みたいなもので、こういった民衆の気持ちを候補者が本当に理解することは難しいのかも知れませんが、見た目や性別や話し方ではなく、実務能力こそを政治家に求めたい。周囲を見渡すと多くのアメリカ人がそう感じているように見えます。これはメディアには決してとり上げられることのない、「地に足をつけて日々の生活を営み家族を支える多くの平凡なアメリカ国民の思い」ではないかなと思います。