2024年5月24日金曜日

コディの喜び

 


 夕、今年最初のホタルがふわ~っと横切っていきました。細々と続けていた歴史街道のごみ拾い散歩ですが、バージニアは夏の間は非常に暑く湿気も凄いので、犬の負担にならないよう、一旦お休みに入ります。今春はコンスタントに5キロ分位のごみを運んでいい運動になっていました。家族や友達にもほとんど知らせていない、犬と私の『個人プロジェクト』が何気に続いていて楽しいです。私は相変わらず使役犬のフィットネス関連のメーリングリストに加わっていて、送られて来るものを色々読んでいます。犬の身体能力は気温によってかなり大幅に左右されますね。

 コディは小さい頃から目力があってわりとポーカーフェイスの犬で、それで結構怖がられてきたりしたのですが、こうやってリュックをしょって歩く時、ふと見るとニコニコしているのです。「Oh, what a good boy you are! 」とか声を掛けると本当に嬉しそうな目をして尻尾をブン!と一回大きく横に振ります。褒められると舞い上がり、しばらくウキウキと軽快なステップで歩くのもかわいい。

3月に隣の農地にて。今年は沢山のトウモロコシが植えられました

 しばらく前になりますが、なにが君のしあわせという記事に「自分の犬が『これをあげれば(すれば)とても喜ぶ』ということ、報酬がどんなものごとかが事前にはっきり分かっている事は非常に大事だ」と書きましたが、最近になって、私がずっとコディが喜ぶものだと考えてきたものごと、おやつやおもちゃの事ですが、についてずっと見当違いをしていたのでは?と思うようになりました。

 いや、確かにおやつやおもちゃのためにすごく頑張るんです。なんだけど、そういう行動の元を辿って行くと「自分がした事が飼い主を喜ばせた時」コディは嬉しそうに見える、と年を追うごとにだんだんはっきり分かってきました。これがよく犬の教本などに出てくる「Eager to please (人を喜ばせたい)」という性質なんだ!と気が付きました。なんと初歩的で、なんとあたりまえなことに、なんと今更気付いてしまったのか(笑)。

 だからおもちゃがなくても、私のポッケの中におやつが入っていなくても、ヒモがついていなくても、何十メートルと離れた場所にいても、コディはいつも私のリクエストに応えようとするのかと気が付きました。おやつやおもちゃは彼にとっては「ラッキーなオマケ」みたいなもので実際トレーニングを加速させるものでしたが、本当の所は飼い主が喜ぶのが好きだからだったんだと。


激しい雷雨があった翌朝、落ちている楓の枝を不審に思いいきなり猛ダッシュでチェックしに行ったコディ。
雷のストレスと急に猛烈に走ったことでぐったりしている様子。
半年前と比べても、息が上がりやすくなった気がする。

 家族のために何かするのが大好きな犬だとわかるからこそ、今後、老いや病気などで「今まで出来たことが出来なくなった時」も、なんとかできる事を見つけて「同じような毎日」をメンテナンスすることができたらなと思っています。

 たとえば聴覚過敏が進んですぐパニックになるコディとか、痴呆になってボンヤリしてるコディ(あんまり想像できないけど)、体が思うように動かないコディ、心臓が悪く走らせてはいけないコディ、とか色々シュミレーションをしながら、そういう状況下でどんな事をさせてやれるのか考えています。普段、まだ起こっていないことに対してそんなにあれこれ考えない方ですが、最近はふと気が付くとそのことを考えていることが多いです。

2024年5月22日水曜日

あれがなった!


 どういうわけかあれがなりました(驚)

 錯乱坊のみなさん

 この場所に越してきて4年目。ついに、うちにサクランボの木がある事を発見した初夏です。私がいかに地面ばかり見ながら歩くヤツなのかこれではっきりしましたね(笑)こんなに鈴なりになっていて、味は、まんまお店で売ってるサトウニシキの味です。何もしていないのにこんなにおいしい実がなって、驚きました。

 残念な点は、多分私達が越してくるまえからずっと剪定をしていなかったのでしょう、木がすごく高く伸びていてほとんどの果実が収穫できないことです。ただの背の高いサクラの木になってしまいました(笑)木の手入れは大事ですね~



  
 寝起きのボサボサ顔のコディ😂 
「サクランボ持って。」と言ったら器用にヘタの所を牙にひっかけて持っていた。
 
 コディはこうやって頼まれた事をとりあえずやる所がほんとにえらいですね。「この行為に何の意味があるのか」とか「おやつがなければしない」という素振りを見せないのは立派だと思うしこの態度はマネしたいです。サクランボを持つことだってコディにとっては別に面白おかしくもなんともないんです(この仏頂面を見てください笑)。ただ私を喜ばせるのが好きなだけなんです。




 こちらも無剪定でワイルドな状態に陥っているリンゴです。リンゴやナシは夏剪定・冬剪定というアイデアがあるらしく、ユーチューブ大学で一生懸命学んでいますが、慣れるまで練習がいりそうです。とにかく木を殺さないように頑張ります(青森のガチ農家の方の剪定ビデオが沢山上がっているので本当にありがたいです)。

 私達の住むバージニアは、19世紀初頭頃は合衆国で随一のリンゴの産地として知られていました。移植者がヨーロッパ産のさまざまなリンゴの品種を持ち込んだことで知られます。今でも一部では、そういった昔からの珍しい系統のリンゴが維持されているらしいです。わたしも一応、バージニア10年選手としては立派なリンゴを育て上げて、周囲の人に見せびらかしたいところです。




 こちらは洋ナシです。こちらも無剪定で大変な状態。でも、多分私が一番最初にうまく収穫できるようになるのはこれだと思う。少しずつですが分かってきてる気がしています…………。ほんとに気のせいかもしれませんが……‥‥…‥‥……。味はけっこうおいしくて、若い間に実を摘んで減らしておくと、本の通りにちゃんと大きめの実がなるのが面白いです。コディもナシは大好きです(サクランボはぺーします)。美味しすぎるのかスズメバチがたかってしまい、温かい時期はハチとの闘いが起こるのが玉にキズですね

 奥には桑も生えてます。まだ熟さないですが実がすずなりです。その上を日本からの外来種であるスイカズラのつるが占領しています。今年は子がスイカズラの蜜のうまい吸い方を発明して伝授してくれました。




 別の一角です。去年やった手入れのうち何かがよかったのでしょう、今年はバラがたくさん咲きました。悲しいかなど素人の見様見真似なので、「自分のやった世話のうち何がよかったのか」が分かりません。とにかく時間をかけて「これはうまくいった」というデータを蓄積するしかないですね。でも植物の場合、自分の寿命なんかも考慮するとこの先無限にチャンスがあるわけではありません。一回一回が勝負だ(笑)




 最近暑くなって来てドライブもセラピーワークもホムセンなどもどこにも行っていない犬。
 セラピーがないと風呂にも入らないしブラシもかけないヒゲも足のパッドまわりもカットなしです
 なんかちょっと休日のおじさんみたいな雰囲気になってきました。
 



2024年5月14日火曜日

新緑がまぶしい



 田舎の家の春はする事が沢山です。時間が飛ぶように過ぎていきます。まず、春先に咲き終わったレンギョウの剪定をしました。次に冬の間にヒビが入ったドライブウェイを直しました。それが終わったら戸棚の金具の修繕です。こういうの、一般的にはパパさんが直してくれると思うのですが、我が家ではこういうのは私の仕事です。古い金具なのでホムセンで探すのにちょっと苦労しました。それが終わったら庭木に防虫剤・防カビ剤を撒きます。これらの薬は環境への負荷を最小限にするため、自分で散布機を買ってきて、ニームオイルなどを庭師のマックスに聞いた調合で自作しました。

 それから、芝の種を買ってきて、パッチ状になった部分を修繕しました。芝生の専門家を呼んでコンサルテーションを受け、土壌検査と施肥をお願いしました。込み入ってきたアセビや観賞用アジサイの死んだ枝を切り、それが終わったら今度は花が終わったツツジと伸びすぎたアベリア、メギの剪定です。木って植えるのにもお金がかかるし、枯らしてもお金がかかるんですよね(切り株抜去の費用が…💸)、、だから日頃の管理が実はとても大事だと最近分かりました。いろいろな失敗を繰り返しながら。

 また、片手間で花壇には野草の種を、小さなポットやプランターには野菜の種を撒き苗を植えました。どんどん発芽して、ハーブとかはもう食べられるようになったものもあります!子供が小学三年生になり、私の「なんちゃってホームスクール」で理科も教え始めたので、丁度いいですね。次は敷地内に生えてくるアザミの駆除です。冬の間に死んだ針葉樹の除去作業です。剪定で出た枝をまとめる作業です。モルチを足す作業です。春、二回目の防カビ剤の散布です。etc、etc。と、リストは以下延々と続きます。笑


 赤ん坊の頃から変わらない後頭部です


 コディは全ての作業にくっついてきて、自分は10メートル位向こうの日陰に座って私がすったんばったんする様子を眺めています。代わり映えのしない毎日ですが、1人&1匹でずっとうろちょろしており、なかなか余計なことを考える暇がありません。コディは、自分も毎日の行事に参加しているつもりです。声をかけると尻尾の先だけちろちろ動かしたりして、寝ているように見えても周囲への警戒を怠りません。


 それにしても庭の基本的な手入れだけでもこんなに力を使うとは知らなかったなあ~

 前の家の持ち主は月に2回、庭師を入れていたのですが、実際に自分でやってみてかなり納得しました。西洋の庭木や草は、そのままでも可愛いものですが、やはり手入れをしてこそ、輝くのです。手入れは時間をかけて、正しい要領で、タイミングを守ることが大事です。放置をすれば病気や害虫に弱くなって行ったり、樹形が乱れて枝が折れたり、枯れたり、結構繊細なものです。いやあ、こんなんではオーナメント的な花壇を作ったり、ホビーファームを作ったり家庭菜園をやるのなんて夢のまた夢だぞ(笑)ほんとに、なんでも自分でやってみないと分からないものですね。それから「美しい庭園を所有する人」の技術の高さと献身が、すごくよく分かるようになりました。ときどき居ますよね。家の正面玄関まで小さなスペースでも上手にお庭にしていたり、大輪のバラをアーチに這わせている人が。ほんとにすごいなと思います。




 家庭菜園は夢のまた夢ですが、ひとつだけ今年中に着手したいのがジョージアンスタイルの一角作りです。子供がチョウが好きなので、まだ虫さんや小鳥を楽しめる年齢のうちに、チョウやハチドリが沢山やってくる仕掛けを作りたいです。基本的な土木作業は庭師の方にやっていただいて、実際に木や植物を植えるところはなるべく自分達でやろうと思っています。子供にも手伝わせる予定です。自分が小さい頃、こうして家族や家のために何かする経験が不足していたと思うので、自分の子供にはなるべくやらせようと思っています。小さいうちから家族や人のために額に汗する経験は大事だと思う。

 真ん中の花が集まっているところには、犬の石像を置いて、いずれコディのお墓にしようと思ってます。草地と空、特に夜は天球を覆いつくす星空との間を遮るものが何もない家なので、それを活かしていつまでも空と庭とを気軽に行き来できるようにと考えています。コディはエキナセアの葉っぱ食べるのが好きなのでまわりにたくさん植えたいですね。ローズマリーとラベンダーの匂いも好きです。私の使ってる制汗剤の匂いも好きなのでお供え物のアイデアは今からバッチリです(笑)




 いつの間にか墓の話になってますが、これはまず犬が20歳まで生きてからの話なので。

 コディは順調に年をとっています。この犬はもともと若白髪がありますが、最近口の周りなどがとみに白くなってきて、可愛いです。白髪は増えたけど活発さは変わらないですね。最近特に印象的だった出来事としては、「車の中でパニック」というのを一回やりました。県道なんかで白線からのはみだしにドライバーが気付くよう、地面に刻みがついているところがありますよね。車がその上を走るとガーっと音が鳴るような部分ですが、公園に連れて行く道すがらあれを走った所急にパニック状態に陥り、最後部の席から運転席に向かって巨体を無理やり細い隙間にねじり込んで車内を移動してしまう事件がありました。
 
 制限速度が50マイル位の田舎道で後続車は75マイルくらいで飛ばしているし(田舎あるある)見渡す限りの農地で路肩もなく、このままだと運転席までコディがすり抜けて来てしまう感じがあり、本当に慌てました。農地の真ん中にぽつんとあった小学校の駐車場に滑り込んで事なきを得ました。助かった!この一件以降、後部座席に犬を固定するようカラビナと予備のリードとハーネスを設置しました。安全上もっと早くからそうしているべきでした。しかし、あの日と同じかそれ以上に手に汗握った出来事となりました。




 この一件で分かったことは、「コディは予測が難しい犬になりつつある」ということです。特に恐怖のレスポンスとしては今までになかった類の行動が見られるようになってきています。車での一件以来も、ドライブは出来ていますが、ふとバックミラーを見ると口を開けてハアハアしていたりと何かしらストレスを感じている様子が見られるようになりました。客観的に見てこの位の大きさの犬で黒いシェパードで行動の予測が難しいというのはあまり良くない状況だと思います。

 先週の夜、急に猛烈な雷雨が発生した時もコディは外に出ていこうとしていました。本格的に雷雨を怖がる様子を見せたのは2021年の9月ですが、それから約3年間で初めての動きです(恐怖した時は必ず二階に駆け上がって来ていました)。コディは裏口へと続く重いドアでも自分で開けられるので、もし「たまたま」あの夜ドアに鍵がかかっていなかったとしたらそのまま外へ駆け出し、土砂降りの中を走って行ったでしょう。普段からそのような行動は想定していないので、うちの敷地のフェンスが「たまたま」開いていたらそのまま農道へ出ていたはずです。嵐の暗闇と雷鳴の恐怖の中を死に物狂いで農道を走っていって車にひかれたかも知れません。他の家の敷地に迷い込んでショットガンで撃たれたかも知れません。




 そうかと思えば、あんなに訝しんでいた食器洗浄機や、渡り廊下への恐れは急になりを潜めてきていて、廊下は呼べばさっさと通れるようになっているし、食器洗浄機なんか横に寝転んで歯磨きを受けるくらいまで気を許してます。日によってレスポンスの強度自体も違います。日常の中で恐怖を感じる領域がアメーバ的に色んな事象の間を伸びちぢみしているみたいなのです。だから私からすると一見、なんでもない事に突発的に恐れを抱いたように見えるのかも知れません。今書いていて思ったけれど、ほとんど「妄想に取り付かれてる人」みたいな感じかなと思います。日々身のまわりの環境について色んな見方を行き来していて、時にはその中から「こわい」という感覚が生じてくるような。

 最近思うのですが、こういう大きな犬のプライム・タイムは、やっぱり8歳くらいまでなのだと思う。もちろんその後もずっと元気で毎日を楽しんでいますが、内側ではゆっくりと確実に衰えが進行しています。基本的に「8歳から先はボーナスステージ」「シニアなのにこんなに元気でいろいろ出来てラッキー」くらいに思っていた方が、飼い犬の老いを受け止める方の気持ちも楽だと思う。加齢と共に見た目や行動が変わり、内臓の機能が衰えるのと同じく、脳も内臓である以上、認知機能の衰えも自然なことだと思う。


↑↑↑トラブルメーカーの御尊顔↑↑↑
いつもニコニコなのにカメラ向けると真顔に。なぜ。


 一番だいじなのは「ささいなことで一喜一憂しない」ということですかね。
 細かいことでむやみに気をもんでは、犬に不安を抱かせることになる。これが正しいか分からないけどボスにまかせておいて、というスタイルの方がコディは安心だと思う。今回のパニック事件についても淡々と経過を見て、できる事を続けていく所存です。毎日の観察を怠らず、記録をつけ、栄養と運動と環境のマネジメントに注意し、引き続き脱感作的なトレーニングを継続します。パニックになる状況の傾向を掴み対策を練って、過度に腫物に触るような扱いをせず、安全には気を付けて、今後もケアして行きたいと思います。