ところかわれば

ある日窓辺に来たショウジョウコウカンチョウ(Cardinalis cardinalis


 2月も終わり間近となると冬もひと段落という感じがするけれど、毎朝飽きもせず裏の小さな森を眺めている者からすると、春はもうとっくにやってきていた、という気もする。それを思うのは、やっぱり動物や小鳥のオス達が繁殖行動にせいを出しはじめたのを、見ていたせいかもしれない。最近は朝の5時半ころを過ぎるとショウジョウコウカンチョウのさえずりが始まるのだ。これがけっこう、大音量で、人間の住人の方は目が覚めてしまう。先日なんかは夢うつつの中で、アクション映画のようにビルがドカーンとしたところに駆けつけたパトカーのサイレンが「ホヨヨヨヨ」と、いかにも頼りない音だべ、と思いながら目を覚ましてみるとこの鳥の鳴き声だった。一瞬、遠くを走るパトカーと聞き紛う歌声を持つこの鳥のオスは、真っ赤な制服を着て姿だけは凛々しいけれど、実際のところはとても気の小さい鳥である。でも、その愛らしい姿で、東海岸ではみんなに愛されている。

 管理人は日本に住んでいた時から鳥、特に小鳥の類が好きで、キンカチョウを4羽ほど飼っていた。鳩も大好きで、ギンバトの繁殖をしていた。そんなだったのでアメリカに来てからは、「東京よりは広さのある環境に住めるだろうから、鳩小屋を作ったり、小鳥小屋を作ったりして、飼い鳥ライフを楽しもう」と最初は思っていた。けれどいざ家の裏が緑地とつながっている住環境になってみると、そこから勝手に来て勝手に飛び去る鳥達を見ているだけでも、なんとなく満足するようになってしまった。なにしろ毎日世話をしなくていいし、もっとま近に眺めたい時はカメラをセットして、必要に応じて餌を撒いておけば、気が向いたら来てくれる。気楽な付き合いだ。


ぽっぽさんはばたく!

管理人の声を聴いている


 そうは言ってもたまにはベタベタ触ったり、鳥臭を胸いっぱいに吸い込みたい気分の時もある。そういう時は、日本の実家にスカイプして、ギンバト(ジュズカケバト)の「ポッポさん」を見て癒されている。通話の最中一生懸命パソコンのマイクに耳をすましている所を見ると、離れていても管理人の声をちゃんと分かっているらしい。この鳥は最初に家に導入した個体だから、今年でピチピチの13歳になる。実はバツ2で4児の母なのだが、それを感じさせない美貌(?)と人懐こさで、飼い主不在の中、はじめは困っていた両親も今はメロメロのようだ。

 ギンバトはペットとしてより「手品のハト」としてのほうが知名度があるけれど、性格がすごく優しいし、餌もそんなにモリモリ食べるわけでもなく、丈夫で誰にでも飼えるとても良いペットバードだと思う。もちろん呼べば来てくれるし、肩に乗せておくと髪を毛繕い(?)してくれたりもする。うちの鳩の場合、自分が寝る時枕元にひっくり返した帽子を置いておくと、夜そこで寝ていたり、「鳩ってこんなにコミュニケーションとれるんだ!」と思う出来事がたくさんあった。都会に住む者の心を潤す小さなオアシスであるそんなポッポさんには、いつまでも長生きしてほしい。とまれ、こうして鳥たちを見ていると、「森には森の、都会には都会ならではの、いきものとの距離感があるんだな。」という感想を抱くのである。