2014年12月14日日曜日

UMA



 またまた用もないのに、近所のドッグランへ来ている。ベンチに座ってアイパッドで調べものをしていたら、なんだか分からない生物が愛想を振りまきにきた。鼻が濡れている所と、ベロがぴらぴらしている所を見ると、もしかしたら犬なのかと思うけれど、二足歩行しているし、耳も見当たらないのでやっぱり何か、宇宙的新生物の可能性が高い。




2014年12月9日火曜日

ジェントルリーダー



 バイト先の飼料店に子犬が遊びに来た。何にでも興味を示すラブラドール・レトリーバー、まだ3ヶ月ちょっと。この子犬は、いくつか写真を撮らせてもらったけれど、殆どひとつもピントが合わなかった。写真が撮れないという事は、その子がいきいき動き回って世界を楽しんでいるということだから、いい事なのかもしれない。

 ラブラドール・レトリーバーという犬種がすごいなーといつも思うのは、頭の良し悪し云々という話の前に、「人間に褒められる事」が本当に大好きな犬が、すごく多いところだ。例えばこの子犬も、こんなに小さいのに、出された号令に従ってたったひとつ習得している「スワレ」を大喜びでやっていた(写真上)。子犬のわりにすごくシリアスな目をしている所を見ると、この犬も、「コマンド→実行→褒められる」ことを、なにかとても重要なこととして捉えているのが伝わってくる。




 この犬の飼い主は獣医師で、ジェントルリーダー(写真に写っている、ブルーのヘッドカラー)をしょっちゅうおススメしてくる。自分のまわりに限っていえば、この道具の良し悪しについては非常に意見が分かれている。否定的な人からよく聞く意見は、かわいそうだし、ジェントルリーダーをマズル(危険な犬に付ける口輪)と勘違いする人が未だに一定数存在するため、使用する犬の社会化に支障をきたすという考え。ジェントルリーダー=マズル=危険な犬と勘違いしている人は、それを着用している犬とすれ違う時ほとんど無意識のうちにさっと避けたり、犬がいる場合はリードを戒め、自分の犬を手前に引き寄せようとする。引き寄せられた側の犬は、リードがピンと張った状態から緊張状態に陥ったりして、いつもと違った心理状態になる。結果、リラックスした学習のチャンスが損なわれるという。なんとなく一理ある気がするけれど、ジェントルリーダーをマズルと勘違いする人なんて、今時いるのかな?と思うこともある。

 個人的には、きちんと使い方を心得ているオーナーが散歩に際して既に間違った行動様式を身に付けている犬をこまめに矯正しながら歩く時には、非常に有用な道具になり得ると思う。リードやハーネス、カラー類への考え方やセオリーは十人十色なので、いつもすごく興味深い。




2014年12月4日木曜日

生食餌の注意点



 犬に与える生食餌が大ブームになっている。アルバイト先の飼料店はもとより、最近はどこのペットグッズショップでも、こちらのふつうの量販店(セイユーや、ダイエーみたいな)ですら、冷凍庫や冷蔵庫を備え、肉と野菜・果物のミンチを大きなソーセージ様のチューブに詰められた生食餌が積み上げられているという状態だ。バイト中聞く顧客の声や、インターネットを見てみれば、どこもかしこも生食餌礼賛の声で溢れている。

 管理人は、日本に居た頃から、知り合いの猟師さんが手に入ったシカやイノシシの肉を骨ごと飼い犬(主に猟犬達)に与えるのを見ていたので、このような給餌スタイルに対してとりたてて真新しさは感じない。けれどいざそれを自分の犬にやってみようとすると、生食餌をやることに漠然と良い印象を抱く以外に、具体的にどのようなことに注意するべきなのかを、今まであまり考えることなく来てしまったと感じる。今日はこれらの餌に関してアメリカの獣医師の出しているコメントを調べ、それをもとにして気を付けるべき点数項目をまとめた。


 生食餌をやる場合、考えられる注意点


・ 栄養バランスを完全にすることが難しい。自家製生食餌の場合に特に不足がちとされるのはカルシウムと、それに対して正しい割合のリン。また市販の餌でも、銘柄によってはビタミンA過剰摂取の危険があるものがあるという。というのも、生食餌の重要な原料として内臓肉が挙げられるが、中でも特に大きな比率を占める肝臓は、ビタミンAを多く含んでいるため。

・ かなり高額になりうる。アメリカの場合、約15キロの犬に対して市販の最高品質のドライフードを与えると、一日あたりの食費がおよそ100円ほどになるが、同等分を生食餌に置換すると、チキンベースで250円、他の肉ベースならば500円近くまで上昇する。「愛犬のゴハンに、お金を惜しむなんて!!!」と考える人ももちろんたくさんいると思うけれど、将来的に50キロ、もしかすると60キロ代になるかもしれない大型犬の飼い主からすると、「犬の食費をいかに常識的な域におさめるか」というのは、重要な課題なのだ(きっと大型犬オーナーの方は頷いてくれると思う)。例えば我が家の場合、予定している子犬のブリーダーに伺ったところによると、子犬のオス親は体重約55キログラムで、現在生食餌を一日にだいたい1.4キロ消費するという。これは、比較的安価な生食餌だけを使用したとしても、一生涯分の犬の食餌費用で愛車(ボルボ)をツルピカ新品でもう一台買える計算になる。また安価な生食餌を与えるということは、=比較的高価なボア(野猪)、ヴェ二ソン(鹿)などの良質な赤身肉は材料リストから外れ、ほとんどチキン一択のような状態になるということでもある。大型犬の飼い主が生食餌を与える事を本気で検討するならば、地元の猟友会と個人契約するくらいの意気込みでなければ大変だろう(それも彼らの人件費を考慮すると必ずしも割安になるとは限らない)。犬の生涯を通して飼い主の経済状況に思わぬ変化がある事もあるかもしれないし、犬の健康上の理由などから、途中で生食餌から缶やドライフードに移行しなくてはいけなくなった時に犬がストレスを感じる可能性が考えられる事も注意点だと思う。

・ 感染症の危険。2004年のFDA(アメリカ食品医薬品局)の報告では、一般的に売られている生食餌のおよそ7.1%からサルモネラ菌の一種が、また使用される生肉の59.6%から大腸菌の一種が検出されたとしている。これらは犬に対して害がある可能性だけでなく、それらを準備する側の飼い主のリスクにもつながる。サルモネラは比較的ありふれた菌だけれど、パピーやシニア犬、また人間の幼児や高齢者の間でも重症化することがあり、毎年死者も出ている。このようなメンバーが居る家庭では注意が必要だ。(因みに大腸菌は低品質の缶フードからもしばしば検出される)。またレアなケースとして、日本では報告されていないけれども、Neorickettsia helminthoecaという病原体をもったリケッチアの一種に感染したサケ科の魚を犬が生食することで「サケ中毒」と呼ばれる状態に陥り、適切な治療を行わなければ死に至ることが知られている。生食餌をふだん売っている側からすれば、非常に厳しい滅菌プロトコルを実行している会社もあることは分かっているので、そういう所を積極的に利用したい。

・ 全ての犬に対して優良な餌ではない。生食餌だけでなく、「高タンパク」を謳うほかの餌にも共通する問題として、これらの餌は肝疾患、腎疾患を患っている犬にとっては消化の負担が大きい餌だということが挙げられる。獣医師によると、膵臓疾患や癌の治療中の犬にも与えるべきではないとの事。既述のバクテリア感染症の問題で、免疫系が完全ではない子犬や老犬も避けた方が無難である。また子犬の場合特に、日々の餌から正しい分量のミネラル分を摂取できるかどうかはクリティカルな問題なので、最初に上げたようにカルシウムが不足する可能性のある生食餌の使用は注意を要する。


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 これらを知ったうえで、犬のオーナーが心がけられる事を考えてみた。;

①生食餌と同時にドライフード、缶フードなども食生活に取り入れるか、うまいぐあいにミックスして、併用する。ふだんから、犬の体質に合った中で出来る限り様々な形態や味の餌を与え、犬が食餌のバラエティに順応できるようにしておく。

②リストに載っている餌の源料、製法を調べる。もし分からないことがあった場合、製品のウェブページをよく読み、それでも分からないことがあれば、会社に直接問い合わせる。きちんとした回答が得られない会社は除外する。

③生のままの肉や骨や魚が手には行った時は、そのままやらず、いったん凍らせてから解凍して与える。(ただし、サルモネラ菌は駆逐できない事があるので注意する。因みに魚は鋭利なパーツがあるものも多いので下処理は念入りにする)。

④定期的に獣医師の検診へ行き、健康面に問題はないか、不足している栄養素がないかアドバイスを受ける。

だと思う。生食餌はまだまだ黎明期にあり、メリット面においても、デメリット面においても、これから色々分かってくる可能性がある。管理人の場合は愛犬家である前に、自然愛好家でもあるので、「犬のQOL向上のため」と称して、製造、輸送、陳列のどのステージにおいても過剰にコストのかかる生食餌を与えることは、エコロジカルだとは言いがたい面があるような気もしている。

 今日の扉写真は犬とは関係ないけれど、自宅で飼っているロボロフスキー・ハムスター用に用意している餌。自然下での食生活を考慮しながら市販のハムスター用ペレット等は一切やらずに飼っているんですが(ハムスターにとってははた迷惑)、1年目を過ぎ、体重、毛艶、健康状態、活性、どれもすこぶる良好。犬にとってはほとんど必要のない穀類も、ハムスターの世界ではなくてはならない重要な食べ物になる。犬やハムスターにかぎらず、その動物が、自然界でそもそもどういうものを食べ、どんな暮らしをしていたのか?と考えることは、生食餌をやるか、やらないかとかという事とは別に、考えると楽しい話題だと思う。




2014年11月30日日曜日

群像



 ちょっと時間があったのでコーヒーをいれて魔法瓶に詰め、近所のドッグパーク(ドッグラン)へ。これはその公園の柵の外側に配置されたベンチのひとつ(「観客席」と呼んでいる)からの眺め。ここに座って子犬のトレーニングの本等読みながら犬達と人々の喧騒を聞き、たまに挨拶にくる犬の相手をしていると、30分くらいならあっという間に過ぎてしまう。

 ここでの自分は、他者から見たら実にあやしい人間だと思う。ここに足を伸ばしだしたのは「また犬を飼おうかな」とぼんやり思い始めた頃だから、もう二年ちかくも「手ぶらでときどきランに現れては、他人の犬をじろじろ見て、にやにやするだけのあやしいアジア人」として生きてきたことになる。中には「もう欲しい犬はみつかったかい」と声をかけてくれる人もいたりして、既に顔見知りになっている人もいるけれど、基本的にはここにいる犬とも、人とも、一期一会の関係だ。「社会」という巨大な群れに属するニンゲンの一個体としては、こうした一期一会は重要な社会化のチャンスで、とても好ましいものだけど、「家族」という厳格な小グループを基礎にして生活しているらしきイヌという動物にとっての、こういう場所での一期一会とは、一体どのような意味合いをもつんだろう。

 とか、いろいろインスピレーションをくれる、この場所を結構気に入っている。




2014年11月19日水曜日

においのゲーム

 てんかん患者の発作を事前に感知したり、人体の奥深くで増殖する微小なガン細胞を嗅ぎ分けたりと、知れば知るほど、犬の鼻と言うのはすごい器官だと思う。色んなものをフンフンと嗅ぎ分けるのは、犬達が生れた瞬間から、多分死ぬまで行っていることのひとつだから、「においを使ったゲーム」は犬達にとって頭と、体を一度に使えるという意味で、いい遊びだと言えるのではないだろうか。また室内で出来るものも多いので、天気の悪い日や、ハンディキャップのある犬でも遊ぶことが出来る。今日は、そんな匂いを使ったゲームにはどんなものがあるのか、調べた事をまとめた。


・どっちの手?ゲーム 難易度★☆☆☆☆

 匂いを使った、クラシックで手軽なゲーム。握った両手の一方に小さなおやつか、オモチャを隠し、「見つけろ」のコマンドで犬に当てさせる。差し出された手には鼻タッチか、手で優しくタッチする、または手の傍に座る事を覚えさせる。


・消灯ゲーム 難易度★★☆☆☆

 事前に犬を部屋から出しておく。ドアを閉めて見えないようにし、部屋の特定の場所におやつを3つほど隠す。電気を消し、犬を部屋に誘導する。「見つけろ」のコマンドで、犬におやつを探させる。繰り返すうちに、犬は飼い主が「見つけろ」とコマンドを出すうちは、まだどこかにおやつが隠されていることを学習する(=コマンドに対する信頼の構築)。隠し場所をだんだんに複雑にする(棚などのくぼみや地面から離れたところに設置するなど)ことで、ゲームの難易度を上げることが出来る。


・かくれんぼゲーム 難易度★★★☆☆

 このゲームは、「マテ」のコマンドが完璧でない場合、ふたり一組で行うのがやりやすい。フェンスで囲まれた庭や屋内など、ある程度の広さのある場所で、一方の人が犬をホールドしている間に、もう一方の人が隠れる。犬をホールドしている側の人はここで、「彼はどこへ行ったの?どこへいっちゃったのかな?」と、楽しい声を出して犬の気持ちを盛り上げる。

 準備が出来たら「見つけろ」のコマンドを与え、犬に隠れている人を見つけさせる。このゲームは、隠れる側が小さく咳払いをしたり、軽く身じろぎなどをする事で簡単にすることも出来るし、難易度をあげたければ、隠れた上から毛布をかぶったり、犬が見つけることが出来るものの、実際にそばに行くことが難しい場所に隠れる事などが有効である。


・さがしものゲーム 難易度★★★☆☆~

 このゲームはおもしろいだけでなく、犬が自分が飼い主の役に立っていることを感じ、意欲的に仕事をする自信を身に付けることができるものである。まずは静かで安全な道に、リードをつけた犬を誘導する。歩きながらポケットから小さなアイテム(最初はハンカチなどが好ましい)を、自然な感じで落とし、気付かないフリをしながら犬と共に歩み去る。15、6歩進んだところで、ポケットにハンカチがないと、探し求めるフリをする。「ハンカチはどこ?ハンカチを見つけられる?」と犬に向かって聞きながら、アイテムを落とした地点までゆっくりと後戻りする(同時に地面を指さしながら「見つけろ」のコマンドを出し、犬を勇気づける)。

 犬が楽にアイテムを見つけられるようになってきたら、ロングリード等を使用して犬が自分でにアイテムの傍まで飼い主を誘導できるようにする。落とすアイテムを金属(スペアキーや、スプーン、ブレスレット等)にしたり、引き返すまでの距離を伸ばすことで難易度を上げることが出来る。


・3、2、1、ゴー!ゲーム 難易度★★★★☆~

 オフリード可の公園や、すいているドッグランなどの安全な運動場へ行く。犬にリードをつけ 脚側停座させ、アイテム(最初は犬のお気に入りのオモチャなどが好ましい)を犬に見せた後、オモチャを放り投げる。「見つけろ」のコマンドで犬を放し、犬にアイテムを見つけさせる。

 このゲームはクラシックなオビーディエンスの一種目である「持来」に近いが、アイテムを投げる距離を徐々に伸ばしたり、アイテムのサイズを小さくしていったり、また段階をおって芝生の深いところへ移動することで、犬が嗅覚を使う比重を上げていくことが出来る。特に意欲的な犬の場合、その場で拾った自然物(木の枝等)を、アイテムとして使う事も出来る。

 このゲームを室内で行う場合、犬がアイテムを目視する度合いを下げるために部屋の電気を消し暗くしたり、電気のないクロゼットの中に向かってアイテムを投げる。


・「ワン&オンリー」ゲーム 難易度★★★★★

 これは3、2、1、ゴー!ゲームの進化版といえるもので、フィールドの中に複数設置してある似通ったアイテムの中から、特定の匂いの付いたものを選択し、拾ってくる(もしくはポイントする)というゲーム。最初に用意するのは犬が好きなオモチャ(テニスボールなど)複数個。指定アイテムとして使うボールにだけ印をつけるなどして、区別できるようにしておく。下準備として、犬をフィールド外に繋ぎ、フィールド内には事前ににボールをばらばらに置いておく。下準備が出来たら、印のついたボールだけを持って犬の元へ行く。暫くボール投げなどをして、飼い主と犬の匂いをよくなじませたら、犬をフィールドの入口へ誘導し脚側停座させ、印付きボールを、すでに他のボールの設置してあるあたりに投げる。「見つけろ」のコマンドで犬をリリースし、嗅覚を使って目的のボールを探し出させる。


参考:http://suzanneclothier.com/system/files/articles_pdf/Scent%20Games.pdf