2018年12月30日日曜日

トラッキングはじめの一歩


 ブログにはつけていませんでしたが、実はトラッキングに興味があって、半年くらい前から教本を注文したりとすこしずつ情報を仕入れていました。教本は、北米では最もスタンダードなAKCのルールに従ったものを主に集めましたが、読み進めていくうちに「自分一人で練習等をやっていくのはちょっと難しいかもなあ」と、壁につきあたっていました。

 また、かなり入念に探し回ったもののまわりにAKCスタイルのトラッキングを教えてくれるトレーナーがおらず、一番手近なクラブでも、車で片道2時間半の場所だったのも、向かい風でした。近年競技人口が大きく増えているノーズワークに比べてだいぶマイナーだということを再確認していたし、反面、それでも根強いファンがいるということは、独特の楽しみがあるスポーツなんだということも感じていました。

 そんなこんなで年の瀬も押し迫った29日のことです。時々散歩に行く近隣のファーム・パークの横をたまたま車で通りかかった時、遠くにポツンと点のように、若いシェパードと、汚れた長靴のおじさんが歩いているのが見えました。徐行しながら目をこらすと、丈のある生垣の隙間にちらりと見えた特徴的なハーネス・・・、トラッキングハーネスだと瞬時に理解し、急いで子供のアイパッドにビデオをつけ(たはは)車を飛び降りて様子を見に行きました。ビンゴ!!犬は匂いのトラックを追跡している最中でした。

 フタをあけてみると、ここから車で30分ほどの隣町で防衛競技(シュッツフント)をやっている方でした。とても親切な人で話し終わるとその場でビギナー用のトラックを敷いてくれ、ごく短いものですが初めてマジもんのトラッキングにチャレンジ出来てしまった(涙)。コディも生まれて初めてご褒美にホットドッグ用のソーセージをもらっちゃったりなんかして、目をギラギラ、グネグネした動きながらなんとかトラックを追えていました。こんなところでこんな風に知識のある人に遭遇できるとは、偶然とはいえとても幸運です。無駄遣いしたかもと少々悔やんでいたトラッキングの教本(中には、1冊50ドルくらいするのもあったので)も、読んでいたから分かった言葉、質問できたことなどもあって、やはり知識はどんなものでもムダじゃなかったと思えました。

 おじさんはトラックを探してがんばっているコディの様子を見て、教えればわりとすぐに習得できそうなタイプではないか、と言っていました(4歳という年齢でも始めるのにおそすぎる事はないと、励ましてくれた)。防衛は出来ないにしても、延々と技を磨いていくだけでも楽しいし、一度彼の所属するトレーニングのグループをのぞきにきてはと、連絡先を教えてくれました。また、シュッツフントのトラッキングは自分ひとりでも練習をさせることが出来、初歩の練習法と、鼻を鍛えるちょっとしたミニゲーム・テクみたいのも教えてもらえました。早速、自主練に取り入れてみようと思います。

 高いレベルで総合的なスポーツを競っているシュッツフントの人々と「ペットのシェパードで、トラッキングをやってみたい」という漠然とした考えだけがあり「どのように」「何を目指して」の部分がまだまだグニャグニャと固まっていない私のような者が一緒に練習をしていく図は、正直想像出来にくいですが、糸口は多いほうが助かります。コディは空気の匂いを嗅ぐ性格が面白く、そんなところも伸ばしてやりたいですが、シュッツフントのトラッキングは地面の匂いの嗅ぎ分けにフォーカスしていたりと、なかなかバランスの合ったスポーツやシチュエーションが思い浮かばないことなどは悩みどころです。もっと調べてみる必要がありそうです。

 セラピードッグの適正試験までは、どこかで「やればできるだろう」という手ごたえを感じながら駒を進めてきた感がありますが、ここから先の挑戦は、犬の力をうまく引き出せないと、達成しにくいものになって行くかも知れません。まずはちょっとずつ色々やらせてみて、犬が応えてくるかどうかを見たいと思います。私の方は、一番のネックとなりそうなのは時間の捻出(家族の協力を仰ぐこと)でしょう。自分の人生にとっても、コディの犬生にとっても、一度きりの2019年が始まります。悔いを残さないような一年にしたいと思います。


セラピーログ(2018/12)



 12月の初めに地域の大きな大学から要請があり、セラピードッグ協会のメンバー数名と一緒に派遣されました。学期末の集会で学生のストレスをやわらげ、他者とのコミュニケーションをとりやすい雰囲気をつくるという目標でした。こういう活動に参加してみるまで、セラピードッグの効用とは「犬がいる、かわいいね♪」と和むくらいのもの(?)だと、なんとなくどこかで過少評価していました。しかし、「そこに犬がいること」というだけでいとも簡単に人間の行動が変わる事、殆ど即座に人をリラックスさせることを目の当たりにし、その効果の度合いに驚きました。

 若くエネルギッシュでありながらも落ち着いた年代の大学生・大学院生相手の活動で、コディのようなビギナーには丁度いいと思って喜んでいましたが、ふたを開けてみるととにかく人が多くひしめきあっていて(一度、数えてみたら25人の生徒がコディを撫でていたり)、犬にしてみれば非現実的とも言える状況が起こっていました。そこらじゅうに落ちてるピザやポップコーンの誘惑もかなりのものがありました。そんな中、コディも2時間半の間よく指示に反応して頑張ってくれました。とても疲れたようで、帰りは車の中でガツガツ昼ご飯を食べ、帰宅してからは夜までぐっすり寝入っていました。

 最後に大学側のモデレーターと少し話したのですが、彼女によれば普段の集会では、その日集まった人数の5分の1以下程度の学生しか訪れないそうです。滞在時間も短く、犬が居ると居ないとでは「まったく別次元」と言えるほど、場の雰囲気が変わるそう。また、面白かった点は、生徒だけでなく教授達にも犬がとても人気だったことです。特に学期末に教師が晒される様々なプレッシャーについては私もある程度知見があるため、「学校にいる大人」という、「誰かをケアする誰か」を元気づけられたことには、ささやかながら意義を感じました。




 次回への課題は、ファシリティに入るまでのツケを上達させる事。これは、かなりガタガタだった。他の犬が結構リードをひきながら歩いており、そのバタバタした雰囲気につられてしまった所もあったかも知れないけれど、かなりきつめにハンドルしないときちんと歩けていなかった。コディは探査欲が強い方で、まわりの環境をまず自分で見て、ぴっちり匂いをかいで念入りにチェックしておきたいタイプなので、初めて来た場所ではソワソワしがちです。これはもう個体の性格なので良いとして、現地に早く着いて、建物の周辺だけでも好きなだけ点検させてやるなど工夫は必要だと思った。

 他のセラピー犬で一頭リキの入ったタイプがおり、始まる前の集合場所で出会いがしら、ググッとコディの方に顔を出して吠えたのに「売られた喧嘩は…」と吠え返しちゃったことも、その後のドタドタした流れを作ったと思う。もとをたどれば保育園のお見送りの後で、急いで支度と犬の散歩をし、道中思わぬ渋滞に巻き込まれて、かなり急いた雰囲気の中で到着してしまった点も悪かったと思います。セラピードッグは吠えることはタブーであり(上記のように他の犬に吠えられるなど)、どんなに理不尽な理由があったとしても、必ず刺激を無視するように事前に指示を出しておかなきゃダメだと思いました。こういうとこは、レトリバーとかと違ってオートでは出来ないので、いちいちマメに言い聞かせないといけない点です(レトの人がシェパを飼って「疲れる」と言う第一の理由 笑)。

 あと、地味に失敗したなと思ったのが、黒いパンツを履いていってしまったことです。ユニクロのオフィスカジュアルみたいなズボンで、(いつもと違って)多少きれいな恰好していこうと思って出したら、何の素材なのか分からないが見事に犬毛まみれになってしもうた。ただ念のため持って行ったコロコロは弱い犬アレルギーがあると言う生徒さん達にも使ってもらえ、なにげに笑いを誘ったりと、いい小道具にもなったので、良い点もあった。ブラシもとても役に立ちました。「動物の毛をとかしながら会話したい人」がこの世に一定数存在すると分かったことは発見でした。

 ハンドラーとしては、学生からも大人からも犬のしつけについて質問を受けることがやたらと多かったので、もう少し説明もうまくなっておかないとなあと感じました。これは、私の英語の問題ですね(汗)言語があまり得意ではないので一番てこずりそうなところですが…。



2018年11月29日木曜日

ボストンへ行ってきました。

おにぎり君とおしんこ君の再会

 北米の秋の休日、サンクス・ギビング(感謝祭)の週を、マサチューセッツ州ボストンの友人宅で過ごしてきました。トランク大小3つ、友達一家へのお土産の大きなダッフルバッグ、ストローラー、成人2名、3歳児1、犬1+犬のお皿やブラシなどなどを詰め込んだパンパンのマイカーに乗って、I-495 N、I-95 NからNJ Tpke、そしてI-95 Nに戻り…と、約10時間かけて北上しました。この道は東海岸北部の主要な都市をカバーするコースで交通量も多いですが、比例して見どころも多い高速です。なかなか有意義な旅路になりました。

 
コネチカット州を北上中 
まだ紅葉が少し残っていて、歴史のありそうな橋がたくさん架かっていてきれいなハイウェイが続く。

 ボストンの街を歩いて…、といっても下は5か月~上は3歳8か月までの子供が3人居たため、観光は家のまわりや車で行ける場所に限られましたが、感心したことは、人々がわりとみんな礼儀正しく親切なこと(そういえば、コディの友達・ニックのお母さんもこの街出身です)、とてもドッグフレンドリーで、そこらへんの規制がゆるいのかオフリードの犬が街の色んなところに居たことです。


ボストン! 都会と言っても、シカゴやNYと比べるとどことなくしっとりとした街

ボストンのボストンテリア!!!!! ←これが言いたかった
1870年前後にこの地で誕生した4頭の犬から始まった犬種。
小型犬の、ファッショナブルな服に身を包んでる率の高さにも気が付いた。

New Deal Fish Market.incにて。魚の鮮度もよかったし、店員さんがすごく親切だった。

 ダウンタウンの魚屋で海産物を買って友達の家で調理して食べました。ダンジネスクラブ2杯、キンメダイ的な魚、生のマグロの中落ち、久々に活きのいい海産物を食べられました。DCにもフィッシュマーケットがありますが、過去数回買ったカニはたまたまなのかどれもアンモニア臭がし、すっかり食指が動かなくなっていたので、これはちょっと感激した出来事だった。魚に限らず、全体的に食糧品の価格が安めなのも嬉しかった。


赤い服を着たシェパード系の犬がしゃかりきに走っていた(笑)

市街地の真ん中に位置するボストン・コモン公園は、1600年代初期に創られたアメリカ最古の都市公園だそう。犬のオフリードエリアもいくつかあり、24時間いつでもドッグラン状態。近くに「ここはいつでも犬を放してよい」と書かれた看板まである念押し具合で、これなら、人々と犬も安心して遊べるでしょう。DCだったらナショナルモール、NYで言ったらセントラルパークに相当するこの公園で、犬たちがこんなにものびのびと遊べる事にはおどろきました。なんか、フランスみたい。


晴れた日はボストン市街地のスカイラインが一望できるRobbins Farm Parkにて。
この銅像は、昔この辺一体の牧場主の一家の前に飾られていたもののレプリカだそうです。
携帯のバッテリーが寒さでやられてしまい、子連れだと一眼はきついので、全体的に写真の少ない旅になった。

また、普通の公園であっても「オフリーシュドッグアワー」と称して、時間帯ごとに犬が遊べるようになっているところもありました。時間帯や細かいルールはカウンティ単位で決まっているようですが、例えば自分達が滞在したアーリントン・カウンティでは、写真のRobbins Farm Parkもいれて11か所の公園がオフリードタイムを設けていました。これだけ選択肢があれば、日替わりで色んなところへ行けるし、バージニアでもぜひ取り入れてくれたらなあと思いました。コディは大きい(それにボールへの期待で目がギラギラしてたかも知れない)ためか地元民に警戒されてしまい、誰もいないところでボール投げしただけでしたが、それでも十分楽しかった。コディもバシバシボールを取り、マサチューセッツの雪をガンガン食べてじゃんじゃんオシッコに変え(笑)やっていることはいつもと同じながら、かなり充実した様子でした。


ジモティーおススメのお店 Tatte bakery & cafe
地域のファーマーズマーケットからはじまったというこ洒落たお店で。
バターピーカンクッキーがおいしかった。

 友人宅に宿泊して一日目の夜は娘がなかなかベッドへ行かず、いつもと違うことに気付いた犬がひっきりなしに窓の外を確認、一晩中ヒュンヒュンヒンヒン鳴いて、そうかと思えはまた娘が「しっし」と起きてきたりと合計で45分間しか眠れず、長時間運転してきた疲労も相まって激オコマックスハートになったりもしましたが、眠い目をこすりながら読んだジャーマンシェパードフォーラムにもちらほらそういう犬の話が載っていました。


おぬし…………(怒)

 先哲のアドバイスによれば、犬連れロードトリップでは①宿泊先にはなるべく午前中につくようにする(一日かけて馴染むことが出来る)②着いたらたっぷり運動させる(近所のにおいなどもよく嗅ぎまわらせると犬も安心する)③事前に夜泣きがひどいと分かってる犬の場合はあらかじめ手を打っておく(並行してべネドリル等をあげるなど)などなどの手法が載っており、シェパオーナーみんな結構苦労してるな、と思いました。今後のためにも覚えておかねば

 今回のボストン滞在は、年上のオス犬通称「おしんこ君」のオーナー一家にお世話になりました。おしんこ君とコディとは、彼が子犬の頃から知っている仲なのですが、こうして久しぶりに会ったところ2匹のパワーバランスが変化していたのは、面白かった点でした。「おしんこ君」は年齢を重ねたせいか、場所や、いろんなものの順番もコディに譲るようになり、かと言ってコディも相手にのさばるタイプではないので、互いに心地よいスペースはキープしつつ時々顔を突き合わせてはお互いの顔をペロペロしているのを見ると、子犬時代からの確かな縁を、犬同士もしっかり認識してるんだなあと感心しました。




2018年10月15日月曜日

プールじまいの日



 9月上旬の某日のはなしです。近所のプールで「プールじまい」がありました。この日は雷雨警報が出ていて、小雨が降る中あやしい風と雲の動きを見ながら近隣の犬たちがプール遊びを楽しんでいました。衛生法の関係で人と犬が一緒に泳ぐことは出来ないそうですが、普段川でしか泳がせてやれないコディがこうしてプールで遊んでいるのを見て、「庭つきプールつきの家に住まわせてやりたいなあ」と心の底から思いました(笑)。コディが生きているうちになんとか実現したいけれど、このエリアでは難しいかも知れないな~。

 家族に子供が加わったことにより、この先住む家を選ぶ時は、学区を考慮に入れて慎重に選ばないといけなくなりました。北バージニアはかなり教育熱心な風土があり、北米の他の都市と同じくレベルの高い学校、特に高校があるエリアは、高級住宅地に囲まれていたり、韓国系やインド系など高学歴の移民が大勢いて比較的競争が激しい状態になっている傾向があります。自分たち親がどこに住むかで、子供の小学校生活がかわってくると思うと、責任重大なんですね。


だれか手伝ってくれるひとを探しているコディ↑

 娘には、将来すごい職業についてほしい!人の役にたつ立派な仕事をしてほしい!とか、そういう願望も展望も全くなく、重要視しているのは「いい友達に囲まれて、家族なかよく、そこそこ健康的な生活習慣があり、小さな幸せも感じ取れる感受性をそなえた人に育つ」ということだけなので(典型的なミレニアル世代の思考だな)、その前提ならば娘が将来つく仕事がお花屋さんでも、ケーキ屋さんでも、車のエンジニアや木こりでも、親としてはぜんぜん満足なのですが。あ、もしかしたら犬の訓練士になるかもしれないな。でも、娘はイヌよりネコがいいと明言してるからな…………いやいやキャット・ビヘイビアリストにならないとも限らない(本当にいろんな職業がある!笑)。ちなみに、今現在の本人が好きでよく気にしているのは森のきのこなので、今日は「きのこはかせ」という職業があるよと、教えたところです。






 この日はいつもの散歩中に向こうですれ違うだけの近所の犬とも間近に触れ合えました。上の写真の細い犬はとなりのクラスターに住んでる犬で、一度森の中で会ったことがあるんですが、フライボールの選手なんですよ。それ用にブリードされた犬で、ボーダーコリーとウィペットを使った血統だそうです。陸でも水中でもうなぎの様に素早かった。持来欲があって、疲れ知らずで、いろいろさせたら楽しそうだなあ思いました。すごく気の強い犬で、他の犬が少しでもダミーに興味を示すと、怖い顔でガウッ!とやって、牽制していました。




 コディもプカプカいいかんじの動きをみせてくれました。この犬の泳ぎはスピードはないですが、絶対沈まなそうな安定感がうりです。この日はじめて、コングのダミー(アマゾンのページ)をおろしましたが、よかったです。コディは水の上のアイテムを持ってきた後、陸場で何回か強くくわえなおす癖があり、その時に弱いダミーだとつぶれたりナイロンの表皮がとれてきたりしてしまうのですが、コングのダミーは余計な飾り等がなく、中も空洞がないようで、長持ちしそうに思えました。


クズリ顔の犬です

 そういえば小学生の頃は、「海底二万マイル」の船長のペットのアシカが可愛くて水の生き物に憧れ、自分もいつかアシカを飼いたいなあと夢を膨らましていたんですよね。思えば、先代のドーベルマンは見た目的にはかなりアシカに近い犬でした。ドーベルマンて、かわいい性格でベタベタと甘えてくる犬が多いので、飼い主と見つめあってる時はいつも耳が寝ていたりします。そうするともうほぼアシカ100%といっていい顔になるんですが、記憶の中の先代ドベも、いつも耳がなくなってつるっと滑らかな丸顔です。それと比較すると、コディは海感はそんなにないかな。写真を見てて、なんかクズリに似てるなあと思いました。まあいいや、クズリでも(笑)。



2018年9月19日水曜日

犬の医療費

病院では暴れん坊で大変だったので、写真はナシ。かわりに、「チョウが来る」と言われて植えたのに、3年間害虫などにやられっぱなしだったミルクウィード(トウワタ)についにやってきた、アサギマダラの記念写真をば


 コディの病院を変えました。今までは、GoogleとYelp両方でとても高い評価がついていたVienna Animal Hospitalに通っていましたが、「小さい人間」が保育園に通いはじめたことから、googleなどの評価は多少劣るが通学路の近くにあって立ち寄りやすい、近所の「R獣医科医院」に決めました。今後は定期メンテナンス的な健診・ワクチンや定期的に投与する薬はここでもらい、なにか応用的な出来事が起きた場合は慣れ親しんだ前の病院・前の先生の所へ戻る、という風にしていこうかなと考えています。

 病院を変えるにあたって、ダニ媒介性感染症のスクリーニングやフィラリアの血液検査等も念のため全て受けなおし&三年に一度のワクチン数種とボルダテラもやったので、注射だらけの初診となってしまい、コディは抵抗を試みていました。唸ったり怒ったりすることは一切ないですが、振りほどこうとする力がすごいので、私+男性のテクニシャンの方×2の、3人がかりで補ていしていましたが、結局耳の検査はできずじまいでした。もといた方の病院でも、「この犬は耳のチェックは鎮静剤をあげないと無理」と言われていたので、よっぽどいじられたくなのでしょう。

 前回のログにも書きましたが、成犬になって、「嫌なことは 嫌」と表明してくることが増えたように思います。耳のことは、家で私と1対1の時は中までのぞかせてくれますが、それも家族がまわりにいたりすこしでも物音や気になることがあるとダメです。耳に関しては今まで特に嫌な思い出があるとかでもなく、シェパらしいというかどこか根本的に他人を信用していないような感じです。将来この事がもとで病気のサインを見過ごしたりだとか、大きな事態に発展しないといいんですが。また、そういう事に気付けるように自分でも(基本の健康チェックなど)いろいろ覚えていこうと思いました。

 もうひとつ大きな変更点は、ノミ・ダニの予防薬を、塗布薬のフロントラインから飲むタイプのNEXGuradに変えたことです。子供が犬をなでたり、触れ合うことが増えてきたので、子供により安全なVrabectoかこのNEXGuardにしようと検討していましたが、前者が3か月に1回の投与なのに対し後者は月イチで、フィラリア駆虫薬と同じサイクルで与えられるのが忘れ防止になって、いい点だと感じます。まずは数か月テスト的につかってみようと思いました。またVrabectoはセオリー上は三か月に一度の投与でOKですが、数種あるダニ媒介性感染症のうち一部に対しては、二か月目で防止効果が薄れるという説を獣医関係の知人に聞き、非常にダニの多いエリアに住む犬としてはどうかな?と思ったのも、この考えを後押ししました。

 この日の会計は390ドルでした。前の医院と比べると、全体的に良心的な価格になっている印象を受けますが、この値段はそもそも北バージニアのスタンダードにくらべて高いのか?低いのか?よくわかりません。もっと調べてみる余地があると思いました。コンシューマー・レポートの記事を読んでいたところ、私たちが生活に必要なサービスや、人間の医院と同じように、獣医科医院についても「ドクター・ショッピング」することがおススメされていました。アメリカの獣医科医院では、さまざまな医療費のベースに診療費(physical-exam fee)を設定していることが多いので、家のまわりの数件の医院にまずこの診療費を聞いて回るだけでも、その地域内で比較して高いお医者さんと、そうでないお医者さんがわかるということでした。


 大事な家族の医療費をケチるなんて不届きな感じに聞こえるかもしれないですが、Bloombergによると1991年から2015年にかけて米国の飼い主たちが獣医代に使った費用の総額は、4.9ビリオンドル→35ビリオンドルと、インフレや失業率などを考慮してもかなり異常な伸び率になっているので、個人のレベルでは、ふだんの医療コストはなるべく抑える工夫をし、その分をもしもの時のためにためておくのが得策なのかなと改めて思いました。個人で出来るもうひとつの工夫にペット保険もありますが、これに関しては自分でいろいろ計算してみた所、金銭的なメリットは薄いように思う(というか、運がかかわる)とこれももう少し勉強が必要だなと感じました。アメリカのペット保険については興味がある話題なのでそのうち別記事にでもまとめられたらと思います。

 そういえば産後の一番身動きできない時期に「モバイル・ヴェット」と呼ばれる移動診療所(VIP Petcare)も利用したことがありました。今はもう必要がないのでアカウントなどもそのままになっていましたが、基本のワクチンや処方箋などを安価にとれるので、必要に応じて使っていくのも手だと思いました。廉価な治療という点では、全米各州に支院のあるVeterinary Centers of America(VCA)系列の医院も定評があり、たまたまかもですが私の地域のものはとても評判がいいので一考の価値がありそうです。また、ペッツマートなどの量販店に入っているような企業がチェーン展開している獣医さんであっても、担当してくれるお医者さんによってはとても良いケアが受けられると聞いたので、運と適切な機会があれば試してみたいと思いました。




 一方、生まれて初めてパン生地を触り、感動しているちび。焼く前のパンだから「パンの赤ちゃんだよ」と言うと、「かわいい~」とか言って喜んでいました。かわいいの意味を本当に分かってるのかはよく分かりませんが、小さいものや、やわらかいものには条件反射的に「かわいい~」と言ってきます。「赤ちゃん」という単語も好きなようです。保育園では、とても女の子っぽい性格の子と、先生に言われました。なんとなく同年代の子供と比べて言語・精神面の発達が遅い印象があるので、まわりのペースにつられてあまりきびしくあれをしろ、これをしろとか言わないように気を付けないと。でも、「望みすぎないこと」の大切さは、今まで育てた二頭の犬、実家のドーベルマンとコディにしっかりと教えてもらっているので、安心ですね(笑)。この後は、オーブンの中でパンが膨らむ様子に釘付けになっていました。


2018年8月22日水曜日

最近の「レツゴー三匹」



 日本は大変に暑い夏となっているようですが、ここ北バージニアは今シーズン異常に雨が多くて、7月にはDCのローカスニュース等が、観測史上4番目の降雨量を記録したとを伝えていました。私達、母・子・犬の「バージニアのレツゴー三匹」は元気にやっています。とはいえ、コディは日中の行事などには暑くて参加出来ないので、少し遠出した先などでは来ている犬を撫でるなどして「犬分」を補っていました。

 写真は、バージニア州マナッサスのお寺「えこうじ」の、盆踊り大会で出会ったシバ。さすが日本犬、暑そうだったけどへばらずに動いていました。この祭りは、想像してたのと違って生粋の日本人の姿はあまり見えず、ハワイ系や地域の日系2世・3世おおぼしき人、白人仏教徒が多いような印象を受けました。かと思えば、見た目は完全に「一般アメリカ人」の黒人のお姉さんや、白人のオジサンなどが、急にすごく流暢な日本語で屋台の売り子さんと会話をしていたりと、単なる文化交流みたいなカジュアルで表層的なレベルだけではない、ディープな文化的シンクレティズムの現場を目にしました。


「帽子が落ちないように」と言ったら、律義に帽子をおさえながら遊んでいた。 ちょっと前だったら、すぐ忘れて池に落としていたと思う。
ラウドンカウンティ、Banshee Reeks Nature Preserveにて。ここは、リードにつないだ犬はOK。馬と自転車はNG。


 「ちいさいにんげん」は2歳11か月です。もうすぐ3歳とは信じられませんが、まわりの友達が言うように「乳幼児の世話は、時間が飛ぶようにすぎるから。」というのは、自分の場合はあまり当てはまらなかった気がしました。私は、話が通じない人と一日中過ごす事は、とても大変で一日がとても長く感じました。日常のこまかいことに、「こうしたい」というやり方があり、あまり融通がきかない方なので、ストレスを感じていたのでしょう。自分の世界に閉じこもりがちになる3年間でした。そんな時、嫌でも外に出て体をうごかし、計画をたててセラピーワークのためのドッグトレーニングをすること自体がセラピーというか、心のマッサージになっていたように思います。犬ってすばらしー!

 そんなこんなで育ってきたチビですが今月の頭頃に、急に階段をひとつポンと上がるように「成長した」と感じられる日がありました。おえかきで人間の顔らしきものを描くようになったり、出来事の因果関係を結び付けて考えられるようになったり、それと同時に突然オムツもとれて、軽作業の負担が軽くなりました。

 そう、わが子は一日に5回くらい💩が出る子で(草食動物みたい小出しにしてくる)しかも私はいちいち薄ーい石鹸水とシャワーで洗ってあげていたので、オムツかえだけでもすごく負担だったのですが、これにより突然心に余裕ができました。おまるもすっ飛ばして、トイレに抱っこしてのせて欲しいと言います。同時に羞恥心も芽生えたのか、💩の時は「目をつむってアッチの方をむいてて欲しい」とリクエストしてくるようになった(笑)。人間とは親がなにも教えなくても、「はずかしい」という気持ちを勝手にどこかから学ぶんだ!!と驚きました。幼児の世話とは、このように苦行9割、鮮烈な発見1割みたいな感じでやってくるから、皆続けられるのかなあと思いました。




 娘に対して「成長したな」と思う一方、「年をとったな」とふと思った瞬間があったのが犬です。3歳7か月、一般的に言えば、若さの盛りかと思いますが、なんていうのか、命の時計がカチッとひと針「老化・死」の方へ向かって傾いた感じがしました。ときどき何となくそういうのがわかる時がありますよね。娘も犬も同じ年に生まれたのに、人間と比較するとなんとあっという間に死を迎える生き物なのかと思うと、つらいです。日々、いかにおりこうかを話してきかせ、褒めちぎり、撫でさすっています。長く元気でいてほしいです。

 でも、単なる「長生き」だったら、望んでいません。もしいつかコディが不治の病になってしまって、楽しい日常生活に支障を来たすようになれば、迷わずに安楽死の道を選ぶでしょう。犬に苦しい思いは一切させたくないという強い意思があり、人類に飼われる動物だということの最大の利点のひとつである、「病や死の苦痛を感じずに済む」ということを、十分に享受してほしいと考えます。それに家族みんなの中で、リラックスして安心した気持ちで旅立ってほしい。

 デイケアは入り口でUターンし、どこへでも一生懸命付いて来ようとがんばる犬です。病院のケンネルの中で孤独に病気と闘うことが、この犬にとって良いことだとは思えません。「極端だけど理にかなっている」と思うのは、ボール投げしてる最中とか、「カム」と言ってこっちに向かっている最中、コディが一番楽しそうにしている時に死ねるように出来たらいいですが、そうすることは私にとっては難しすぎる事なので、もっと考える時間が必要でしょう。一つ言えるのは、人の場合も、犬の場合も「終活」に答えはないが、時々こうして考えること自体には意味があるように思うということです。

 話が脱線してしまった。そうそう、最近の犬は行動面でも変化があって、遅ればせながらテリトリー意識?が芽生えたようです。コディは散歩の初めに一回、中盤に一回、足も上げずにまとめてジャーとおしっこをする犬で、マーキングらしい事は殆どしないのですが、この「家から出て最初のおしっこをする地点までの区画」が彼の中で「見張らなければいけない場所」に決まったようです。このエリア内で近所の犬とすれ違う時にウーッと唸るようになりました。また、この区画外でも、遠くで知らない犬が睨んでいたり、吠えていたりすると尻尾を持ち上げて襟首の毛を立て、大きいアピールをするようになりました。吠えることもあります。吠えは、今のところは「やめい」と言うとやめますが、吠えだすと夢中になることもあると思うので、対策を練っています。


2018年7月16日月曜日

「イージー」



 週に何回か、短い時間ですがシッターの方をお願いすることにしました。夕方のまだ明るい時間帯に、犬と一緒に外へ行くことができるようになった。といっても7月のバージニアは暑く、かなり湿度もあるので、行先は屋内です。今週は地域の家電量販店「BEST BUY」と、ホームセンター「HOME DEPOT」「LOWE'S」に行きました。ホームデポとロウズに犬を連れて入れる事は、セラピーのクラスで使ったので知っていましたが、ベストバイに入れる事は知らなかったので、発見でした。涼しくて清潔であまり混みあってもおらず快適でした。

 ホームセンターに行くと、コディは人気者です。どうも、トラックに乗ってこういう所に来てるようなタイプのおじさんにモテる方らしい。今日は、殆ど英語が喋れないメキシコ人のおじさんが話しかけてくれました。身振り手振りと片言で、メキシコの実家でジャーマンシェパード2匹飼ってる!ホントにかしこいしよく見るとすごくかわいい!!と話てくれ、シェパードいいよね!!!とキャアキャアと(野太い声で)意気投合しました。


ヒタチのキャンペーンボーイかな? かわいいです(親ばか)

 ペンキのコーナーにいたアメリカ人のおじさんは、長年ロットワイラーを飼っている人だそうで、トレーニングの話になりました。何かの拍子に「うちの犬は色々するのが好きな方で、私はラッキーです。」と言ったところ、「いや、本当にラッキーなのはこの犬だよ。」と言われ、これまでいつも『こんな犬がいてあなたはラッキーね。』と言われる一方だった私は、不意に自分の今までの努力だとか、犬に対する態度みたいなものを認められ、褒められたような気になり、すごくすごく嬉しくなってしまいました(犬飼いはほかの犬飼いを称賛するのがうまい)。

 犬と一緒に外にいると、「犬を連れている」というたったそれだけのことで、他者と関わることがこんなにも「イージー」になることに毎度驚嘆します。しかも、犬を介して犬好きの人々と話していていつも思うのが、それぞれの人々が、皆それぞれのやりかたで犬に詳しい。こういう事は他の生き物には見られないことで、人間にとって犬と言うのは、こんなにも興味と知的好奇心を引き出す存在なのかと毎回、新鮮な驚きがあります。


2018年7月3日火曜日

シュミ仲間/アシスループ


 日本には、犬やいきもの関連の話題を軸にした「シュミ仲間」がいます。10年もの、20年ものの友人もちらほらいます。虫や両生類や、特定のタイプの犬に入れあげるタイプは男性が多いためか、変な風変わりなおじさんばかりだし(昔はお兄さんだったのが順次オジサンにジョブチェンジ。ということは自分も……)連絡も全くマメではないのがたまにきずですが、話題が合うから、いつ帰っても「昨日の続き」的に話ができるのはありがたいですね。オタクネタは国も年齢も飛び越える世界共通言語、オタク万歳。

 日本で・海外でに限らず、日本の人と喋ると結構な割合で「何等かのオタク」であることが多い気がしています。それはドラマであったり、特定の俳優さんだったり、椿を愛し椿と共に生きていたり、職人レベルのお弁当作りに血道をあげていたり、日本の人のこの「みんなが自分の小世界を持っている」という有り様がとてもとても良いと思うし、そういうものを目にする時、自分も日本で生まれて、日本文化の中で育って本当によかったなと思います。

 そんな大好きな場所だから、将来的に故郷にもっと定期的に帰れるようにしたいなあと思っています。犬をつかって地域社会に貢献する類の仕事というか、活動のプランも少し、頭の中にあります。まわりの人に意見を聞いたり、いろんな角度からどういう風にお金をまわすのかとか考えているのですが、考えれば考えるほど、「ニーズがそこにあるのかないのかわからない」状態から、ファンクションするサービスを生み出すのは大変なんだなあと実感しています。とりあえず、かんたんなプロポーザルみたいなのを作っておいて、次帰った時に小学校からのイヌトモ達に見てもらって、意見を聞かせてもらおうと考えています。楽しみです。

走る犬小屋号の中で

 ところでそんなシュミ友のひとりが出資して、獣医科医院を建てたそうです。本人も犬の繁殖を長年やっていて、西洋医学、代替医療やホメオパシーからおまじないの類まで(笑)かなり幅広い興味があるみたいで、頼まれて今週は日本に向けてこんな道具を発送しました。箱いっぱいのASSISI LOOP(アシスループ)です。アメリカで有名なセレブネコLILBUBのケアに使われたものです。日本では、メディアで紹介されたのでしょうか?不思議なグッズですね。日本のどこかで、困っている飼い主さんの役に立ったらいいなと思います。

2018年6月20日水曜日

もしかしたら、明日かも知れない



 ふた月ほど前の誕生日に、「1日娘なしデー」を自分で申請・自分で手配(笑)していました。子供が生まれてから3年近く、1人だけで朝から晩まで過ごせたことはなかったので、すごく楽しみにしていました。前から行きたかった、地域の生物関係の協会がまとめている両生類の生息状況を調べる会へと行くことができ、ドライブ往復5時間(車の中で大声でチャゲアスを歌いやばい解放感を味わう)、歩きまくり両生類や昆虫の写真を撮りまくり、沼地でジャブジャブして、とても楽しい日曜日を過ごすことができました。結果、気に入っていたボロ靴が、さらにボロく沼の匂いまでも発するようになってしまったので、腹をくくってスポーツ用品店に行きました。その時のことです。

 「練習中」のベストをつけたコディと一緒に靴のコーナーでうろうろしていたら一人のおばあさんがやってきました。犬を撫でてもいいか聞いてくれたので、どうぞどうぞと言ったところ、「大きな犬が大好きなの」と、かがんですごくうれしそうに撫でていかれました。小柄な方だったから、コディのくさい野性的なアロマ溢れる被毛に、顔をうずめんばかりです。普通、こういう所だと、1~2分くらい撫でるとみんな立ち去るものですが、10分以上撫でていて、本当に本当に犬が大好きなのだなあと思いました。

 家に帰ってから急に思ったのですが、あのおばあさん、もしかして何らかの事情で、家で犬を飼えない方だったのかもしれません。何も考えずに犬と暮らしている自分の環境を、考えさせられました。ひとはどんな時に犬を飼うのか……。日々の生活が、あるていど安定していて、今日と同じ一日が、おおむね明日も見込めて、自分と家族の面倒をみたうえで、「さらにだれかの世話をする」余剰分のエネルギーがあるから、はじめて踏み切れることですね。そうやって考えると、ヒトの短い一生の中で、自分の犬をもてるということは本当に得難い、恵まれた出来事です。

 自分だって、いつか犬が飼えなくなる日が来るはずです。もしかしたら、明日かも知れない。そうやって考えると、自分の犬と今、出来ることをすることは大事だと思わされました。ほんとに月並みな言い方なのですが、犬がいるこの一日、一日を大事にすること。もし明日自分になにかあって、コディが知らない誰かにもらわれていったとしても、迷惑をかけずに一生かわいがられて幸せに暮らせる犬にしておくこと。娘にも、犬への指示の出し方を教えていなかったですが、今日から始める事にしました。私の事をリーダーだと信じ、一生懸命ついてくる犬の「頼れるオヤブン」であり続けるためには、自分の健康にも気をつけなきゃなと思いました。

 犬の期待に応えようという、鉄より硬い責任感の芽生えです(遅い?)。そうやって考えると、私の犬は私をより強く人間らしくしているといえるかもしれません。犬がヒトを人間にするって、おかしな話です。そんなことを考えていた日でした。

2018年5月9日水曜日

セラピードッグのテスト




 ひとつ前の記事で書いた通り、アメリカで受けたセラピー犬のテストについて少しメモしておきたいと思います。まず、私と私の犬「コディ」が受けたテストはTherapy Dogs International (TDI)という非営利団体の行う試験です。アメリカには沢山の登録団体がありますが、大まかな印象で言うと、歴史が長く社会的信用度が高いのがTDI、比較的新しく動物介在活動・療法全般に特化したのがデルタソサエティのPet Pertners Program(PP)というイメージがあります。

 シェパード・ピープルは伝統的にTDIを受ける人が多いようですが、それは1976年にTDIが最初の動物介在訪問を始めたとき、オリジナルのメンバー全員がジャーマンシェパードを使っていたことと関係あるのかも知れません(協会のマークもGSDです)。TDIテストの観点(PDF)と、PPテストの観点(PDF/p59-p85)に、それぞれの細かいルールなどが載っているので、ご興味のある方は、読まれてみて下さい。私はPPのことはあまり詳しくないので、ここから先はTDIにのみ焦点を絞って書いていきます。


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 TDIのめんどくさい面白いところは、TDIに認定された評価員の所に自分から連絡を取り、出かけて行ってテストを受けねばならないところです。この評価員が近場に住んでいればよいのですが、車で往復四時間しないといけないような所だったり、それが天候不順で前日の夜にキャンセルされたり、テストの日程をたてるのが大変でした。自分達の場合は、メリーランド州シルバースプリングにあるCapital Dog Training Club of Washington, D.C.で行われるテストに、運よく滑り込むことが出来ました。試験の費用は25ドルで、人手がいるテストの割にとても安いと感じました。

 試験場はちょっと暗い感じの倉庫を改造したところにあり、東海岸ではよく見るドッグトレーニングクラブのセッティングです。見知らぬ薄暗い部屋で不安に感じて、クンクン始まる犬もいそうだと思いました。今回の試験に参加した犬は5頭で、コディの他にはマルチーズ系の小さなミックス犬、ランドシーア、すごく育ちがよさそうなゴールデンレトリバー、若いジャーマンシェパード、などがいました。

 テスト内容は基本、CGCAで出された課題に毛が生えたようなものですが、先ず気が付いたことは意外と基本のヒールウォークが出来てない犬が多いことでした。おそらく普通のナイロンリードを普通の首輪(か普通のハーネス)に留めたものでテストするルールで、犬の歩き方に補正が一切きかないせいじゃないかと思います。アメリカ人は楽天的な人も多いので、「できるかわからないけど、とりあえず受けてみよう」とテストを受けるケースもあるのではないかと思いました。

 また、テスト中はおやつなどのご褒美も一切禁止なため、食い物命タイプの犬も、苦戦していました。コディはといえばテスト本編とは関係ない、建物に入る前の「おしっこ」の指示を出したのになかなかトイレすることができず、ヤキモキさせられました。普段と勝手が違うと、こういう細かいことで躓く事もあるという、良い例でした。

 とても大変だなと思ったことは、テスト時間の長さです。全行程で1時間半くらいかかっていました。最初は犬達も元気よくがんばっていましたが、一時間過ぎる頃になると、みんな疲れてきます。そんな時に無慈悲に床の上に出される、油の光る大きなペパロニが何枚も乗ったお皿と、新鮮な水の入ったボウルです。「leave it」がどれくらい効くか調べる課題ですが、犬は腹ペコでハンドラーはグロッキーなので、多くのペアがペースを崩されまくっていました。

 あとで考えたのですが、これはマイルドな心理的負荷のかかった状態で、どのくらい犬がリラックス状態を保てるか、ハンドラーの要求に応えられるかを調べる格好のテストだったと思います。「live it」についてはまた、評価員の方が「病院やホスピスなどの環境下では、床に血痕や、薬品の類が落ちている可能性もあります。lieve it はあなたの犬の命と健康を守る最重要スキルのひとつです。」とコメントしていたのが印象に残りました。


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 疲れると素の性格が出てくるのは人も犬も同じなようで、テストを進めていくうち、犬達にもいろいろな事が起きていました。ジャーマンシェパードの子はすれ違う別の犬にワワワン!と吠えて、落とされてしまいました。ランドシーアの子は格好のセラピー犬候補と思われましたが、車いすの評価員が持っていたクラッカーを、見ていて爽快になるほどムシャムシャと食べてしまい、これも、「さらなる訓練の余地あり」として落とされていました。

 特に印象的だったのはマルチーズmixのペアでした。この犬はテストの中盤当たりから犬がストレスを感じているのが明らかで、ハンドラーの指示にあまり従わなくなっていったのですが、飼い主の人は「やりなさい」と、頻繁に犬を誘導していました。結果、最終テスト前に「あなたの犬は、このような作業をやりたいと思っていないようです」と、評価員にはっきりと指摘されていました。

「テストではこのような状況を『耐える』犬ではなく、このような状況下でもハンドラーの要求を聞く事を楽しみ、人と関わりあう事を享受できる犬をフィルターしています。『耐える』ことは必要ではありません、それはあなたの犬にとって体験する必要のないストレスです。彼らにはセラピーとは別の社会貢献への道があります。」という、非常に納得できる説明が審査員からあり、アメリカの人間の学校などでも感じるこの「がまん」してわざわざ得意じゃない事をする(そして能率をさげる)よりも、無理なくできること・得意なことを生かしてコミュニティを助けていきなさいという、極めてアメリカ的アプローチが、犬にも適用された瞬間だと思いました。

 しかし、私も受けるまでこんなに長く感じるとは思わなかったので、TDIのハンドブックに「テストを受けられる犬の年齢は、ミニマム1歳から」と書かれている理由が分かったような気がしました。犬のトラウマ回避策なのでしょう。実際にセラピーワークを模した題材の中でテストしていくと、普通の犬にとって予想以上にストレスフルなものがあるし、ハンドラーの方も、実地へいけば自分なんかじゃ想像もつかないようなタフな人生の問題と戦っている人々に接することもあるだろうから、犬人ともに心身のスタミナが必要なのだと思いました。とまれ、ここまで残った例のピカピカのゴールデンレトリーバーとコディは、本物の子供を交えて行う最終課題を終え、全ての課題をクリアすることが出来ました。晴れて、テストに通ることが出来たのです。


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 もちろんこのテストに通ったからと言って、明日から「うちの犬はセラピードッグよ!」と吹聴するのは、時期尚早と言えるでしょう。今日はただ、自分の犬にセラピーワークをしていく素地が十分にあるとわかっただけで、ここから本物のセラピードッグとなっていくには、今後も能動的に様々な活動の場を作って、人犬共に経験を積まねばなりません。現時点で、自分がどこまでそういった活動に参加できるのか分からないですが、まずは一回体験できるように、知り合い等にあたってみようと思いました。

 今回のテストを受けて嬉しかったのが、全ての評価が終わった後「今後の練習の参考にするので、不十分だった箇所を教えて欲しい。」と評価員の方に聞きに行ったところ、“you performed nearly perfect./あなた達はほぼ完璧に出来ていました。”と言われた事です。人間のカップルとかでもそうかもしれませんが、犬と飼い主も、普段から常に一緒に過ごしていると完璧とは程遠いところばかりに目がいってしまい、ついつい過小評価しがちです。でもこんな風に見ず知らずのドッグトレーナーの人にそう言ってもらえることで、コディも犬なりにがんばってるんだなと再認識し、感謝することができたので、他人の目は大事だなと思いました。

 それと余談ですが、ここでも訓練系のゴールデンレトリーバーのすばらしさに感銘を受けました。本当に素直で優しくて、トレーニングを愛し、ストレスを許し、人を許し、とにかく海とおひさまの様なハートを持った犬たちです。コディと共に最終試験に進んだ一頭もそんな感じの犬で、あとでオーナーの人に聞いたら、ゴールデンだらけのオビーディエンス・トライアル一家で4頭目のセラピー犬だそうです。レトリーバーを飼ったことがないから分からないですが、家に帰ったらあのやきたてパンみたいなニコニコ顔が4つ並んでるのでしょうか(シェパードは目からビーム出してガン見)。想像するだけで癒しだし、最高に楽しそうです。

 

2018年5月4日金曜日

犬も血で飛ぶ



 ジブリの映画「魔女の宅急便」の中でキキが絵描きのウルスラに、「魔女は血で飛ぶんだって」というシーンが出てきます。子供の頃は何の事を言っているのか、全く意味が分からなかったこの台詞ですが、「血筋」の中に受け継がれる特別な性質だとか、性格傾向というものが確かにあると分かるようになった今では、短いながら言い得て妙だなと思うフレーズのひとつです。


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 娘のための児童書を借りに、バージニア州アナンデールにあるジャパニーズアメリカン・ケアファンドの図書館にお邪魔していた折、たまたまこんな本が目についたので、手にとりました。「盲導犬になれなかったスキッパー」、著者の藤崎順子さんは地元DCの方のようで、本の中にこんな風にきれいな字でサインが入っていました。スキッパーは盲導犬候補の子犬の時にパピーウォーカーの藤崎さん宅に来ましたが、盲導犬の選別に落ちます。しかし、譲渡先の警察犬訓練施設でサーチワークの才を見出され、数奇な運命を経てイタリアの空港で爆発物探知犬として従事、引退後、また藤崎さんのもとへ戻ってくるという、ドラマティックな一生を送った犬でした。

 この本を読んでみて私がただただすごいなあと思ったのは、犬の「血の力」です。特別な目的があり、そのために選別・繁殖を重ねた犬というのは、均一で安定した素質をもっています。盲導犬の例でいえばスキッパーの様に、たとえ犬の事に全く経験のないパピーウォーカーに預けられたとしても、きちんとベーシックなケアとしつけさえ受けることが出来れば、1年後ちゃんと盲導犬の卵として選別テストの場に立つことが出来る。誰が育てても同じような成果物が得られると分かっているから、パピーウォーカーというシステムが成立するんですよね。これはとてもすごいことです。

 セラピードッグ・インターナショナル(TDI)のウェブを見ていても、似たような事でハッとすることが書かれていました。 “A Therapy Dog is born, not made ; セラピードッグは作られるのではない、そう生まれてくる”という一文です。犬のマナーやスキル面は、トレーニングで幾らでも補う事が出来るが、持って生まれた気質を曲げることは難しいし、そうすることは犬の為にも有意義とは言い難いでしょう。




 とまあ、そんなことをだべっているうち、コディのTDIテストの日がやってきてしまいました。話が長くなりそうなので、一旦ここで切ろうと思います。次は(果たして興味がある人がいるか分かりませんが)アメリカのセラピードッグのテストでやったことを、少し書いてみようと思います。コディの、テスト前最後の練習をしてもいいか問い合わせたら、快く迎え入れてくれたメリーランド州ウィートンのWestfield Wheatonモールのマネジメントの皆さん、喋って私のテンションを鎮めてくれた友人E氏、および写真を撮ってくださった兎に角みんなでアメリカ生活のちえぽん氏に、深く感謝いたします。


2018年4月30日月曜日

省エネ花見


 愛犬「コディ」3歳3ヶ月、娘「ちいさいにんげん」2歳6ヶ月の春です。いたずら盛りの人間の子供と脳みそパピーちゃん(体重59キロ)と共に花見をするのをおっくうがっているうちに、あっという間に桜は散り八重桜のシーズンになってしまいました。仕方ないから、また近所の植木屋Merryfield Garden Centerでお茶を濁してます。

 一度しかないコディの犬生を預かっているんだから、暑くなる前にもっと色々な経験をさせてやらねばと思うのですが、なかなかうまくはいきません。でも、ここでストレスを溜めてはダメなんだと、過去2年間のダブル育児を通して学びました。できないことがあって当たり前だと、出来てることにフォーカスすべきだと、「出来てない事は、できてない」と、そんな自分の姿をリアルに見つめてしまうところがある自分にとってはなかなか難しいですが、日々勉強です。
 

 植木屋さんでは、春の草花の入荷が最盛期になっています。猫の手ならぬ見知らぬ東洋人の手も借りたいぐらい忙しいのでしょうか。働かない?と声をかけられました。この植木屋さんといえば、先日話していたセラピードッグ・インターナショナル(TDI)のテストが、正式に来週末になることが決まりました。

鶏糞たべていい?

 相変わらず写真写りがパッとしないコディ君。TDIのテストがんばってくれよ。植木屋での自主練が功を奏すか?!どう考えても練習量が不足してるんで、当たるも八卦当たらぬも八卦みたいな気持ちですね(言葉の用法が違う)。

 テストに出るためにはシャンプーをしたり爪切りをして、きちんとして出かけないとなりません。一度洗うと完全に乾くまでとても時間がかかるので、先週末にシャンプーを済ませましたが、活発なので既にドロドロです。ショーに出したりするわけではないから、おまたの内側の毛はいつもカットしてしまうのですが、今回は胸が一番深く落ち込む部分から鼠径部にかけても、びみょう~に毛先をそろえてみました。飼い主の自己満で誰も気づかない微妙なことだと思いましたが、既に散歩道で二回ほどスタイルを褒めてもらえて、こんな毛先のちょっとした変化が意外と犬の全身の見た目に影響を及ぼすことに驚きました。


 今日のトリは、バージニア州グレート・フォールズの周辺を散策中に出会った、ブルガリアンシェパードです。私の散策するエリアはスラブ系、東欧系移民の二世が多いみたいで、自国から引っ越してきた彼らの親世代が、犬もついでに連れてくるようです。今までにも、ルーマニアンシェパードや、それから遠目にカルパチアンシェパードかなと思われる犬を見た事があります。比較的賑やかなアメリカの郊外の住環境だと飼いにくい犬種だと思われますが、体格が大きく堂々として、山や牧場で一緒に住んでいたらこんなに頼もしい仲間はいないと思わされます。写真の犬も、このあたりから先に進むと立ち上がって吠えるだろうと思われたので、オーナーの方の了承を得て、離れたところから写真を撮りました。

2018年4月29日日曜日

犬種セレクター色々

狭い台所に犬、子供、玩具も人もぎゅう詰め。 箸?もちろんテーブルに直置きさ!!(爆)
広い庭付き一戸建てに住めたらなあ。しかしコディは常に人とくっついてられるので嬉しそう。


 「ちいさいニンゲン」がいたずらばかりしています。少しでも目を離すとぴゅーっと道に出たり池におちてオムツが池の水でタプタプになったりするので、ダッシュで追いかけます。ありとあらゆる事に世話が必要な割に、子本人は人の助けを借りないで自力で行う事に価値を見出していて日々凄い数のエラーを繰り返すので、一日が終わるころには(主に後始末などで)笑えるほどくたくたになっていることが多い。人類史のなかで過去数万年間、10代や20代の若者が集団で行ってきた「子を育てる」という作業を、30代も半ばの、群にも所属してない「中年ハグレ♀」が行おうとする事の意味を日々噛み締めています(苦い)。

 そんななので、子を寝かせた後、PC上で何も考えなくてもできるアクティビティが癒しになっています。いつもは、描画ソフトで絵を描いたりして遊ぶことがおおいですが、今日はそれをする元気もなく、死んだ魚の目をしながら犬種セレクターに条件を入れて、出てきた犬種をただただ眺めるという境地に到達していました。そんな折、犬種セレクターにもいろんな種類があることに気が付きました。感心したりえ~と思うような面白い結果もいろいろ出たので、やったものをメモしておきます。※「正確度」は個人の独断によりです。



犬情報サイト「犬と歩けば」あなたにピッタリな犬種は?

正確度★★★☆☆

ファンシーな情報サイトの一部についてるサービスなので、正確さはあまり期待してなかったけど、目安としてはけっこう参考になる結果がでた。答えに出てくる犬種自体はあまり多くない。幼児がいるという条件をいれると、グレート・ピレニーズやバーニーズ・マウンテン・ドッグ、レトリーバーしかチョイスになくなる。

アイリス あなたにぴったりの犬種は?

正確度★☆☆☆☆

設問が4つしかなかったので、正確度は低いですが、聞いてくる質問がおもしろかった。合ってる犬種に「朝髪型がキマるかどうか」も関わってくるらしい!「車好き」かどうかとか。結果、自分に合う犬種はミニピン一択だそうです(笑)ミニピンは可愛いと思います。

CAIRKweb あなたにピッタリの犬種をみつけよう

正確度★★★☆☆

設問の数は16とまずまずですが、犬の散歩時間の選択肢上限が「毎日1時間ていど」とあった。このセレクターに限らず、他のセレクターでも「散歩の上限が1時間」は散見されるけど、ちょっと少ないなあと思ってしまう。私はおそらく、「子供」が条件に入るためかワイマラナ―、フラットコーテッドレトリバー、ゴールデンレトリバーが出る結果が多かったですが、特にワイマラナ―は散歩1時間では無理なのでは。


④IAMS犬種セレクター・ツール 日本語版 英語版 

正確度★★★★☆

「結果」で選抜された犬種をチェックして、dog breed compare toolという機能で比べられるのは画期的だと思った。英語版は読まずに絵でポチポチ押していけるので、テストがさっさと気楽に受けられる。自分の場合、ハンガリアンクーヴァース、アナトリアンシェパードが入りました(クーヴァースがわりと訓練が入りやすい犬だとは知りませんでした)。また、これの英語版で初めてジャーマンシェパードがチョイスに入ってきましたが、日米における「ファミリードッグ」の概念の違いを感じたような気がして、おもしろかった。(2019/7/20追記):日本語版は久々にアクセスしたら閉鎖してしまったようです…残念。

PURINA Dog Breed Selector

正確度★★★★☆

すこしでも向いてるとおぼしき犬の犬種をこれでもかと沢山列挙してくれるので、アイデアが欲しいときには便利かもしれないです。あと、犬の外見とかでなく、運動量の質問が最初に来る所に好感がもてた。私は、ノルウェイジャンエルクハウンドが選択肢に入りました。そういえば、いつも行くドッグパークにエルクハウンドが数頭いて、最近少し人気が出ている印象があります。でもオーナーの人曰く、敷地内でよく吠えるのと、社会性が育ちにくい、訓練が入りにくいので、「ペット」という感じではないそうです。でも、シバやコリアンジンドーからの比較で言えば、スピッツ系の中ではマイルドで飼いやすい方だと思うのですが。

AKC find a MATCH

正確度★★★☆☆

週にできるトレーニングの量で、最大値が10時間+になってました。一日約2時間くらいかな?楽勝楽勝!幼児がいなければ!!!(笑)でも、何回かやってみましたが、ベルジアンマリノワ、ノバスコシアダックトーリングレトリーバー、スウェディッシュバルフント、フィニッシュスピッツなど、アメリカではともかく、日本では入手しにくい犬ばかりが選択肢にあがりました。

ほかの犬種でも言える事ですが、理想を言えば、自分の家から車で行ける範囲に2、3件ブリーダーがあるような状態がいいと思います。コディの時に色々見て回ってても感じた事ですが、ケンネルが実際に会って話せる距離にあることは非常に助かるし、それに、同エリア内にブリーダーが複数あるほうが競争が生まれるので、犬の質が良くなると思う。一番リスクが高いのは、一度も訪ねることもせずに、遠くに一軒だけあるレア犬種のケンネルとかから犬を送ってもらおうとすることです。このあたりはもうどうしてもそうならざるを得ない理由もあると思いますが、やはりネックだと思うのは人間、実際に会ったこともない人に、生まれた胎の中から一番いい子犬を譲ることは絶対にありえないと思うので、理想を言えば、会って一緒に食事をするくらいのことは出来る距離が良いと思う。

Dogtime.com Dog Breed Selector

正確度★★☆☆☆

犬種という意味ではこのセレクターが一番列挙してきました。ただ、挙げてきた犬の傾向がわりとバラバラで、頼りになるか?と言われたら微妙かな…、、、シュヌードルとかゴルダドールとか、正確には「犬種」ではない候補も入っていたので、とにかく自分の用意できる環境に少しでも掠りそうな犬をたくさんチェックしたい、という人向けでしょうか。というか、ここまでセレクターを沢山やってみて、それぞれが出してくる候補にかなり幅があることが分かりました。こういうのの中から繰り返し出てくる犬種というのが本当に合っている犬、という意味では色々試す事にも意味があると思いました。

Animal Planet Dog Beed Selector

正確度★★★★★!

このあたりで吹っ切れて「子供」を考慮しない解答をしました。ベルジアングローネンダール(99%)、ベルジアンマリノワ、ジャイアントシュナウザー、ベルジアンタービュレンと、私の趣味がこれ以上ない程丸出しの結果に(一点だけ、私はジャイアントシュナウザーよりブラックロシアンテリア派です)。趣味と自分に合った犬種が合致するのはとても幸せな事ですが、それが現実、実現不可能と分かった時の悲しみも半端ではないので悲喜こもごもですね。


 では現実逃避はこのへんにして、就寝しようと思います(死んだ魚の目)。これから犬を飼おうと考える、どなたかの参考になれば幸いです。


2018年4月24日火曜日

犬の友情

友達犬同士の挨拶。手早くスムーズかつリズミカルな犬グルーヴ


 東京でドーベルマンを飼っていた頃は、学生だったのもあり、犬と外出するといえば深夜と早朝のランニングやサイクリングが主なもので、他の犬や飼い主と交流することは殆どありませんでした。それが3年前に今の犬が家族に加わってからというもの、ドッグランに頻繁に通うようになり、「犬にも友情がある」という自分史上、世紀の大発見がありました。

 多頭飼いや、もともと社交的でイヌとどんどん出かけていた人からしたら「なんだ、今さら」というような事かもしれません。でも、子犬の時から自分の犬の目を通して、その犬と犬がどうやって出会い、どうして仲良くなったか。それからどんな事があったのか、その全てのストーリーを網羅する立場になってみたら、個体と個体の間に確かに存在する絆と、原始的な友愛の姿に感動しました。


牧羊犬大行列 コーギーオーナーの女性のコーディネート(フレキシ二丁ぶらさげ)にも見惚れる。



 今日は、一年前に自分達の住むエリアから引っ越してしまった、ボーダーコリーのニックと、コディが再会した日でした。ニックのお母さんが、ずっと車を飛ばして会いに来てくれたのです。コディもニックもそれはそれは喜び、これみよがしに相手の首筋にアゴをのせたり、相手の上に乗っかったり、ドヤ顔で肩に手をかけたり、若いオス同士特有のわざと「ウザい」事を連発して、遊びを始めようとあの手この手でがんばっていました。


ずっと離れていても、ニックの頭蓋骨の味わいは変わらないようです。歯ざわりがいいのか?
ニックのお母さんは、コディの口の中に自分の愛犬の頭がスッポリ入ってる状態が好きで、黄色い声援を飛ばしていた。


飛行機と、走っている車の車輪と、浜辺のさざ波が大好きなニック。
放っておくと足が擦り切れるまで追うので、「さざ波追いかけ用」のクツを持っている。

ニックのお母さんと。
犬は、自分の仲のいい犬の飼い主とも仲良くなる傾向があるように思う

耳どこいった

 楽しい再会はあっという間に過ぎ、すぐまた分かれ分かれになる時が来てしまいました。別れを惜しみながら帰る準備をしていた時、ニックがコディの方に近づいてクンクンクンとにおいをかいだかと思うと、カジュアルな感じにヒョイッと足をあげて、おしっこをかけました。

 過去三年間ほぼ1日1回はドッグパークをひやかしている自分ですが、こんな風に犬が犬にマーキングするのを目の当たりにしたことはなく、とてもびっくりしました。なぜかコディにおしっこをひっかける事を思いついたニックがいじらしく、飼い主どうしまた絶対2匹を遊ばせてやろうねと約束を交わし、パークを後にしました。
 


2018年3月31日土曜日

一歩進んで 一歩下がる




 前回の記事に書いたセラピードッグ(TDI)の試験ですが、当日突然の悪天候により中止となってしまいました。運よく受けられるテストが見つかって喜んだのもつかの間、また新たな試験の機会を窺うことになりました。

 上の写真は、テストにむけてここしばらく自主練していたお店での1枚。この場所はMerrifield Garden Centerと言い、北バージニアエリアに数店舗を構える居心地のいい植木屋さんです。店員さんも優しく、無料で大人にはコーヒー、子供にはポップコーン、犬には水がもらえます。チビは2歳6カ月。いろいろ難しい時期ですが、『ぽここん』がもらえるよと言うと喜んでついてきたので、連れ出しやすかった。一瞬目を離したすきに商品の花をつんでしまったりする子供に注意を傾けながら犬に指示を飛ばすのは非常に難しかったですが、なにもしないよりはきっとマシと考え、習慣的に通いました。


2018年3月14日水曜日

ペットシッター探し




 仕事が短い休みに入ったので、TDI(Therapy Dogs International)のテストをコディともに受けることにしました。最近は時間の都合でクラスにも通えず、自主練ばかりだったので、通るかどうかは分からないですが、いい機会だと思ってチャレンジしてみようと思います。

 私は週末は仕事で終日出てしまうので、団体のウェブページを確認していて丁度休みの土曜日にテストが入っているのを見つけた時は嬉しかったです。しかし、車で往復4時間の場所で、子供を連れての行きかえり、それにテスト中は子の監督ができないことから、ベビーシッターの人に来てもらうことにしました。シッターは、探す段階に加え、実際にシッターをはじめてもらう前にも、人柄や子供との相性を確認するために面会をセットしたりと色々なプロセスがあり、結構大変だなあと思いました。バタバタした中ふと、「そういえば最近、コディのシッター探しもやったな」と既視感を覚えました。2017年の末、仲の良かった義母が突然癌で余命宣告をされ、そしてすぐに亡くなった時に、急きょ一週間ほど犬を預けなければならなくなった時です。

  コディくらいの大きさの犬の預け先選びは大変です。アメリカではこのような時、多くの人が「デイケア」と呼ばれるペットケアサービスの、お泊り(ボーディング)のプランを使います。ほかには、ボーディングケンネルといって、田舎の方で広い敷地に犬舎を建て、中期~長期の預かりサービスを利用する人もいます。我が家の場合、いつも個人で契約していたシッターさんに見てもらっていました。しかしこの時は、今までのシッターさんが丁度国外へ旅行されていて、急遽、新しいシッターを探さなくてはなりませんでした。

 コディは、デイケアや全く知らない人の家に預けられる事が苦手で、そうなると隙あらば外に飛び出そうとするので、もともとの顔見知りや、仲良く遊んでくれる友達犬のいる家庭で預かってもらう事がベストです。私達は、結局、アメリカでRover.comと呼ばれるサービスの提供するオンラインウェブを利用しました。これは、ビッグデータを使って飼い主とシッター(ドッグウォーカー・お泊り)をマッチングする比較的新しいサービスです。ほかにもWAG!というのも最近頭角を表してきてるみたいですね。探してみたら東京にもありました→Pawshake。こういうサービスがもっと盛んになれば、例えば都心のDINX家庭等でも大型犬が飼いやすくなったりするのでしょうか。

 話をRoverにもどします。個人宅でドッグシッターをしている、レビューが良く優しそうな人を数名リストアップしたら、次に実際の家まで面会に行きました。個人契約の面倒な点はここです。例えば自分達の場合、訪問してみたらものすごく家が汚かったり(家が度を越して汚くペットだらけの人は管理能力に問題があるような気がしてNG)、大型犬の欄にマルがついていたのに、実際会ったら「あなたの犬は大きすぎる。家族が怖がっている」と言われて、時間を割いて行ってきた今までの会話や調整してきたことがすべておじゃんになったりと、急いでいる時は正直公共のペットサービスを使う方が便利だな、とも思いました。

 ただ、その甲斐もあって最終的にとてもいいシッターさんにめぐり合うことが出来ました。Iさんはジャーマンシェパードレスキューで長年フォスターをされている人で、シェパードの扱いに慣れており、面会に行ったシッターさんの中で、唯一、コディを上手にハンドリング出来ていたことが決め手となりました。嬉しい事に、Iさんが飼っているメスのジャーマンシェパードとコディの相性もこちらが驚く位良好で、合った瞬間から姉弟のように仲良しになれたのも良かった。あとでわかったのですが、以前書いたウィリーの飼い主さんとこのEさんが旧知の仲だそうで、たまたま二人がシャイロシェパードの話をしている時、「シャイロと言えば近所にすごくおりこうな犬がいてさ。コディアックっていうんだけど」と同時に切り出して、この事が判明したとか(笑)。

 とにもかくにも、こうして犬を預けてみたら、朝から夜まで自分の体力というか、元気が持続するのにビックリしました。考えてみたら、一日2回の散歩(子供おんぶ・ドッグパーク)なし。一日2回の掃除機掛けなし。犬のエサ準備、水替えの手間なし。家も一度掃除すると2、3日は綺麗なまま、毛が舞うストレスもなし。それ以外の時も、隙あらばなにしてんの~とあの怪鳥みたいな目で凝視されるプレッシャー(?)もなしと、ないない尽くしで、犬がいない生活ってこうだったっけと、目からうろこがおちました。コディは手のかからない犬だけれど、それでも犬にまつわる労働がかなりあったことが、改めて分かりました。

 話が脱線してしまいました。TDIテストですが、先にも書きましたが、全くどうなるか不明です。シッター探しの苦労、シッター代、検定料、往復四時間のガス代が無駄にならないよう、精一杯頑張って来たいと思います。

2018年1月30日火曜日

ぼうし事件/体罰訓練

新しい車に自力で乗れない弱虫だと分かり、特訓中


 今朝、強風のドッグランで遊ばせていたところ(寒かった!)、かなり強い突風が来て、かぶっていた薄手の野球帽が、あっという間に20メートルほど向こうへ行ってしまいました。「あッ!」と声を出したところ、コディが駆け寄ってきたので、思わず「コディ君帽子取って!」と言った所、ぴゃ~っと走って行って拾い、私の手の上に持ってきて置いてくれるという出来事がありました。今まで、こんな口語口調でなにかさせようとしたこともなければ、帽子を「トッテコイ」させたことなどもなかったので、単語単語でというよりは全体の雰囲気で内容を把握したのでしょうが、一度で言われた事がすぐ分かった事にとても感心しました。本当に、あまりにもタイミング良く現れて助けてくれたので、まわりのドッグオーナー一同から拍手が起こっていた(笑)。


 NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」という番組で「ワンチャンスペシャル」が組まれていたので視聴しました。ふわふわした可愛いネーミングに反して内容が濃くて見応えがあった。フォーカスされていたのは著名なトリマーの方、悪性腫瘍専門の獣医さん、噛む犬の訓練士さん。訓練士は、北栃木愛犬警察犬訓練所の中村さんという方が取材されていました。所謂体罰込みの独特の訓練スタイルをされてるみたいで、かなり賛否両論ありそうですが、本当に心血を注いで頑張っているんだということは「犬の遊びタイム」でファインダー越しに和犬がゴロゴロ出てくるのを見て感じました。どれも普通に考えたら殺処分になってるような犬ばかりだと思いました。

 私もかつて、日本で知人のケンネルに居候していた時文字通り手の付けようがない、行きつく所まで犬格が荒廃した柴犬の身の回りの世話を手伝ったことがあるので、一般的に言われているドッグトレーニングの方法論がおよそ意味をなさない犬、特に洋犬を「ふつうに」飼い育て「ふつうに」躾けて問題なく暮らしていけてる殆どの愛犬家にとって、想像も出来ない事が和犬で起こりえると学びました。かわいい仔犬を育てていたのに、いつの間にか半野生の猛獣になってしまう感じで(近付くと雄たけびを上げはじめ、飼い主であっても体の毛一本でも触ろうものなら本気で噛みに来ます)、かなりの根気とテクニックを費やさないと直らない犬、というか普通の人は直せないので殺処分されてしまうのですが、そういう犬がときおり出てきます。フィジカルにビシビシやる訓練法に否定的な人は多いと思いますが、一度でもそういう犬を経験すると、正直なところ一定の理解が出来てしまいます。

 自分自身のことを振り返ってみても、私は今は比較的おりこうといえる「コディ」という犬に恵まれていますが、今の犬とほぼ同じやりかたで躾けた先代のドーベルマンはおりこうと言うには程遠い状態でした。ですから、飼い主が用意できる環境はもちろん遺伝や犬との相性、犬に副次的な情報を与える存在(例えば同居の家族。とりわけ子供やお年寄り)によって、訓練環境が劇的に変化してしまうことや、飼い主一人が頑張っていても、犬がおかしくなっていく状況も現実として起こりえるという事は実際に経験しています。テレビに出ていた噛み犬の飼い主さん達も皆頑張ったけどダメで、疲れてしまい、それでも我が子を愛している様子が伝わってきて、たいへん心が痛みました。

 ドッグトレーニングの方法論は星の数ほどありますが、犬が人間社会の生活にきちっと適合出来、正しく人とコミュニケーションがとれ、飼い主さんも納得できて、精神的にも安心させてあげられるのが「良い訓練」の条件ではないかなぁ、と思っています。この3つのバランスのどれかが欠けると、コマは回らないイメージです。だから犬が人間の世界でどうしてもどうしてもうまくいかない場合、物理的な力の行使を辞さないという心構えは理解できます。

 私が、大きな犬の飼い主だからかもしれません。「イヌ本来の性質やQOLはどうなる、ヒトの都合の押し付け、傲慢」と言われれば、そうなのですが、私にとってはそんなことよりも自分の犬が自分や家族や、だれかの生活を危険にさらさない、いつなんどきでも社会秩序を乱さない、そういったことの方がまず重要です。「そうできるよう努力している」とか、言い訳はダメなのです。世の中の人は結果しか見てくれません。この約束をやぶれば愛犬の命はなくなります。凶暴そうな大型犬の愛犬に向けられる社会の目を一度でも経験した事のある者なら分かります。だから、愛犬との全ての楽しみは、上記のような「社会の一員としての義務を果たした」その後にあります。

 NHKのこの放送後一部の愛犬家やトレーナー界隈が騒然としていると知りました。シーザーミランにしても、中村訓練士にしても、武闘派のトレーニングはよく批判され、実際自分だったらやりはしないだろうと思う訓練方法も多いです。しかしプロの訓練士さんが誰かにお金をもらって、飼い主の人生と飼い犬の生命がかかっているプレッシャーの中、何十年も人生の時間と労力を投資して編み出してきた方法論について、一定の敬意を払いながら議論する必要性を感じます。