2015年2月28日土曜日

仔犬の社会化と気付いた事




 あっという間に3月になりました。件の仔犬達はもう8週目に入る所だそうで、ここのところあらためてベッドの脇に積んであった「仔そだて本」数冊をひっぱりだして夜な夜な、近所の定食屋さんに入り浸り、読んでいた。そこで、ホラーな事実に気付いてしまったので、今日は、その事について書こうと思います。

 気付いた事と言うのは、イヌの一生にとって一番感受性の豊かな時期(=最も効果的に社会化できる時期)は、飼い主が子犬を家に連れてきてからひと月ほどで終わってしまうという事実。それは、複数のジャーマンシェパードのブリーダーや飼い主達に勧められたThe Art of Raising a Puppy(写真の本)を読んでいた時、その成長段階ごとの説明を見ていわゆる「真の社会化期」って、意外と短いなと思ったのが発端だった。そこで一般に言う「社会化の臨界期」の厳密な時期についてがぜん気になりだし、調べたところ、Dog Actuallyというブログマガジンの史嶋桂さんの書かれたコラムにこの頃の発達についてわかりやすくまとめてあったのを見つけることができた(灰字部にリンクしました。これから仔犬を飼おうと思っている方におススメの記事です)。以下は読書の覚書もかねて、「生後0日から4か月めまでの間に子犬の脳裏で何が起きているか」について、手持ちの本やウェブサイトで読んだことを自分なりにまとめたものになる。

____

 生後0~13日目まで

 仔犬は嗅覚、触覚にまつわる単純な記憶以外を学習する能力はなく、日常の90%の時間を寝て過ごしている(起きていても寝ていても脳波に変化がない)。しかしこの時期の終わりごろから徐々に個体差らしきものが出てくる。この時期人間のハンドリングによって日々仔犬が「適正なストレス」にさらされることが、諸説あるがその後の社会化に一定の効果を生み出すと考えられている。

 生後13~20日まで

 12日から15日目までに子犬の目が開き、仔犬の感覚が急速に成長する時期に入ったことを知らせてくれる。感覚器の発達と共に、仔犬達は自分の今居る環境や、外界からの刺激に対してずっと繊細になる。仔犬は自力で棲みかの中で「冒険」を始めるので、様々なオモチャ等に触れる機会を与えられるようにする(このあたりが社会化期のぼんやりとしたはじまり、と言う気がする)。

 ここでも子犬に「適正なストレス」を与えることが重要視される。例えば足先をつまんだり、体重計の冷たいプラスチックの表面に乗せたり、仰向けにひっくり返すなど。これらのプロセスを行った後は、仔犬をやさしくゆっくり撫でて落ち着かせ、ストレスとなでられる経験をセットで印象付けるようにする。ここで、人の介入や触られることによく慣らしておくことが、後でイヌの体のケアや獣医師の検診をずっとラクにする。

 生後3週間~12週間(三か月齢のおわり)まで

 真の社会化期の到来。その犬が一生を通して受け入れるべき物事は、全てこの時期に親しまされておく必要がある。この時期の社会化は主に2つの段階に分けられる。

フェーズ①:犬同士の社会化期

 生後4~6週間の間に訪れると考えられている、母犬や兄弟との重要な交流の時期。仔犬たちはこの時期、与えられた棲みかから出て他の兄弟たちと遊ぶようになる。ここで様々な重要な事・・・個体同士のコミュニケーションの仕方や、他者に対する力加減を学ぶ。5週目の半ばころ、子犬はそれまでの母犬だけにフォーカスした生活から徐々に「それ以外の世界」へと興味を移行していく。

 犬同士の社会化と並行して、仔犬たちは自分の「においのポスト」を設定し始める。これはトイレの場所を自分で決め、自発的に巣を離れて排泄し、寝床を綺麗に保とうとする本能的行為である。だからこの時期に不衛生なケンネル等で生活しなければならなかった子犬は、あとで排泄の問題を抱えることが多い。

フェーズ②:人との社会化期

 生後5~12週間の間に訪れると考えられている。一般的に社会化の臨界期と言われている。仔犬達にとってニンゲンとは、母や兄弟との新睦を十分深めたあとに、慣れ親しんだ棲み家の果てで出会い、さらにそこから外の世界へと導いてくれる存在になる。仔犬はここで「人間社会のものごと」、たとえば変わった場所や犬以外の生物、聞いたことのない音や触れた事のない物に対して十分親和性を深めていく必要がある。特に5週から7週目までの間は意識的に毎日違う人々を家に招き、仔犬と遊んでもらう必要がある。毎週グルーミングセッションを設け、子犬が体のどこを触られてもへいちゃらなようにする。また、人との社会化期とはいえ、この間も仲間の犬達とたくさん遊ぶことは、その犬の一生涯を通して大事な意義をもつ。この時期の後、仔犬は外界のものに対して懐疑的な態度で挑む(一般的に「恐怖期」とよばれる)時期に入る。

____


  ここまでの内容を見てみると、自分が仔犬の最初の一月用に「社会化手順表」みたいなのを作成していて、気にしすぎかな・・・・・・と思っていたのが、あながち悪いアプローチでもない気がしてきた。特に、防衛本能に優れた護衛犬種やシェパード系統の犬は、社会化期の終わりが他犬種と比べてはっきりしているという話を色々なところで耳にするので、がんばりどころだ。うちの犬は諸事情により9週目近くなってから家に来ることになったので、最も効果的に社会化出来る期間は実質、3週間と限られている。時間をなるべく有効活用するために、計画的にがんばりたい。





2015年2月19日木曜日

ALDOUS




 技術点10、構成点9、芸術点9といったところ。今まで見てきた中でも一二を争う見事なヘソ天だと思う。とあるブティックショップのお店のマネジャーだという人の愛犬で、オルダスという2歳のシベリアンハスキー、毛色にとてもマッチしたオレンジ色のハーネスの「使い古した感」がイケている。スポーティなハーネスに対し、メインに使っているのは細革のロングリードという組み合わせなのもギャップがあってなかなかカッコよく、マネしたコーディネイトだ。

 ・・・と、去年一年間1度も自分用の服を購入しなかった(!)「ファッション」とか「コーディネイト」とは対極にいる存在である管理人が申しております。(しかも「シリコンバレーでは、いつも同じセットのトップスとジーンズを着るのはおかしいことじゃない」とか言って、開き直っている。シリコンバレーに住んでいるわけでもないのに)。




 彼のヘソ天の凄みは持久力にあり。まったく自然なかんじでこの恰好のまま、自分がお店に滞在していた40分ほどの間、ずっとレジ横にひっくり返っていた。その間入れ替わり立ち代わりレジにやってくる人を見ては、「なでてもいいよ・・・?」という感じでシッポをパタパタ、目をパチパチさせていた。犬の社会化、ここに極まれり(笑)。お見事。





2015年2月14日土曜日

WEEK 4+



 せっせとメールを送り合っているブリーダーからのメール。1月に生れた生き物が、ネズミ期を脱して徐々にイヌらしい形態に移行してきているという。そこで、隣の隣の州の山奥まで往復9時間かけて、覗きに行ってきた。見てなるほど!確かに、先週までの様子とは大分違って、あのテカテカ生物がいつの間にか自覚を持ってモゾモゾ歩き回り、小さなブリースティックをカジカジしたりするようになっていた。「犬」まではまだあと一歩だけれど、「これは、つきのわグマの赤ちゃんです」と言われたら、頷けるようなところまでは来ていた。

 今回、どの仔犬を迎えるかの決定プロセスは全てブリーダーに任せようと思っているので、自分は仔犬の頭をなでてやること以外、ほとんどすることがない。そうしようと思った理由は、特定の仔犬に感情的に入れ込んでしまい、それで欠点が見えなくなる事を避けたかったのと、また、自分ではどんなに犬に詳しいつもりでいても、長年その犬種を繁殖しているブリーダーのほうが仔犬のポテンシャルや適正について、ずっと優れた観察眼を持っているはずだと考えたからなのだ。この仔犬達は月末にベースの性格を診断するテストにかけられ、その後晴れてどの仔犬がどの家に行くかが決定される。うちはつい最近、犬を迎えるのに際してとても重要な「家庭の事情」がもう1つ増えたので(そのことについては、いずれ別記したいと思います)それについてもしっかり話し合いをし、また2週間後に来ると約束して、ブリーダー宅を後にした。

 写真は仔犬の足。ずっとモゾモゾ、モゾモゾしていて写真はみんなピンボケになった。まだ一度も外の世界に行ったことのない彼らの肉球は、まさに「穢れを知らない」といったかんじで、ちょっと感動するくらいぷにょぷにょと柔らかかった。連続9時間の運転は辛いと思ったので、仕方なく近くにあったカジノに隣接するホテルをとったら、その横にとてもおいしいヨーロピアンスタイルのチョコレートを売る店を発見した。アメリカの田舎とは基本、非常に退屈な場所だと思うけれど、よく見るとこうして「きらりと光るもの」が隠されていることがある。たまにはそんな宝探しもいいのかもしれない。





2015年2月9日月曜日

LAYLA



 近所を散歩中すごい美人に遭遇したので、お願いして写真を撮らせてもらった。見てわかる可愛さもだけれど、この犬の場合性格も花マルで、可憐そのもので、「レイラみたいな犬を持てて本当によかったね。」と、飼い主のオジサンに自然と賞賛の言葉を口にしていた。「彼女は可愛いだけでなく、何でも分かるし、何でも出来るんだ。」と、犬を褒められた嬉しさで顔のほころびが止まらない、レイラのオジサンだった。

 レイラがオジサンの家に引き取られてくる時、この犬はパピヨンか、パピヨンの雑種であると説明を受けたそうだ。「しかしパピヨンのアイコンであるあの耳がないので、あまりそういう風には見られないね」とも言っていた。そこで、パピヨンは12、3世紀くらいまでさかのぼればもとは垂れ耳の犬種で、現在の立ち耳は歴史的には比較的「モダン」であり、レイラのような耳は、パピヨン(風の犬)としては古典的で自分はかっこいいと思うと、昔どこかで読んだ雑学と共に話した。レイラの耳について「かっこいい」という感想を聞いたのは初めてだというオジサンは、ふんふんと結構真剣に聞いてくれた。ふだんの生活において全く意味をなさないこういうムダ情報だけれど、その真偽はさておき、レイラは今日から「かわいくて、なんでも分かり、なんでも出来て」しかも「古典的パピヨン風の犬」として、より一層オジサンに可愛がられていくのかもしれない。




2015年2月4日水曜日

おかめちゃん

 
 ロボロフスキーハムスターの「おかめちゃん」に一週間ぶりに出会った。
 この家の隠れ住人、3匹のロボハム達は基本夜しか活動しないうえ、季節の変化を肌で感じてか、トンネルの下の家に籠っている時間が非常に長くなって、ほとんどめったに見かけないのだ。いちおう毎日生きてるかだけは確認しようと、「おいしいもの」例えば4等分したブルーベリーとか、種子類や甘いラディッシュなどを一切れ置いておき、次の日なくなっているのを見て「よし生きてるな」という、ふつうの人から見たら「なにが良くて飼ってるの?」と言われそうな付き合いが続いているのだ。しかし普段野生動物に親しんでいる者からすると「気が向けば手に乗ってくれる」という事だけで、とても大きな感動があり、長生きしてほしい大切なペットなのだ。

 そんなロボロフスキーハムスターに関してだけれど、飼育法についてきちんとコンプリートされた日本語のテキストがネット上にあまりない事が気になっていて、以前自前でミニサイトを制作したことがあるのです。どのくらい需要があるかは分かりませんが、一応、リンクをつけておきます。

リンク:ロボロフスキーハムスターの育て方